この美少女幼馴染はただの教育係です!

手垢

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第3話 間違って触れたけど過失というにはもったいないよね

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 「ハロウィンはなんかした?って俺らみたいな童貞陰キャには愚問かぁ。あんなの陽キャたちが騒ぐだけのイベントだもんな、ハハハ……」
 「そ、そうだな……」

 放課後、駅まで向かう道中で二人の男子高校生、琢磨とその腐れ縁のような友人、中田薫が寒くなってきた夕方の空気に肩をすぼめながらぼそりぼそりと話す。

 「なんか歯切れ悪くね。……あぁ、そうか、お前やったな?」
 「やったなってなんだよ。ハロウィンだろ?いつも通り家で過ごしたさ。少し早起きしたぐらいで。」

 間違ったことは言っていないはずだ、花蓮が来たなんて言ったらこいつになんて言いふらされるかわかったもんではない!ここは慎重に一人ハロウィンを過ごしたと思わせる言葉選びをしよう。

 (……とか、思ってるんだろうなぁ)

 中田薫には嘘はつく前から看破されていた。この男、勘の鋭いタイプの、殊、他人の恋愛沙汰には目がないタイプの厄介な陰キャであった。そのため、彼の考察には影響力があり学年内ではある種、情報屋的な立ち位置にいたから今この状況は琢磨にとっては今週の世間話のトピックにされてしまいうるというかなり危ない状況だった。

 「それで、朝早く起きて何を?というかなぜ、早く起きたし」
 「い、いやぁ、その時は、寒かったのかな?なんか布団が半分落ちちゃっててさ」
 「布団が勝手に落ちたってこと?」
 「寝相、そう寝相が悪くて、実はっ」
 「いや、お前寝相はいいほうだって言ってなかったか?二度寝もせずに起きるなんて珍しいな。」

 ここで一手間違えると頓死になりうる局面にまで追い詰められた。持ち時間も少ない状況でひねり出した答えは、完全に悪手になった。

 「と、もだち、が来てたんだヨ……」

 信号で二人の歩みが止まる。薫が目線を上げて琢磨の方をじーっと見る。

 「ダウト。というか、また喜多村さんといちゃついてたな、おい」
 「な、なんでそうなる!俺にだって友達の一人や二人は……」
 「それってネトゲ仲間とかそういうんだろ?あったこともないやつ家に上げるほど、不用心じゃないのは知ってるぜ?」

 なんだか噓をついたりごまかすのにも疲れてきた琢磨は青になった信号を渡りながら自供した。もちろん、朝、コスプレで起こしに来たことと一緒に朝食を食べたこと以外は適当にごまかした(ごまかしたって言っても、あったことはもちろん健全なものばかりです)。

 「何でお前ら付き合わんの?」
 「何かそういうんじゃないんだよな、毎回言ってるけど。家族に近い感じがしちゃって。」
 「ほう、お付き合い通り越してもう結婚感覚ですかい」
 「いや、そうじゃないだろ、わかってて言ってんだろ!」
 「もしかして、喜多村さんのこと嫌いなのか?」
 「いや、好きだよ、その、さっき言った家族的な意味でな。妹っぽいっていうか。」
 「それ聞いたら、きっと悲しむだろうなぁ」
 「そうなのかぁ?本人そこまで嫌がってないように見えたけど」
 「いや、言ったんかい」
そんなことを話していると駅についた。
 「俺この後塾あるから、またな。」
 「おう、また明日」

そう言って別々のホームに別れると急に肌寒さを感じた。

「いきなり寒くなったなぁ。」
「ほんとですなぁ。これは人肌恋しくなりますねぇ。」
「……お前いつからついてきてたんだ」
「うーん、ずっと?」
「ストーカーかよ」

お互い顔を合わせず、線路のほうを向いたまま電車を待ちながら話す。
 が、見ていなかったから距離感がうまくつかめなかったのが、琢磨が少し体勢を変えた時、左手の甲が花蓮の右手に触ってしまった。

 「あ、ごめん」
 「いいよ、別に。手、つなぐ?」
 「そういうんじゃないから」


 電車がホームへ入ってきた。いつもより近い距離感のまま二人は電車で最寄り駅まで一緒に帰った。
 
 「じゃ、また明日。」
 「うん、また明日。」

 花蓮の家の前で二人は手を振る。
 琢磨はまだ残っている左手の甲の感触を確かめるように眺めた。
 「どうしたの?」
 「いや、なんもないよ。風邪ひかないようにな。」
 「うん、ありがと」


 あの時手をつないでいたらどうだったのか、と少し後悔した琢磨だった。
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