LA・BAR・SOUL(ラ・バー・ソウル) 第1章 プロローグ

吉田真一

文字の大きさ
24 / 26
第3章 終着

第24話 夢

しおりを挟む
 一方、自分の知らないところで、そんな会話が為されていたことなどつゆ知らず......渦中の人はと言うと、

「う、う~ん......」

 覚醒を始めていたのである。

 その後一体......私はどれだけ意識を失ってたんだろう? 10分? 30分? 1時間? いや、そのもっとか? とにかく時間の感覚ってものが全く無い。

 目を開けたその時も、そこが現実の世界なのか夢の世界なのかすらも分からなかった。もしかして私は記憶喪失になっちゃったのかな? なんて思う程に記憶が完全にボヤけてた。

 やがて......

「ふわぁ~......」

「おっと......お目覚めだな、結衣」

 その優しい声は琢磨君......やっぱ夢の世界から現世へ戻って来たんだわ。直ぐに気付いてくれたってことは、ずっとそばに居てくれたんだろう。

「ここは......誰? 私は......どこ?」

「それを言うなら、ここはどこ? 私は誰だろ? 因みに答えを言うなら、ここは俺の家、お前は俺の大事な結衣だ」

 うっすら目を開けてみると、そこには私が愛したその人の笑顔が。

「琢磨君......」

「心配したぞ。目を覚ましてくれて良かった」

 どこをどう見渡したってここは琢磨君の家だ。私ったら、なに琢磨君の家で寝ちゃってたんだろう? また酒で失敗したのかな? なんて一瞬心配したりもしたけど、別に酒臭く無いから違うみたい。きっと疲れて寝ちゃったんじゃないかな? それにしても......やたらとリアルで、嫌な夢だった......
 
「何かね......私凄く怖い夢見てた。琢磨君がね......私の前から居なくなっちゃうの」

「ハッ、ハッ、ハッ......そんなこと有る訳無いだろう。それはな......本当に悪い夢だったんだよ。もしかしたら美也子の嫉妬が移ったのかも知れないぞ」

 果て......美也子? 何で今ここでその名が出て来るんだろう? そう言えば、さっきまで見てた夢の中で、やたらと美也子が出て来た気がする。

「美也子?」

「ああ......ちょっと前に帰った。結衣に宜しくって言ってたぞ」

 ちょっと待って......段々脳に血が回って来た気がする。確か......夢の中で美也子ともう一人誰か居た気がするんだけど。しかもその人は、私の中で凄い重要な人だった気がする。誰だったけな?

 それはそうと......ゲゲゲッ?! 何この衣装? いつから私は宅配業者になったの? 待てよ、待てよ、待てよ......ゲゲゲッって言えば......鬼太郎だ。

 鬼太郎と言えば、目玉のおやじ。い、いやそっちじゃ無い! 鬼太郎と言えば、鬼太郎と言えば、鬼太郎と言えば......喜太郎? 喜太郎?? 喜太郎!! 

「きっ、喜太郎さん?!」

 気付けば、私はソファーから飛び起きていた。殆ど反射的な動きだったと思う。それは正に夢と現実の世界が見事繋がった瞬間だったに違い無い。

 まだ少し頭は痛んだけど、そんなこと気にしてる場合じゃ無いことに漸く気付いた私。探す! 探す! 探す! とにかくあちこち探した。でも、その者の姿を視界に捉えることは出来なかった。

「喜太郎さんはどこっ?!」

 もう無我夢中だ。

「ああ......あの『通りすがり』なら、さっさと帰ったぞ。疲れた顔してな。結衣に解放されて精々してるんじゃないか?」

「琢磨君、今何時?」

 琢磨君の答えが返ってくる前に、私は机の上の置時計に目を向けてる。きっと答えが返ってくる1、2秒すら待てなかったんだろう。

「12時30分!」

 窓の外は真っ暗だから、きっと昼の12時30分じゃ無いと思う。

「琢磨君、ごめん。私帰る!」

 取る物も取らずと言いたいとこだったけど、さすがにさっき取り戻したタブレットだけは忘れて無かった。ブリーフケースに無理矢理押し込むと、気持ちは既に外へと向かっている。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

🥕おしどり夫婦として12年間の結婚生活を過ごしてきたが一波乱あり、妻は夫を誰かに譲りたくなるのだった。

設楽理沙
ライト文芸
2026.1.4 73話見直した際、瑛士の台詞《本音/懺悔》を加筆しました。😇 ☘ 累計ポイント/ 200万pt 超えました。ありがとうございます。 ―― 備忘録 ――    第8回ライト文芸大賞では大賞2位ではじまり2位で終了。  最高 57,392 pt      〃     24h/pt-1位ではじまり2位で終了。  最高 89,034 pt                    ◇ ◇ ◇ ◇ 紳士的でいつだって私や私の両親にやさしくしてくれる 素敵な旦那さま・・だと思ってきたのに。 隠された夫の一面を知った日から、眞奈の苦悩が 始まる。 苦しくて、悲しくてもののすごく惨めで・・ 消えてしまいたいと思う眞奈は小さな子供のように 大きな声で泣いた。 泣きながらも、よろけながらも、気がつけば 大地をしっかりと踏みしめていた。 そう、立ち止まってなんていられない。 ☆-★-☆-★+☆-★-☆-★+☆-★-☆-★ 2025.4.19☑~

さようならの定型文~身勝手なあなたへ

宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」 ――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。 額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。 涙すら出なかった。 なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。 ……よりによって、元・男の人生を。 夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。 「さようなら」 だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。 慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。 別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。 だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい? 「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」 はい、あります。盛りだくさんで。 元・男、今・女。 “白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。 -----『白い結婚の行方』シリーズ ----- 『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

処理中です...