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第五章
小さな花束
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『へ~。お父さんって何だか、カッコイイ。・・・でも・・・今は、何か私に隠してる・・・』
『はいはい。話は、ちゃんと最後まで聞きましょうね。』
お婆ちゃんは、話を続けました。
お母さんが花を選ぶ間、お婆ちゃんは、彼の色々な想いを聞いていました。
と同時に、狭い店内なので、その話は、そのままお母さんの耳にも届いていたのでした。
『そうでございますか、それは、大変惜しい部下を失ってしまいますね。』
『はい。でも、彼が家業を継ぐと言うのであれば、それも立派なことです。私は心から応援してあげたいと思います。』
そうこうしているうちに、小さな花束が出来上がったのです。
一瞬、花束を見たお父さんの顔に、疑問符が浮かびました。
『「小さい!」ってお顔ですわね。・・・フフ。』
図星でした。
『あ、いや・・・。私はどうも花には無頓着で・・・。』
『母とのお話を聞かせてもらいました。私なりに、お客様の飾らない心、そして彼への確かな信頼を込めて作ってみました。もとより、大きな花束は、電車で旅立つには邪魔になりますので、渡してもすぐに、見送りの女性などの手に渡ってしまいます。少しの間でも、できるだけ長くその人が、あなたの想いと共にいられます様、こうして小さくまとめてみたのです。』
彼は、この非の打ち所のない説明に、心から感銘していました。
黄色い花弁の周りに、小さく白い花びらを纏ったカモミールの花。
その束の中心に、美しく際立つカンパニュラの白い花。
その白い世界に、決して目立たぬ様、シオンの淡い紫が、優しい華やかさを添えていました。
『この花たちも、それぞれに、意味があるのでしょうね。』
『はい。「カモミール」は、苦難に耐える力を、「カンパニュラ」は、誠実さや感謝の気持ちを、そして「シオン」は、大切な友を忘れないその想いが込められています。』
この瞬間、優しくもあり確かな声で説明する彼女に、彼は心を奪われたのでした。
『カモミール』
キク科の1年草
原産地:ヨーロッパ
花:5~6月
色:白
『カンパニュラ』
キキョウ科の2年草
原産地:ヨーロッパ
花:4~7月
色:白 赤 ピンク 紫 青
『シオン』
キク科の多年草
原産地:日本 朝鮮 中国
花:8~10月
色:淡紫 青
『はいはい。話は、ちゃんと最後まで聞きましょうね。』
お婆ちゃんは、話を続けました。
お母さんが花を選ぶ間、お婆ちゃんは、彼の色々な想いを聞いていました。
と同時に、狭い店内なので、その話は、そのままお母さんの耳にも届いていたのでした。
『そうでございますか、それは、大変惜しい部下を失ってしまいますね。』
『はい。でも、彼が家業を継ぐと言うのであれば、それも立派なことです。私は心から応援してあげたいと思います。』
そうこうしているうちに、小さな花束が出来上がったのです。
一瞬、花束を見たお父さんの顔に、疑問符が浮かびました。
『「小さい!」ってお顔ですわね。・・・フフ。』
図星でした。
『あ、いや・・・。私はどうも花には無頓着で・・・。』
『母とのお話を聞かせてもらいました。私なりに、お客様の飾らない心、そして彼への確かな信頼を込めて作ってみました。もとより、大きな花束は、電車で旅立つには邪魔になりますので、渡してもすぐに、見送りの女性などの手に渡ってしまいます。少しの間でも、できるだけ長くその人が、あなたの想いと共にいられます様、こうして小さくまとめてみたのです。』
彼は、この非の打ち所のない説明に、心から感銘していました。
黄色い花弁の周りに、小さく白い花びらを纏ったカモミールの花。
その束の中心に、美しく際立つカンパニュラの白い花。
その白い世界に、決して目立たぬ様、シオンの淡い紫が、優しい華やかさを添えていました。
『この花たちも、それぞれに、意味があるのでしょうね。』
『はい。「カモミール」は、苦難に耐える力を、「カンパニュラ」は、誠実さや感謝の気持ちを、そして「シオン」は、大切な友を忘れないその想いが込められています。』
この瞬間、優しくもあり確かな声で説明する彼女に、彼は心を奪われたのでした。
『カモミール』
キク科の1年草
原産地:ヨーロッパ
花:5~6月
色:白
『カンパニュラ』
キキョウ科の2年草
原産地:ヨーロッパ
花:4~7月
色:白 赤 ピンク 紫 青
『シオン』
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原産地:日本 朝鮮 中国
花:8~10月
色:淡紫 青
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