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第1部
*番外編・第4.5話:愛よ、確かに ※BL
しおりを挟む榊原 時雨「…来斗呼んでるから、これでお別れだね。永遠にバイバイ!」
……って!!
いつのまにかこんな大胆なことを…やっぱり来斗のことになると、ついつい我を忘れてしまう。
僕の悪い癖だな…。
***
~時雨の場合~
ーその日の帰り
僕はいつも通り、テニス部まで来斗を迎えに来ていた。
これは毎日の日課で…っていうか、僕が来斗と一緒に帰りたいがために、わざと学校に残ってるんだけど…。
フェンスをのぞき見ると、さっきの小日向っていう女の連れの腐女子がいた。
くそ、イライラする…
暁 有紗「ねえ、一ノ瀬くん!」
一ノ瀬 来斗「え、なに?」
暁 有紗「正直言って、白乃のこと…小日向さんのこと、どう思う??」
一ノ瀬 来斗「俺には時雨がいるし…」
暁 有紗「そっかー…、そうだよね!ごめんごめん、こんなこと聞いて」
しかもよりによって、話の話題は 小日向のことだし…。
あの連れの女は腐女子じゃなかったのか?
腐女子なら腐女子らしく、僕らのこと応援しろよ!!
まあ、でもとりあえずここは、いつも通り猫かぶって来斗を呼ぶか…
榊原 時雨「らいとぉ~!
迎えに来たよー!!」
作り笑顔をして…
暁 有紗「あ、一ノ瀬くんの嫁来たよ」
一ノ瀬 来斗「嫁じゃねーよ!!
とりま、お先に帰らせていただきます」
***
そして、校門前でしばらく待っていると、耳に馴染んだ足音が聞こえてくる。
そう、来斗が来たんだ!
一ノ瀬 来斗「ごめん、待った?」
榊原 時雨「いや、待ってないよ」
一ノ瀬 来斗「待ったんでしょ?」
榊原 時雨「待ってないって」
ちょっと待って!!
何このコント的な展開…苦笑。
一ノ瀬 来斗「さ、帰るか」
榊原 時雨「うん!」
来斗から、部活で流した汗の匂いが若干する。
世間一般的には、臭い…とか思うかもしれないけど。
僕は違う。
来斗が部活で頑張って流した汗はとても良い匂いがして、好きだ。
榊原 時雨「来斗、今日も部活お疲れ様!」
一ノ瀬 来斗「なんだよ~、いきなり改まって。ま、こっちこそいつもありがとな!」
爽やかな笑顔で、そんな言葉が返された。
やばい、イケメン…
大好き過ぎて…もう耐えられない!
一ノ瀬 来斗「おい、時雨」
榊原 時雨「え、なに?」
なぜか恥ずかしくなって、来斗と目を合わせられなかった僕は、呼ばれたので仕方なく彼の方を向いて…
榊原 時雨「!?!?」
突然、来斗が僕の唇を奪って…さらに、舌を入れて濃密なのをしてきた!!
こんな公衆の面前で!!!
榊原 時雨「ふっ、はっ、あっ……」
僕がこんなふうに、もがくとさらに来斗はヌルヌルと舌を絡ませ、いじめてきた。
そして、キスが終わると…
一ノ瀬 来斗「顔、真っ赤。」
こんなことを言ってきた。
榊原 時雨「え、う、嘘!?!?」
一ノ瀬 来斗「ホント。
あと、そんな可愛い表情見せられたら、俺だってもう我慢が出来なくなる…辛いんだぞ!我慢するのも」
来斗も僕とおんなじことを我慢していたなんて…
じゃあ、少し甘えてもいいかな…?
榊原 時雨「あのね、来斗……」
でもやっぱり、言ったら…
嫌われてしまうかな…?
ただでさえ今日、彼女たちの前で大胆発言しまくって、恥ずかしそうにしてたのに…
一ノ瀬 来斗「今日、一緒にやろう。俺、やりたい!」
え…?
嘘嘘嘘でしょ!?!?
来斗からそんなことを言うなんて…
でも、その言葉に甘えようかな?
榊原 時雨「うん、僕もやりたい…」
顔が火照って暑い…
そんな状態で、頷いた。
そして、2人で手を繋ぎ一緒に帰った。
榊原 時雨(今日は嫌なこといっぱいあったけど、それ以上に良いこといっぱいあって、幸せ!!)
~時雨の場合~ 終
ーーーーーーーーーーーーーーー
~来斗の場合~
時雨があんなに大胆発言をするとは…思ってもみなかった。
榊原 時雨「…来斗呼んでるから、これでお別れだね。永遠にバイバイ!」
俺はその時。
引いたのではなくて…
むしろ嬉しかった。
あんなに俺のことを思ってくれていたなんて…
先輩「おい、一ノ瀬。練習に集中しろ!」
一ノ瀬 来斗「は、はぃ!すみません!!」
そうだ、今は部活中。
しっかり練習に集中しないと…
***
ー片付けの時間
1人の女の子が、俺のそばに近寄ってきた。
女子生徒「ねえ、一ノ瀬くん!」
一ノ瀬 来斗「え、なに?」
たしか名前は…
暁 有紗
だったよーな…?
暁 有紗「正直言って、白乃のこと…小日向さんのこと、どう思う??」
え!?
そんなこと聞いてくんの??
なんて大胆な…
まあ、適当に言っとけばいいか。
一ノ瀬 来斗「俺には時雨がいるし…」
暁 有紗「そっかー…、そうだよね!ごめんごめん、こんなこと聞いて」
よかったー…、それ以上何も聞いてこなくて。
もし聞いてきたら、どうしようかと思った。
榊原 時雨「らいとぉ~!迎えに来たよー!!」
時雨が来た!
ちょうど良かった、暁さんに他にもいろんなこと聞かれそうな気がしたから…。
暁 有紗「あ、一ノ瀬くんの嫁来たよ」
嫁言うなぁぁ!!
一ノ瀬 来斗「嫁じゃねーよ!!
とりま、お先に帰らせていただきます」
***
あの時、時雨が来てくれて助かった~…。
あとで礼言わないとな。
俺の部活で待たせてるわけだし…
校門前に行くと、いつものようによしかかって待っていた。
やっぱり側からみると時雨は可愛いし、どこかの御曹司にも見える雰囲気を醸し出している。
一ノ瀬 来斗「ごめん、待った?」
榊原 時雨「いや、待ってないよ」
一ノ瀬 来斗「待ったんでしょ?」
榊原 時雨「待ってないって」
なんだこのノリ笑。
ちょっと面白い…
一ノ瀬 来斗「さ、帰るか」
榊原 時雨「うん!」
どうしたものか…今日かなり大胆発言をして、嫉妬していた時雨に多分、さっきの暁さんとの会話、見られたと思う。
ちょっと言動に注意しよう…
榊原 時雨「来斗、今日も部活お疲れ様!」
まさかの時雨がリードした!!
もうこんなことでクヨクヨするな!
しっかりしろ、俺!!
一ノ瀬 来斗「なんだよ~、いきなり改まって。ま、こっちこそいつもありがとな!」
頑張って、爽やか作り笑顔してます…。
こんなことで疲れるなんて、 ヘタレかよ俺…
時雨は余裕なんだろーな、と時雨のほうを見ると、なんと顔真っ赤!!
か、可愛い…
小動物…萌える!
もう、我慢できない!!!
一ノ瀬 来斗「おい、時雨」
榊原 時雨「え、なに?」
時雨がこっちを向いた途端、すぐに唇を奪い、舌を入れてしまった。
榊原 時雨「!?!?」
榊原 時雨「ふっ、はっ、あっ……」
そう、濃密なキス。
それを時雨の意思を確認せず、やっちゃいました…。
俺としたことが、理性が吹っ飛び、性欲が勝ってしまったなんて…。
公衆の面前でこんなことを!!!
主婦「みちゃダメよ…汚らわしい!」
近くの公園にいた主婦は、自分の子にこんな状況を見せまいと、子供の目を手で隠している。
まあ、当然だろう。
子供の教育に悪いし…苦笑。
それにしても、やっぱり驚くよな…。
もう嫌われてしまっても仕方がない…、そう思って唇を離した。
一ノ瀬 来斗「顔、真っ赤」
こんなときに、そんなキザなセリフ言ってどうすんだ!
余計嫌われる!!
榊原 時雨「え、う、嘘!?!?」
でも、時雨のその反応。
満更でもなさそうだな。
一ノ瀬 来斗「ホント。
あと、そんな可愛い表情を見せられたら、俺だってもう我慢が出来なくなる…辛いんだぞ!我慢するのも」
あ、ついに何にも考えずに本音ぶちまけてしまいました。
はい、俺の青春リア充ライフ終わりましたー!
そう、思っていたが…
榊原 時雨「あのね、来斗……」
甘えた表情で何かを言いたそうにしていて、大体予想がついた。
もう、食い気味で言うことにした。
一ノ瀬 来斗「今日、一緒にやろう。俺、やりたい!」
…はっ!?
今頃になって気づいたが、俺は一体なんてことを言って…
すると、時雨がすぐに
榊原 時雨「うん、僕もやりたい…」
顔が火照った状態で頷いてきた。
え、まさかのオーケーなのですか!?
やったーー!!
一ノ瀬 来斗「じゃあ、手」
榊原 時雨「うん!」
そして、2人で手を繋ぎ一緒に帰った。
~時雨の場合~ 終
ーーーーーーーーーーーーーーー
~おまけ~
ーその日の帰り道
小日向 白乃「今回、全く出番なかったけど、なんかこう…充実していた気がする!」
暁 有紗「それはそれは…よかったねー、白乃。」
小日向 白乃「あ、今回割と出番あった、あーちゃんだ!」
暁 有紗「そうだよ!めっちゃ疲れた…」
小日向 白乃「お疲れ様!」
暁 有紗「とりあえず、早く帰ってベッドにダイブしたい…」
小日向 白乃「そうだねー…ふふふ」
暁 有紗「何笑ってんの?!」
小日向 白乃「別にー、なんでもないー。」
暁 有紗「えーー!?気になるじゃん!!」
小日向 白乃「ひ・み・つ♪」
2人もまた、こんな感じで家に帰っていたのだった…。
白乃がなぜ笑っていたのか…それは、彼女自身しか知らない。
読者の皆様のご想像にお任せします!
~おまけ~ 終
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