Think about you

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「ちょ、もう。なんですか龍二さん」

「なんだ、ユウ」

「あー、もうその怖い顔止めて」

怖いってなんだよ。普通だ。

「客の前でそんな顔してたら逃げられちゃいますよ」

「客の前じゃいつもにっこりしてやってる」

「彼女とケンカしたくれえでそんな機嫌悪いなんてけっこう可愛いっすね、龍二さん」

なにニヤニヤしてんだ、てめえは。

ムカつくから。

「きゃあっ！止めてっ、髪崩れるう！」

ヘッドロック。

確かに莉緒とケンカした。

嫌いとか言いやがるから。

「お前ブラコンもいい加減にしろよ」

「なによ、ブラコンて。お兄ちゃんはあたしのたった一人の肉親なんだよ？親代わりにあたし育ててくれたんだよ」

んなこたあわかってんだよ。

「あたしがお兄ちゃん好きでなにが悪いのよ」

「そんなに好きなら一生兄貴といろ」

「残念でした。兄妹だから一生離れられません」

て、かなりムカついて。

「じゃあお前は俺より兄貴の方が良いんだな？」

「な、なにそれ」

「もう知らね」

バカ兄貴のバカさ加減は話すとお前がかわいそうだから、と思って。

俺はお前の事考えてやってるのに。

ぐすぐすやってんのはわかってたが俺もムカついてたから。

そのまま放っといて。

起きても黙ってメシ食って。

二人とも黙ったまま。家出て。

そのままアイツは帰ってった。

大体なんだよ。

お兄ちゃん、お兄ちゃんて。

確かに親が死んで兄貴が学校行かせてくれたりメシ食わせてくれただろうがな。

そりゃ妹なんだから兄貴として当たり前の事だろ。

それなのにお兄ちゃん好きの度が過ぎてんだよ。

自分でブラコンなのわかってねえんだよ。

借金まで背負わされて。

バカじゃねえのか。あ、バカだったな。

ふざけやがって。

結婚してもお兄ちゃん大好きとか言いやがったら本気で怒るぞ。

は？結婚？

なんだそれ。

とにかくムカつくんだよ。

今日一日メールもしてきやがらねえ。

別に俺がいなくても兄貴がいれば良いんだな。

って、なんだ俺は。

やきもちか？

他の男ならともかく。

なんで兄貴に嫉妬しなきゃなんねえんだ。

バカか。

もう考えるのも面倒くさい。

仕事終わって家帰って。

プライベートの携帯。

莉緒のメールは無い。

いつもこの時間メールしてくるくせに。

怒ってんのか？

俺の方がムカついてんだ。

お前なんてもう。

知るか。

携帯放り投げて。

寝た。