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第22章 死守せよ、ムィトゥーラウ―オチャルフ絶対防衛線編
第3話 後退支援作戦を提案したのは
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・・3・・
1の月20の日
午前8時25分
人類諸国統合軍・ムィトゥーラウ中央方面軍前線司令部
一の月も二十日になる頃には帝国軍はムィトゥーラウまで約四〇キーラにまで迫ってきていた。
人類諸国統合軍は当初の計画通りジリジリと意図を持った後退を続けているものの数的不利という戦力差はやはり拭い難くて、ここしばらく綱渡りな展開が多くなっている。これだけの統率を保ちつつも戦線が破綻していないのは奇跡と言っても過言ではなかった。
僕もマーチス侯爵と話した二日後の十三の日には従来のムィトゥーラウ市街にある司令部ではなく、ムィトゥーラウ中央方面軍前線司令部へ拠点を変えた。
僕の役職はマーチス侯爵の副官。そして、能力者化師団の総司令官だ。これまで後方での作戦立案や様々な調整をメインに行っていたけれど、オチャルフの資材系手配や大体の後方での仕事は終えたし、何より戦線を支える事自体が日に日に難しくなっている。
そこで僕が向かえば士気向上にも繋がるし、作戦計画にとって重要な局面を迎えつつある今ここからは、エイジスを保有する僕がいた方が戦線管理もしやすくなる。
マーチス侯爵の命令もあって、僕は前線にいるわけた。
二十の日午前八時半前。
今はリイナ、エイジスにアレン大佐――一昨日までの激戦で彼の部隊は一日だけこの後方に休息と補充で下げさせている――のいつものメンツに加え、ココノエ陛下達もいた。場所は前線から約十キーラ離れた地点。連合王国の能力者化師団三個師団の内、今いるブロックを担当している第一〇一能力者化師団師団長、オスカー師団長案内のもとで戦線視察をしていた。
帝国軍のほとんどの主要砲火力射程ギリギリ範囲外かつ、視察するのに安全を保てる程度のここからだと戦争の様子はよく観察する事が出来ていた。
「苦しい、展開だね……」
「はい。一〇一は他師団の負担も一部請け負っておりますので既に損耗率が七パルセント近くにまで上昇しており、そろそろ厳しくなるかと」
僕はエイジスの情報共有画面と単眼鏡を交互に見ながら戦線の様子を観察し言うと、オスカー師団長は苦々しい表情で返す。
「エイジス、ブロック内にいる帝国軍の動きはどう?」
「サー。帝国軍は昨日より前線に展開する軍の一部転換を行い、以後攻勢が強まっています。マップにマークしてある帝国軍第八軍隷下の師団が二個師団。それが転換後に配置された軍になります」
「エイジスよ。第八軍隷下の師団とやらは、確かあのリシュカとやらが指揮官の軍じゃったな?」
「肯定。その通りですココノエ陛下」
「ふむぅ、厄介じゃのお」
前線の状況が書き込まれた地図を見ながら、ココノエ陛下はため息をつく。
「ここに来て帝国軍も本腰を入れ始めたという事かしら」
「だろうねリイナ。単純に展開していた帝国軍師団が一〇一の奮闘で損耗していたから交代させたんだろうけど、今まで第八軍は後方予備だったはず。それが表に出てきたってことは、後々の市街戦でこっちの抵抗を減らす為にまずは二個師団を投入してきたんだろうさ」
「補足。ただし、帝国軍第八軍内にいると思われる帝国軍第八近衛師団はブロック内で探知しておりません。また、リシュカ・フィブラの魔力も同様です」
「高みの見物とはいいご身分ね。役職故に滅多には前線には姿を出さないんでしょうけれど」
「まだ、なだけだろうね。いつかは立ちはだかってくるはずだ」
「自分としては帝国軍のバケモノでしたか。ソレが出てこなくてほっとしてますよ。損害が桁違いになります。今ですらこの有様なのですから」
オスカー師団長は険しい顔つきで言う。
昨日からあの人が率いる第八軍の一部が前線に出てきた事により、一〇一は苦しい戦いを強いられているからだ。
「オスカー師団長、正直に言って欲しい。一〇一師団はあとどれ位戦線を維持出来る?」
「ムィトゥーラウ市街戦さえ気にしなければまだ幾らでもやれますが、今後の事を踏まえるとそろそろ後退させたいところです。連隊長クラスからは悲鳴に近い進言がありまして、私の一存で下げられるギリギリまでは後退良しの命令は出しました」
「構わないよ。能力者化師団は虎の子師団で、補充もすぐには難しい。オチャルフでも活躍してもらわなきゃいけない以上、損耗は避けたいからね」
「であれば四半日、午後には後退させたいですな……。既に前線司令部には連絡はしてあるのでスムーズに配置転換は済むと思われます。ですから夕方まで維持させるのは……」
「午後、か……。エイジス、一〇一師団を午後に後退させたとして、当日夜までと交代の師団配置で戦線がどうなるか予測演算を」
「サー、マスター」
エイジスはすぐさま演算を始める。
結果は三分と少しで出た。
やっぱ、そうなるか……。
「演算完了。戦線を現状維持させながらの一〇一師団と入れ替わる部隊の配置転換には最低でも半日を要します。主要素、帝国軍第八軍隷下師団は練度が高く一筋縄では後退出来ない点。さらに一〇一の代わりに当該ブロックには一般的な師団であれば現状の三割増しは必要になるかと」
「半日は苦しいですね……。持たせろと言われれば持たせますが……」
オスカー師団長はやれますと言うけれど、間違いなく少しでも早く後退させたいと思っている。
けれど、予備兵力の乏しさが中々許してくれないのも知っている。彼は苦渋の決断を迫られているわけだ。
僕としてはどうにかしてあげたい。でも、どうにかするには足りないものが多い。
戦線の推移を画面で見渡し、なんとか一時間でも早く交代させられないだろうかと僕が思考回路をフル回転させた時だった。
一人、沈黙を破るように発言する人がいた。
ココノエ陛下だ。
「ならば、妾達が時間稼ぎをするのが良さそうじゃの」
「ココノエ陛下達が、でありますか?」
「うむ。妾達じゃ。ただし、お主やエイジス、アレン大佐達の力を借りることになるがの。無論、オスカー師団長の一〇一もじゃ」
突然の彼女の提案に僕は戸惑う。
ココノエ陛下達が僕達の力を借りて時間稼ぎってどういうこと?
僕はどうやって時間を、と思っていると陛下から答えを教えてくれた。
「何も妾達は龍となって戦うばかりではないのはお主も知っておろう?」
「え、ええ。勿論。ですが、二個師団の足止めともなれば至難の業です。いや、待てよ……。龍化せずに地上で時間稼ぎとなると……」
「気付いたかの?」
「まさかですが、以前お話をされておられた皇国式戦術級魔法の発動でありますか?」
「ご名答じゃ。前線にいる八人のうち三人は航空優勢確保の任を任せておるから実質五人で決行する事になるが、妾が発動し補助に実朝らだけでは足らぬが、なあに、エイジスもおるからの」
「確かにエイジスのリソースなら可能ではありますね」
「そうね。前に陛下から皇国式戦術級についてはお聞きしていたけれど、威力の面からも申し分ないわ」
「肯定。戦術級魔法の補助であれば迎撃術式等ディフェンスモードの並列処理は可能です」
「あの……。ココノエ陛下直々に後退援護をして頂けるのであれば恐悦至極に尽きますが、一体皇国式戦術級とやらでどのように行うのでしょうか……。威力面もご教授願いたく……」
「オスカー師団長の言う通りだね。威力については僕も知っているけど、手順を知りたい。陛下、作戦を教えて頂けますか?」
「勿論じゃ。思いつきじゃが、大体これから話す形で進めるつもりじゃ」
すると、ココノエ陛下は作戦について話し始める。
簡潔に纏めるとこうだった。
1,皇国式戦術級魔法名『龍光閃』は、光属性広範囲光線術式である。発動までに十分を要するものの、発動すれば帝国軍に対して横薙ぎの高威力光線術式で攻撃可能。余程の高密度魔法障壁でないと防げない。
2,そこで僕やエイジスにリイナ、アレン大佐達の大隊。後退する一〇一師団に協力して欲しいとのこと。
3,ただし一〇一師団はこれまでの後退行動に変更は無し。帝国軍の部隊を攻撃予測地点に多く集めて貰えればいい。場所は後退地点の内、帝国軍から見て十数メートルの丘を登りきった所。
4,協力のメインは僕達になる。戦術級魔法詠唱中は陛下達は無防備になってしまう。よって僕達がするのはココノエ陛下達の護衛とのこと。
5,まずエイジス。役目は二つ。一つ目がココノエ陛下の補助。エイジスの能力的に座標と範囲の決定が最適なのでこれを担当。二つ目、飛来する砲弾や魔法からディフェンスモードで迎撃もしくは魔法障壁で防御。
6,続いて僕やリイナはエイジスと同じく迎撃と防御を担当。これは僕とリイナがエイジスの情報共有で敵の動きをリアルに読み取れる為。よって僕達の隣には通信要員を控えさせる。
7,アレン大佐達は一〇一師団の撤退と攻撃地点への誘導を補助。基本的に白兵戦では無く、敵の衝突力減衰を主とする遠距離支援射撃に徹する。
8,なお本作戦の詠唱完了まで当該ブロック内の重火力は作戦地域に後方支援攻撃として集中させる。
9,詠唱完了と共に最終座標を確定。友軍の退避を確認して発動する。
10,作戦成功後、一〇一師団以外の当該ブロック担当部隊は帝国軍を追撃し深追いさせないようにする。可能であれば少しでも敵軍を後退させたい。
11、その間に一〇一師団は後退。交代の部隊も参戦し一時的でもいいので従来の戦線を維持。後、作戦の完全完了後に当該ブロック全部隊が予定通りの後退を行う。
「――とざっとこんなものじゃな。一〇一師団については元々の行動からさほど変わらぬし、アレン大佐の大隊もアカツキが指揮権を握っているであろ? 作戦の確認と情報共有の為の打ち合わせは少々必要じゃし後方支援攻撃の要請もいるじゃろうが、即席で行えるはずじゃぞ」
ココノエ陛下の作戦提案に、僕は大きく感心した。
彼女の作戦はまず何よりも今ある材料――ここでいうと人的資源のこと――で実現可能である点だ。
さらに作戦実行にあたっての打ち合わせも最低限で済むのも素晴らしい。
これは悩む必要すら無いよね。即決だ。
「ココノエ陛下、その作戦やりましょう。もう少しだけ内容を打ち合わせで詰めたら、すぐに手配をします」
「……! うむ!!」
僕の返答にココノエ陛下は顔を明るくさせる。
僕達は早速、陛下の立案した作戦を書面に起こして実行する為の準備を始めるのだった。
そして、同日午後三時過ぎ。
一〇一師団等を含む、今いるブロックの後退支援作戦『龍の加護作戦』開始を迎えることになる。
1の月20の日
午前8時25分
人類諸国統合軍・ムィトゥーラウ中央方面軍前線司令部
一の月も二十日になる頃には帝国軍はムィトゥーラウまで約四〇キーラにまで迫ってきていた。
人類諸国統合軍は当初の計画通りジリジリと意図を持った後退を続けているものの数的不利という戦力差はやはり拭い難くて、ここしばらく綱渡りな展開が多くなっている。これだけの統率を保ちつつも戦線が破綻していないのは奇跡と言っても過言ではなかった。
僕もマーチス侯爵と話した二日後の十三の日には従来のムィトゥーラウ市街にある司令部ではなく、ムィトゥーラウ中央方面軍前線司令部へ拠点を変えた。
僕の役職はマーチス侯爵の副官。そして、能力者化師団の総司令官だ。これまで後方での作戦立案や様々な調整をメインに行っていたけれど、オチャルフの資材系手配や大体の後方での仕事は終えたし、何より戦線を支える事自体が日に日に難しくなっている。
そこで僕が向かえば士気向上にも繋がるし、作戦計画にとって重要な局面を迎えつつある今ここからは、エイジスを保有する僕がいた方が戦線管理もしやすくなる。
マーチス侯爵の命令もあって、僕は前線にいるわけた。
二十の日午前八時半前。
今はリイナ、エイジスにアレン大佐――一昨日までの激戦で彼の部隊は一日だけこの後方に休息と補充で下げさせている――のいつものメンツに加え、ココノエ陛下達もいた。場所は前線から約十キーラ離れた地点。連合王国の能力者化師団三個師団の内、今いるブロックを担当している第一〇一能力者化師団師団長、オスカー師団長案内のもとで戦線視察をしていた。
帝国軍のほとんどの主要砲火力射程ギリギリ範囲外かつ、視察するのに安全を保てる程度のここからだと戦争の様子はよく観察する事が出来ていた。
「苦しい、展開だね……」
「はい。一〇一は他師団の負担も一部請け負っておりますので既に損耗率が七パルセント近くにまで上昇しており、そろそろ厳しくなるかと」
僕はエイジスの情報共有画面と単眼鏡を交互に見ながら戦線の様子を観察し言うと、オスカー師団長は苦々しい表情で返す。
「エイジス、ブロック内にいる帝国軍の動きはどう?」
「サー。帝国軍は昨日より前線に展開する軍の一部転換を行い、以後攻勢が強まっています。マップにマークしてある帝国軍第八軍隷下の師団が二個師団。それが転換後に配置された軍になります」
「エイジスよ。第八軍隷下の師団とやらは、確かあのリシュカとやらが指揮官の軍じゃったな?」
「肯定。その通りですココノエ陛下」
「ふむぅ、厄介じゃのお」
前線の状況が書き込まれた地図を見ながら、ココノエ陛下はため息をつく。
「ここに来て帝国軍も本腰を入れ始めたという事かしら」
「だろうねリイナ。単純に展開していた帝国軍師団が一〇一の奮闘で損耗していたから交代させたんだろうけど、今まで第八軍は後方予備だったはず。それが表に出てきたってことは、後々の市街戦でこっちの抵抗を減らす為にまずは二個師団を投入してきたんだろうさ」
「補足。ただし、帝国軍第八軍内にいると思われる帝国軍第八近衛師団はブロック内で探知しておりません。また、リシュカ・フィブラの魔力も同様です」
「高みの見物とはいいご身分ね。役職故に滅多には前線には姿を出さないんでしょうけれど」
「まだ、なだけだろうね。いつかは立ちはだかってくるはずだ」
「自分としては帝国軍のバケモノでしたか。ソレが出てこなくてほっとしてますよ。損害が桁違いになります。今ですらこの有様なのですから」
オスカー師団長は険しい顔つきで言う。
昨日からあの人が率いる第八軍の一部が前線に出てきた事により、一〇一は苦しい戦いを強いられているからだ。
「オスカー師団長、正直に言って欲しい。一〇一師団はあとどれ位戦線を維持出来る?」
「ムィトゥーラウ市街戦さえ気にしなければまだ幾らでもやれますが、今後の事を踏まえるとそろそろ後退させたいところです。連隊長クラスからは悲鳴に近い進言がありまして、私の一存で下げられるギリギリまでは後退良しの命令は出しました」
「構わないよ。能力者化師団は虎の子師団で、補充もすぐには難しい。オチャルフでも活躍してもらわなきゃいけない以上、損耗は避けたいからね」
「であれば四半日、午後には後退させたいですな……。既に前線司令部には連絡はしてあるのでスムーズに配置転換は済むと思われます。ですから夕方まで維持させるのは……」
「午後、か……。エイジス、一〇一師団を午後に後退させたとして、当日夜までと交代の師団配置で戦線がどうなるか予測演算を」
「サー、マスター」
エイジスはすぐさま演算を始める。
結果は三分と少しで出た。
やっぱ、そうなるか……。
「演算完了。戦線を現状維持させながらの一〇一師団と入れ替わる部隊の配置転換には最低でも半日を要します。主要素、帝国軍第八軍隷下師団は練度が高く一筋縄では後退出来ない点。さらに一〇一の代わりに当該ブロックには一般的な師団であれば現状の三割増しは必要になるかと」
「半日は苦しいですね……。持たせろと言われれば持たせますが……」
オスカー師団長はやれますと言うけれど、間違いなく少しでも早く後退させたいと思っている。
けれど、予備兵力の乏しさが中々許してくれないのも知っている。彼は苦渋の決断を迫られているわけだ。
僕としてはどうにかしてあげたい。でも、どうにかするには足りないものが多い。
戦線の推移を画面で見渡し、なんとか一時間でも早く交代させられないだろうかと僕が思考回路をフル回転させた時だった。
一人、沈黙を破るように発言する人がいた。
ココノエ陛下だ。
「ならば、妾達が時間稼ぎをするのが良さそうじゃの」
「ココノエ陛下達が、でありますか?」
「うむ。妾達じゃ。ただし、お主やエイジス、アレン大佐達の力を借りることになるがの。無論、オスカー師団長の一〇一もじゃ」
突然の彼女の提案に僕は戸惑う。
ココノエ陛下達が僕達の力を借りて時間稼ぎってどういうこと?
僕はどうやって時間を、と思っていると陛下から答えを教えてくれた。
「何も妾達は龍となって戦うばかりではないのはお主も知っておろう?」
「え、ええ。勿論。ですが、二個師団の足止めともなれば至難の業です。いや、待てよ……。龍化せずに地上で時間稼ぎとなると……」
「気付いたかの?」
「まさかですが、以前お話をされておられた皇国式戦術級魔法の発動でありますか?」
「ご名答じゃ。前線にいる八人のうち三人は航空優勢確保の任を任せておるから実質五人で決行する事になるが、妾が発動し補助に実朝らだけでは足らぬが、なあに、エイジスもおるからの」
「確かにエイジスのリソースなら可能ではありますね」
「そうね。前に陛下から皇国式戦術級についてはお聞きしていたけれど、威力の面からも申し分ないわ」
「肯定。戦術級魔法の補助であれば迎撃術式等ディフェンスモードの並列処理は可能です」
「あの……。ココノエ陛下直々に後退援護をして頂けるのであれば恐悦至極に尽きますが、一体皇国式戦術級とやらでどのように行うのでしょうか……。威力面もご教授願いたく……」
「オスカー師団長の言う通りだね。威力については僕も知っているけど、手順を知りたい。陛下、作戦を教えて頂けますか?」
「勿論じゃ。思いつきじゃが、大体これから話す形で進めるつもりじゃ」
すると、ココノエ陛下は作戦について話し始める。
簡潔に纏めるとこうだった。
1,皇国式戦術級魔法名『龍光閃』は、光属性広範囲光線術式である。発動までに十分を要するものの、発動すれば帝国軍に対して横薙ぎの高威力光線術式で攻撃可能。余程の高密度魔法障壁でないと防げない。
2,そこで僕やエイジスにリイナ、アレン大佐達の大隊。後退する一〇一師団に協力して欲しいとのこと。
3,ただし一〇一師団はこれまでの後退行動に変更は無し。帝国軍の部隊を攻撃予測地点に多く集めて貰えればいい。場所は後退地点の内、帝国軍から見て十数メートルの丘を登りきった所。
4,協力のメインは僕達になる。戦術級魔法詠唱中は陛下達は無防備になってしまう。よって僕達がするのはココノエ陛下達の護衛とのこと。
5,まずエイジス。役目は二つ。一つ目がココノエ陛下の補助。エイジスの能力的に座標と範囲の決定が最適なのでこれを担当。二つ目、飛来する砲弾や魔法からディフェンスモードで迎撃もしくは魔法障壁で防御。
6,続いて僕やリイナはエイジスと同じく迎撃と防御を担当。これは僕とリイナがエイジスの情報共有で敵の動きをリアルに読み取れる為。よって僕達の隣には通信要員を控えさせる。
7,アレン大佐達は一〇一師団の撤退と攻撃地点への誘導を補助。基本的に白兵戦では無く、敵の衝突力減衰を主とする遠距離支援射撃に徹する。
8,なお本作戦の詠唱完了まで当該ブロック内の重火力は作戦地域に後方支援攻撃として集中させる。
9,詠唱完了と共に最終座標を確定。友軍の退避を確認して発動する。
10,作戦成功後、一〇一師団以外の当該ブロック担当部隊は帝国軍を追撃し深追いさせないようにする。可能であれば少しでも敵軍を後退させたい。
11、その間に一〇一師団は後退。交代の部隊も参戦し一時的でもいいので従来の戦線を維持。後、作戦の完全完了後に当該ブロック全部隊が予定通りの後退を行う。
「――とざっとこんなものじゃな。一〇一師団については元々の行動からさほど変わらぬし、アレン大佐の大隊もアカツキが指揮権を握っているであろ? 作戦の確認と情報共有の為の打ち合わせは少々必要じゃし後方支援攻撃の要請もいるじゃろうが、即席で行えるはずじゃぞ」
ココノエ陛下の作戦提案に、僕は大きく感心した。
彼女の作戦はまず何よりも今ある材料――ここでいうと人的資源のこと――で実現可能である点だ。
さらに作戦実行にあたっての打ち合わせも最低限で済むのも素晴らしい。
これは悩む必要すら無いよね。即決だ。
「ココノエ陛下、その作戦やりましょう。もう少しだけ内容を打ち合わせで詰めたら、すぐに手配をします」
「……! うむ!!」
僕の返答にココノエ陛下は顔を明るくさせる。
僕達は早速、陛下の立案した作戦を書面に起こして実行する為の準備を始めるのだった。
そして、同日午後三時過ぎ。
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