私が好きなのは…

梅田星子

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二話

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その日の夜部屋で増やされた宿題をやっていると扉がノックされた。

「晴花ちゃん、今いい?」
「雨音、どうしたの?」

雨音が不安そうにやってきたので何かあったのかと思いすぐに部屋に招き入れる。

「宿題の途中だったのね…ごめんね。出直すよ」
「ううん!いいの。もうすぐ終わりそうだし気にしないで!」

だからどうぞとふわふわのクッションの元へと促す。
ありがとうと腰を下ろすと口を開いたり閉じたりと不思議な行動をしている。
何か言いたいことがあるのだろうか。

「えっと、どうしたの?言いたいことがあるなら遠慮なく言って」
「あ、あのね…。わ、私歩夢くんの事が好き…なの」
「え!?」


突然の告白に驚いて大きな声を出してしまった。それにビクッと雨音が驚く。

「ご、ごめん」

驚かしたことに謝る。私に明かしてきたという事はその事で何かお願いがあるのだろうか。すると雨音は申し訳なさそうに口を開く。

「も、もしかして晴花ちゃんも歩夢くんが好きだったりする?」
「え?わ、私は…」

私は歩夢の顔を思い浮かべる。
小さい頃から姉の雨音ちゃんは可愛いけど晴花ちゃんはなんていうか元気なだけよね…と言われ続けてきた。元気でいいじゃないかと思うが、か弱そうな雨音は守ってあげなきゃとみんな雨音に視線がいく。
さらに雨音はなんでも出来て両親からもとても可愛がられてきた。もちろん私のことも愛してはくれていたが何かと雨音を優先された。行きたい場所はある?と言われれば私は遊園地!と答えても雨音が疲れちゃうからと美術館になったりする。美術館もいいが私はもっと走り回りたかった。
別に雨音は病弱というわけではないのに。
そんななか唯一ちゃんと私をみてくれたのが歩夢だ。

「お前の元気なところがいい!その明るい笑顔とかな!」

笑顔は大事だぞ!と励ましてくれた。
私はそんな歩夢が大好きだ。
思い返すと胸が温かくなる。きっと私のこの好きもきっと恋なんだろう。


でも…雨音が悲しむのも見たくない。
雨音のことも大好きなのだ。今まで雨音ちゃんは雨音ちゃんはと言われ続けてきた。羨ましいとも思った。でも雨音にとってそれが苦しみだった。雨音なら出来て当然だよねと期待されるのが辛かったのだ。
お互いを羨ましがりながらも悲しい時も楽しい時もずっと一緒にいたのだ。
一緒に泣いて笑いあった雨音も大好きだ。



「もし、そういう好きじゃなかったらその…二人きりにしてほしいの!」

いつになく真剣な雨音に私は…


「わかった。登下校は別々にしよう!でも完全にのけものにされたら寂しいからたまには遊んでね?」
「ありがとう!」

私は雨音の嬉しそうな顔をみてホッとした。自分の気持ちに蓋をして正解だったのかもしれないと思うくらい素敵な笑顔を見せてくれた。
私は新しい友達を作るのもありだと前向きに考えることにした。
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