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第3章 中央高地戦線編
第4話 甲府方面奪還作戦会議
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・・4・・
「まずは現在の戦況から説明しよっか。ホロマップに注目して」
璃佳が言うと、孝弘達はホログラムの地図に視線を移す。甲府盆地全体が表示されており日本軍の支配領域には薄い水色が、CT占拠側は薄い赤で着色されていた。
「先日に作戦で私達は韮崎周辺まで確保。さらに南部方面は今後の足がかりとして御勅使川付近までは確保してる。面積としては大した事ないけど、この後に話す作戦の橋頭堡みたいなもんだね」
「川を臨時防衛線とする形ですね。この後さらに進出するにしても、万が一の防衛線には使えると」
「そゆことだね米原少佐。先の戦闘はあくまで前段作戦ってわけさ。次に彼我の兵力について。画面を切り替えるよ」
璃佳がホロマップの操作をすると、地図のやや上に兵力数と簡易的だが部隊配置も表示される。CT側には集団で動き少々統率が取れた動きをするものの部隊という概念が薄いため、各方面の概数が出されていた。
「CT側が結構多いですね……。兵力比だと富士宮より開きがあるし」
「ごめーとー、関少佐。日本軍の兵力は私達第一特務連隊を加えても約一六五〇〇。ただし先の戦闘で死傷者が出てるから実数は約一六〇〇〇ってとこかな。それに対してCTの数は約五五〇〇〇から約六〇〇〇〇。兵力比だと富士・富士宮より広がっちゃってるね」
「大佐の情報に補足する。作戦開始までに後方から兵力の補充がある。陸軍からで数は二五〇〇の一個連隊だ」
「思ったより少ないんですね……。情勢を踏まえれば仕方ないですけど」
熊川の補足に対して水帆は正直な感想を漏らす。
「高崎少佐の懸念は最もだ。俺も思ったからな。君達も知っての通り、現在の我々は他にも戦線を抱えている。君達がいた富士だけでなく、俺達が前までいた新潟方面。他にも山形方面、青森方面。そして、北海道」
「ぶっちゃけ北海道はもう厳しいを通り越しているんだけど、道民の避難は何としてでも完了させないといけない。人数が人数だけに凄い時間がかかってね。もうすぐ終わるらしいんだけど、当面はあっちに兵力を割かないといけないわけ。攻撃に輸送にと海軍は大忙しだよ。そんな中でも上が兵力を出せたのは作戦の為ってのもあるけど目処が立ったからってのもあるのよ」
「志願制の一般予備役と能力者予備役っすね」
志願制の予備役とは、陸軍が行っている予備兵力のことだ。普段は会社勤めをしているが年間で最低限の訓練を実施している。これら予備役は有事の際に招集されることになっている。
魔法軍が実施している魔法予備役も似たようなシステムである。
能力者は一般兵力に比べると希少だが、全員が軍人になるわけではない。能力者もそれぞれ普通に魔法関連の会社に勤めているか、魔法教師になるなど様々な進路がある。
ただしこれは平時の話であり、有事の際には事前に登録した者は招集されることがあるのだ。この事前登録者にはいくつかタイプがあるが、代表的なのが一年に一度最低限の訓練を実施し国から補助金が給付される予備役能力者。もう一つが、国家魔法奨学金制度利用者だ。
魔法を学び大学まで卒業しようとすると、その学費は理系卒業者より高く薬学部卒業者よりやや安い位には学費が必要になる。そこで国は独自の奨学金制度を設けたのだ。それが国家魔法奨学金である。
この奨学金制度利用者の予備役枠は、前線には出向かないが地元で治安維持や後方支援にあたる。前線に兵力を割くと必然的に不足する後方展開兵力を補う。それが彼等の役目であるわけだ。
大輝は転移前に学生として得ていた知識だからこそ、すぐに答えを出せたのである。
「当たりだよ、川島少佐。即応予備については先月の段階で全て出し尽くしててね。今は登録されてた予備役と魔法予備役について随時投入してるわけ。即応と違ってこっちは即席とはいえ実戦投入前の訓練だけでも済ませないといけなくてさ。後方展開兵力にしても一緒。で、これの第二次が終わったのが先々週」
「予備役を後方配置することで常備兵力にやっと余裕が出始めた。その中の内、約二五〇〇がまもなく我々の所に来るという具合だ」
「補足説明ありがとうございます。一個連隊いるかいないかでだいぶ変わりますから、有難い話ではあるかと」
「そう理解してくれると助かるよ、米原少佐。さ、次は今後の方針について話そっか。まだ作戦は正式に布告されていないけれど、だいたい今から話す内容で進むと思うよ。マップを変えるね」
璃佳がまた端末を操作すると、マップが変わる。ホロマップには今後の作戦で進出する地域と方角が矢印で表されていた。
「先に結論を言おっか。私達の目標は二つ。南部方面は鰍沢口駅手前まで進出して甲府盆地南部を押さえること。もう一つが東部方面。甲府市中心部を奪還し、善光寺駅まで進出する。進出ラインは善光寺駅と甲府市内の身延線沿いで、南部方面の鰍沢口で南部方面進出ラインと連結。南限がちょうど笛吹川と釜無川の合流部になるかな。こっちがメインだね」
璃佳が説明した作戦は、先日行われた戦闘が前段作戦と称するに相応しい規模だった。現有兵力約二〇〇〇〇の内、既存領域の防衛に必要な兵力を除いたほぼ全ての戦力を投入するとのことで、さらにその先を考えるにはこれがギリギリというラインでもあった。
「かなり大規模というか、日本で初の大規模反攻作戦になりそうですね」
「ぴんぽーん、だね高崎少佐。すぐに到着する約二五〇〇はこの作戦に組み込まれることになる。一応、十日後にはさらに追加の一個連隊がとうちゃくするけどこれは防衛用戦力。私達は甲府盆地の中央部まで一気に奪還するんだけど、その兵力が約一五〇〇〇さ」
「南アルプス市方面から鰍沢口駅手前まで進出の南部方面に一個旅団規模、韮崎を足がかりに塩崎、竜王、そして甲府市中心部へ進出する東部方面に一個師団規模。現在展開している部隊は装備の補充もされつつありますから、機動師団及び機動旅団としての展開が可能。さらにここ第一特務連隊もいますから、攻勢としては申し分無さそうですね」
「ま、ここまで整えるのに上は結構無理したらしいけどね。富士の方もあるから、万全には整えられなかったみたいだけど」
孝弘の軽い分析に璃佳は情報を補足させる。ただし言葉の最後の方では肩をすくめていた。万全にはいかないという点は軍にとっての宿命であるものの、やはりベストの状態にしたいからだ。今の状況ではそれが叶うはずも無いのだから、璃佳も肩をすくめるしかない。
気を取り直した璃佳は説明を続けた。
「んで、こっからは私達第一特務の作戦中の動きだけどめちゃくちゃシンプル。東部方面展開部隊の最先鋒。高位魔法能力者で構成される我が連隊は航空魔法兵力・地上魔法兵力の両面となって敵戦線に穴を開け、消し飛ばし、あるいは友軍の支援をしながら作戦を完遂させる。こんだけ」
こんだけと璃佳は言うものの、孝弘達は第一特務連隊でないと果たせない任務だと強く感じていた。敵の最前面に立つということは最も敵の抗戦に晒されるのだ。要するに一番危険な任務である。
「質問です」
「何かな、関少佐」
「航空魔法兵力とありますが、これは連隊総員に当てはまるということですか?」
「うん。ここにいるような情報要員や戦闘をメインで行わない魔法工兵部隊は除くけどそれ以外の全戦力は皆、飛行魔導機器の『フェアル』が使えるからね。敵に航空戦力があるなら割り振りも考えるけど、今回は違うでしょ? もちろん初期段階における航空戦力の割り振りはするけれど、途中からは適宜になるかな」
「となると、私達は難しいかもしれません」
「安心して。訓練はするから。多少は出来るでしょ?」
「まあ、多少は」
「富士であれだけ活躍して飛行魔法に心配とは珍しいっすね」
既に作戦を伝えられている大隊長メンツの内、長浜が意外だという様子で言った。
「長浜少佐、この四人はいわゆる軍機モノの四人だからさ」
「あっ、なるほど。何となく察しました。失礼したっす」
少佐という立場上四人の情報は多少耳にしている長浜はそれ以上は口を開かなかった。
「まあでも、一応君達は基本地上要員だから安心して。その代わり、陸上高機動展開はしてもらうけど大丈夫だよね?」
陸上高機動展開とは加速魔法を用いて戦闘を行うことである。高練度部隊なら必須の技能だ。
「はい。自分を含め四人ともいけます」
「米原少佐、ちなみに四人とも時速何キロ出せる? ウチのメンツは高機動展開なら時速六〇は余裕で出せるけど」
「六〇は余裕です。八〇でも十分に。機動戦闘車の最高速度くらいまでなら継続分数にもよりますが、可能です」
「さっすがー。なら問題ないね」
孝弘達はアルストルムで嫌という程に高機動展開、つまり加速魔法を用いた戦闘を行っている。機動戦闘車の最高速度である時速約一〇〇キロ位までなら何度も経験があったのだ。なお、あっさりと言ってのけた孝弘に対して大隊長の三人は感心していた。時速六〇までならともかく、時速一〇〇を継続分数にもよるが可能と言える人材は第一特務と言えどそういないからである。
「となると、君達四人は私の直轄で高機動してもらおっか。これで大体は決まりかな? 昨日の会議で作戦開始日時が概ね決まってね。恐らく一週間後になるんだって。正式な布告があったらまた作戦会議をするけど、ま、今みたいな感じでやるからよろしくっ」
『はっ。了解致しました』
四人とも敬礼をすると、璃佳はニコニコしながは答礼する。
「さーさー、お堅い説明はこれくらいにしておいて、この後はささやかながら君達の歓迎会をしよっか。軍の糧食ばっかだけど温食で揃えたし、ご飯は貴重な楽しみの一つでしょ? 駅のすぐ北に小さなショッピングセンターがあるからさ、一時間後にそこで開催。荷物片付けて部屋の手配と確認済んだら集合ねー。私も行くからさ」
連隊の大隊長達への挨拶と現況確認を終えた孝弘達は、用意された個人用の部屋の確認と荷物を置くと璃佳が行っていた歓迎会へと向かう。
それはささやかというにはそこそこに大規模なバーベキュー会場で、孝弘達は早速連隊の将兵達と作戦前の僅かな平穏ながらにこやかに交流を行うのだった。
「まずは現在の戦況から説明しよっか。ホロマップに注目して」
璃佳が言うと、孝弘達はホログラムの地図に視線を移す。甲府盆地全体が表示されており日本軍の支配領域には薄い水色が、CT占拠側は薄い赤で着色されていた。
「先日に作戦で私達は韮崎周辺まで確保。さらに南部方面は今後の足がかりとして御勅使川付近までは確保してる。面積としては大した事ないけど、この後に話す作戦の橋頭堡みたいなもんだね」
「川を臨時防衛線とする形ですね。この後さらに進出するにしても、万が一の防衛線には使えると」
「そゆことだね米原少佐。先の戦闘はあくまで前段作戦ってわけさ。次に彼我の兵力について。画面を切り替えるよ」
璃佳がホロマップの操作をすると、地図のやや上に兵力数と簡易的だが部隊配置も表示される。CT側には集団で動き少々統率が取れた動きをするものの部隊という概念が薄いため、各方面の概数が出されていた。
「CT側が結構多いですね……。兵力比だと富士宮より開きがあるし」
「ごめーとー、関少佐。日本軍の兵力は私達第一特務連隊を加えても約一六五〇〇。ただし先の戦闘で死傷者が出てるから実数は約一六〇〇〇ってとこかな。それに対してCTの数は約五五〇〇〇から約六〇〇〇〇。兵力比だと富士・富士宮より広がっちゃってるね」
「大佐の情報に補足する。作戦開始までに後方から兵力の補充がある。陸軍からで数は二五〇〇の一個連隊だ」
「思ったより少ないんですね……。情勢を踏まえれば仕方ないですけど」
熊川の補足に対して水帆は正直な感想を漏らす。
「高崎少佐の懸念は最もだ。俺も思ったからな。君達も知っての通り、現在の我々は他にも戦線を抱えている。君達がいた富士だけでなく、俺達が前までいた新潟方面。他にも山形方面、青森方面。そして、北海道」
「ぶっちゃけ北海道はもう厳しいを通り越しているんだけど、道民の避難は何としてでも完了させないといけない。人数が人数だけに凄い時間がかかってね。もうすぐ終わるらしいんだけど、当面はあっちに兵力を割かないといけないわけ。攻撃に輸送にと海軍は大忙しだよ。そんな中でも上が兵力を出せたのは作戦の為ってのもあるけど目処が立ったからってのもあるのよ」
「志願制の一般予備役と能力者予備役っすね」
志願制の予備役とは、陸軍が行っている予備兵力のことだ。普段は会社勤めをしているが年間で最低限の訓練を実施している。これら予備役は有事の際に招集されることになっている。
魔法軍が実施している魔法予備役も似たようなシステムである。
能力者は一般兵力に比べると希少だが、全員が軍人になるわけではない。能力者もそれぞれ普通に魔法関連の会社に勤めているか、魔法教師になるなど様々な進路がある。
ただしこれは平時の話であり、有事の際には事前に登録した者は招集されることがあるのだ。この事前登録者にはいくつかタイプがあるが、代表的なのが一年に一度最低限の訓練を実施し国から補助金が給付される予備役能力者。もう一つが、国家魔法奨学金制度利用者だ。
魔法を学び大学まで卒業しようとすると、その学費は理系卒業者より高く薬学部卒業者よりやや安い位には学費が必要になる。そこで国は独自の奨学金制度を設けたのだ。それが国家魔法奨学金である。
この奨学金制度利用者の予備役枠は、前線には出向かないが地元で治安維持や後方支援にあたる。前線に兵力を割くと必然的に不足する後方展開兵力を補う。それが彼等の役目であるわけだ。
大輝は転移前に学生として得ていた知識だからこそ、すぐに答えを出せたのである。
「当たりだよ、川島少佐。即応予備については先月の段階で全て出し尽くしててね。今は登録されてた予備役と魔法予備役について随時投入してるわけ。即応と違ってこっちは即席とはいえ実戦投入前の訓練だけでも済ませないといけなくてさ。後方展開兵力にしても一緒。で、これの第二次が終わったのが先々週」
「予備役を後方配置することで常備兵力にやっと余裕が出始めた。その中の内、約二五〇〇がまもなく我々の所に来るという具合だ」
「補足説明ありがとうございます。一個連隊いるかいないかでだいぶ変わりますから、有難い話ではあるかと」
「そう理解してくれると助かるよ、米原少佐。さ、次は今後の方針について話そっか。まだ作戦は正式に布告されていないけれど、だいたい今から話す内容で進むと思うよ。マップを変えるね」
璃佳がまた端末を操作すると、マップが変わる。ホロマップには今後の作戦で進出する地域と方角が矢印で表されていた。
「先に結論を言おっか。私達の目標は二つ。南部方面は鰍沢口駅手前まで進出して甲府盆地南部を押さえること。もう一つが東部方面。甲府市中心部を奪還し、善光寺駅まで進出する。進出ラインは善光寺駅と甲府市内の身延線沿いで、南部方面の鰍沢口で南部方面進出ラインと連結。南限がちょうど笛吹川と釜無川の合流部になるかな。こっちがメインだね」
璃佳が説明した作戦は、先日行われた戦闘が前段作戦と称するに相応しい規模だった。現有兵力約二〇〇〇〇の内、既存領域の防衛に必要な兵力を除いたほぼ全ての戦力を投入するとのことで、さらにその先を考えるにはこれがギリギリというラインでもあった。
「かなり大規模というか、日本で初の大規模反攻作戦になりそうですね」
「ぴんぽーん、だね高崎少佐。すぐに到着する約二五〇〇はこの作戦に組み込まれることになる。一応、十日後にはさらに追加の一個連隊がとうちゃくするけどこれは防衛用戦力。私達は甲府盆地の中央部まで一気に奪還するんだけど、その兵力が約一五〇〇〇さ」
「南アルプス市方面から鰍沢口駅手前まで進出の南部方面に一個旅団規模、韮崎を足がかりに塩崎、竜王、そして甲府市中心部へ進出する東部方面に一個師団規模。現在展開している部隊は装備の補充もされつつありますから、機動師団及び機動旅団としての展開が可能。さらにここ第一特務連隊もいますから、攻勢としては申し分無さそうですね」
「ま、ここまで整えるのに上は結構無理したらしいけどね。富士の方もあるから、万全には整えられなかったみたいだけど」
孝弘の軽い分析に璃佳は情報を補足させる。ただし言葉の最後の方では肩をすくめていた。万全にはいかないという点は軍にとっての宿命であるものの、やはりベストの状態にしたいからだ。今の状況ではそれが叶うはずも無いのだから、璃佳も肩をすくめるしかない。
気を取り直した璃佳は説明を続けた。
「んで、こっからは私達第一特務の作戦中の動きだけどめちゃくちゃシンプル。東部方面展開部隊の最先鋒。高位魔法能力者で構成される我が連隊は航空魔法兵力・地上魔法兵力の両面となって敵戦線に穴を開け、消し飛ばし、あるいは友軍の支援をしながら作戦を完遂させる。こんだけ」
こんだけと璃佳は言うものの、孝弘達は第一特務連隊でないと果たせない任務だと強く感じていた。敵の最前面に立つということは最も敵の抗戦に晒されるのだ。要するに一番危険な任務である。
「質問です」
「何かな、関少佐」
「航空魔法兵力とありますが、これは連隊総員に当てはまるということですか?」
「うん。ここにいるような情報要員や戦闘をメインで行わない魔法工兵部隊は除くけどそれ以外の全戦力は皆、飛行魔導機器の『フェアル』が使えるからね。敵に航空戦力があるなら割り振りも考えるけど、今回は違うでしょ? もちろん初期段階における航空戦力の割り振りはするけれど、途中からは適宜になるかな」
「となると、私達は難しいかもしれません」
「安心して。訓練はするから。多少は出来るでしょ?」
「まあ、多少は」
「富士であれだけ活躍して飛行魔法に心配とは珍しいっすね」
既に作戦を伝えられている大隊長メンツの内、長浜が意外だという様子で言った。
「長浜少佐、この四人はいわゆる軍機モノの四人だからさ」
「あっ、なるほど。何となく察しました。失礼したっす」
少佐という立場上四人の情報は多少耳にしている長浜はそれ以上は口を開かなかった。
「まあでも、一応君達は基本地上要員だから安心して。その代わり、陸上高機動展開はしてもらうけど大丈夫だよね?」
陸上高機動展開とは加速魔法を用いて戦闘を行うことである。高練度部隊なら必須の技能だ。
「はい。自分を含め四人ともいけます」
「米原少佐、ちなみに四人とも時速何キロ出せる? ウチのメンツは高機動展開なら時速六〇は余裕で出せるけど」
「六〇は余裕です。八〇でも十分に。機動戦闘車の最高速度くらいまでなら継続分数にもよりますが、可能です」
「さっすがー。なら問題ないね」
孝弘達はアルストルムで嫌という程に高機動展開、つまり加速魔法を用いた戦闘を行っている。機動戦闘車の最高速度である時速約一〇〇キロ位までなら何度も経験があったのだ。なお、あっさりと言ってのけた孝弘に対して大隊長の三人は感心していた。時速六〇までならともかく、時速一〇〇を継続分数にもよるが可能と言える人材は第一特務と言えどそういないからである。
「となると、君達四人は私の直轄で高機動してもらおっか。これで大体は決まりかな? 昨日の会議で作戦開始日時が概ね決まってね。恐らく一週間後になるんだって。正式な布告があったらまた作戦会議をするけど、ま、今みたいな感じでやるからよろしくっ」
『はっ。了解致しました』
四人とも敬礼をすると、璃佳はニコニコしながは答礼する。
「さーさー、お堅い説明はこれくらいにしておいて、この後はささやかながら君達の歓迎会をしよっか。軍の糧食ばっかだけど温食で揃えたし、ご飯は貴重な楽しみの一つでしょ? 駅のすぐ北に小さなショッピングセンターがあるからさ、一時間後にそこで開催。荷物片付けて部屋の手配と確認済んだら集合ねー。私も行くからさ」
連隊の大隊長達への挨拶と現況確認を終えた孝弘達は、用意された個人用の部屋の確認と荷物を置くと璃佳が行っていた歓迎会へと向かう。
それはささやかというにはそこそこに大規模なバーベキュー会場で、孝弘達は早速連隊の将兵達と作戦前の僅かな平穏ながらにこやかに交流を行うのだった。
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