魔王

覧都

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第七十一話 街の混乱

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「てめーらこそ、俺たちを誰だと思っているんだ!!」

「やかましい、逆らう奴は皆殺しだーー」

何だか、物騒な事になっています。
言い争っているのは、前魔王の魔将軍筆頭コウケンさんの配下の兵と、第二王子ドワードさんの配下の兵、そして元々この街の守備兵が小競り合いを始めたようです。
この騒ぎを聞きつけて、兵士達が次々集まって、大きな騒ぎに発展しそうです。

「きさまらーー、つまらねえ言い争いはやめねえかーー」

あーーーーっ、フォリスさんが騒ぎの中央で大声を出しましたー―。

「なにーーっ、ガキが何を言いやがる」

「やかましい、俺に逆らう奴は、アスラバキだーーーー!!!!」

あーー、もう、フォリスさんを止めることは出来なさそうです。

「ぎゃあああーーーー」
「ぐああああ!!!!」
「やめろーー」
「やめてくれーー」

四十人ぐらいが、倒れて動けなくなりました。

「やめろーー!! 何をしている。やめるんだー!!」

騒ぎを聞きつけコウケンさんが現れました。

「い、一体何があったんだ」

ドワード王子も駆けつけました。

「こ、このガキが……」

まだけがをしていない兵士が、フォリスさんを指さします。

「て、てめーら、こんなガキにやられたのか……!!」

ドワードさんがあきれて、言いましたが急に動きを止めました。

「フォ、フォリス……」

コウケンさんとドワード王子が驚いた表情でつぶやいた。
声が完全に一緒になっています。

「にゃーー、にゃ、にゃにを言っているのかな。わ、わたし、お、俺はフォルスだ。誰かと人違いをしているんじゃ無いのかなー」

めちゃめちゃ焦ってアドみたいな話し方になっています。
こんなんで誤魔化せるはずがありません。
だって、髪を後ろにくくって、おでこを出して、眉毛を無駄に太くしているだけなのですから。

「であろうなー、まさか敵のまっただ中にあの方がいるわけが無い」

うわーーーっ、誤魔化せてしまった。
うそだろー―!!!!

「では、俺は忙しいので……」

「まてっ!!!!」

フォリスさんが逃げだそうとしたら、コウケンさんとドワードさんに引き留められた。

「な、何のようだ。俺は忙しいのだ」

「まあ、そう言わずに、飯でもどうだ」

フォリスさんは食事に誘われてしまった。
これは断れないでしょう。
魔王国の重鎮二人に誘われてしまえば。
フォリスさんは変な汗をかきながら、チラチラこっちを見ています。
自業自得なので、このまま置いて逃げ出しましょう。

「おーーー、こんなところでお会いできるとは、アズサ殿ーー」

ア……アズサ殿?
うわーー第四王子ファージさんが僕の顔を見てニコニコしています。

「なに、アズサ殿だと、どこだ?」」

なぜか、コウケンさんとドワード王子の声が重なっています。

「爺、ここだほら、ここにいる」

「おお、本当だ!! 相変わらず可愛いですなーー」

コウケンさんも、ドワードさんもとろけそうな笑顔で僕を見てきます。
そういえば、第四王子のファージさんがコウケンさんを爺と呼んでいた、この二人はそういう関係だったのか。
僕の陣営に迎えるなら、二人とも同時じゃないと無理と言うことか。

「おい、お前達、これを一滴ずつ飲むんだ。つまらねー争いはやめるんだ。いいな!!」

コウケンさんが、僕の特性エリクサーを数本兵士に渡した。
兵士が言葉通り、一滴ずつ飲むと折れた足が治っていく。

――えーーっ、一滴で治るんだ。知らなかったーー。
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