Flower Story

心符

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第十二章

ホトトギス

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なんだかんだで、あっと言う間に一年が過ぎた。

彼・・・藤咲さんは、時々家に夕飯を食べに来る様になっており、意外なネコ好きで、ヒメの遊び相手にも丁度良かった。

『藤咲君、毎日来てくれてもいいぞ。君が来ると、不思議なことに、料理がグレードアップするからね。我が家の如月伝説の一つだよ。ハハハ。』

『お父さん!!そんなことは、ありません~♪。』

否定する声に、音符が付いた気がして恥ずかしかった。

この頃からお父さんは、大学を出たら、彼を自分の会社に入れようと企んでいたのでした。



~式典~

一周年の記念パーティ(一般的に言って、花屋がやるかは疑問ですが・・・)は、お父さんのバックアップで、盛大に行われました。

案内のチラシを見て、たくさんのお客さんたちも来てくれました。

片思いに悩んでいた女の子。

病気の友達を励ましたかった男の子。

結婚式前日、生まれて初めて母に花を贈った男性。

苦労しながら役者の道を目指す自分に、エールを贈った女性。

夫の浮気癖に、分けも分からず訪れた女性。

色々な人が、「心の花」によって、支えられていました。


『凛花・・・。お前、変な宗教でも始めたんじゃないだろうな?みんなお前に感謝の言葉を言って来るじゃないか。』

『まっさかぁ!この人たちは、私に感謝しているのじゃなくて、「花」に感謝してるのよ。』

『・・・?。世の中には、聞くと余計に分からなくなるものも時々あるな。お父さんには、さっぱり分からん。』

『お父さんは、分からなくていいの。自分の「正義」を貫いていればね。』

『おう。それなら任せておけ。誰にも負けないぞ。ハハ。』

なんか、話しの筋が変わった気が・・・。


『よっ!凛花ちゃ~ん。』

酔っ払いの沙耶花の乱入。

『何を親子でやってんのよ?』

『沙耶花、飲みすぎよ。』

『全くもう~凛花様わぁ、いつも私は冷静よって顔して! 私も花のことを少しは勉強したのよ。』

誰も勉強しろとは・・・

『え~とね!それで、大発見したの。シクラメンって真綿色した~♪しかないかと思ってたら、赤もあったのよ!!』

歌わなくてもいいって!

『やっぱ、シクラメンは赤よ!赤!真っ赤がいいわ。あれは私の花ね。』

『赤のシクラメンの花言葉知ってる?』

『え?…知らない。』

『嫉妬よ。』

『・・・!!や・・・やっぱ、真綿色よね。そうよ白よ!赤じゃ歌い難いしね。白が一番。さぁて、飲むぞ~!』

あの前向きな性格は、見習いたいものである。


『ハハ。相変わらずだな、彼女は。』

『お父さん。私この仕事にして、ほんとうに良かったわ。』

『ん?どうしたんだ急に。』

『色々な人の心に触れて、自分のことも良く分かってきたの。もしこの道を選んでいなかったら、今でもお母さんのことを、心からは許せなかったかもしれない。』

『そうか…。もう許してくれるか。ありがとう、凛花。』


その雰囲気に、今度は愛しの彼(恥)が割り込んだ。

『凛花さん。ちょっと話せるかな…。』

『おっと、こりゃ私はお邪魔だな。シッカリな!』

笑いながらお父さんが会場へ戻って行く。


彼が私の前に立った。

『凛花さん。一周年おめでとうございます。』

『ありがとう。あなたがいてくれたおかげよ。』

『あのね…』

(早く早く!お願いだから思い切って言って!)

『あのね…、いつか言おうと思ってたけど、今日しかないと思って。』

(今日しかない…ってわけではないと思うけど…はいはい。そういうことにしておきましょ。)


『好きです。』

頭の中で、百万個のハイビスカスが咲いた。

『僕は、凛花さんのことがずっと好きでした。きっと君に会う前から、写真や、お婆さんの話の中の君を思っていました。』

彼の気持ちには、とっくに気が付いていた。

私を想う彼の「心の花」は、真っ赤なバラ。

愛の花の中で、唯一説明のいらない花と言ってもいいほど、分かり易い花。

『凛花さん。僕の花になって下さい。』

少し浮いたが…私はこの時をずっと待っていた。

私は携帯で自分を写し、『心の花』を確認した。

(げっ!…まっ・・・いっか。)

『私の気持ちは、これよ。』

彼に花を見せる。

彼が花を認識できたかは分からない。

私は、彼の唇にキスをしていた。


床に落ちた携帯には、飛び出さんばかりのホトトギスの紫の花が、浮かんでいました。

『ホトトギス』

花言葉は…

『永遠にあなたのもの』

です(恥)。


『ホトトギス』
ユリ科の多年草
原産地:日本 朝鮮 台湾 中国
花:9~10月
色:紫 黄 青 白 オレンジ
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