『勇者パーティーを追放されたが、俺のスキルは“通常の3倍”強かった』

霧島

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第4章3節 王国の英雄、そして伝説へ

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第4章3節 王国の英雄、そして伝説へ

王城の謁見の間。
荘厳なステンドグラスから差し込む光が、床の赤絨毯に神聖な模様を描いていた。
ユウマたち《ルミナス・ウィング》は、王の前にひざまずき、次の任務の通達を待っている。

「先日の瘴気竜討伐、見事であった。」
王の声は威厳に満ちていた。
「その功績により、そなたたちは国王直属の特務討伐隊として登録される。」

その言葉に、リアナ、ティアナ、ミュリエル――そしてユウマが息を呑む。
国直属の特務隊とは、王国最上位の冒険者部隊。
魔王討伐や国家機密任務など、一般ギルドを超えた次元の活動を担う者たち。

「そなたらの任務は、北方の廃都《ネクロス》に発生した瘴気源の調査である。先の瘴気竜討伐は、どうやら序章にすぎなかったようだ。」

リアナが一歩進み出る。
「陛下、それは……瘴気竜よりも強力な存在が関与していると?」
「うむ。王立魔導研究院の調査では、“瘴気の根”と呼ばれる魔導生命体が確認された。放置すれば、王都に瘴気が流れ込み、民が滅びるであろう。」

ティアナが険しい表情を見せた。
「つまり……あの竜は、この“瘴気の根”に操られていた……?」
「その可能性が高い。」

王の声が重く響く。
そして、その視線がユウマに向けられた。

「ユウマ・クレスト。」
ユウマは一歩前に出て、膝をついた。
「はい。」
「そなたの補助スキル“パワーブースター”は、仲間全員の力を三倍に高めるという。もはや神話級の力だ。――そなたなくして、この任務は成り立たぬ。」

ユウマは深く頭を下げる。
「この命、仲間とともに使い切る覚悟です。」
「よい。王国の命運、そなたらに託す。」

その瞬間、王の背後のステンドグラスに朝の光が差し込み、ユウマたちの影が長く伸びた。
まるで天が、彼らを選んだかのように。


---

王城を出た後。
四人は風の通る中庭に立っていた。
リアナが息をつき、空を見上げる。
「……こうして正式に王直属の任務を任されるなんて、夢みたいね。」
「ほんとにね」ティアナが笑う。
「最初はただのAランクパーティーだったのに、今じゃ王国の命運を託されてる。」
ミュリエルが微笑んだ。
「でも、私たちがここまで来られたのは、ユウマのおかげよ。」

ユウマは首を振った。
「みんながいたからです。僕ひとりじゃ何もできません。」

リアナが少し笑って言う。
「相変わらず謙虚ね。でもね、私たちは知ってるのよ。あなたの力がなければ、誰一人ここに立てなかった。」

彼女の瞳はまっすぐで、そこに偽りはなかった。
ユウマの胸に温かいものがこみ上げる。

ティアナが冗談めかして言う。
「でも、ユウマ。今度の任務、かなり危険よ? もし無事に帰ってきたら、何かお願いしていい?」
「お願い?」
「うん。例えば……王都で一番高いレストランでディナー!」
「ティアナ!」ミュリエルが苦笑する。
「もう、そういう話は後でって決めたじゃない。」
「だって縁起かつぎよ。ちゃんと生きて帰るための約束!」

リアナが笑いながら頷く。
「そうね。じゃあ、みんなで約束しましょう。絶対に全員で帰ってくる。」
ユウマも笑顔で頷いた。
「はい。みんなで、必ず。」

四人の拳が静かに重なる。
その瞬間、風が吹き抜け、花びらが舞った。


---

翌朝、王都北門。
朝霧が立ち込める中、ユウマたちは馬車に荷を積み込み、旅支度を整えていた。
出発を見送る人々の列ができ、子どもたちが花を投げる。

「ユウマさん、頑張ってください!」
「リアナ様、剣技見ました! かっこよかった!」
「ティアナさん、炎の魔法また見たいー!」

ミュリエルが優しく手を振り、ティアナは照れながら笑った。
ユウマは一人一人に「ありがとう」と言葉を返しながら、ふと人混みの中にひとつの影を見る。

それは――
かつての勇者、レオンだった。

みすぼらしい外套に身を包み、柱の陰からじっと彼らを見つめている。
誰も気づかない。
ただ、ユウマだけがその視線に気づいた。

ユウマは馬車に乗り込む前、そっと会釈した。
レオンは一瞬、驚いたように目を見開く。
だが、すぐに顔を背けた。

その表情は、悔しさでも、怒りでもなく――
ただ、何かを失った男の静かな諦めだった。

ユウマは小さく呟いた。
「……ありがとう。あなたがいなければ、僕はここにいない。」

誰にも聞こえない声だったが、風だけがその言葉を運んでいった。


---

馬車が動き出す。
リアナが空を見上げる。
「いい天気ね。きっと旅立ち日和よ。」
ティアナが笑う。
「また大きな伝説を作りましょうか、私たちの名前で!」
ミュリエルが頷く。
「そうね。今度は“英雄譚”じゃなく、“仲間の物語”として。」

ユウマは空を見上げながら微笑んだ。
(俺はもう、荷物持ちじゃない。みんなの力をつなぐ仲間だ。)

太陽が昇り、王都の塔が金色に輝く。
馬車が遠ざかるにつれ、人々の歓声が風に溶けていった。

それは新たな伝説の始まりの音だった。


---

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