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第4章2節 勇者パーティーの崩壊と新たな伝説の始まり
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第4章2節 勇者パーティーの崩壊と新たな伝説の始まり
ギルドでの騒動から数日後。
勇者レオンの名は、もう誰も称えることがなくなっていた。
かつて冒険者たちの憧れだったその名は、今や失敗と傲慢の代名詞として語られている。
「聞いたか? 勇者レオン、借金まみれだってさ」
「仲間が次々に抜けたらしい。もうパーティーとして機能してねぇ」
「神殿の加護も失ったって噂だ。完全に終わりだな」
そんな噂話を背中で聞きながら、レオンはギルドの片隅のテーブルに沈んでいた。
手の中には、かつて王から授与された金の紋章――“勇者の証”。
だが、もう輝きは失われ、曇った鉄片のように鈍く光っている。
「……おい、レオン。王城からの使者が来てるぞ。」
声をかけてきたのは元僧侶ルナ。
その顔には、疲れと後悔が滲んでいた。
「王城の使者? まさか……また討伐命令か?」
「違う。勇者の称号、正式に剥奪だって。」
レオンの肩がぴくりと震えた。
「ふざけるな……! 俺がどれだけ戦ってきたと思ってる!」
「もう誰も信じてくれないのよ。証拠も成果もない。最近じゃ、あんたの名前を聞くだけで依頼主が逃げるって。」
ルナは静かに席を立つ。
「ごめんね、レオン。私、もう限界。別の町でやり直すわ。」
「おい、待て、ルナ! 俺を見捨てるのか!?」
「最初に見捨てたのは、あなただよ。」
その一言を残し、ルナは振り返らなかった。
テーブルに残されたのは、ひび割れた魔石と、空のジョッキだけ。
レオンは拳を握り、震える声で呟いた。
「……俺は間違ってねぇ。間違ってるのは、世界のほうだ……!」
---
一方その頃、王都の中心――王城の大広間では、
新たな英雄たちの凱旋式が行われていた。
「瘴気竜を討伐し、王都を脅かす災厄を取り除いた者たちに、国を代表して感謝を述べる。」
壇上に立つ王の声が響く。
玉座の前に並ぶのは、《ルミナス・ウィング》の四人。
白銀の鎧に身を包んだリアナ、杖を掲げるティアナ、微笑むミュリエル、そして控えめに立つユウマ。
「あなたたちは、もはや王国最高位の冒険者として認められる。今日より、S++ランクパーティーとして正式登録する。」
会場がどよめく。
S++ランク――それは歴史上、王直属の英雄クラスにしか与えられなかった称号。
ギルドマスターでさえ、誇らしげに頷いた。
「それと……ユウマ・クレスト。」
王が名を呼ぶ。
ユウマは驚き、膝をついた。
「そなたは“勇者補佐”の称号を授けられる。かつて勇者が国を救ったように、そなたも仲間を導き、勝利へ導いた。」
「もったいなきお言葉です、陛下。」
頭を下げるユウマに、リアナたちは微笑む。
ティアナが小声で囁く。
「ねぇ、今の王の言葉、聞いた? “かつて勇者が”って……つまり、もう勇者は過去形よ。」
「皮肉ね」ミュリエルが笑う。
「本当の勇者は、もう別の場所にいるのにね。」
---
その夜。
王都の広場では祝宴が開かれ、屋台の灯がきらめいていた。
人々が踊り、歌い、ユウマたちの名を称える。
「ユウマさん! 握手してください!」
「ミュリエル様、奇跡の癒しを見せてください!」
「リアナさん、剣技教えて!」
ユウマは照れくさそうに笑いながらも、誰の声にも丁寧に応えた。
――その優しさが、彼を本当の英雄たらしめていた。
「……すごい人気ね、ユウマ。」
リアナが隣で笑う。
「昔のギルドじゃ、誰にも見向きされなかったのに。」
「はい。でも、今こうして笑っていられるのは、リアナさんたちのおかげです。」
「違うわ。私たちが強くなれたのは、あなたがいてくれたから。」
ユウマは少しだけ遠くを見つめた。
人々の歓声の向こう、暗い路地に、かつての仲間の影を見た気がした。
---
一方、同じ夜。
その路地裏で、酒にまみれたレオンが壁にもたれていた。
手には破れたギルド免許。
目は虚ろで、かつての自信はどこにもない。
「ユウマ……貴様……俺から全部奪いやがって……」
そう呟いた瞬間、横の店から聞こえてくる笑い声が耳を刺した。
「今日の式、最高だったな! 新しい英雄様の登場だ!」
「勇者レオン? 誰だっけ? ああ、昔の人か!」
「はははっ!」
レオンは歯を食いしばり、拳を握る。
「ふざけるな……俺が本物の勇者だ……俺が……」
だが、もうその声に誰も振り向かない。
道の明かりが、彼の影をゆっくりと飲み込んでいった。
---
翌朝。
ギルド本部の掲示板に、二つの報告が並んだ。
> 【S++ランク《ルミナス・ウィング》:王国英雄として正式登録】
【勇者レオン・クロウ:勇者称号剥奪および登録抹消処分】
同じ場所に並んだ、二つの名。
片や未来を照らす光、片や過去に消える影。
受付嬢が静かに呟いた。
「世の中、努力だけじゃないのね……人を大切にできるかどうか、それがすべてだったのかもしれない。」
ユウマがギルドに現れ、報告書を提出する。
「おはようございます。報告書をお願いします。」
「はいっ、ユウマさん! 本日もお疲れさまです!」
受付嬢の笑顔はまぶしかった。
その後ろでは、レオンが破れた外套を引きずりながら去っていく。
誰も彼に気づかない。
それでも、ユウマはその背に向けて、小さく頭を下げた。
「さようなら、レオンさん。」
彼の声は静かで、風に溶けて消えた。
もう、過去に縛られることはない。
その瞬間、真の英雄譚が――始まった。
---
ギルドでの騒動から数日後。
勇者レオンの名は、もう誰も称えることがなくなっていた。
かつて冒険者たちの憧れだったその名は、今や失敗と傲慢の代名詞として語られている。
「聞いたか? 勇者レオン、借金まみれだってさ」
「仲間が次々に抜けたらしい。もうパーティーとして機能してねぇ」
「神殿の加護も失ったって噂だ。完全に終わりだな」
そんな噂話を背中で聞きながら、レオンはギルドの片隅のテーブルに沈んでいた。
手の中には、かつて王から授与された金の紋章――“勇者の証”。
だが、もう輝きは失われ、曇った鉄片のように鈍く光っている。
「……おい、レオン。王城からの使者が来てるぞ。」
声をかけてきたのは元僧侶ルナ。
その顔には、疲れと後悔が滲んでいた。
「王城の使者? まさか……また討伐命令か?」
「違う。勇者の称号、正式に剥奪だって。」
レオンの肩がぴくりと震えた。
「ふざけるな……! 俺がどれだけ戦ってきたと思ってる!」
「もう誰も信じてくれないのよ。証拠も成果もない。最近じゃ、あんたの名前を聞くだけで依頼主が逃げるって。」
ルナは静かに席を立つ。
「ごめんね、レオン。私、もう限界。別の町でやり直すわ。」
「おい、待て、ルナ! 俺を見捨てるのか!?」
「最初に見捨てたのは、あなただよ。」
その一言を残し、ルナは振り返らなかった。
テーブルに残されたのは、ひび割れた魔石と、空のジョッキだけ。
レオンは拳を握り、震える声で呟いた。
「……俺は間違ってねぇ。間違ってるのは、世界のほうだ……!」
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一方その頃、王都の中心――王城の大広間では、
新たな英雄たちの凱旋式が行われていた。
「瘴気竜を討伐し、王都を脅かす災厄を取り除いた者たちに、国を代表して感謝を述べる。」
壇上に立つ王の声が響く。
玉座の前に並ぶのは、《ルミナス・ウィング》の四人。
白銀の鎧に身を包んだリアナ、杖を掲げるティアナ、微笑むミュリエル、そして控えめに立つユウマ。
「あなたたちは、もはや王国最高位の冒険者として認められる。今日より、S++ランクパーティーとして正式登録する。」
会場がどよめく。
S++ランク――それは歴史上、王直属の英雄クラスにしか与えられなかった称号。
ギルドマスターでさえ、誇らしげに頷いた。
「それと……ユウマ・クレスト。」
王が名を呼ぶ。
ユウマは驚き、膝をついた。
「そなたは“勇者補佐”の称号を授けられる。かつて勇者が国を救ったように、そなたも仲間を導き、勝利へ導いた。」
「もったいなきお言葉です、陛下。」
頭を下げるユウマに、リアナたちは微笑む。
ティアナが小声で囁く。
「ねぇ、今の王の言葉、聞いた? “かつて勇者が”って……つまり、もう勇者は過去形よ。」
「皮肉ね」ミュリエルが笑う。
「本当の勇者は、もう別の場所にいるのにね。」
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その夜。
王都の広場では祝宴が開かれ、屋台の灯がきらめいていた。
人々が踊り、歌い、ユウマたちの名を称える。
「ユウマさん! 握手してください!」
「ミュリエル様、奇跡の癒しを見せてください!」
「リアナさん、剣技教えて!」
ユウマは照れくさそうに笑いながらも、誰の声にも丁寧に応えた。
――その優しさが、彼を本当の英雄たらしめていた。
「……すごい人気ね、ユウマ。」
リアナが隣で笑う。
「昔のギルドじゃ、誰にも見向きされなかったのに。」
「はい。でも、今こうして笑っていられるのは、リアナさんたちのおかげです。」
「違うわ。私たちが強くなれたのは、あなたがいてくれたから。」
ユウマは少しだけ遠くを見つめた。
人々の歓声の向こう、暗い路地に、かつての仲間の影を見た気がした。
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一方、同じ夜。
その路地裏で、酒にまみれたレオンが壁にもたれていた。
手には破れたギルド免許。
目は虚ろで、かつての自信はどこにもない。
「ユウマ……貴様……俺から全部奪いやがって……」
そう呟いた瞬間、横の店から聞こえてくる笑い声が耳を刺した。
「今日の式、最高だったな! 新しい英雄様の登場だ!」
「勇者レオン? 誰だっけ? ああ、昔の人か!」
「はははっ!」
レオンは歯を食いしばり、拳を握る。
「ふざけるな……俺が本物の勇者だ……俺が……」
だが、もうその声に誰も振り向かない。
道の明かりが、彼の影をゆっくりと飲み込んでいった。
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翌朝。
ギルド本部の掲示板に、二つの報告が並んだ。
> 【S++ランク《ルミナス・ウィング》:王国英雄として正式登録】
【勇者レオン・クロウ:勇者称号剥奪および登録抹消処分】
同じ場所に並んだ、二つの名。
片や未来を照らす光、片や過去に消える影。
受付嬢が静かに呟いた。
「世の中、努力だけじゃないのね……人を大切にできるかどうか、それがすべてだったのかもしれない。」
ユウマがギルドに現れ、報告書を提出する。
「おはようございます。報告書をお願いします。」
「はいっ、ユウマさん! 本日もお疲れさまです!」
受付嬢の笑顔はまぶしかった。
その後ろでは、レオンが破れた外套を引きずりながら去っていく。
誰も彼に気づかない。
それでも、ユウマはその背に向けて、小さく頭を下げた。
「さようなら、レオンさん。」
彼の声は静かで、風に溶けて消えた。
もう、過去に縛られることはない。
その瞬間、真の英雄譚が――始まった。
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