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最終話 新たな決意
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「皆は食べていて下さい。すぐに準備してきます」
私は席を立ちました。
「えっ!?」
イオちゃんが驚いた顔をします。
「あの、すぐに行くのでしょ?」
「ち、ちがいます。今日はレイカ姉様が一緒に来てくれるかの打診です。帰って陛下に報告して、贈り物とか準備をします。1週間ほど時間をくださいませんか?」
「えっ!? あっ! そうですね。わかりました。では、一つイオちゃんに御願いがあります。馬車を作りたいので、鉄をまた集めていただけませんか? あと、フト国王ゲンシン様に贈答用の紫龍刀を作ります。ゾングさんの刀とおなじ物です。豪華な箱を5個用意して下さいとゾングさんにお伝え下さい」
「はい。わかりました」
この後、トウカちゃんの修行の様子を少し見てから、イオちゃんはいったん帰っていきました。
「うわあぁー、またすごい量のくず鉄の山があるよ!」
サイシュトアリ国の王都の広場を見降ろして、イサちゃんが言いました。
今日はイクちゃんが紫のフルプレートの鎧を着ています。
さすがにフト国の四神将のイグザンの顔を、知っている人がいるかも知れませんので用心の為に姿を隠しています。
鉄人に抱かれて飛んできた私達は、地上に降りるとすぐに山のような、くず鉄から馬車を作りました。
「相変わらずすごいなぁー。レイカ姉は」
イクちゃんが私の作った馬車を見てしみじみと言いました。
「イクちゃん、馬車に乗って鎧は外して下さい。つらかったでしょう」
「つらくはなかったよ。でも、お言葉に甘えてさっさと乗らせてもらいます」
イクちゃんは馬車に乗るとすぐに鎧を外しました。
「おほーーっ!! これはまた、すごい馬車ですなあ。鉄の馬に巨大な馬車、見事なものだ」
どこかで様子を見ていたのでしょうか、ゾングさんがすぐに近づいて来ました。
「ゾングさん。おはようございます」
私はペコリと頭をさげました。
「こ、これは失礼しました。レイカ様、おはようございます。このゾング、レイカ様が不慣れなフト国で、困らないように案内人をしたいとまかりこしました。ぜひ同行をお許し下さい」
「あら、案内人は間に合っていますよ。馬車の中を見てくださいませ」
「えっ!? うわぁー!! な、まさか!! 嘘だろー!? ななな、なんでここに、フト国の四神将の一人、玄武のイグザン様がいるのですかーー!!」
「しーーっ!! 声が大きいですよ。フト国の四神将は全員私の弟でした」
「ななななな、なな、なんですとーー!! 四神将様が、4人ともレイカ様のおと、おと、おとうとぉーー!!!! すごすぎるーー!! レイカ様は相変わらず想像の上をいきますなあ」
「ゾングさん! 声が大きいですってばー! だから、ゾングさんの案内は必要ありません」
「そっ、そんなあぁーー!!」
ゾングさんがしおしおと、枯れた植物のようになっていくように見えました。
「うふふ、レイカ姉様。あまり、ゾングさんをいじめないであげてください。ここの鉄の大半は、ゾングさんが集めて下さったものです。それにフト国への贈り物もゾングさんにそろえてもらいましたし、この刀の豪華な箱もそろえてもらいました」
イオちゃんが、配下の兵士と一緒にやって来ました。
その後には荷車が一台同行しています。
その荷車一杯に贈り物が乗っています。
イサちゃんが、馬車の後の扉を開けると、そこに次々積み込み始めました。
「ふーっ、しかたがないですねえ。ゾングさんも馬車に乗って下さい」
「おおっ!!」
ゾングさんは、しおしおに枯れた植物から、みずみずしい野菜のようにみるみる元気を取り戻しました。
ついでにゾング商会の老執事ペルデイドさんも一礼をして乗り込みました。
「ふん、ゾング。また、悪だくみか!」
イクちゃんが、馬車に乗り込んだゾングさんに声をかけました。
「そそそ、そんな、めっそうもない、イグザン様。この不肖ゾング、レイカ様にお会いしてからというもの既に心を入れ替えております。奴隷の売買はいっさい手を出しておりませんし、武器の売買も減らしております。今はヤマト村の農産物を中心に商売をしております。ふふふ、まあ、ヤマト村の農産物が1番儲かるからなのですけどね」
「本当か?」
「ここだけの話ですが、ヤマト村の農産物は美味しいだけでは無く、重い病を直してしまうほどの効果まであるのですよ。お貴族様に飛ぶように高値で売れています」
「やっぱりか! レイカ姉の作る物ならその位の効果はあるだろう。ゾング、暴利をむさぼるのは、ほどほどにな」
「ふははは、イグザン様にはかないませんなあ。ふふぁははは」
うん、笑い方が悪徳商人としか思えません。
ゾングさんは、まだ悪徳商人が抜けきっていないようですね。
「レイカ姉、荷物は積み終わりました」
イサちゃんが馬車の後で言いました。
「じゃあ、みんな! 出発します。馬車に乗り込んで下さい」
「はーーい!!」
馬車の中に全員が乗り込みました。
馬車は、王都の門を出て目立たないところまで地上を走ると空にうかびます。
うふふふ、まるでサンタクロースのようですね。
空を飛び高速でフト国に向います。
「すげーー!! 俺が何日もかけて歩いた山があっという間に終わってしまった」
イクちゃんが、懐かしそうに窓の下をのぞいています。
フト国の国境に着くと、また地上を移動します。
関所は、フト国四神将玄武のイグザンことイクちゃんが同行していますので楽々通行できます。
あっという間に、フト国王都へ到着しました。
「では、イグザン様。国王ゲンシン様にお取り次ぎを御願いします」
イオちゃんが深々と頭を下げました。
「ふふふ、本当はこの役も私がやりたかったのですけどね」
ゾングさんがさみしそうに言いました。
「ふふふ」
イクちゃんが、見た事も無いようなうれしそうな表情で馬車を降りて、王都を守る衛兵の方に歩いて行きました。
「大きな街ですね」
チマちゃんが言いました。
「そうですね」
私はうわの空で返事をして、街を護る外壁を見つめながらこれまでの事を思い出していました。
あのいまいましい奴隷船の暗くて臭い船倉を。
体は幼児ですが心は大人の私でも、心が折れて泣きたくなるようなあの奴隷船の中。
きっと今日も泣いている子供達がいるはずです。
――私は1日も早く泣いている子供達を救いたい。
もっと打てる手を打たないと。
なにか、ないかしら。
「イオさまーー!!」
街の門から、兵士の一団がやって来ます。
先頭は、四神将玄武のイクちゃんです。
「は、はい」
「ふふふ、ご案内します」
そうやら、フト国はサイシュトアリ国からの使者との面会を、受け入れてくれたようですね。一安心です。
「待望のレンカ様とのご面会、ゲンシン様の喜ぶ顔が目に浮かびます」
ゾングさんがうれしそうに言いました。
私はその笑顔を見て「そうだ次の一手は商人だ」そうひらめきました。
まずは、この停戦を成立させて次の一手は奴隷商人共と戦うと、新たな決意をしました。
私は席を立ちました。
「えっ!?」
イオちゃんが驚いた顔をします。
「あの、すぐに行くのでしょ?」
「ち、ちがいます。今日はレイカ姉様が一緒に来てくれるかの打診です。帰って陛下に報告して、贈り物とか準備をします。1週間ほど時間をくださいませんか?」
「えっ!? あっ! そうですね。わかりました。では、一つイオちゃんに御願いがあります。馬車を作りたいので、鉄をまた集めていただけませんか? あと、フト国王ゲンシン様に贈答用の紫龍刀を作ります。ゾングさんの刀とおなじ物です。豪華な箱を5個用意して下さいとゾングさんにお伝え下さい」
「はい。わかりました」
この後、トウカちゃんの修行の様子を少し見てから、イオちゃんはいったん帰っていきました。
「うわあぁー、またすごい量のくず鉄の山があるよ!」
サイシュトアリ国の王都の広場を見降ろして、イサちゃんが言いました。
今日はイクちゃんが紫のフルプレートの鎧を着ています。
さすがにフト国の四神将のイグザンの顔を、知っている人がいるかも知れませんので用心の為に姿を隠しています。
鉄人に抱かれて飛んできた私達は、地上に降りるとすぐに山のような、くず鉄から馬車を作りました。
「相変わらずすごいなぁー。レイカ姉は」
イクちゃんが私の作った馬車を見てしみじみと言いました。
「イクちゃん、馬車に乗って鎧は外して下さい。つらかったでしょう」
「つらくはなかったよ。でも、お言葉に甘えてさっさと乗らせてもらいます」
イクちゃんは馬車に乗るとすぐに鎧を外しました。
「おほーーっ!! これはまた、すごい馬車ですなあ。鉄の馬に巨大な馬車、見事なものだ」
どこかで様子を見ていたのでしょうか、ゾングさんがすぐに近づいて来ました。
「ゾングさん。おはようございます」
私はペコリと頭をさげました。
「こ、これは失礼しました。レイカ様、おはようございます。このゾング、レイカ様が不慣れなフト国で、困らないように案内人をしたいとまかりこしました。ぜひ同行をお許し下さい」
「あら、案内人は間に合っていますよ。馬車の中を見てくださいませ」
「えっ!? うわぁー!! な、まさか!! 嘘だろー!? ななな、なんでここに、フト国の四神将の一人、玄武のイグザン様がいるのですかーー!!」
「しーーっ!! 声が大きいですよ。フト国の四神将は全員私の弟でした」
「ななななな、なな、なんですとーー!! 四神将様が、4人ともレイカ様のおと、おと、おとうとぉーー!!!! すごすぎるーー!! レイカ様は相変わらず想像の上をいきますなあ」
「ゾングさん! 声が大きいですってばー! だから、ゾングさんの案内は必要ありません」
「そっ、そんなあぁーー!!」
ゾングさんがしおしおと、枯れた植物のようになっていくように見えました。
「うふふ、レイカ姉様。あまり、ゾングさんをいじめないであげてください。ここの鉄の大半は、ゾングさんが集めて下さったものです。それにフト国への贈り物もゾングさんにそろえてもらいましたし、この刀の豪華な箱もそろえてもらいました」
イオちゃんが、配下の兵士と一緒にやって来ました。
その後には荷車が一台同行しています。
その荷車一杯に贈り物が乗っています。
イサちゃんが、馬車の後の扉を開けると、そこに次々積み込み始めました。
「ふーっ、しかたがないですねえ。ゾングさんも馬車に乗って下さい」
「おおっ!!」
ゾングさんは、しおしおに枯れた植物から、みずみずしい野菜のようにみるみる元気を取り戻しました。
ついでにゾング商会の老執事ペルデイドさんも一礼をして乗り込みました。
「ふん、ゾング。また、悪だくみか!」
イクちゃんが、馬車に乗り込んだゾングさんに声をかけました。
「そそそ、そんな、めっそうもない、イグザン様。この不肖ゾング、レイカ様にお会いしてからというもの既に心を入れ替えております。奴隷の売買はいっさい手を出しておりませんし、武器の売買も減らしております。今はヤマト村の農産物を中心に商売をしております。ふふふ、まあ、ヤマト村の農産物が1番儲かるからなのですけどね」
「本当か?」
「ここだけの話ですが、ヤマト村の農産物は美味しいだけでは無く、重い病を直してしまうほどの効果まであるのですよ。お貴族様に飛ぶように高値で売れています」
「やっぱりか! レイカ姉の作る物ならその位の効果はあるだろう。ゾング、暴利をむさぼるのは、ほどほどにな」
「ふははは、イグザン様にはかないませんなあ。ふふぁははは」
うん、笑い方が悪徳商人としか思えません。
ゾングさんは、まだ悪徳商人が抜けきっていないようですね。
「レイカ姉、荷物は積み終わりました」
イサちゃんが馬車の後で言いました。
「じゃあ、みんな! 出発します。馬車に乗り込んで下さい」
「はーーい!!」
馬車の中に全員が乗り込みました。
馬車は、王都の門を出て目立たないところまで地上を走ると空にうかびます。
うふふふ、まるでサンタクロースのようですね。
空を飛び高速でフト国に向います。
「すげーー!! 俺が何日もかけて歩いた山があっという間に終わってしまった」
イクちゃんが、懐かしそうに窓の下をのぞいています。
フト国の国境に着くと、また地上を移動します。
関所は、フト国四神将玄武のイグザンことイクちゃんが同行していますので楽々通行できます。
あっという間に、フト国王都へ到着しました。
「では、イグザン様。国王ゲンシン様にお取り次ぎを御願いします」
イオちゃんが深々と頭を下げました。
「ふふふ、本当はこの役も私がやりたかったのですけどね」
ゾングさんがさみしそうに言いました。
「ふふふ」
イクちゃんが、見た事も無いようなうれしそうな表情で馬車を降りて、王都を守る衛兵の方に歩いて行きました。
「大きな街ですね」
チマちゃんが言いました。
「そうですね」
私はうわの空で返事をして、街を護る外壁を見つめながらこれまでの事を思い出していました。
あのいまいましい奴隷船の暗くて臭い船倉を。
体は幼児ですが心は大人の私でも、心が折れて泣きたくなるようなあの奴隷船の中。
きっと今日も泣いている子供達がいるはずです。
――私は1日も早く泣いている子供達を救いたい。
もっと打てる手を打たないと。
なにか、ないかしら。
「イオさまーー!!」
街の門から、兵士の一団がやって来ます。
先頭は、四神将玄武のイクちゃんです。
「は、はい」
「ふふふ、ご案内します」
そうやら、フト国はサイシュトアリ国からの使者との面会を、受け入れてくれたようですね。一安心です。
「待望のレンカ様とのご面会、ゲンシン様の喜ぶ顔が目に浮かびます」
ゾングさんがうれしそうに言いました。
私はその笑顔を見て「そうだ次の一手は商人だ」そうひらめきました。
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