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第四章:偽りの聖女、暴かれる真実とざまあの結末
しおりを挟む王宮での盛大な婚約発表から、早くも二週間が過ぎていた。
ソフィア・エレナは“冷酷公爵”アレクシス・ヴァルフォードとの仮初めの結婚準備を進めつつ、公爵邸と伯爵邸を往復する日々を送っている。王家の都合で急かされた挙式の予定は、あと数週間後――いつもであれば半年以上かけてじっくり準備するところを、異例の早さで進行しているわけだが、アレクシスの強力なサポートのおかげで、思ったよりも混乱は少ない。
とはいえ、“国王の権力”という名の重石が完全になくなったわけではない。なにしろ、国王は“新たな聖女”リリアナを王宮に住まわせ、積極的にその力を利用しようとしている――いや、既にあちこちで彼女の“聖女の奇跡”が噂になっており、王都の民衆からも絶大な人気を博している状態だ。
それゆえ、国王はリリアナを軸に王家の威光を高め、新たな形での“国の安定”を目論んでいる節がある。それを支えるのがエドワード王子……という構図だが、宴の最中にも垣間見えたように、二人の間には妙な不協和音が漂っているように感じられた。
ソフィア自身は、できるだけ二人に関わりたくないと願っていた。いまはアレクシスと共に挙式の準備を整え、幸せな未来を築くことだけに集中したい。
とはいえ、「なんとなく嫌な予感がする」という胸騒ぎがどうしても消えない。それはリリアナの“挑発”ともいえる言動や、エドワード王子の不穏な言葉が原因だった。
(あの人たちは、一体何を抱えているのだろう……? わたしの知らないところで、何か大きな問題が進んでいるような気がする……)
だが、その疑念を深く考える暇はあまりない。ソフィアは新居となる公爵邸の客間にて、侍女たちに囲まれながらウェディングドレスの仮縫いの最中だった。
「ソフィア様、こちらのレースはいかがでしょう? ちょうど胸元にあしらうと可憐になりますが」
「ありがとうございます。そうですね……すごく綺麗。できれば、裾のラインにも同じモチーフを取り入れていただけますか?」
「かしこまりましたわ。公爵様も、このデザインならきっとお喜びになるかと……」
こうした微笑ましいやり取りが、確かに“幸せな花嫁”としての日常を感じさせる。エドワードとの婚約時代には味わえなかった――自分のために用意された結婚を、自分で作り上げる喜び。それを噛みしめているところだ。
それに、アレクシスは絶妙なタイミングでソフィアに言葉をかけてくれる。時には何気なく紅茶を差し入れてくれたり、職人たちに“妻の要望を最優先に”と伝えてくれたり――ここまで丁寧に寄り添ってくれるとは、噂の“冷酷公爵”からは想像もつかないほどだ。
――しかし、その晩。
ソフィアのもとへ一通の急ぎの使いがやって来る。差し出し人は、なんとエドワード王子だった。
王子からの密書:揺れる心
使者が届けた手紙には、
「至急、王宮の裏庭にある礼拝堂まで来てほしい。リリアナのことで相談がある。どうか、一人で来てほしい」
――そう書かれていた。
ソフィアは手紙を読んだ瞬間、嫌な寒気を覚える。なぜ、よりにもよってエドワードから呼び出されなければならないのか。しかも、あのリリアナについて相談?
(……今さら何の用があるの? わたしとあの人はもう関係ないはずなのに)
しかし、エドワードがわざわざ“夜”という時間帯に“礼拝堂”などという人目を忍ぶ場所を指定するということは、何かよほど深刻な問題があるのだろう。
もちろん無視してしまってもいいかもしれない。けれど、ソフィアには妙な義務感が湧く。王子からの書状を無視すれば、後々どんな仕打ちを受けるか分からない。それに、リリアナの件となると、彼女が“聖女”として持つ影響力は決して小さくない。下手にトラブルを起こされて、公爵家に迷惑をかけるのも避けたい。
ソフィアは一度アレクシスに相談しようかと思ったが、深夜の呼び出しという不自然さを考えると、いったん自分だけで出向いて確かめたいという気持ちが強くなった。
(公爵様を巻き込みたくはない。万が一、王子が何か企んでいるなら、わたしが直接それを聞き出してから報告すればいい)
そう決意し、ソフィアは伯爵家の侍女一人を付き人として連れ、夜陰に紛れて王宮の裏庭へと向かう。もちろん警戒は怠らず、万が一のためには伯爵家の護衛を門外に待機させていた。
礼拝堂の対峙:王子の憔悴と“聖女”の闇
王宮の裏庭にある礼拝堂――そこは簡素な石造りで、もともとは王族や近親者が密やかに祈りを捧げるための場所だったと聞く。夜の闇に沈むその建物は、静寂とともにどこか神秘的な雰囲気を漂わせていた。
灯りを頼りに扉を開けると、中ではエドワード王子が一人、長椅子に腰を下ろして待っている。いつもなら整えられているはずの衣装や髪型も乱れ、顔には疲労の色が濃い。
「……ソフィア……来てくれたのか。すまない、こんな時間に」
王子が弱々しい声で言う。かつては尊大な態度を取っていた彼が、今こうしてうなだれる姿は、あまりにも様変わりしている。
ソフィアは距離を保ちながら口を開く。
「一体、どうしたのですか? あなたが深夜にわたしを呼び出すなんて……。リリアナ様のことで相談と言っていましたね」
「……ああ。実は、リリアナの“聖女の力”が……いや、正確には“奇妙な動き”があるんだ。最近、彼女は何かを隠しているようで、ぼくの前でも以前のように振る舞わなくなった。先日の宴でも、ぼくに怒りをぶつけてきたのを見ただろう?」
ソフィアは黙って頷く。確かに、あの夜会の途中で二人が口論のようなものをしていたのを目撃した。
エドワードは苛立ちを覚えるように拳を握りしめ、唇を噛む。
「リリアナは“国の民を救うために聖女になった”と言うが、最近はどうも……優先するのは自分の名声ばかりで、救済の場面ではいつも“人目につく派手な奇跡”しかやりたがらない。まるで何か……裏があるようなんだ。それを問いただそうとすると、すぐに逆上して……」
ソフィアは複雑な思いで耳を傾ける。リリアナが“派手な奇跡”にこだわる姿勢は、先日の宴でも少し感じた。その裏に何らかの思惑があるのかもしれないが……ソフィアにとっては、だからといって王子に同情する理由にはならない。
「なるほど。では、わたしに何を求めるのですか? リリアナ様に直接問いただしてほしい、とか? そんなことができる立場ではありませんが」
冷ややかに返すソフィアに、エドワードは顔を歪める。
「そうだよな……。わかってる。だけど、ぼくは……どうしたらいいのか分からないんだ。リリアナがもし、本当に“聖女”じゃないのなら……」
「“聖女じゃない”……?」
その言葉に、ソフィアは瞳を見開く。先日の宴で見せた“癒やしの奇跡”はどう説明するのか――少なくとも、あれは本物の力に見えたが。
エドワードは一度うつむき、ため息混じりに言う。
「癒やしの術は、彼女が身につけた何らかの“特殊な魔術”の可能性もある。王宮の神官たちにも正式な調査をさせたが、リリアナは“神の啓示を受けた者”だと自称するのみで、いまだに“聖印”も確認できていないんだ。それが本当に神聖な力なのかどうかは、実のところ誰も確証を持てない状態で……」
“聖女”であるなら、必ず持っているはずの“聖印”――神から選ばれた証が刻まれるという伝承。しかし、リリアナにはそれが確認できないというのなら、確かに不自然だ。
ただし、この国の多くの人々は“目の前の奇跡”を見てしまえば、それが真実かどうか深く疑問を持たない。国王もまたリリアナの能力を重用しており、今さら「彼女は偽物かもしれない」と考えるのはリスクが大きすぎる。それゆえ、神官らは表立って何も言えないのだろう。
ソフィアは静かに問いかける。
「でも、わたしにできることはありません。そもそも、あなたがわたしの婚約を破棄してリリアナ様を選んだのではありませんか。それで今さら、『助けてくれ』と言われても……」
「分かってる。だから、これは“相談”というより“告白”だ。もしもリリアナが偽物だと判明し、彼女が王家にとって破滅的な存在になった場合、ぼくは……おそらくすべてを失うだろう。次期王位どころか、責任を問われて廃嫡される可能性だってある。でも、それでもかまわないとさえ思い始めている。……ただ、君だけには知っておいてほしかった」
エドワードは悲壮な決意を滲ませながら、ソフィアに視線を向ける。
「君が幸せになるなら、もうそれでいい。ぼくは本当に……君があの時、ぼくの元にいてくれていたことの意味を分かっていなかった。今さらだよな……。ごめん。すべてを取り戻せるとも思ってないし、君をもう一度求める資格なんかない。それでも、最後にこうやって話がしたかったんだ」
切実な後悔の吐露。かつてのエドワードなら想像もつかないほど、弱々しい姿だ。
だが、ソフィアの胸には、かえって冷たいものが広がる。もし本当にリリアナが偽物だったとして、王子が破滅の道を歩むとしたら――それは王子自身の選択の結果に過ぎない。彼女はもう“公爵家の婚約者”であり、王子のために何かする義務など微塵も持ち合わせていない。
ソフィアは淡々と言った。
「……今さら、そんな言葉を聞かされても困ります。わたしはもう、あなたを憎むことさえ止めました。あなたの行く末に興味はありませんし、リリアナ様が本物だろうが偽物だろうが関係ない。――ただ、公爵様や伯爵家に迷惑をかけようとするのなら、全力で排除させていただきます。それだけです」
「そっか……。そうだよな……」
王子は虚ろな笑みを浮かべ、再びうつむく。そこに、かつての“誇り高い王子”の面影はもはやない。
ソフィアは一度、深く息を吐いて踵を返す。このまま何も言わず立ち去ろうとした、そのとき――
礼拝堂の扉が乱暴に開け放たれ、金色の巻き髪を揺らしながらリリアナが現れた。まるで怒りを隠そうともしない形相で、二人を睨みつける。
リリアナの誤算:偽りの聖女が見せる本性
「……やっぱり。エドワードったら、こんな夜中にコソコソと出かけるから、何かあると思ったわ。まさかソフィア・エレナ様に会っていたなんて……」
リリアナは厳しい声音で吐き捨てる。その瞳には嫉妬とも焦りともつかない光が宿っているようだ。
エドワードが慌てて立ち上がり、リリアナに言い訳をしようとする。
「リリアナ……違うんだ、これは……」
「違わないわ。あなた、まだソフィアのことが名残惜しいの? せっかくわたしが“聖女の力”で王子の地位を盤石にしてあげようとしているのに、それを裏切るわけ?」
まるで取り乱すように声を荒げるリリアナ。そんな彼女の姿を目の当たりにしたソフィアは、思わず一歩引いてしまう。
(こんなに取り乱すなんて……。やはり、裏で何か隠している?)
リリアナはエドワードを睨んだまま、続ける。
「“仮に”わたしが本物の聖女じゃなかったとして、それがどうだというの? わたしには本当に癒やしの力があるし、こうして世間を味方につけることもできた。――結果がすべてなのよ。王家にとっては大切なのは“民衆が聖女を信じること”であって、“本物か偽物か”なんて二の次でしょう?」
その言い草は、まるで自分が“偽物”だと認めているかのようだが、リリアナに悪びれた様子はない。逆に開き直ったような強さが感じられる。
「リリアナ……!」
エドワードが青ざめた表情で彼女の言葉を遮ろうとするが、リリアナは止まらない。ソフィアを指さし、こう言い放つ。
「わたしはね、あの宴で“人を救う奇跡”を見せつけることで、王家や民衆から絶対的な支持を得た。これで地位は盤石だわ。あなたはソフィアを選ばず、わたしを選んだ。それで十分。――それなのに、この期に及んで未練があるなんて許せない。わたしが築き上げたものを、あなたが壊そうとしているのよ? あの子との過去を清算できないなら、いっそあなたを見捨てるわ」
恐ろしいほどの傲慢さ。それを目の当たりにしたエドワードは何も言い返せず、その場にうなだれるように立ち尽くす。
ソフィアは唖然としながらも、これは好機かもしれないと思う。リリアナが自分の口で“本物の聖女ではない”ことをほぼ認めるような発言をし、なおかつエドワードを見捨てると言っているのだ。
(この状況を知ったら、国王や神官たちはどう判断するだろう。リリアナ様が本当に“偽物”だと公になれば、王家は大スキャンダル……。でも、あの人はそれを恐れていないように見えるのはなぜ?)
すると、リリアナは不意にソフィアのほうを振り返る。ぎらついた視線が突き刺さるようだった。
「あなた、婚約破棄されたのに今度は“冷酷公爵”に取り入って、いい気になってるんでしょう? だけどね、王家を、そしてこの国を支配するのはわたしなの。偽りでも何でも構わない。力を使い続ける限り、みんなはわたしを崇めるわ。――もしあなたが、このわたしに歯向かうなら……神の名の下に、裁きを下すだけよ」
その瞳には狂気じみた光が宿っている。“聖女”という虚像に酔いしれ、自らの影響力を絶対視しているのだろう。
ソフィアは静かに震えながら言い返した。
「……どうぞ、ご自由に。わたしは公爵様と平穏に暮らしたいだけ。あなたを否定するつもりもありません。……ただし、もしあなたが公爵家やわたしの大切な人を傷つけようとするのなら、全力で戦います。それだけは、心に留めておいてくださいね」
リリアナはその言葉を聞いて、嘲笑するかのように鼻で笑った。
「へえ……ずいぶん強気じゃない。でも、あなたごときが何をどう頑張っても、この国を牛耳るのはわたし。エドワードがこの様じゃ、早々に切り捨てて、別の“有力者”を味方につけるのも手かもしれないわね。例えば……そう、国王陛下とか、第一王子様とか」
そう言い捨てると、リリアナは踵を返し、扉のほうへ向かう。床を打つハイヒールの音が礼拝堂の静寂に響き渡る。
ソフィアとエドワードは、その背中をただ見送るしかなかった。リリアナが去っていくと同時に、礼拝堂はまたしんとした空気に包まれる。
「……見たかい、ソフィア。あれが、いま王家を動かしているリリアナの本性だ」
エドワードが力なく呟く。その声にはもはや抵抗する意志が感じられない。
「ぼくがあの人を選んだのは事実だ。だけど、ここまで歪んだ野心を持っているとは気づかなかった……。ぼくは、なんて馬鹿だったんだろう……」
落胆に沈む王子を前に、ソフィアは冷たくも優しくもなれない。結局、王子が自分で選んだ道だ――今さら同情する気にもなれないし、非難する気力もない。
「……お話は分かりました。もう帰ります。わたしはあなたたちの内輪もめに首を突っ込むつもりはありませんから」
そう言い残し、ソフィアは礼拝堂を出た。夜風が肌を刺すように冷たい。まるで、これから待ち受ける不穏な未来を暗示しているかのようだった。
聖女への疑惑広がる:王宮での騒動
翌朝、ソフィアは一睡もできないまま、公爵邸の離れへ足を運んだ。実は、夜が明ける前に手短に事情をアレクシスへ打ち明けておいたのだ。――深夜に王宮へ出向き、エドワード王子やリリアナと鉢合わせしてしまったこと、その際にリリアナが“偽り”を示唆するような発言をしたこと……。
アレクシスはソフィアの無事を確かめて安堵すると同時に、眉間に深い皺を寄せていた。
「リリアナが偽者かもしれない――という話は、私の耳にも少しだけ届いていた。しかし、これほどまでに明確な証拠もなく、かといって真実を突き止める手立ても乏しい。王家に入り込み、“聖女の座”を得ている以上、下手に手を出せばこちらが逆に処罰される可能性もある……」
「……そうですよね。わたしもできることなら関わりたくありません。ただ、彼女が何か“大きなこと”をしでかしそうで……不安なんです。あの傲慢さを、王家が制御できるとは思えなくて」
ソフィアは正直な気持ちを打ち明ける。リリアナが単に“偽物”というだけなら、いずれボロが出るかもしれない。だが、彼女には“何かしらの力”があるのは事実で、それを“民衆の支持”という形で増幅させていけば、王家にも対抗できるほどの権力を手にするかもしれない。そうなれば、いかなる惨事が起きるか分からない。
そんな思いを抱えながら、アレクシスはソフィアの手をそっと握る。
「安心してください、ソフィア嬢。万が一にもリリアナが公爵家に危害を及ぼそうとするなら、私が全力で阻止します。幸い、この国では私の軍事的立場は無視できない。国王と衝突する可能性があるとしても、あなたを守るためならば、戦う覚悟がありますから」
「……公爵様……」
その決意を込めた眼差しに、ソフィアは深く胸を打たれる。――政略結婚で始まったはずが、今やこうしてアレクシスは自分のために何もかも捨てる覚悟を示そうとしている。かつての王子とはあまりに違う。
ソフィアはその手にぎゅっと力を込め、微笑む。
「ありがとうございます。わたしも、公爵様の邪魔にならないよう、強くありたいと思います。リリアナ様のことは、できるだけ迂闊に刺激しないようにしつつも……、何かあれば協力させてください」
こうして、二人はリリアナに対する警戒を強めながら、挙式の準備を続ける。
事件勃発:リリアナの暴走と“聖女の力”の正体
そんなある日、王宮を震撼させる事件が起こる。
国境付近で疫病が発生し、数百人規模の住民が苦しんでいるという知らせが王都へもたらされたのだ。これ自体は珍しいことではないが、今回は病の進行が早く、短期間で多くの命が危険にさらされているという。
当然、王宮は対応に追われる。医師や薬師、神官たちを派遣しようとするが、そこへリリアナが名乗りを上げた。
「わたくしにお任せください。神の力で、病に苦しむ民を救ってみせますわ」
国王はもちろん喜ぶ。これこそ“聖女リリアナ”の見せ場だ。民衆も期待するだろう。こうして彼女の評価はさらに高まり、王家の支持も揺るぎないものとなる――そんな展開を思い描いていたに違いない。
ところが、現地へ向かったリリアナが数日後に王都へ戻ってくるや否や、事態は急変する。
なんと、疫病の被害はほとんど変わらず、リリアナは「治療の効果がなかった。これは神の試練が深すぎるのだ」と言い放ち、手を引いてしまったのだ。さらに悪いことに、リリアナの同行者の一部が謎の高熱に倒れ、王都へ運び込まれるという二次被害まで発生している。
(どういうこと……?)
この報せを聞いたソフィアは、強い胸騒ぎを覚えた。リリアナが本当に“聖女の力”を持っているなら、ある程度の効果はあったはず。なのに、完敗に終わったばかりか二次被害まで出している。そのうえ、現地の医師たちの報告によれば、「リリアナの“治療”は一部の患者にだけ行われ、他の多くの病人は見捨てられた」というのだ。
こうして、王都の一部では“リリアナは偽物なのではないか”という噂が再燃し始める。エドワード王子も面目を失い、国王もリリアナに不信感を抱き始めた様子だ。
怒り狂ったリリアナは、「そもそも病の原因が深い呪いにあるのだ」とか、「自分を試すような不敬な態度を取ったから神罰が下ったのだ」とか、責任逃れの言葉を並べているらしい。
(やはり……リリアナは完全に“自身の名声を高める目的”でしか行動していない。これでは民衆を救うどころか、混乱を招くだけだわ)
アレクシスによれば、王宮内では既にリリアナへの批判が高まっていて、国王もどう処理すべきか苦慮しているという。下手にリリアナが“偽物”だと公になると、王家の威厳が失墜する。しかし、現状のまま放置しておけば、さらに混乱が拡大しそうだ……。
(このままでは国が乱れるわ。いったい誰が止められるの? 国王も神官も頼りにならない。王子も動こうとしない……)
リリアナの最後の賭け:エドワード王子への裏切り
混乱が深まる中、リリアナは最終手段に出る。
――なんと、第一王子のもとへ乗り込み、自らの力を捧げると宣言したのだ。
第一王子は病弱で、現時点では王位継承は絶望視されている。しかし、そこへリリアナが“神の奇跡”を施せば、病が完治して“正当な継承者”となる可能性がある――そう謳って、人々の同情と支持を集めようというのである。
「エドワード王子がだめなら、第一王子を支配すればいい」。
まさにリリアナの傲慢かつ冷酷な思惑が見え隠れする。エドワードは当然激怒するが、リリアナは「わたしは“真に国を救う者”を選ぶ。あなたが神の試練を乗り越えられないなら、用済みよ」と突き放す。
こうして、宮廷内にはリリアナを巡る権力闘争の火種が再燃する。国王はリリアナの“偽りの可能性”を拭いきれないまま、しかし第一王子が本当に回復すれば、それはそれで王家としては悪くない選択肢――そんな損得勘定を巡らせたのだろう。
やがて決まったのは、「第一王子の治療の場を、王宮正殿にて公開する」という前代未聞の儀式だった。神官たちを多数集め、貴族や軍関係者まで列席させる大掛かりな場で、リリアナが“王位を担う可能性のある者”を奇跡の力で救う――そうして、彼女の正当性を国中に示すつもりなのだ。
この知らせを受けたアレクシスは、警鐘を鳴らすようにソフィアに告げる。
「リリアナが“最後の賭け”に出た。そこで成功すれば、もはや誰も彼女を疑えなくなるだろう。逆に失敗すれば、“偽り”が明るみに出るどころか、王家内の混乱が頂点に達する可能性がある……」
ソフィアも危機感を募らせる。リリアナが“奇跡”を起こせるかどうか――そんなもの、ソフィアには分からない。しかし、万が一にも上手くいってしまえば、彼女は王家を完全に掌握するだろう。
(こんな形で国が翻弄されるなんて……わたしには止める力がない。だけど、公爵様の立場を危うくするわけにもいかないし……)
決着の場:公開治療儀式と“真の破綻”
そして迎えた、第一王子の公開治療の儀式当日。
王宮の正殿は、貴族や重臣、それに呼び寄せられた神官たちで埋め尽くされていた。ソフィアとアレクシスも“公爵夫妻(まだ正式には結婚前だが)”として列席し、その様子を見守る立場にある。
中央には病弱な第一王子が寝台に横たわり、リリアナは“聖女の衣装”を身にまとって立っている。周囲の神官が神聖な音楽を奏でる中、リリアナは恍惚とした表情を浮かべ、治癒の術を施す。
はたして数分後――第一王子がゆっくりと起き上がり、まるで健康体のように輝きを取り戻しているように見えた。会場は「おお……!」という驚嘆の声に包まれ、国王は「リリアナよ、見事だ!」と大声で賞賛する。
だが……ソフィアは直感する。「何かがおかしい」。
――王子の顔色は確かに良くなったように見えるが、その瞳はどこか虚ろだ。歩き始めた動きもどこかぎこちない。まるで人形を操っているかのような、不自然な挙動がある。
すると、隣で見守っていたアレクシスが小声で囁く。
「これは……催眠か、ある種の幻惑魔術かもしれない。リリアナがあらかじめ用意した薬剤か魔法で、一時的に王子を“元気に見せている”だけの可能性が高い」
「そんな……でも、まわりはみんな、本当に治ったと信じているわ。リリアナ様の手柄になる……」
焦るソフィア。そのときだった。
第一王子が急に胸を押さえ、苦しそうにうめき声を上げる。次の瞬間、その体がぐらりと揺れ、寝台に倒れ込んでしまった。会場が騒然とする。
「王子様!」「どうされたのですか!?」
神官たちが慌てふためき、リリアナに治療を促すが、リリアナ自身はその場で青ざめ、動揺を隠しきれない様子。何度か呪文めいた言葉を呟くが、一向に効果は現れない。むしろ王子の容体は悪化しているようで、顔が真っ青になり、痙攣を起こしている。
やがて、宰相が駆け寄り、医師や神官が王子に応急処置を施すが、はかばかしい結果にはならない。国王は取り乱し、リリアナを怒鳴りつける。
「どういうことだ! “お前が治す”と言ったのではなかったのか!? もし王子になにかあれば、お前を許さぬぞ!」
「そ、そんな……わ、わたくしの力が……どうして、効かないの……?」
リリアナの瞳が怯えに染まる。これまで舞台の上で絶対的な自信を誇っていた彼女が、ついに破綻を迎えつつある。
この絶望的な状況を前に、エドワード王子が一歩前へ進む。彼も顔は青ざめているが、意を決したように叫ぶ。
「みんな、聞いてくれ! ぼくはリリアナが“本物の聖女”かどうか疑っていた……。彼女には確かに癒やしの術があるが、それは神の奇跡ではなく、魔術に類するものかもしれない。今も、王子を一時的に幻惑して“回復したように見せた”だけなんだ……!」
その告白に、会場はさらに混乱する。リリアナは必死にエドワードを罵倒するが、もはや状況は明らかだ。“聖女の奇跡”によって病が完治するどころか、王子の容体が急激に悪化した。それは紛れもなく“失敗”の事実であり、人々の目にさらされた形となる。
(終わった……あの人は、ここで終わりなのだわ)
ソフィアは震える思いで、その光景を見つめる。リリアナは国王から叱責され、神官たちからも「やはり“聖印”が確認できなかったのはおかしい」と詰め寄られ、逃げ場を失っている。
さらに追い打ちをかけるように、アレクシスが静かに前に出て、国王に頭を下げて提案する。
「陛下、もしよろしければ、私が今手配できる優秀な医師や学者を総動員し、王子様の治療に当たらせましょう。リリアナ殿は……これ以上、王子様に近づくべきではないかと」
王子の命がかかっている以上、国王もリリアナに関わらせるわけにはいかない。事実上、リリアナは“偽りの聖女”として排除される形になるだろう。
リリアナは憤怒と屈辱に身を震わせながら、取り乱すように喚く。
「ち、違うのよ! わたしは……わたしは聖女なの! こんなはずじゃ……!」
だが、誰も彼女の言葉を信じようとはしない。エドワードさえも一瞥をくれるのみだ。まさに“ざまあ”としか言いようのない光景が、そこにあった。
ざまあの結末:王子の後悔と、ソフィアの安寧
王子は幸い一命をとりとめたものの、しばらく意識不明の状態が続いた。第一王子の治療はアレクシスが手配した医師団が懸命に当たり、時間はかかるものの回復の見込みがあるという。
リリアナは“偽りの聖女”として王宮を追われ、町中からも非難を浴びる。いまだに「彼女に助けられた」という者もいるが、それは“軽い症状”だけを選んで治したからに過ぎず、根本的な力は持っていなかった――という真実が広まるのも時間の問題だ。国王の怒りは凄まじく、彼女を国外追放にするか、あるいは厳重に軟禁するか、いずれにせよ“破滅”を避けられないだろう。
エドワード王子は、リリアナとの関係が破綻したことに加えて、第一王子が回復したあかつきには“次期王”の座から遠ざけられる可能性が高いと言われている。元々、第一王子の体調如何で決まるとされていた継承権が、ここにきて急浮上したわけだ。
皮肉なことに、これでソフィアの婚約破棄は“結果的に良かった”との評価が強まっている。貴族社会では、「王子と偽聖女に巻き込まれずに済んで本当によかった」という声さえ聞こえるほどだ。
そして、ソフィア自身は――
アレクシスと無事に挙式を迎え、“ヴァルフォード公爵夫人”として新たな人生を歩み始める。元々、国王の意向で急ぎの式だったが、リリアナ事件の混乱で逆に延期になりかけたところを、アレクシスがきっぱりと王宮から独立する形を取ってスケジュールを死守。余計な口出しをさせないようにし、結局は予定どおりに執り行われる運びとなった。
挙式当日、華やかに飾られた公爵邸には、多くの貴族や関係者が駆けつける。ソフィアは純白のドレスをまとい、アレクシスの手を取りながら、誓いの言葉を交わす。
(ああ、わたしは本当に、この人と結ばれるのだ……)
かつての屈辱、王子に捨てられた痛みはもう遠い記憶となり、この瞬間の幸せがすべてを包み込んでいる。アレクシスの瞳は優しく、静かにソフィアを見つめている。
新郎新婦への祝福が絶え間なく降り注ぐ中、ソフィアはふと、遠巻きにこちらを見ている人物の存在に気づく。――エドワード王子だった。
事件後の混乱で、彼は事実上王宮の奥に閉じこもっていたが、今日は“客人”として挙式に呼ばれている。もっとも、この場にいる誰もが彼を歓迎しているわけではないだろう。
エドワードは、かつてのプライドはとうに失せたのか、申し訳なさそうに視線を下げる。そして、小さく頭を下げ、消えるように立ち去っていく。その姿に、ソフィアは何の感慨も抱かない。むしろ「あれでいいのだわ」とさえ思う。
(もう、あなたはわたしの人生に関係ない。あの偽りの聖女とともに消えていく運命なら、それも仕方ないでしょう)
盛大な拍手が響き渡り、アレクシスがソフィアに囁く。
「……大丈夫ですか? あの男の姿を見ても、何も思わない?」
「ええ、平気です。なぜなら、わたしにはあなたがいるから」
ソフィアが微笑むと、アレクシスは穏やかに頷き、彼女の手を再びしっかりと握りしめる。
――こうして、“政略結婚”として始まったはずの二人の物語は、本当の意味での“愛の結晶”へと昇華していく。
王子と偽聖女は破滅し、ソフィアは公爵夫人として豊かで穏やかな未来を得る。
かつての婚約破棄を経た苦悩すら、今となっては「この幸せを味わうために必要な試練だったのかもしれない」と思えるほど、ソフィアの心は満たされていた。
これこそが、ソフィアにとっての“ざまあ”――あのとき自分を捨てた王子たちは破滅の道を行き、ソフィアは愛する人とともに幸せな日々を手に入れる。
そして、横暴かつ高慢な“偽聖女”の栄華は、儚くも散り去った。
花嫁姿のソフィアと、漆黒の礼服に身を包んだアレクシスが並ぶ様子は、誰の目にも美しいと映る。ふと、アレクシスがささやく。
「あなたを妻に迎えられて、幸せです。――もう政略ではなく、私の心からの望みとして、これからの人生を共に歩んでください」
「はい……喜んで。わたしも、あなたを愛しています、アレクシス様」
その愛の言葉は、かつての偽りの結婚などとは違う、真実の響きを持っていた。
ソフィアは心の中で、改めて王子との悲しき思い出を葬り去り、今生きる“幸福”を噛みしめる。
(もう、何も恐れることはないわ。これからは、公爵様と一緒に、わたしの意志で生きていくんだもの……)
祝福の鐘が鳴り響く中、ソフィアとアレクシスは人々の前で口づけを交わす。大きな拍手と歓声が広がり、花びらが降り注ぐ。そこには、誰もが認める“幸せな夫婦”の姿があった。
――こうして、政略結婚から始まったソフィアの物語は、最高の“ざまあ”を経て、最高の“溺愛”へと収束を迎えたのである。
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◆
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