異世界帰還組の英雄譚〜ハッピーエンドのはずだったのに故郷が侵略されていたので、もう一度世界を救います〜

金華高乃

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第8章 CT大群決戦編

第7話 二三式魔法特殊爆弾の恐るべき威力

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 ・・7・・
『警告。二三式魔法科学型超高濃度魔力拡散反応弾の使用により、魔法レーダー系統は一時使用不能。回復まで推定七分』

『立川HQ……り、戦線……員。魔法科学型特殊反……弾起爆に……い、無線感度……下。回復……で、推定五分……』

(ブリーフィングで切り札の二三式は威力がえげつないって聞いてたけど、こんなにかよ……!?    核爆弾みたいに汚染の心配は無いからいいけど、威力はほとんど核爆弾と変わらないなこれは……!!)

 通常弾頭とは比較にならない爆風が孝弘達を襲う。無事だった建物の窓ガラスが割れたり、建物が揺れたり、風塵が強く舞ったり。有効直径からそれなりに離れているはずなのに、これだ。凄まじい威力であろう。

 孝弘達が、璃佳達が、今川達が言っていた切り札というのがこの爆弾、『二三式魔法科学型超高濃度魔力拡散反応弾(通称:二三式魔法特殊爆弾。もしくは二三式マト弾)』だ。
 戦争が始まる前、平時の頃において二三式魔法特殊爆弾は抑止力としての存在でしか無かった。第二次世界大戦以降で抑止力といえば核爆弾であるが、当時の日本は技術的側面だけでなく核爆弾技術を導入しようとするとどうしても米国の技術を頼らざるを得ず、国防の根幹を外国に握られることを嫌ったこの国はやや劣ってもいいから核爆弾に近しいものを開発しようとした。それが魔法特殊爆弾である。初代は七二式マト弾。二代目が九五式マト弾。そして三代目が今回使われた二三式マト弾である。

(二三式魔法特殊爆弾はクラスター爆弾としても運用可能。本来は弾道ミサイルとして使い敵策源地にばらまく方法だけど、エンザリアCTとドラゴン以外の対空戦力の脅威が無い今ならもう一つの投下方法、対地爆弾として使った方が確かに効率的だな。しかし、本当にすごいな……。かなりの数のCTが消し飛んだんじゃないか……?)

 孝弘は二三式魔法特殊爆弾の威力に感嘆とする。もちろんそうしているだけでは無い。孝弘は知花に索敵面について質問する。

「知花、レーダー回復後に索敵とかは出来そうか?」

「厳しいかな……。非魔法レーダーが回復しても魔法系統レーダーは回復までもうちょっとかかりそう。魔法粒子が起爆でめちゃくちゃになってて、個体レベルの探知は当面無理。群体レベルなら探知出来るだろうけど」

「分かった。流石にこのレベルの爆弾はあっちアルストルムあっちじゃ無かったからな」

「二三式マト弾が抑止力ってのは本当だったのね。目の前で威力を目にすれば納得だわ」

「とんでもねえ爆弾だわ。こりゃ切り札に違いねえ。ただよ、これで全部蹴散らすのは無理だろうな」

「ああ。いくらこの手の爆弾でも全てを倒すのは難しい。まあでも、かなりの数を吹き飛ばしたんだ。さっきよりはずっと楽なはず。ていうか、そうじゃなきゃ困る」

「ハハッ!   ちげえねえや」

 大輝は声を出して笑う。切り札が場に出されたことで余裕が少し出てきた証拠だった。
 レーダーが回復するまでの七分間も、効果直径外のCTを倒すために攻撃は続いていた。しかしその数はずっと少なく、五分と経たず戦線のほぼ全てでCTのほとんどは倒されていた。

 そして、レーダー回復後。

『立川HQより東京・埼玉南西部戦線各員へ。二三式マト弾により、CT第五波の九五パーセントを撃破。続けて、第六波の八〇パーセントを撃破。CT、効果直径内にほぼ存在せず!』

 立川HQの報告に各戦線から歓声が上がった。この半日ずっと苦しめられていたCTの大群の大多数が消し飛んだのだ。抱き合って喜ぶ者達もいた。

「よっしゃぁぁ!!   ざまぁみろバケモノ共!」

「よし、よし!!   これでかなり戦いやすくなるぞ!」

「やったわね!    あとはまだ向こうにいる第六波の残存を倒すだけだわ!」

「良かったぁ!    魔力も結構厳しかったし、これならいけるね!」

 大輝、孝弘、水帆、知花の順に喜び合い、孝弘と水帆、大輝と知花は抱きしめ合う。六年の激戦を生き抜き、二度目の戦争に身を投じている彼等がこうなのだ。それほどまでに今の戦いは厳しかったと言えるだろう。

 しかし、喜んで終わりにはまだ早い。四人はひとしきりこの余韻に浸ると、孝弘は顔を引き締めて口を開いた。

「二三式のお陰でかなりのCTが片付いたけど、まだ敵は残ってる。あと少し頑張ろう」

「ええ!」

「おう!」

「うん!」

『セブンスよりキャスター1。そっちもCTがかなり減ったみたいだね。マト弾様々だ』

 四人が意気込みを新たにすると、璃佳から通信が入った。彼女の声もかなり明るかった。

「キャスター1よりセブンスへ。新小岩DBもかなり先までCTが消えました。まだ第六波が少々残っていますが、到達まで余裕があります」

『良かった良かった!    こっちも同じ感じだよ。四人とも、あと少し乗り切れそうかな?』

「はっ。はい。自分含め四人とも残存魔力は四割切るか切らないかでそろそろ不味かったですが、これなら何とかなりそうです。ただ」

『ただ?』

「終わったらまとまった休みが欲しいです。正直クタクタです」

『ふふっ。私も同感。ウチは戦いっぱなしだったからね。いくら第一特務でも休養は必須だから、絶対長めの休みをもぎ取るよ』

「よろしくお願いします」

『任せて。さ、あと少し任せたよ』

「はっ!」

 孝弘は璃佳との通信を終えると、水帆達と共に残敵掃討のため残弾確認や残存魔力の確認、ラスト一本のつもりで魔力回復薬を飲むなどしていく。
 新小岩DBにしても、他のDBにしてもCTの大部分がいなくなったことで、砲弾薬はやや心許なくとも、心の余裕がかなり生まれていた。
 ところが、戦いは素直に終わってくれなかった。後年の戦史家達は口を揃えてこういう。

『この命令を出した神聖帝国指揮官は、人が嫌がる事をすることにかけては一流だったといえるだろう』

 それは孝弘が璃佳との通信を終えてから一五分後くらいの時で、第六波の到達がまだ一時間半も先の頃だった。
 先程は喜色に満ちた声で通信を送ってきた立川HQから、今度は緊迫した声音でとある報告を送ってきた。

『立川HQより緊急通報!!    北関東方面より高速飛行群体を探知!!    数は七!!    速度は約九〇〇、いや、九五〇!    高速飛行体の特定中!   特定!!    敵はドラゴンにあらず!!   敵はエンザリアCTに類似した魔力波長を持っている!    繰り返す!!    敵はドラゴンにあらず!   エンザリアCTに類似した魔力波長を持っている!』
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