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第1章 1-3
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第1章 1-3
追撃、学園崩壊──“第七因子”の暴走と選択
ユウとユリアは学園の廊下を全力で駆け抜けていた。
夜の校舎は本来静まり返っているはずだったが、今は非常灯が点滅し、警報音が鳴り響き、窓ガラスが震えるほどの振動が断続的に響いていた。
「ユリアっ、どこに逃げるんだよ!!
このままじゃ校舎ごと包囲され──」
「だからこそ、急がなきゃいけないのよ!」
ユリアの銀髪が揺れ、鋭い光を帯びる瞳が前方だけを捉えていた。
「あなたを連れて学院から脱出する。
地下の転移通路まで走るわよ!」
「て、転移通路!?
そんなのあるの!?」
「機密だけど……もう隠していられないわ!」
(とんでもねぇ学校だなアークス!!?)
背後で爆音。
階段の踊り場が赤い火花に包まれる。
『発見──逃走経路D1を封鎖』
『対象は一名の女と同行中』
『第七因子保持者と接触しているため、排除優先度を上方修正』
「排除……!?
ちょ、待てやめろおおおお!!!」
ユウは叫び声を上げた。
「ユウ、落ち着いて!」
「落ち着けるわけないだろ!!
俺の人生、一時間前までは“才能ゼロ”って笑われるだけだったのに……
なんで国家に殺されかけてんだよ!!?」
「説明は後! 今は生き延びることだけ考えて!」
(無理だろ!! 俺、一般人寄りだぞ!?)
だが、ユリアは強引にユウの腕を引いて進む。
彼女の細い体からは想像できないほどの力。剛因子の恩恵だ。
◆
廊下の先で、黒い影が動いた。
「──第七因子、確保対象」
無機質な声。
黒装束の特別部隊、〈特級殲滅班ゼロ〉。
「うわぁぁぁぁ!! もう来た!!」
「ユウ、伏せて!」
ユリアがユウを抱き寄せ、床へ押し倒す。
次の瞬間、光の弾丸が飛び交い、壁が融解するほどの熱を放った。
空気が焼け焦げ、視界が白く染まる。
「ひっ……!!」
「大丈夫、私がいる!」
ユリアの周囲に魔力の盾が展開される。
透明な壁が弾丸を次々に弾き、廊下に激しい火花が散った。
(すげえ……!
ユリアってこんな強かったのか……!)
だが、敵は引かない。
「シールド突破を確認」
「魔力障壁、強度C級。破壊可能と判断」
「圧力を上げろ」
数名が前に出る。
「ユウ、走れる!?
次で障壁が壊れるわ!」
「お、俺が走らなかったら死ぬよね!?」
「そういうことっ!」
「じゃあ走るしかないだろおおおお!!」
二人は再び全力で駆け出した。
廊下を抜け、階段を駆け下り、そして学園南棟の裏へたどり着く。
風が冷たい。
夜空には黒いヘリが複数待機している。
「外にもいるじゃん!!
もうどうにもならないだろ!!」
「まだよ。
地下通路はこの先の訓練棟の下!」
ユリアは焦燥を隠せぬ表情で続ける。
「でも……敵が上空にも配置されてるのは誤算。
完全包囲体勢……これ、私たちが追い詰められてるってことよ」
「言いながら走るスピード落ちてる!!」
「落ちてない!!」
実際にはユリアは限界ぎりぎりだった。
主にユウを引っ張って走る消耗が大きい。
そして、最悪の報せが降る。
『学園長より通達──
第七因子保持者、九条ユウの“処分”を許可する』
「……処分?」
「殺すってことよ、ユウ」
「なんでそんな簡単に決めるんだよおおお!!」
◆
訓練棟の入り口に到達した瞬間だった。
上空のヘリから、巨大な影が落ちてくる。
人型の戦闘外骨格兵――〈重装アームドギア〉。
「ま、まさか……軍用のアレ!?
学園で使っちゃダメって法律に……!!」
「非常事態なら許可されるのよっ!!」
外骨格兵は無機質な赤い目を光らせ、二人に向けて腕を突き出した。
「第七因子保持者、ユウを発見」
「排除プロトコルに移行する」
「待て! そっちは違う!!
排除されるの俺だけでいいだろぉぉぉ!!」
「ユウ、バカ言わないで!
私だって──」
外骨格兵の腕から光柱が発射された。
ユリアはユウを抱えて横に飛ぶ。
地面が消し飛び、砂煙が舞い上がる。
「っ……く……!」
「ユリア!! ケガしてるじゃん!!」
「大丈夫よ!!」
(大丈夫じゃねえ!!
絶対どっか折れてるやつだ!!)
しかし撃たれたのはユリアの腕。
ユリアは痛みを隠しながら詠唱を始める。
「《氷結牢》……!」
地面を凍らせ、外骨格兵の足を固定する。
「足止めはした!!
今のうちに──」
言葉が途切れた。
なぜなら、
外骨格兵の周囲の空気が“歪んだ”からだ。
それは、ユウにも見えていた。
(これ……俺が……
俺のせいで、空間が……?)
次の瞬間だった。
外骨格兵の体が、音もなく折り紙のように潰れた。
金属がねじれるでもなく、爆発するでもなく。
“ありえない方向に圧縮されて消えた”。
「……っ……」
ユウの体から白い光がゆらりと立ち昇っている。
彼は何もしていない。
意図して使った力ではない。
「ユウ……今、あなた……」
「わ、わかんない……!
本当に、何もしてないんだ……!!」
だが、それが恐怖になっていた。
自分の力が、自分の意思と関係なく発動したことが。
(やっぱり、俺……化け物なんじゃ……)
胸が苦しくなる。
息がうまく吸えない。
「ユウ!」
ユリアがユウを抱き寄せる。
「大丈夫。あなたは悪くない。
これはあなたの意思じゃなくて、力が暴走しているだけ……!」
「でも……俺のせいでアイツ、消えた……
あれって、死んだってことだよな……?」
「違うわ。外骨格兵の内部には無人モードがある。
今のは多分、AI搭載の無人兵器。
あなたが殺したわけじゃない」
ユウの肩の震えが少し止まる。
ユリアはさらに言葉を続ける。
「それに、あなたの力は破壊のためだけにあるんじゃない。
今日のあなたは、ずっと“守るため”に発動してる」
「……守る……?」
「そう。
あなたの心が、私を守ろうとしてる。
だから、力が暴走しても攻撃じゃなく、排除に留まってるの」
「……俺が……ユリアを……?」
「ええ」
ユリアの瞳が揺れる。
「だからユウ。
自分を怖がらないで。
あなたは……人を守れる力を持ってる」
(守る……?
俺が……そんな……)
だが、ほんの少しだけ胸の痛みが和らいだ。
◆
その瞬間、無線が響く。
『対象ユウ、戦闘外骨格を消去』
『能力は既存の因子分類を逸脱』
『国防評議会より指示──
第七因子保持者を“捕獲ではなく殲滅”へ方針変更』
「殲滅!?!?!?」
ユウとユリアは同時に叫んだ。
「まずいっ……!」
「ユリア、どうするんだよ!」
「……地下通路に行く。
でももう時間がない。
これ以上、敵が増えたら逃げられない!」
上空では新たなヘリが到着しつつあった。
ユリアはユウの手を取り、強く握る。
「ユウ。
行くよ……!
生きるために!!」
ユウは震える声で応えた。
「……うん……!
生きたいよ……ユリアと……!」
二人は訓練棟の奥へと走り出した。
背後では複数の足音、武装、そして咆哮。
学園は完全に戦場と化した。
零因子と呼ばれた少年を巡って、世界が動き出す。
--」
追撃、学園崩壊──“第七因子”の暴走と選択
ユウとユリアは学園の廊下を全力で駆け抜けていた。
夜の校舎は本来静まり返っているはずだったが、今は非常灯が点滅し、警報音が鳴り響き、窓ガラスが震えるほどの振動が断続的に響いていた。
「ユリアっ、どこに逃げるんだよ!!
このままじゃ校舎ごと包囲され──」
「だからこそ、急がなきゃいけないのよ!」
ユリアの銀髪が揺れ、鋭い光を帯びる瞳が前方だけを捉えていた。
「あなたを連れて学院から脱出する。
地下の転移通路まで走るわよ!」
「て、転移通路!?
そんなのあるの!?」
「機密だけど……もう隠していられないわ!」
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背後で爆音。
階段の踊り場が赤い火花に包まれる。
『発見──逃走経路D1を封鎖』
『対象は一名の女と同行中』
『第七因子保持者と接触しているため、排除優先度を上方修正』
「排除……!?
ちょ、待てやめろおおおお!!!」
ユウは叫び声を上げた。
「ユウ、落ち着いて!」
「落ち着けるわけないだろ!!
俺の人生、一時間前までは“才能ゼロ”って笑われるだけだったのに……
なんで国家に殺されかけてんだよ!!?」
「説明は後! 今は生き延びることだけ考えて!」
(無理だろ!! 俺、一般人寄りだぞ!?)
だが、ユリアは強引にユウの腕を引いて進む。
彼女の細い体からは想像できないほどの力。剛因子の恩恵だ。
◆
廊下の先で、黒い影が動いた。
「──第七因子、確保対象」
無機質な声。
黒装束の特別部隊、〈特級殲滅班ゼロ〉。
「うわぁぁぁぁ!! もう来た!!」
「ユウ、伏せて!」
ユリアがユウを抱き寄せ、床へ押し倒す。
次の瞬間、光の弾丸が飛び交い、壁が融解するほどの熱を放った。
空気が焼け焦げ、視界が白く染まる。
「ひっ……!!」
「大丈夫、私がいる!」
ユリアの周囲に魔力の盾が展開される。
透明な壁が弾丸を次々に弾き、廊下に激しい火花が散った。
(すげえ……!
ユリアってこんな強かったのか……!)
だが、敵は引かない。
「シールド突破を確認」
「魔力障壁、強度C級。破壊可能と判断」
「圧力を上げろ」
数名が前に出る。
「ユウ、走れる!?
次で障壁が壊れるわ!」
「お、俺が走らなかったら死ぬよね!?」
「そういうことっ!」
「じゃあ走るしかないだろおおおお!!」
二人は再び全力で駆け出した。
廊下を抜け、階段を駆け下り、そして学園南棟の裏へたどり着く。
風が冷たい。
夜空には黒いヘリが複数待機している。
「外にもいるじゃん!!
もうどうにもならないだろ!!」
「まだよ。
地下通路はこの先の訓練棟の下!」
ユリアは焦燥を隠せぬ表情で続ける。
「でも……敵が上空にも配置されてるのは誤算。
完全包囲体勢……これ、私たちが追い詰められてるってことよ」
「言いながら走るスピード落ちてる!!」
「落ちてない!!」
実際にはユリアは限界ぎりぎりだった。
主にユウを引っ張って走る消耗が大きい。
そして、最悪の報せが降る。
『学園長より通達──
第七因子保持者、九条ユウの“処分”を許可する』
「……処分?」
「殺すってことよ、ユウ」
「なんでそんな簡単に決めるんだよおおお!!」
◆
訓練棟の入り口に到達した瞬間だった。
上空のヘリから、巨大な影が落ちてくる。
人型の戦闘外骨格兵――〈重装アームドギア〉。
「ま、まさか……軍用のアレ!?
学園で使っちゃダメって法律に……!!」
「非常事態なら許可されるのよっ!!」
外骨格兵は無機質な赤い目を光らせ、二人に向けて腕を突き出した。
「第七因子保持者、ユウを発見」
「排除プロトコルに移行する」
「待て! そっちは違う!!
排除されるの俺だけでいいだろぉぉぉ!!」
「ユウ、バカ言わないで!
私だって──」
外骨格兵の腕から光柱が発射された。
ユリアはユウを抱えて横に飛ぶ。
地面が消し飛び、砂煙が舞い上がる。
「っ……く……!」
「ユリア!! ケガしてるじゃん!!」
「大丈夫よ!!」
(大丈夫じゃねえ!!
絶対どっか折れてるやつだ!!)
しかし撃たれたのはユリアの腕。
ユリアは痛みを隠しながら詠唱を始める。
「《氷結牢》……!」
地面を凍らせ、外骨格兵の足を固定する。
「足止めはした!!
今のうちに──」
言葉が途切れた。
なぜなら、
外骨格兵の周囲の空気が“歪んだ”からだ。
それは、ユウにも見えていた。
(これ……俺が……
俺のせいで、空間が……?)
次の瞬間だった。
外骨格兵の体が、音もなく折り紙のように潰れた。
金属がねじれるでもなく、爆発するでもなく。
“ありえない方向に圧縮されて消えた”。
「……っ……」
ユウの体から白い光がゆらりと立ち昇っている。
彼は何もしていない。
意図して使った力ではない。
「ユウ……今、あなた……」
「わ、わかんない……!
本当に、何もしてないんだ……!!」
だが、それが恐怖になっていた。
自分の力が、自分の意思と関係なく発動したことが。
(やっぱり、俺……化け物なんじゃ……)
胸が苦しくなる。
息がうまく吸えない。
「ユウ!」
ユリアがユウを抱き寄せる。
「大丈夫。あなたは悪くない。
これはあなたの意思じゃなくて、力が暴走しているだけ……!」
「でも……俺のせいでアイツ、消えた……
あれって、死んだってことだよな……?」
「違うわ。外骨格兵の内部には無人モードがある。
今のは多分、AI搭載の無人兵器。
あなたが殺したわけじゃない」
ユウの肩の震えが少し止まる。
ユリアはさらに言葉を続ける。
「それに、あなたの力は破壊のためだけにあるんじゃない。
今日のあなたは、ずっと“守るため”に発動してる」
「……守る……?」
「そう。
あなたの心が、私を守ろうとしてる。
だから、力が暴走しても攻撃じゃなく、排除に留まってるの」
「……俺が……ユリアを……?」
「ええ」
ユリアの瞳が揺れる。
「だからユウ。
自分を怖がらないで。
あなたは……人を守れる力を持ってる」
(守る……?
俺が……そんな……)
だが、ほんの少しだけ胸の痛みが和らいだ。
◆
その瞬間、無線が響く。
『対象ユウ、戦闘外骨格を消去』
『能力は既存の因子分類を逸脱』
『国防評議会より指示──
第七因子保持者を“捕獲ではなく殲滅”へ方針変更』
「殲滅!?!?!?」
ユウとユリアは同時に叫んだ。
「まずいっ……!」
「ユリア、どうするんだよ!」
「……地下通路に行く。
でももう時間がない。
これ以上、敵が増えたら逃げられない!」
上空では新たなヘリが到着しつつあった。
ユリアはユウの手を取り、強く握る。
「ユウ。
行くよ……!
生きるために!!」
ユウは震える声で応えた。
「……うん……!
生きたいよ……ユリアと……!」
二人は訓練棟の奥へと走り出した。
背後では複数の足音、武装、そして咆哮。
学園は完全に戦場と化した。
零因子と呼ばれた少年を巡って、世界が動き出す。
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