ダンガチャ! ~特殊ダンジョンばかりを引き当てる狂った運への決別を!~

乃神レンガ

文字の大きさ
21 / 34
第1章

021 苦難の成果

しおりを挟む
 俺は今、滝の裏にある洞窟内で正座をしていた。

「クルコン君、僕は悲しいよ。いくら勝つためとはいえ、僕のお尻の処女を奪うなんて」
「……申し訳ない」

 あの時は仕方がなかったとはいえ、ペロロさんのお尻に尻穴爆竹の串を刺したのは事実だ。

 最初は自分自身に刺そうと考えていたのだが、隙が大きくなり行動も遅れてしまう。

 なので効率を考えたら、ペロロさんのお尻を使うしかなかった。

「今も血が出ている気がするよ! どう責任を取ってくれるんだい?」
「えっと……これを」

 ペロロさんがお尻を痛がっていたので、俺は頬からぬるぬるすっきりポーションを取り出す。

 このローションを使えば、内部が浄化され保護される。

 痛みが引くことは、俺自身が試して知っていた。

「えっ? ろ、ローション? もしかして責任って、そういう意味? クルコン君、それはあまりに鬼畜すぎるよ!」

 しかし、その効果を知らないペロロさんは勘違いを始める。

「い、いや、待ってくれ。このローションには、特別な効果があるんだ!」

 俺がそう弁明して慌てると、ペロロさんはニヤリと笑みを浮かべた。

「ふふっ、分かってるよ。ありがとう。使わせてもらうね」

 ペロロさんはそう言うと、俺からローションを受け取る。

 どうやらペロロさんは、このローションを知っていたらしい。

 おそらく、男色ゴブリンのぬるぬるダンジョンの放送を見ていたのだろう。

 俺はそれを自覚して、恥ずかしくなった。

 つまり、あの痴態を見られていたということである。

「えっと、こうかな? 意外と温かいね。浄化されるみたいだし、大丈夫だよね?」

 ペロロさんはローションを指の先に垂らすと、自身のスカートの中に手を入れた。

 俺の前なのに、恥ずかしくないのだろうか。

 いや、どのみち放送で見られているのだし、割り切っているのだろう。

「んっ、……これ、すごい。痛くない。見た目はあれだけど、使ってよかったよ」

 痛みが引いたことで、ペロロさんの機嫌が良くなった。

 このローション、最初はハズレアイテムだと思ったんだよな。

 けれども、実際には超有用アイテムだった。

 時間経過で中身も補充されるし、今後も活躍することだろう。

 そうしてペロロさんのお叱りも同時に終わり、次の行動へと移る。
 
「やっぱり、だめだったか」

 仙人ガッパに盗られていたピンパチは、爆発に巻き込まれて無惨にも壊れていた。

 本来なら破損しても、ダンジョンクリア後に直すことができる。

 だがあまりにも破損が激しいと、その度合いによって確率でロストしてしまう。

 実際ピンパチの残骸に触れた途端、光の粒子になって消えてしまった。

 色合いはあれだったけど、結構気に入っていたのにな……。

「クルコン君……」
「大丈夫だ。こうなることも予想はしていたし、仕方がない」

 ピンパチはロストしてしまったが、代わりに生き残ることができた。

 武器はまた次の物を探せばいい。

 けどまあ、ようやく買った鉄の剣を盗まれた時よりも、悲しい事に違いはないな。

 ピンパチは、それだけ活躍していた。

 俺は光になったピンパチの前で軽く手を合わせると、洞窟の奥へと足を進める。

 そして最奥に辿り着くと、中央に何故か銀製色の宝箱が鎮座していた。

「えっ? 宝箱だよ! それに銀色! 凄い!」

 宝箱を見つけると、ペロロさんは興奮して声を上げる。 

 しかしそれも仕方がなく、銀製の宝箱はトッププレイヤーでもほぼ見かけることがないからだ。

 人によっては、あまりの出なさに都市伝説のような扱いである。

 けれども一応動画には残っているため、存在だけは認識されていた。

 その銀製の宝箱が、俺たちの前にある。

 これで興奮しないはずがない。

「早く開けようよ!」
「わかった。けど一応罠が無いか慎重に開けよう」
「うん!」

 俺たちははやる気持ちを抑えながら、罠が無いか出来るだけ確認を行う。

 素人目だが、宝箱に罠は無さそうだ。

「あ、開けていい?」
「ああ、いいぞ」

 天使のような笑顔を浮かべるペロロさんに、開封を譲る。

 あの笑顔を見て、断れるはずがない。

 そして、銀製の宝箱が開く。

 宝箱の底には、ゴルフボールを一回り大きくしたような水色の玉が鎮座していた。

「これ、何だろう?」
「見ただけじゃ分からないな。ここは鑑定してみよう」
「そうだね」

 俺はそう言って頬に入れていた小さなバックから、新たに買い足しておいた鑑定虫メガネを取り出す。

 次に宝箱から水色の玉を取り出して、どのような物なのか鑑定をした。


 名称:仙人河童の尻子玉
 レア度:HR
【効果】
尻に入れることで使用者に吸収され、以下の能力を得る。
・水の生成
・水の操作
・尻弱点


 これは、色んな意味で凄いな。

 あの仙人ガッパ、正式名称仙人河童の能力が手に入るらしい。

 しかしその代償として、尻が弱点になるようだ。

 更に能力を手に入れるには、この玉を尻から入れる必要がある。

 そう、ゴルフボールよりも一回り大きなこれを。

「ね、ねえ。僕にも見せてよ!」
「あ、ああ。けど、効果については口に出さないでくれ」
「わ、分かってるよ!」

 鑑定虫眼鏡は、動画視聴者からは見ることはできない。

 だからこそ、少しでも情報は隠すべきだ。

 特に尻弱点は黙っていれば、気づかれる可能性は低い。

 俺はそう考えながら、ペロロさんに鑑定虫眼鏡を渡す。

 それを受け取ったペロロさんは、キラキラした瞳で覗き込んでいた。

 にしても、レア度HRハイレアか。

 今のところプレイヤーの間で知られているレア度の中では、一番高い。

 そもそも、見つかる宝箱はほとんどが木製だ。

 続いて稀に、銅製が見つかっている。

 木製は、レア度Cコモン.UCアンコモン.Rレアが出てくるようだ。

 対して銅製は、レア度UCアンコモン.Rレア.HRハイレアが出てくる。

 この流れから考えると、銀製はHRのもう一つ上まで出てくると考えられた。

 つまり今回銀製の宝箱から出てきたのは、レア度的には中間に位置する。

 ここまでの苦難を考えると、少し落胆してしまうのは仕方がない。

「これ、凄いね……けど、まぁ……クルコン君に譲るよ」
「え“?」
「だって、僕は嫌だよ。分かるよね? それにクルコン君は武器を失っているし、今回のMVPはクルコン君だからね。僕は潔く辞退させてもうらよ」
「そ、そうか……」

 ああ、またこの流れか。

 俺とダンジョンを共にした人物は、このようにアイテムや装備品を譲ってくれることが多い。

 道中のトラウマや、デメリットを考慮した結果なのだろう。

 まあお尻を刺された後に、これを入れるのは嫌だよな……。

 俺も嫌なのだが……。

「それに僕は前衛だし、ちょうど良いはずだよ。ぶっちゃけ、クルコン君より前衛として僕の方が強いからね」
「ぐっ……」

 その通りだが、少し悔しい。

「あとこれを受け入れるなら、さっき僕のお尻の処女を奪ったことを許してあげるよ。まさか、断らないよね?」
「わ、分かった……」

 そのことを持ち出されてしまえば、受け入れるしかなかった。

 どのみち俺が使った方が、パーティとしてのバランスが良くなる。

 仙人河童のように水を操れるようになれば、かなりの戦力になるだろう。

「それじゃあ、ローションとお尻を出してね?」
「え?」
「一人じゃ難しいでしょ? 僕が入れてあげるよ。それに、次は僕がクルコン君のお尻の処女を貰う番だからね?」
「まじか……」

 やっとの思いでボス戦を乗り越えたのに、まさかそれ以上の試練が待ち受けているとは……。

 俺は、自分の瞳からハイライトが消えたような気がした。

 本当に、今度こそ誰か助けてくれ……。

「ふふっ、それじゃあ、お楽しみの時間だよ?」
「くっ、殺せ……」

 そして渋々取り出して渡したぬるぬるすっきりポーション片手に、ペロロさんは良い笑顔で俺にゆっくりと近づいて来るのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

好き勝手スローライフしていただけなのに伝説の英雄になってしまった件~異世界転移させられた先は世界最凶の魔境だった~

狐火いりす@商業作家
ファンタジー
 事故でショボ死した主人公──星宮なぎさは神によって異世界に転移させられる。  そこは、Sランク以上の魔物が当たり前のように闊歩する世界最凶の魔境だった。 「せっかく手に入れた第二の人生、楽しみつくさねぇともったいねぇだろ!」  神様の力によって【創造】スキルと最強フィジカルを手に入れたなぎさは、自由気ままなスローライフを始める。  露天風呂付きの家を建てたり、倒した魔物でおいしい料理を作ったり、美人な悪霊を仲間にしたり、ペットを飼ってみたり。  やりたいことをやって好き勝手に生きていく。  なぜか人類未踏破ダンジョンを攻略しちゃったり、ペットが神獣と幻獣だったり、邪竜から目をつけられたりするけど、細かいことは気にしない。  人類最強の主人公がただひたすら好き放題生きていたら伝説になってしまった、そんなほのぼのギャグコメディ。

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

固有スキルガチャで最底辺からの大逆転だモ~モンスターのスキルを使えるようになった俺のお気楽ダンジョンライフ~

うみ
ファンタジー
 恵まれない固有スキルを持って生まれたクラウディオだったが、一人、ダンジョンの一階層で宝箱を漁ることで生計を立てていた。  いつものように一階層を探索していたところ、弱い癖に探索者を続けている彼の態度が気に入らない探索者によって深層に飛ばされてしまう。  モンスターに襲われ絶体絶命のピンチに機転を利かせて切り抜けるも、ただの雑魚モンスター一匹を倒したに過ぎなかった。  そこで、クラウディオは固有スキルを入れ替えるアイテムを手に入れ、大逆転。  モンスターの力を吸収できるようになった彼は深層から無事帰還することができた。  その後、彼と同じように深層に転移した探索者の手助けをしたり、彼を深層に飛ばした探索者にお灸をすえたり、と彼の生活が一変する。  稼いだ金で郊外で隠居生活を送ることを目標に今日もまたダンジョンに挑むクラウディオなのであった。 『箱を開けるモ』 「餌は待てと言ってるだろうに」  とあるイベントでくっついてくることになった生意気なマーモットと共に。

ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!

さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。 冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。 底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。 そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。  部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。 ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。 『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!

処理中です...