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第六章
フクシア
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『お母さんも花に詳しかったんだ。なんだかすごい。』
『この時から、二人は互いに惹かれあったのですよ。』
『お婆ちゃんがキューピットなんだ。・・・でも、失敗だったかもね・・・。最近お母さんたち、お話しもしないし・・・』
寂しくつぶやく私の手を、お婆ちゃんが掴んだ。
『こっちへ来てごらんなさい。』
お婆ちゃんは店の奥にあるもう一つの部屋へ、私を連れていきました。
その部屋は、年中少し高めの温度に調節してありました。
『ほら、この花を知っていますか?』
剪定された小さな木に、人形の様な形をした、紅紫の花が二つ並んで咲いていました。
『え~と・・・。フクシア!たしかフクシアだわ。』
『その通りです。この花はね、二人が出逢った日に咲いたんですよ。』
『えぇ~!なんかロマンチックな感じ。』
その花は、まるで愛し合う二人が、仲良く手をつないでいるかの様でした。
『「フクシア」の花言葉は、「信じ合う愛」なのです。この花は、ここでこうして毎年花を咲かせているのですよ。この花が咲く限り、決してお父さんとお母さんの愛が、消えてしまうことはないのです。』
私もそう思いたかった。
でも、現実として、そんなファンタジーを全て信じるほど子供でもなかった。
『でも・・・』
『凛花さん。私のことが信じられませんか?お父さん、お母さんのことが信じられませんか?』
いつになく強い言葉に、私は少し縮んだ。
『わ・・・分かった。私はお婆ちゃんと、この花を信じてみる。』
その一月後、お母さんは、あの若い男と、私の前から消えたのでした。
『フクシア』
アカバネ科の落葉低木
原産地:中央,南アメリカ
ニュージーランド
花:6~9月
色:紅紫 紅 桃 白
『この時から、二人は互いに惹かれあったのですよ。』
『お婆ちゃんがキューピットなんだ。・・・でも、失敗だったかもね・・・。最近お母さんたち、お話しもしないし・・・』
寂しくつぶやく私の手を、お婆ちゃんが掴んだ。
『こっちへ来てごらんなさい。』
お婆ちゃんは店の奥にあるもう一つの部屋へ、私を連れていきました。
その部屋は、年中少し高めの温度に調節してありました。
『ほら、この花を知っていますか?』
剪定された小さな木に、人形の様な形をした、紅紫の花が二つ並んで咲いていました。
『え~と・・・。フクシア!たしかフクシアだわ。』
『その通りです。この花はね、二人が出逢った日に咲いたんですよ。』
『えぇ~!なんかロマンチックな感じ。』
その花は、まるで愛し合う二人が、仲良く手をつないでいるかの様でした。
『「フクシア」の花言葉は、「信じ合う愛」なのです。この花は、ここでこうして毎年花を咲かせているのですよ。この花が咲く限り、決してお父さんとお母さんの愛が、消えてしまうことはないのです。』
私もそう思いたかった。
でも、現実として、そんなファンタジーを全て信じるほど子供でもなかった。
『でも・・・』
『凛花さん。私のことが信じられませんか?お父さん、お母さんのことが信じられませんか?』
いつになく強い言葉に、私は少し縮んだ。
『わ・・・分かった。私はお婆ちゃんと、この花を信じてみる。』
その一月後、お母さんは、あの若い男と、私の前から消えたのでした。
『フクシア』
アカバネ科の落葉低木
原産地:中央,南アメリカ
ニュージーランド
花:6~9月
色:紅紫 紅 桃 白
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