HxMx ESCAPE

古河さかえ

文字の大きさ
12 / 13

第十一話 『とらわれの猫』

しおりを挟む
登場人物

 カツイ(15・男) 
 トバ(15・男) 
 ゲッカ(13・男) 
 ハナ(13・女) 
 ソウマ(17・男) 
 サクラ(16・女) 
 ヒカル(18・男)

 女生徒S(16・女)

〇アパート 
トバ「それじゃあ……ソウマさんが二人の代わりに?」 
ハナ「ソウマさん、凄い殴られてたし血も出てた……あのまま会長さんの所に連れてかれたら何されるか分かんないです!」 
カツイ「ゲッカ、良くハナを守って逃げてこれたな。お前ら二人が無事ならそれでいい」 
ゲッカ「カツイ先輩!」 
ハナ「カツイ先輩! ソウマさんを会長さんのところから助けてあげてください! お願いです!!」 
カツイ「ハナちゃん……」

〇地下牢 
SE(ピチャン 水音) 
ヒカル「君にはがっかりだよ……ソウマくん」 
ソウマ「……」 
SE(ガチャリ 手錠の鳴る音) 
ヒカル「僕は結構君の事を買っていたんだけど。まるで飼い猫に噛まれた気分だよ」 
SE(どかっ 腹を蹴る音) 
ソウマ「ぐ……」 
ヒカル「ねえ……どうして僕の邪魔をするの?」 
ソウマ「……個人の意思は尊重されるべきです。他の誰であろうとも、あの二人を無理矢理家に帰す事なんてさせません」 
ヒカル「……あははっ。初めて自分の意見を言ったねぇソウマくん。いつも僕の言葉に忠実なだけの秘書だったのに。だけど……」 
SE(バシンッ 頬を叩く) 
ヒカル「僕の秘書に自分の意志は要らないかなぁ」 
   服を掴む 
ヒカル「あの二人を逃がして、それからどうするつもりだったの? まさか僕から逃げようとした? そんな事させないよ。君は一生僕の飼い猫なんだから」 
ソウマ「会長……」

〇(回想)二年前 
ヒカル「ソウマくん。とても優秀だって聞いているよ。行くところがないんだろう? 僕の秘書にならないかい?」 
   (回想終わり)

手を離して蹴り飛ばす 
ソウマ「っつ……う……」 
   バッと服を捲り上げる 
ヒカル「二年前……刺された傷はもう塞がったみたいだね」 
ソウマ「なん、で……その事を……」 
ヒカル「綺麗な肌……誰にも渡さない(ぼそっ)」 
ソウマ「ッ! やめてください!!」 
SE(バシンッ 頬を叩く) 
ヒカル「口答えは許さない。僕から離れようとするなら二度と君をここから出さない。この地下牢で一生飼い殺してあげる」 
ソウマ(M)「狂ってる……!」 
   ヒカルの高笑い 
SE(ガチャンッ 牢の鍵を閉める) 
ヒカル「僕から逃げようとするなら君の大切なものを一つずつ壊していってあげる。まずはあの双子ちゃん達かな……その後は君が目を掛けているあの少年たち」 
ソウマ「会長……何を、考えているんですか……」 
SE(ガシャンッ と牢の檻を掴む) 
ヒカル「一つずつ大切なものを壊していって……そして最後には僕以外のものを全て君の世界から排除してあげる! 君は僕だけのものだよソウマくん」 
ソウマ「会長……」 
   高笑いをしながら去っていく足音 
ソウマ「待ってください彼らに何をするつもりなんですか!? 会長!!」 
SE(ガシャガシャガシャと何度も檻を揺する音) 
ソウマ「くそっ……!」 
SE(ガンッと檻を叩く)

〇アパート 
カツイ「考えてもみろよ。アイツはそもそもあっち側の人間だぜ? 最初の時だってハナちゃんを会長の所に連れていったりして、完璧に敵側の人間じゃねーか」 
サクラ「カツイお前なぁ……」 
ゲッカ「でも僕達が地下に監禁されていた時も、ミナリくんを助けてくれたのもソウマさんです!」 
ハナ「あの人、多分そんなに悪い人じゃないと思うんです。きっと何か理由があって……」 
トバ「カツイくんは一度ソウマさんにコテンパンにやられてるからねぇ。多分それで恨んでるんだよ」 
カツイ「バッ……ちげーよ!!」 
サクラ「ちっせー男だな」 
カツイ「サクラまで! ちげーって!! あーもうっ!!」

〇学校・廊下(朝) 
女生徒S「麻生会長、おはようございまーす」 
ヒカル「やあ、おはよう」 
トバ「(ひそっ)カツイくん見て。会長だよ」 
カツイ「……今日は一人みてーだな」 
女生徒S「会長、その手の怪我どうしたんですか?」 
ヒカル「ああこれのこと? ははっ、ちょっと飼い猫が暴れてね」 
女生徒R「いたそ~う!」 
ヒカル「おいたをしたから今躾け直してる最中なんだ」 
女生徒S「さっすが会長! ちゃんと躾けてあげないといけませんね」 
トバ「ねぇカツイくん」 
カツイ「ああ?」 
トバ「見て、会長の上着の胸ポケット。何か入ってるけどあれ……」 
カツイ「眼鏡……か?」 
トバ「会長眼鏡なんてしてなかったよね。それに多分あの眼鏡……」 
SE(カツカツカツ 近寄る足音) 
ヒカル「おはよう。カツイくん、トバくん」 
トバ「おはようございます」 
カツイ(M)「あの眼鏡は……」 
トバ「あの……会長?」 
ヒカル「ん? 何かな?」 
トバ「その、胸ポケットの眼鏡、フレームが折れてレンズが割れちゃってませんか?」 
ヒカル「ああこれか……ちょっと力を入れたら壊れてしまってね。脆いよね」 
トバ(M)「やっぱりソウマさんの眼鏡……」 
SE(ゴクッと唾を飲む声) 
   ヒカルが去って行く 
トバ「カツイくんやっぱりあれソウマさんの眼鏡だよ」 
カツイ「っせーなあ……だったらなんだっつうんだよ」 
トバ「いつもソウマさんを側に置いてる会長が今日はソウマさんを連れて来ていなかった。その上あの会長の手の怪我と壊れたソウマさんの眼鏡! ソウマさんはきっと掴まってるんだよ!」 
カツイ「まだそうとは決まってねーじゃんか」 
トバ「どうしてそんなに意地になってるの! ソウマさんを助けに行かなくちゃ!」 
カツイ「……俺はごめんだね」 
SE(立ち去る足音) 
トバ「カツイくんどこ行くの!」 
カツイ「今日はサボるー」 
トバ「もうっ……」 
SE(始業のチャイム)

〇アパート 
トバ「……という事で、ソウマさんは会長のところで監禁されていると考えられます」 
サクラ「んでぇ? 助けに行きたくない誰かさんは学校サボって部屋に引きこもりかよ」 
トバ「あはは……」 
ゲッカ「トバ先輩! ソウマさんを助けに行きましょう」 
ハナ「私も行きます!」 
トバ「ゲッカくん、ハナちゃん。ありがとう。こないだも行ったから分かると思うけど会長の家にはボディーガードがいっぱいだ。その上でソウマさんを助け出すならちゃんと作戦を練らないとね」 
ゲッカ&ハナ「はいっ!」 
SE(バンッ と襖を開く音) 
カツイ「俺は反対だ。あんな奴助ける必要なんかねぇ」 
サクラ「カツイ、お前なぁ……」 
カツイ「反対ったら反対だ! リーダーの決定だかんなっ!」 
   玄関を開けて外に飛び出す 
トバ「カツイくん!!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

処理中です...