異世界妖魔大戦〜転生者は戦争に備え改革を実行し、戦勝の為に身を投ずる〜

金華高乃

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第15章 戦間期編2

第13話 ヴォルティック艦隊の視察(前)

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 ・・13・・
 1844年1の月16の日
 午前7時5分
 妖魔帝国南部地方・セヴァストゥーポラ
 妖魔帝国海軍ヴォルティック艦隊基地近郊

 アカツキ達連合王国がY特務機関を設立し着実に妖魔帝国本土への諜報任務の準備をしていた頃、妖魔帝国では『レオニブルク計画』以外にも、『普通の』軍拡が進行していた。
 リシュカや軍参謀本部などが計画を立てていき皇帝レオニードの指導のもと、妖魔帝国軍は進化を遂げつつあったのだ。
 陸軍は士官教育から抜本的にされていた成果は出始めていたし、懸念だった下士官以下の教育も遅延は伴っていたがまずまずの進捗と言ってよかった。陸軍の兵器開発――新型ライフルや情報兵站システムに至るまで――も同様と言っても良い。
 これら計画が速やかに進行しているのは、やはり皇帝を頂点とする専制政治という要素が一番大きいだろう。同じく国王を頂点とする連合王国でもここまで早くは動けない。連合王国は限定的に民主主義を導入しているからだ。反して妖魔帝国は皇帝の一声で決められるのだから連合王国に比して行動が速やかなのも当然だった。ましてリシュカという存在がいるから尚更だとも言えるだろう。
 そのリシュカ、新年を迎えてからは休暇も程々に早速五カ年計画の進捗を確認しに帝都レオニブルクを離れオットー副師団長など少数の部下を伴って妖魔帝国南部、黒真珠海沿岸の街たる妖魔帝国海軍の一大拠点セヴァストゥーポラ市にいた。
 時刻は朝七時過ぎ。彼女が宿泊地としているのは、皇帝レオニードに与えられた別荘地だった。これは皇帝に代わり特別相談役として各所を回る際に必要だからと供された別荘の一つだった。

「ここがこうで、こっちをこうして、ここはこうかなぁー」

 彼女が寝室兼書斎のような扱いにしている部屋では、朝七時にも関わらず既にリシュカは起きていて机に向かって地図を開いて何やら書き込んでいた。
 格好も寝巻きから公務用の真ん中にフリルがあしらわれた白いカッターシャツに防寒用の黒いセーター。真っ黒のロングワンピースを着ていた。いくらレオニブルクより温暖なセヴァストゥーポラとはいえ厳寒期の朝は氷点下まで冷え込む。だが、暖房の魔導具によって適温に保たれていた。

「あっちが沢山、こっちも沢山、うーん、ここはこうの方がいいのかなあ。主戦線はここからとして、副戦線はこことここ。あとは並行した計画で、こうかなー」

 テーブルに置いたガラス製の灰皿に添えてある煙草を手に取り、吸って紫煙を吐き出す。
 地図に矢印等を書き込む彼女の様子はいつもよりかは上機嫌に思えた。
 朝の珈琲は屋敷のメイドが用意してくれたもので、彼女が口を付けてほぅ、と息をつくと部屋の扉がノックされた。

「おはようございます、リシュカ様。オットーにございます」

「おはよーオットー副師団長。入っていいよ」

「はっ。失礼致します」

 部屋に入ったオットー副師団長は軍服姿だった。屋内の為に軍用コートまでは羽織っていなかったが。

「朝からご公務に励まれておりましたか。お疲れ様です」

「ん、これ? 公務っていうより半ば趣味だよ?」

「拝見してよろしいですか?」

「どーぞどーぞ」

「では失礼して。…………これはどう見ても公務では?」

「そぉ?」

 オットー副師団長は広い紙が何かを入室時点で分かっていたからこそ、そう返答する。
 当然だ。何故なら机に広げられていたのは妖魔帝国を中心として南方蛮族地域、南方大陸に人類諸国各国までがおさまっていた世界地図だったからだ。
 オットー副師団長は聡明である。だからリシュカが何を書き込んでいたのかをすぐに察した。

「これは攻勢計画ですね? 再戦時にどのように仕掛けるかを皇帝陛下に上奏するものでしょうか?」

「ごめーとー。流石はオットー副師団長。まだあくまで私の妄想の範囲内でしか無いけれど、計画を完遂してから実際に攻めるならどうしよっかなあと思ってね」

「実に壮大でありますね。これまでの我が帝国の方針では山脈以西の侵攻を主攻線としましたが、なるほど南方蛮族地域は全土を征服するのはもう間もなくですし、副戦線としては適切でしょうね。しかし、アルネセイラやロンドリウム、イリスにあるこのマークはなんですか?」

「これ? ひ、み、つー」

 ニコニコと楽しそうに笑うリシュカだが目は笑っていなかった。オットー副師団長は間違いなくとんでもない企みを練っているのに気付いたがあえて触れないでおいた。

「そうでありましたか。いえ、リシュカ様ならばきっと人類諸国共を戦慄させる作戦をお考えなのでしょう」

「んふふー、まーねー」

「計画を公表される時を楽しみにさせて頂きますね」

「ほーい。あ、そだオットー副師団長。例のコミュー共の件はどうなってるー?」

「コミュー共、ああ、共産主義者共の事でしょうか?」

「そーそー」

 リシュカとオットー副師団長が言うコミューとは共産主義者、前世ではコミーとも呼ばれていた思想の持ち主達である。
 この世界でも例に漏れず人類諸国においてや妖魔帝国内において共産主義の考え方は生まれており、特に前皇帝まで経済が芳しく無かった事もあって芽生えていたのである。
 しかし、共産主義と皇帝による専制政治は相性が悪く相容れない。資本主義とも相容れないが、理想では人民による政治と経済を掲げる共産主義は妖魔帝国皇帝やリシュカなどにとっては邪魔な存在であった。
 となると、行き着く先は弾圧。早い話が粛清だ。危険思想として検挙は既に進んでいるものの、必ずしも完全ではなかった。
 そこでリシュカはレオニードに提案して大規模弾圧作戦を立案。快諾したレオニードはリシュカがセヴァストゥーポラにいる間にも実行へと移していた。

「連中、畏れ多くも皇帝陛下をその座から引き摺り下ろそうとする不遜な輩だし危険な思想の持ち主達だからね。大体、あんな思想なんて上手くいくわけないし、例えば連中が実権を握ったとしても結局は独裁に行き着くだろうし、結果として国は荒廃する。誰も喜ばないって」

「まるで経験したかのような言い方ですが、心当たりでもあるのですか?」

「いや、あくまで予想。でも、末路は簡単に想像がつくよ。だって、皆平等なんてありえないでしょう?」

「仰る通りで」

 リシュカは前世の経験則から共産主義は理想でしかなく、結局は失敗する事を歴史として知っていた。特にある国に至っては指導者が疑心暗鬼だったのもあるがそのせいで第二次世界大戦の緒戦で随分苦しんでいたのも覚えていたし、末路は崩壊も覚えていた。
 それに、リシュカにとって共産主義は自身の復讐たる人類諸国の絶滅には不要な存在でもあった。再戦時に背後から一刺ししそうな奴等など存在していい勢力なはずが無かった。
 ともかくして、妖魔帝国内において共産主義勢力は早晩駆逐されようとしていた。

「帝都レオニブルク、西方が連中の主たる活動地だけど根絶やしにしてしまえばいいよ。よしんば残っても抵抗力を残さないくらいに、いや、あのしぶとさを考えれば根絶やし、かな」

「帝都からは順調に作戦遂行中との事ですから、大丈夫でしょう」

「その辺は陛下直属の国家憲兵が上手いことやってくれるでしょう。彼等はこと陛下の威信に関わる事なら熱心で忠実だから。さーてと、どうせこのあとは公務だし今は一旦置いといて朝食にしましょう」

「御意。もう七時半も過ぎましたからね」

 リシュカとオットー副師団長は朝食の場へと向かう。
 用意された朝食を摂り終えると、九時過ぎには別荘を馬車に乗って出発した。人類諸国と違ってまだ妖魔帝国では蒸気自動車は普及していない。テコ入れによってようやく輸送に使用する軍用蒸気自動車の生産が始まったばかりで、道行くのは馬車ばかりだった。
 リシュカは道行くそれらを眺めて、蒸気自動車の早期普及は必須だと感じていた。

「おー、だいぶ建設が進んでいるじゃない」

「セヴァストゥーポラ駅ですね。帝都とここまでを結ぶ路線は今夏には完成し、秋にも開通するそうです」

「人類諸国に比べればやっとだよね。共和国にすら遅れるとか恥だもの」

「人類諸国の農業国かつ工業国化しつつ国ですね。連合王国の支援もあって敷設はそこそこ進んでいると諜報機関から情報提供がありましたね」

 人類諸国の連合王国の鉄道開通から遅れること五年。ようやく妖魔帝国でも鉄道の開通がされようとしていた。
 開通区間はレオニブルクとここセヴァストゥーポラの南部線、同じくレオニブルクから西部の主要都市スモレンスカの西部線。ひとまずは戦時の際に速やかに軍輸送を担う為に敷設さされていた。これらはリシュカが特別相談役就任時点でスタートしており、妖魔帝国の広い国土によって時間がかかっていたものの今年に開通を予定していた。
 軌間は人類諸国で採用されている標準軌ではなく広軌。図らずも前世のロシア帝国で採用されたものと同じ軌間であった。

「私の計画からしたらまだまだ。西部方面も敷設は進んでいて、こっちも今年で完成だけど、再戦時に効率的に運用するにはノウハウを蓄積しないと」

「確か妖魔帝国内に敷設するのは広軌、と呼ばれるものでしたか。人類諸国より広いとの事ですが」

「連中と同じ軌間にするなんて馬鹿のすることよ。万が一にも占領された時にそのまま利用されるじゃない」

「間違いありませんね。その点、広軌ならば利用されることもありません。よしんば利用しようとしても、我が国で使う規格と同じものを作るか、そうでなければ軌間を変えなければならないでしょう」

「よく勉強してるね、オットー副師団長」

「光栄にございます。聡明なリシュカ様に少しでも追いつくよう、学ばさせて頂きました」

「うんうん、いい姿勢だよ」

 セヴァストゥーポラ市から若干郊外にあるセヴァストゥーポラ駅を過ぎると、一度中心市街地に入り、内海たる黒真珠海の方角の南へ向かう。
 馬車に揺られること約一時間半。妖魔帝国海軍基地のセヴァストゥーポラ基地が見えてきた。
 リシュカはセヴァストゥーポラ基地を見つめて、オットー副師団長に悟られない程度に顔を顰める。彼女にとってセヴァストゥーポラ基地にある艦隊は少なからず因縁があるからだ。
 セヴァストゥーポラ基地にいる艦隊。それはリシュカがフィリーネだった頃に殺し合いをしたヴォルティック艦隊が根拠地とする基地だからである。となれば、そこにいる指揮官も顔こそ合わせた事は無いものの名を耳にした事のある相手でもあった。

(かつては宿敵だったヴォルティック艦隊が、今や私と陛下の手によってさらなる進化を遂げようとしているんだから、世の中どうなるか分からないものだよね)

「リシュカ様?」

「ん? どうしたの?」

「顔を難しくされていたので。今から会われるクドロフ大将閣下は気難しい方ではありますが、確かお顔を合わされるのは二度目でございますよね?」

「先月の年末の舞踏会以来かな。一言二言交わしただけで、マトモに話すのは今日が初めてだよ。なんか話しづらくてねえ」

「話しやすい方はいらっしゃらないかと。ですが、そう悪くは思っておられないかと。同期が海軍でして、会話の際にクドロフ大将閣下の事が出たのですが、誰にも考えつかぬ新しくも面白い発想をする御仁だ。陛下の特別相談役になるだけあると仰っていたとか」

「ふうん。嫌われていないならいいや」

「はい。なので、ご安心して視察に臨まれて頂ければと思います」

 馬車はセヴァストゥーポラ基地の正門に差し掛かり、衛兵の敬礼を受けて馬車は入っていく。
 妖魔帝国海軍にとって最大の艦隊であるヴォルティック艦隊の本拠地、セヴァストゥーポラ基地は瀟洒な建物が並ぶ広大な基地だった。各所では海軍の軍人が動き回り、賑やかな雰囲気でもあった。レオニードが皇帝になって以降は幾分か兵士達の待遇も良くなったから、将兵の顔つきはそこそこ明るかった。
 馬車はセヴァストゥーポラ基地司令部の前で止まる。
 リシュカとオットー副師団長は降車するとそこにいたのは数名の海軍軍人と数十人の海兵隊儀仗兵で、中央にはあのクドロフ大将がいた。

「総員皇帝陛下が名代、特別相談役リシュカ・フィブラ中将相当官へ捧げ、つつ!」

 クドロフ大将の隣にいた副官らしき人物がごうれいをかけると、左右に並んでいた儀仗兵が一斉に捧げ銃をした。

「このような盛大な出迎えに感謝致します、クドロフ大将閣下」

「何、貴官が訪れるのだからこれくらいの艦隊はさせてもらう。遠路帝都よりよう来てくれた、フィブラ特別相談役」

 リシュカが将兵達が感心するような模範的な妖魔帝国式敬礼をすると、クドロフ大将が威厳を放ちつつも微笑して答礼した。
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