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第一章 SSS級スキル爆誕
第六話「ワガママ魔法使いとパーティーを組もう」
しおりを挟む「はあ!? 『収納』スキル!?」
「はい……」
A級冒険者である魔法使いミーナさんの屋敷。
客間でお茶を飲みながら、僕は自分のスキルの説明、そして先程の攻防でスキルをどう使ったかの説明をした。
日頃から数々の過酷な戦場を駆け巡っているA級冒険者ですら、こんな反応をとるのだ。
あの時レオンさんやギルドの冒険者達に言わなくて良かったと、ミーナさんを見ながら僕はそう思った。
「『収納』スキルでドラゴンを『収納』って…………成る程、さっきからその腰にぶら下げてる布袋から『魔力』を感じてたのは、そういう事ね」
「あ、やっぱり何か感じるんですか……?」
冒険者ギルドでは、レオンさんが何かに気づいて布袋を凝視していた。
やはり感じる人は感じるのか。それともレオンさんやミーナさんといった、力を持つ人間だけなのか。
「私は【火魔法】と【氷魔法】の二つのスキルを持ってるから、『魔力』には結構敏感なのよ。だから、さっきからその布袋が気になってたの」
二つのスキルを持つと言うミーナさん。
攻撃系のスキルを二つ持つのは本当に珍しいケースだ。それに合わせて本人の『魔力』も二つ分増加するから、ミーナさんは魔法使いとして凄まじい潜在能力があるのだ。
さっきの攻防も、僕は必死だったけどミーナさんは片手間、といった感じだった。
僕の『収納』スキルでの反撃も、ほとんど不意打ちみたいなものだし。
「さっきの攻防ではミーナさんの火魔法による火焔弾を『収納』しました」
「魔法も『収納』できるってわけ? とことん規格外なスキルね……」
少し引いたような表情で言うミーナさん。
やめて、引かないで。このスキルの力に引いてるのは僕も同じだから。
「そんな強いスキルがあるなら私いらなくない? 何でも『収納』しちゃうんでしょ」
「いや、そう簡単にはいくまい」
そう言ってレイラさんが話に割って入った。
「カイルが反応できない程のスピードを持っていたり、多方向から攻められたりしたら、『収納』スキルでは対処するのは難しいだろう」
「そんな時にカバーするのが私の役目ってこと?」
「平たく言えばそういうことだ」
まあ確かに、攻撃や生物を『収納』できるなんて万能そうに聞こえるけど、実は臨機応変に対応するのが難しいスキルではあるんだよね。
それは使用者である僕の臨機応変力にかかってるんだけど、如何せん僕は新米冒険者。冒険のぼの字も知らない素人だ。
だから、個人的にはミーナさんが居てくれれば凄く心強いんだけど……。
「なーんか面倒臭そうな役目ねー。別にそれ私じゃなくても良くない? その辺の冒険者とかでも務まるでしょ」
「私はミーナ以上に相応しい奴は居ないと思うぞ」
「えぇー?」
納得する様子を見せないミーナさん。
何だか心配になってきたな……本当にパーティーを組んでくれるんだろうか?
「あと、カイルとパーティーを組めばデメリットだけではなくメリットもある」
「メリットって、例えば?」
「ほら、ルルクス王国第二王子の専属護衛団に勧誘されていただろう?」
「あー…………あの気持ち悪いデブのね」
ミーナさんは露骨に表情を歪めて言った。
ルルクス王国の第二王子と言えば、ズル賢く知恵が働き、黒い噂が絶えないとされているマルス様のことだ。
確かに恰幅の良い方だけど、気持ち悪いデブとまでは言わなくていいんじゃ……。
「カイルとパーティーを組めば、それを口実に勧誘の話を断れる。お前にとっては悪い話ではないんじゃないか?」
「確かに、言われてみればそうね…………」
レイラさんの説得により、パーティーを組むか組まないかで悩む所まできたミーナさん。
端から見ても本気で悩んでいる様子で、よっぽど第二王子の専属護衛団に入るのが嫌なんだというのが分かる。
「このまま勧誘を断り続けても、奴は一生お前に付きまとってくるだろうな。最悪、王族の権力を振りかざして脅してくるかもしれない」
「その時はあのデブを燃やすし……」
「そして一生衛兵に追われる身になるのか? それよりもカイルとパーティーを組んだ方が、安全に対処できるだろう」
「むむむ…………」
究極の二分の一を前に悩み続けるミーナさん。
それに畳み掛けるようにしてレイラさんが説得の言葉を浴びせ、ミーナさんは更に眉間にしわを寄せ悩んだ。
それよりも、それほどミーナさんに拒否される第二王子が気の毒で仕方がないけど……何だろう、よっぽど酷いアプローチをされたのかな?
そうでもなきゃそんなに嫌がらないと思うけど。
「——分かった!」
と、ミーナさんが声を上げた。
「カイル、私とパーティー組もう!」
「あっ、はい! よろしくお願いします!」
「そんなに嫌だったのか、勧誘の話が……」
椅子から立ち上がったミーナさんが手を差し出してきたので、僕はその手を掴み握手をする。
その側でレイラさんが呆れた表情を浮かべているが、ミーナさんが気にする様子はない。
「やっぱあんな奴の専属護衛団なんて嫌だしね! ここ最近研究ばっかりだったし、そろそろ体を動かさないと!」
「(調子の良い人だなぁ……)」
さっきはあんなに面倒臭がってたのに——と、心の中で思ったのは内緒の話。
とにかくA級冒険者のミーナさんが僕とパーティーを組んでくれるのは、非常にありがたい事だ。
「それじゃ、早速明日からクエストに出ましょう。正午に冒険者ギルドの中で待ち合わせね」
「は、はい!」
そして、サラッとミーナさんが一言。
「あと、そのせいで第二王子の取り巻きからちょっかい出されるかもしれないけど、頑張りなさいよ!」
「…………え?」
今何とおっしゃいました?
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