雪のち晴

トモヒロ69

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第1章 雪のち晴

第4話 恋人ごっこ

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 外出するのは久しぶりだ。拘置所にいる間はもちろん、一切外出できない。

 つまり僕は6年ぶりにお出かけをすることになった。

「おーいっぱいあるな」

 隣で晴さんはたくさんの布団を見て、興奮している。

 脱獄したときは情報量が多すぎて、気にならなかったが、晴さんはとても死神の格好とは思えない。

 結構大きなお店だが、今は夜で雪が降っているため、店内に人はほとんどいない。

「いやー、やっぱ夜は楽しいな。昼だと人がいっぱいだから嫌なんだよな」

 実際、脱獄したので指名手配されるわけだ。僕からしても人がいない方が好都合だった。

「雪君。どれか良さそうなのは見つかったかい?」

「あの、なんでもいいですよ」

 拘置所の布団は、床で寝るのと同じくらい硬くて薄い布団だった。それと比べたら店に売ってる布団はとても贅沢なものだ。

「ならこの1番安いのにしよう」

 そう言って、レジに走って行った。

■ ■ ■

 帰った時には、雪で僕はずぶ濡れだった。因みに死神は濡れたりはしないらしい。
 
 早速部屋のお風呂借りた。

「どうだどうだ?」

 お風呂から出ると、晴さんがさっき買った布団を敷いてくれていた。

「今日は疲れたから寝るぞ」

 僕は頷いて、布団に入った。安い割に、とても暖かかった。

「なんで晴さんは、僕が冤罪ということを知ってたんですか?」

 ずっと気になってた事を聞いてみた。しかし、しばらくしても返事はない。

(寝たか。僕も寝よ)

 目をつぶると、1分程で眠りにつけた。

■ ■ ■

 「速報です。昨日の夜、死刑宣告をされていた、白糸雪死刑囚が脱走しました。警察は詳しい情報を調べています」

 朝ご飯を食べながら、部屋にあるテレビのニュースを聞く。

 「本当に怖いです。戸締まりをちゃんとしようと思います」

 地元の人の声だ。まあそりゃあ怖いと思う。

「雪君のこと、ニュースになってるね」

 悲しいし、悔しい。自分は殺人などしたこともないのに、怖がられるのだから。

「死神にさ寿命ってないの?」

 何か会話をするために、気づけばどうでもいい事を聞いていた。寿命を聞いたところで1年しか一緒にいないのに。

「もちろんあるよ」

 意外だった。ないようなイメージだったから。

「死神は、人から寿命を奪うんだよ」

 まあそれはなんとなく分かっていた。つまり、僕は晴さんの食料となる訳だ。

「ならもう奪ってくださいよ」

「なんでだよ。まだ私は雪君と恋人ごっこをするぜ」

 恋人ごっこ。まあ一緒に住んでるわけだし、間違いではないか。あえて触れないでおく。

「おい。せめてなんかツッコめよ!」 

 判断を間違えたらしい。まあまだもう少し続けよう。どうせ1年経てば死ねるんだ。それまでゆっくり、この人と遊ぼう。


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