婚約破棄された悪役令嬢は、辺境でスイーツカフェをオープンしたらイケメンたちに溺愛されました

霧島

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第29話 カフェ拡張工事

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第29話 カフェ拡張工事

カフェ「ドルチェ・エレナ」の店内が、もう限界だった。

開店前から行列ができ、席は常に満席。

ショーケースは一時間で空になり、厨房は追加焼きでパンク寸前。

「お嬢様! また売り切れです!」

リナが汗だくで厨房に飛び込んできた。

私はエプロンに小麦粉をつけたまま、ため息をついた。

「……これじゃ、みんなに十分に行き渡らないわね」

村長を呼び、みんなを集めて相談した。

「店を大きくしたいんです。増築して、席を倍に、厨房も広げて」

村人たちがどよめいた。

「いいね! お嬢様のケーキ、もっと食べたいもん!」

「冒険者さんたちも、待ってる時間が長すぎるって言ってるよ」

村長が腕を組んで頷いた。

「材料費も出てるし、村の収入も増えてる。みんなで手伝うさ」

その日から、カフェ拡張工事が始まった。

村全体が総出で協力。

大工のおじさんたちが木材を運び、女性たちは壁の塗り直しを手伝う。

子供たちは資材を運んだり、掃除をしたり。

レオン様は領地の倉庫から上質な木材とガラス窓を提供。

「…これで、店が強くなる」

無表情で言いつつ、現場監督みたいに指示を出している。

カイル様は騎士団を動員して、重い資材の運搬と警備。

「効率的に進める」

クールに指揮しながら、自分も梁を担ぐ。

シルヴィオは森から魔法の木材や装飾用の花を持ってくる。

「……店がうるさくなるのは嫌だが、プリンが増えるなら仕方ない」

ツンと言いつつ、魔法で壁を強化。

リオは馬車で遠くの町からレンガやタイルを大量輸送。

「エレナの店がでかくなるなら、俺の商売もでかくなるぜ!」

陽気にみんなを盛り上げる。

一週間で、工事は驚くほどのスピードで進んだ。

元の平屋に二階が増え、客席は三十席に。

厨房は倍の広さになり、オーブンも二台に。

テラス席も新設して、森が見えるオープンカフェ風。

看板も新しく、リオが南の国から取り寄せたキラキラの装飾付き。

完成の日、村人たちが集まってオープニングセレモニー。

私は新しいエプロンで、みんなの前に立った。

「みんな、本当にありがとう!  
この店は、私だけのものじゃない。  
村のみんなの、みんなの店です」

村人たちが歓声を上げた。

レオンが私の隣に立ち、小声で。

「……よくやった」

カイルが頷き。

「立派だ」

シルヴィオが耳を少し赤くして。

「……まあ、悪くない」

リオが大声で。

「エレナ、最高だぜ!!」

新しくなった店内で、完成祝いのスイーツパーティー。

特大のチョコレートケーキを切り分け、みんなで食べる。

子供たちが走り回り、冒険者たちが拍手し、村人たちが笑顔でグラスを傾ける。

拡張されたカフェは、辺境の新しいシンボルになった。

観光客が増え、村はますます活気づく。

税収も上がり、道が整備され、魔物対策の柵も新しく。

すべては、私のスイーツから始まった小さな変化。

でも、今はもう、みんなの力で大きな幸せに。

夜、工事の疲れを癒すように、四人が店に残った。

新しいテラス席で、星を見ながらケーキを食べる。

私はみんなを見て、胸がいっぱいになった。

「本当に、ありがとう。みんながいなかったら、ここまでできなかった」

レオンがぽつりと。

「……お前がいたからだ」

他の三人からも、温かい視線。

カフェは大きくなったけど、私の心の中の特別な席は、変わらず四人分。

辺境が、どんどん豊かになっていく。

私のスローライフは、みんなと一緒に、もっと広がっていく。

そう思った、拡張完成の日だった。
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