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第九十話 悲惨な状況
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「や、やめろー!! わし達では助けられん。そこから出るなー!!」
「やめろーー!!」
「やめるんだー!!!!」
関所の屋上から隊長も兵士も千切れんばかりに両手を振っている。
意外といい人なのでしょうか、あのドワーフさん達。
あっ、まてよ、あいつらすごく強い、ゴブリンじゃないのか?
僕が不安になっていると、フォリスさんはもう外に出ている。
手には、収納してあった、暗黒ロッドを持っている。
暗黒の爪を使わないのは生身のゴブリンの返り血を浴びない為だ。
ポコポコ
フォリスさんが優しくモンスターを叩いている。
叩かれたゴブリンが次々魔石に変わっていく。
それを見るとフォリスさんは暗黒の爪に装備を変更して、スピードを上げた。
ほんの数分で、すべてのモンスターが魔石に変わった。
「うおおおおおおーーーー」
関所の屋上から、歓声が上がった。
「フォルスさん、相手の強さがわからない時は、無茶をしないで下さい」
「わた……、俺は賢者だ。相手の強さは色でわかる」
「えっ?」
「くすくす、自分より強い者は赤く、弱い者は青く頭のまわりが光ります」
「……」
えーーっ、賢者って便利じゃん。
「ですから、アズサちゃんと、ジセイさんとファージさんは真っ赤です」
真っ赤ですじゃ無いですよ。
赤い人とは戦おうとせず逃げて欲しいのですけど。
と、言ったところで聞く人じゃありませんね。
「な、何じゃと! あんたより強い者がいるのか」
関所の隊長の爺さんが、モンスターがいなくなると出て来て驚いている。
フォリスさんは、魔石を全て宙に浮かせると、収納魔法で収納した。
「な、何じゃと! 収納魔法まで使うのか!!」
爺さんはまた驚いている。
それが新鮮なのか、フォリスさんが笑顔になっている。
「あ、あんた達は一体何者なのじゃ?」
「くすくす、わた…… 俺は主君大魔王アスラ様の大切な親書を、ドワーフ王に運ぶ者、名前はフォルスです。そしてこの三人は、俺の護衛で、アズサ、ジュウドウ、シュラといいます」
「アズサ、こ、こ、こ、こんな可愛い少女が、フォルス殿より強いと言うのか! シュラさんはこれまた女神の様に美しい!」
シュラさんが褒められると、フォリスさんは真っ赤な顔をして照れています。
「お爺さん、このモンスターは魔石モンスターでしたが、いつからこのような状態に?」
僕が質問します。
「ふむ、3年は超えたかのう。最初は少なかったが、だんだん増えてきてのう。いくつもの村や町が廃墟になったんじゃ」
「フォルスさん、親書を届ければ終わりの簡単な仕事と思っていましたが、少し時間がかかりそうですね」
「……」
フォリスさんは黙ってうなずいた。
「な、なんとこの状況を助けて下さるのか」
「我らが主君、大魔王アスラ様が、友好を望む先が困っていれば、それを助けるのは当たり前の事です」
爺さんが涙を浮かべて微笑んでいます。
「ジュウドウ!!」
フォルスさんが言うと、北に広がる森の木々がザーーーッと揺れた。
シュドウとシャドウが姿を消しながら、何部隊か森に入ったのだろう。
しばらくすれば、情報が入ってくるだろう。
「では、王都へ向いましょうか」
フォリスさんが嬉しそうに言った。
旅を楽しむ気満々だ。
「おお、それなら、関所の中に、王都へ続く転送檻がありますぞ」
「いいえ、俺達は歩いて行きます。この国の状況が知りたいですから」
でしょうね。旅を楽しむのですから。
「そうですか。ならばわしが道案内仕ろう。わしの名はショート、ドヴェルと申す。王家につながる者じゃ」
へー、この爺さん王家の親戚かー、まさか王様その人じゃ無いだろうね。
ふふふ、王様がこんな所にいる訳ないですよね。暇人じゃ無いんだから。
しばらく歩くと、村が見えてきた。
そこには、うち捨てられたボロボロの家だけの村があった。
「……」
僕は、ここで起こった事を考えると言葉を失った。
フォリスさんの目から涙がこぼれていた。
「やめろーー!!」
「やめるんだー!!!!」
関所の屋上から隊長も兵士も千切れんばかりに両手を振っている。
意外といい人なのでしょうか、あのドワーフさん達。
あっ、まてよ、あいつらすごく強い、ゴブリンじゃないのか?
僕が不安になっていると、フォリスさんはもう外に出ている。
手には、収納してあった、暗黒ロッドを持っている。
暗黒の爪を使わないのは生身のゴブリンの返り血を浴びない為だ。
ポコポコ
フォリスさんが優しくモンスターを叩いている。
叩かれたゴブリンが次々魔石に変わっていく。
それを見るとフォリスさんは暗黒の爪に装備を変更して、スピードを上げた。
ほんの数分で、すべてのモンスターが魔石に変わった。
「うおおおおおおーーーー」
関所の屋上から、歓声が上がった。
「フォルスさん、相手の強さがわからない時は、無茶をしないで下さい」
「わた……、俺は賢者だ。相手の強さは色でわかる」
「えっ?」
「くすくす、自分より強い者は赤く、弱い者は青く頭のまわりが光ります」
「……」
えーーっ、賢者って便利じゃん。
「ですから、アズサちゃんと、ジセイさんとファージさんは真っ赤です」
真っ赤ですじゃ無いですよ。
赤い人とは戦おうとせず逃げて欲しいのですけど。
と、言ったところで聞く人じゃありませんね。
「な、何じゃと! あんたより強い者がいるのか」
関所の隊長の爺さんが、モンスターがいなくなると出て来て驚いている。
フォリスさんは、魔石を全て宙に浮かせると、収納魔法で収納した。
「な、何じゃと! 収納魔法まで使うのか!!」
爺さんはまた驚いている。
それが新鮮なのか、フォリスさんが笑顔になっている。
「あ、あんた達は一体何者なのじゃ?」
「くすくす、わた…… 俺は主君大魔王アスラ様の大切な親書を、ドワーフ王に運ぶ者、名前はフォルスです。そしてこの三人は、俺の護衛で、アズサ、ジュウドウ、シュラといいます」
「アズサ、こ、こ、こ、こんな可愛い少女が、フォルス殿より強いと言うのか! シュラさんはこれまた女神の様に美しい!」
シュラさんが褒められると、フォリスさんは真っ赤な顔をして照れています。
「お爺さん、このモンスターは魔石モンスターでしたが、いつからこのような状態に?」
僕が質問します。
「ふむ、3年は超えたかのう。最初は少なかったが、だんだん増えてきてのう。いくつもの村や町が廃墟になったんじゃ」
「フォルスさん、親書を届ければ終わりの簡単な仕事と思っていましたが、少し時間がかかりそうですね」
「……」
フォリスさんは黙ってうなずいた。
「な、なんとこの状況を助けて下さるのか」
「我らが主君、大魔王アスラ様が、友好を望む先が困っていれば、それを助けるのは当たり前の事です」
爺さんが涙を浮かべて微笑んでいます。
「ジュウドウ!!」
フォルスさんが言うと、北に広がる森の木々がザーーーッと揺れた。
シュドウとシャドウが姿を消しながら、何部隊か森に入ったのだろう。
しばらくすれば、情報が入ってくるだろう。
「では、王都へ向いましょうか」
フォリスさんが嬉しそうに言った。
旅を楽しむ気満々だ。
「おお、それなら、関所の中に、王都へ続く転送檻がありますぞ」
「いいえ、俺達は歩いて行きます。この国の状況が知りたいですから」
でしょうね。旅を楽しむのですから。
「そうですか。ならばわしが道案内仕ろう。わしの名はショート、ドヴェルと申す。王家につながる者じゃ」
へー、この爺さん王家の親戚かー、まさか王様その人じゃ無いだろうね。
ふふふ、王様がこんな所にいる訳ないですよね。暇人じゃ無いんだから。
しばらく歩くと、村が見えてきた。
そこには、うち捨てられたボロボロの家だけの村があった。
「……」
僕は、ここで起こった事を考えると言葉を失った。
フォリスさんの目から涙がこぼれていた。
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