魔王

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第七十九話 骸骨男

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「いけー!!」

悪党の後ろでガイコツのような、痩せた男が命令をしました。
次々手下が集まっていて、この場所の悪党の数は十人を超えています。

「うおおおおおーーー!!!」

ガイコツの命令を受けて最前列の六人が、ニヤニヤしながら雄叫びをあげてかかってきます。
ステータスを見ようとしましたが、ブラインドで隠しています。

「ライファさん! 気を付けて下さい!!!」

アンちゃんの手が汗をかいて、湿っています。

ドン

ドン

ドン

最初の六人が、ライファさんのロッドの一振りで薙ぎ払われて、建物の壁に体が打ち付けられました。
あまりの攻撃力だったため、手下は声をあげることも出来ず壁に体を打ち付けられています。

そして、すぐに後ろにいた六人を壁に吹き飛ばし、更に五人の手下を壁に吹き飛ばした。
ライファさんは三度ロッドを振っただけで、十七人を倒しました。
壁の前に倒れている、男達の口から大量の血が噴き出している。

「なっ……」

ライファさんがロッドを見つめて驚いています。

「あのガイコツを逃がさないで下さい」

アンちゃんが、逃げだそうとしている男を指さした。
アンちゃんまでガイコツ呼ばわりしています。
あいつ一人なら私が倒しても大丈夫でしょう。

「ぎゃーーー!!! いでーーー!!!」

「アスラバキです。命に別状はありません。男なら静かにして下さい」

私は冷ややかな目でガイコツを見下ろしました。

「ひっ!!」

「あのー、イルナ様、この武器どれだけ付与が付いているのですか」

ライファさんがロッドを私に、渡しながら聞いて来ました。
確か千は越えていたはず。

「千くらいでしょうか」

「えーーーーっ」

ライファさんとアンちゃんとガイコツが驚いています。
し、しまった、少なく言い過ぎたかな。

「せ、千二百くらいかな」

「そ、そんなに多いのですか」

また三人が驚いています。
しまった、多すぎたのかな。

「ま、間違えました。八百です。八百に決めました」

「……」

三人の目から光が消えた。

「いずれにしても、滅茶苦茶な付与です。ありえません。まったく力がいりませんでした」

ライファさんが驚きながら言います。
私は収納魔法でロッドを片づけます。

「しゅ、収納魔法……」

アンちゃんが私の収納魔法に驚いています。
この魔法は、上級神官のレベル五百で覚えた魔法です。

「な、何なんだお前達は……」

「なんで、お前ごときが質問している。質問するのはこっちだ」

ライファさんが眉毛をつり上げてガイコツの顔をのぞき込みます。
それを聞いて、ガイコツは口を真一文字に閉じて、こちらの質問に答えない意志を見せました。

「アンちゃん、こいつらすごく弱いですよ。最初少し恐れてしまいました」

私は、自分が恐れていたくせに、アンちゃんのせいのように言いました。

「いいえ、いいえ。ライファさんが強すぎるのです」

「あーはははは、私などまだまだです。イルナ様は私より倍は強いですよ」

ライファさんが可笑しそうに、笑いながら答えます。
アンちゃんが、目玉が落ちそうな位見開いて、こっちを見てきます。

「アンちゃん、こいつは何者なのですか」

私は強い強いと、いわれるのが嫌なので話しを変えました。
だって、私など父ちゃんに比べたら強いうちに入りません。
こんなんで強いと言われるのはおこがましいのです。

「こいつは、国王が亡くなった日、王宮に忍び込んでいた一人です。幼かった私は、あの日、この男を王宮で見たのです。そして昨日再び見つけて、後をつけたのですが、見失いました」

ガイコツ男は、この言葉を聞くと不気味に笑った。
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