『働いたら負けだと思ったので、何もしなかったら勝手に勝ちました』

王太子から一方的に婚約を破棄された公爵令嬢、
ファワーリス・シグナス。

理由は単純。
「何もしようとしない女だから」。

……だが彼女は、反論もしなければ、復讐もしない。
泣き叫ぶことも、見返そうと努力することもなく、
ただ静かに言う。

――「何をする必要が?」

彼女は何もしない。
問題が起きれば専門家が対処すべきであり、
素人が善意で口出しする方が、かえって傷口を広げると知っているから。

婚約破棄の後、
周囲は勝手に騒ぎ、勝手に動き、勝手に自滅し、
勝手に問題を解決していく。

彼女がしたことは、
・責任を引き受けない
・期待に応えない
・象徴にならない
・巻き込まれない

――ただそれだけ。

それでも世界は、
彼女を基準にし、
彼女を利用しようとし、
最後には「選ぼう」とする。

だがファワーリスは、
そのすべてを静かに拒み続ける。

働いたら負け。
何もしないのが勝ち。

何も背負わず、何も奪わず、何も失わない。
「何もしない」という選択を貫いた令嬢が手にしたのは、
誰にも邪魔されない、完全な自由だった。

これは、
戦わず、争わず、努力もせず、
それでも最後に“勝ってしまった”
一人の令嬢の、静かなざまぁ物語。
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