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第2章 2-2
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第2章 2-2
荒野の機械群との交戦──“第七因子”が示す未来
荒野の上に、砂を巻き上げながら迫る黒い影。
それは人型でも、獣でもなかった。
地中から這い出るようにして現れたのは――
鋼鉄の昆虫にも似た多脚兵器。
赤い複眼をいくつも光らせ、甲高い電子音を鳴らしている。
六脚の機械蜘蛛〈スティングスレイ〉。
軍の偵察兼殲滅機であり、本来は都市部への投入が禁止されているはずの危険兵器だ。
「なんで……こんなものがここに……!?
これ、軍の極秘兵器じゃん!!」
ユウの声が裏返る。
「ユウ、落ち着いて!
たぶん……あなたを追跡するために自律起動したのよ!」
「自律起動!?
そんな勝手に出てくるのありかよ!!?」
「非常時はありなのよ!
あなたは“国家緊急レベルの脅威”に分類された。
だから、軍は追跡用AI兵器を動かしてる!」
「それをもっと早く言ってくれえええ!!」
ユウの叫び声が荒野に響くが、機械たちは容赦しない。
複眼が一斉にユウに向き、赤く収束する。
「っ……来るわよ!!」
ユリアの声と同時に、無数のレーザーが荒野を横切った。
◆
ユリアが叫ぶ。
「ユウ、下がって!!」
瞬時に魔法障壁が展開され、光線が氷の膜に当たって弾ける。
だが〈スティングスレイ〉は数が多い。十体以上が周囲を囲んでいた。
「これ……多すぎるだろ!!
どう考えても俺ら二人で戦う相手じゃないって!!」
「それでも、やるしかないわ!!」
ユリアは魔力を集中し、足元に氷の紋章を形成する。
「《氷結・連鎖封縛》!!」
地面から青い鎖が伸び、スティングスレイ数体を絡め取る。
だが、即座にレーザーで氷が溶かされる。
(強すぎる!!
これ、一撃で倒せる相手じゃないぞ……!?)
ユウは拳を握るが、自分の力がまだ制御できていないことを思い出す。
(俺の力……また勝手に暴走するんじゃ……?
でも……ユリアを守るためなら……俺は……!!)
胸の奥が熱くなる。
だが、先に動いたのは敵だった。
◆
「ユウ、右!!」
ユリアの叫びと同時に、右側から高速で迫る影。
スティングスレイが跳躍し、鋭い刃のような脚を振りかぶる。
「うわああ!!」
ユウは反射的に腕を上げる。
すると――
空間が“弾けた”。
スティングスレイの脚が触れる直前、
ユウを中心に白い壁のようなものが展開され、兵器の脚が折れ曲がった。
「っ……な、なに今の……!?」
「ユウの防御反応よ!
あなたの第七因子が自動で守ったの!」
「また勝手に守ってくれたの……!?
すごいけど……怖くもある!!」
だがその恐怖に浸る暇はない。
複数のスティングスレイが射撃体勢に入った。
「ランダム散弾照射、開始」
「やばっ!!」
「ユウ、伏せて!!」
二人は地面に飛び込む。
背後で爆光が走り、砂が高く舞い上がった。
◆
「ユリア、大丈夫か!?」
「問題ないわ! けど……これ以上は、私の魔力が持たない……」
ユリアの額には汗がにじむ。
負傷した腕も痛むはずだ。
ユウは歯を食いしばった。
(俺が……俺がやるしかない……!)
しかし、どう使えばいいのか分からない。
自分の力は強すぎる。暴走すればユリアすら巻き込む。
「ユア!」
ユリアがユウの両手を掴む。
「大丈夫よ。
私があなたを制御する!」
「え……?」
「あなたは“守ろうとした時”にだけ、力を発動してる。
つまり、あなたが恐怖じゃなく“願い”に従えば……
その力は暴走しない!!」
「願い……」
「ユウ……あなたはどうしたいの!?
私を守りたい……?
一緒に生きたい……?
逃げたい……?
それとも、戦いたい……?」
(俺は……俺は……)
ユリアの瞳がまっすぐにユウを射抜く。
(守りたい……
俺は……ユリアと……一緒に生きたい……!!)
胸の奥から熱が溢れた。
「ユリア……俺は……守りたい!!
お前と……一緒に生きたいんだ!!」
ユリアの目が揺れた。
「その気持ちよ……ユウ!
そのまま、力に乗せて!!」
◆
スティングスレイ全機が一斉に突撃してくる。
赤い光が収束し、レーザーの照準がユウの胸元を捉える。
「来る……!」
ユウは一歩前へ踏み出し、両手を広げた。
「守る……!!
俺は……ユリアを……!!」
瞬間、
《第七因子──発動》
白光が爆ぜた。
轟音ではない。
衝撃波でもない。
“空間そのものが波を打った”。
スティングスレイたちの動きが止まる。
世界が静止したかのように、音が消える。
「な……!?」
ユリアが息を呑む。
次の瞬間、
スティングスレイの複眼がひとつずつ消えていった。
機械の脚が折れ、装甲が沈み、
まるで巨大な重圧を受けたかのように地面に沈んでいく。
“押し潰されている”のではない。
“存在が元々なかったように消されている”。
スティングスレイ十数機は、ほんの十秒で殲滅された。
ユウは膝から崩れた。
「……はぁっ……はぁっ……!!」
息が荒い。
心臓が早鐘のように鳴り響く。
「ユウ!!」
ユリアが駆け寄り、ユウの肩を支える。
「大丈夫!?
無茶しすぎたんじゃ……!」
「だ、大丈夫……
だけど……これ、やばいな……
使ったら身体が……全部持っていかれる感じ……」
「ユウ……」
ユリアは優しくユウの背中に手を添える。
「ありがとう。
あなたがいなかったら、私……死んでた」
「当たり前だろ……
俺は……お前を守るって決めたんだから……」
ユリアの頬が赤く染まる。
「……そんなの……好きになるに決まってるじゃない……」
「え? いまなんて?」
「なんでもない!!」
その照れ隠しの仕草に、ユウの顔も真っ赤になる。
◆
だが、安心したのも束の間。
荒野の向こうから、地響き。
「……また来るのかよ……」
「違うわ……今度の反応……軍じゃない」
「じゃあ何?」
「……学園都市の自治警備隊。
つまり、“私たちを保護しようとしている勢力”ね」
「え、味方ってこと……?」
「わからない。
でも少なくとも、あなたを殺すために来るわけじゃない」
警備隊の装甲車が近づき、ひとりの人物が降りてきた。
影のように黒いコート。
顔の半分を覆うマスク。
その人物が静かに口を開いた。
「──九条ユウ。
君を守るために来た」
風が吹いた。
ユウの逃亡劇は、次の段階へ進む。
荒野の機械群との交戦──“第七因子”が示す未来
荒野の上に、砂を巻き上げながら迫る黒い影。
それは人型でも、獣でもなかった。
地中から這い出るようにして現れたのは――
鋼鉄の昆虫にも似た多脚兵器。
赤い複眼をいくつも光らせ、甲高い電子音を鳴らしている。
六脚の機械蜘蛛〈スティングスレイ〉。
軍の偵察兼殲滅機であり、本来は都市部への投入が禁止されているはずの危険兵器だ。
「なんで……こんなものがここに……!?
これ、軍の極秘兵器じゃん!!」
ユウの声が裏返る。
「ユウ、落ち着いて!
たぶん……あなたを追跡するために自律起動したのよ!」
「自律起動!?
そんな勝手に出てくるのありかよ!!?」
「非常時はありなのよ!
あなたは“国家緊急レベルの脅威”に分類された。
だから、軍は追跡用AI兵器を動かしてる!」
「それをもっと早く言ってくれえええ!!」
ユウの叫び声が荒野に響くが、機械たちは容赦しない。
複眼が一斉にユウに向き、赤く収束する。
「っ……来るわよ!!」
ユリアの声と同時に、無数のレーザーが荒野を横切った。
◆
ユリアが叫ぶ。
「ユウ、下がって!!」
瞬時に魔法障壁が展開され、光線が氷の膜に当たって弾ける。
だが〈スティングスレイ〉は数が多い。十体以上が周囲を囲んでいた。
「これ……多すぎるだろ!!
どう考えても俺ら二人で戦う相手じゃないって!!」
「それでも、やるしかないわ!!」
ユリアは魔力を集中し、足元に氷の紋章を形成する。
「《氷結・連鎖封縛》!!」
地面から青い鎖が伸び、スティングスレイ数体を絡め取る。
だが、即座にレーザーで氷が溶かされる。
(強すぎる!!
これ、一撃で倒せる相手じゃないぞ……!?)
ユウは拳を握るが、自分の力がまだ制御できていないことを思い出す。
(俺の力……また勝手に暴走するんじゃ……?
でも……ユリアを守るためなら……俺は……!!)
胸の奥が熱くなる。
だが、先に動いたのは敵だった。
◆
「ユウ、右!!」
ユリアの叫びと同時に、右側から高速で迫る影。
スティングスレイが跳躍し、鋭い刃のような脚を振りかぶる。
「うわああ!!」
ユウは反射的に腕を上げる。
すると――
空間が“弾けた”。
スティングスレイの脚が触れる直前、
ユウを中心に白い壁のようなものが展開され、兵器の脚が折れ曲がった。
「っ……な、なに今の……!?」
「ユウの防御反応よ!
あなたの第七因子が自動で守ったの!」
「また勝手に守ってくれたの……!?
すごいけど……怖くもある!!」
だがその恐怖に浸る暇はない。
複数のスティングスレイが射撃体勢に入った。
「ランダム散弾照射、開始」
「やばっ!!」
「ユウ、伏せて!!」
二人は地面に飛び込む。
背後で爆光が走り、砂が高く舞い上がった。
◆
「ユリア、大丈夫か!?」
「問題ないわ! けど……これ以上は、私の魔力が持たない……」
ユリアの額には汗がにじむ。
負傷した腕も痛むはずだ。
ユウは歯を食いしばった。
(俺が……俺がやるしかない……!)
しかし、どう使えばいいのか分からない。
自分の力は強すぎる。暴走すればユリアすら巻き込む。
「ユア!」
ユリアがユウの両手を掴む。
「大丈夫よ。
私があなたを制御する!」
「え……?」
「あなたは“守ろうとした時”にだけ、力を発動してる。
つまり、あなたが恐怖じゃなく“願い”に従えば……
その力は暴走しない!!」
「願い……」
「ユウ……あなたはどうしたいの!?
私を守りたい……?
一緒に生きたい……?
逃げたい……?
それとも、戦いたい……?」
(俺は……俺は……)
ユリアの瞳がまっすぐにユウを射抜く。
(守りたい……
俺は……ユリアと……一緒に生きたい……!!)
胸の奥から熱が溢れた。
「ユリア……俺は……守りたい!!
お前と……一緒に生きたいんだ!!」
ユリアの目が揺れた。
「その気持ちよ……ユウ!
そのまま、力に乗せて!!」
◆
スティングスレイ全機が一斉に突撃してくる。
赤い光が収束し、レーザーの照準がユウの胸元を捉える。
「来る……!」
ユウは一歩前へ踏み出し、両手を広げた。
「守る……!!
俺は……ユリアを……!!」
瞬間、
《第七因子──発動》
白光が爆ぜた。
轟音ではない。
衝撃波でもない。
“空間そのものが波を打った”。
スティングスレイたちの動きが止まる。
世界が静止したかのように、音が消える。
「な……!?」
ユリアが息を呑む。
次の瞬間、
スティングスレイの複眼がひとつずつ消えていった。
機械の脚が折れ、装甲が沈み、
まるで巨大な重圧を受けたかのように地面に沈んでいく。
“押し潰されている”のではない。
“存在が元々なかったように消されている”。
スティングスレイ十数機は、ほんの十秒で殲滅された。
ユウは膝から崩れた。
「……はぁっ……はぁっ……!!」
息が荒い。
心臓が早鐘のように鳴り響く。
「ユウ!!」
ユリアが駆け寄り、ユウの肩を支える。
「大丈夫!?
無茶しすぎたんじゃ……!」
「だ、大丈夫……
だけど……これ、やばいな……
使ったら身体が……全部持っていかれる感じ……」
「ユウ……」
ユリアは優しくユウの背中に手を添える。
「ありがとう。
あなたがいなかったら、私……死んでた」
「当たり前だろ……
俺は……お前を守るって決めたんだから……」
ユリアの頬が赤く染まる。
「……そんなの……好きになるに決まってるじゃない……」
「え? いまなんて?」
「なんでもない!!」
その照れ隠しの仕草に、ユウの顔も真っ赤になる。
◆
だが、安心したのも束の間。
荒野の向こうから、地響き。
「……また来るのかよ……」
「違うわ……今度の反応……軍じゃない」
「じゃあ何?」
「……学園都市の自治警備隊。
つまり、“私たちを保護しようとしている勢力”ね」
「え、味方ってこと……?」
「わからない。
でも少なくとも、あなたを殺すために来るわけじゃない」
警備隊の装甲車が近づき、ひとりの人物が降りてきた。
影のように黒いコート。
顔の半分を覆うマスク。
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