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第百十二話 決戦へ
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「ライファさんこんな所にいたのですか。探したのですよ」
私は聖騎士団四番隊から兵士を半分連れて、ロウロ領に応援に来ています。
ですが、足手まといと言われて、領都の守備をしています。
暇なので防壁の上から、魔王軍が近寄ってくる様をじっと見つめています。
それを迎え撃つのは、王国騎士団の精鋭十五万人です。
すごい迫力です。負けることは考えられない、そんな感じがします。
「ロウロ様が、何故私なんかを?」
「ロウロ三世です」
「うふふ、ロウロ三世領主様。なぜ私などをお捜しですか?」
領主様は何だか三世に、こだわりがあるようです。
ロウロの領主様は、二十代後半の体の大きな優しそうな女性です。
「魔王軍は、恐ろしいですね。私は体の震えが止りません」
そう言うと、ロウロ様は本当に震えているようです。
普通に見れば、こちらに向ってくる魔王軍は、鎧がドロドロに汚れ、みすぼらしく感じます。
「そうですね」
ですが、私も恐ろしさを感じています。
それは、レベル二ダンジョンで出会った、オウブさん達がいるからです。
「ふふふ、やっぱりね。恐らく、このロウロ領で、あの魔王軍を見て恐ろしいと感じているのは、私とあなただけです」
「あの、領主様は何故恐ろしいのですか?」
私が質問したら、領主様は恐ろしい顔になり説明してくれます。
「前回、魔王軍は、十五万ほどの兵を五つに分けて攻めてきました。我軍は三十万の兵を山中に潜め、たて堀道で迎え撃ちました。人間の軍なら全滅出来るほどの備えです」
あの山の中でそんな激戦があったのかと驚きました。
「そ、それで……」
「ふふふ、魔王軍を撃退出来ましたが、指揮が恐ろしく優秀で、ほとんどダメージを与える事が出来ないまま、撤退を許しました。あの山で、我軍は死者六万人、負傷者は十二万人を超えていました。恐ろしい強さです。大聖女イルナ様がお忍びで来てくれたおかげで、負傷者は全快しましたが、負け戦のようなものです」
「そんなに、犠牲が出ていたなんて……」
「恐ろしいのは、ここからですよ」
「なにがあったのですか?」
「その後、山中には二十四万のロウロ兵を万全の備えで、潜ませていましたが、あの魔王軍は、一人の犠牲もださずに抜けてきたのです。こちらの兵士には被害は出ましたが、全員手足を折られて行動不能になっているだけでした」
「ア、アスラバキ……」
「なんですかそのアスラバキというのは?」
「あ、はい、魔王軍で敵の手足を折って、行動不能にすることをそう呼んでいます」
「詳しいのですね」
「はい、あ、いいえ、ほんの少しだけ知っているだけです」
「私は、鑑定が出来るのですよ」
「えっ」
突然の話しの切替えについて行けずに驚きました。
「あなたのレベルは99ですよね。私の領内でそんなに高いレベルを見たのは、イルナ様とあなただけでしたよ」
「あ、はい」
領主様はレベルが低い為か、二桁しか見ることが出来ないようです。
私のレベルは350を超えています。
「うふふ、一番えらそうにしている王国騎士団の一番隊隊長のレベルが70でした。兵士の平均は30強というところです。ライファさんを私が一番信頼する意味がわかりますよね」
「は、はい」
「もし、魔王に降伏したら。魔王は許してくれるでしょうか」
「えっ」
私は、驚いて聞き返しましたが、領主様は気にせず続けます。
「私は男が嫌いです。可愛い女の子が好きなのですよ」
「はっ!! イルナ様は駄目です!!!」
私は思わず言ってしまいました。
それを聞いて何故か領主様は嬉しそうに笑っています。
「くすくす、魔王は降伏した私をはずかしめるのでしょうか。領民が助かるのなら我慢出来るとは思いますが……」
領主様は本当に悲しそうな顔になりました。
領主様は恐らく精鋭の王国騎士団十五万人が、勝てるとは思っていないようです。
敵、魔王軍は整列し終りましたが、総数は六千人弱に見えます。
十五万の兵士の前に整列すると、貧相でとても勝てるようには見えません。
それでも、私も領主様と同じで、王国騎士団が勝てるようには思えませんでした。
私は聖騎士団四番隊から兵士を半分連れて、ロウロ領に応援に来ています。
ですが、足手まといと言われて、領都の守備をしています。
暇なので防壁の上から、魔王軍が近寄ってくる様をじっと見つめています。
それを迎え撃つのは、王国騎士団の精鋭十五万人です。
すごい迫力です。負けることは考えられない、そんな感じがします。
「ロウロ様が、何故私なんかを?」
「ロウロ三世です」
「うふふ、ロウロ三世領主様。なぜ私などをお捜しですか?」
領主様は何だか三世に、こだわりがあるようです。
ロウロの領主様は、二十代後半の体の大きな優しそうな女性です。
「魔王軍は、恐ろしいですね。私は体の震えが止りません」
そう言うと、ロウロ様は本当に震えているようです。
普通に見れば、こちらに向ってくる魔王軍は、鎧がドロドロに汚れ、みすぼらしく感じます。
「そうですね」
ですが、私も恐ろしさを感じています。
それは、レベル二ダンジョンで出会った、オウブさん達がいるからです。
「ふふふ、やっぱりね。恐らく、このロウロ領で、あの魔王軍を見て恐ろしいと感じているのは、私とあなただけです」
「あの、領主様は何故恐ろしいのですか?」
私が質問したら、領主様は恐ろしい顔になり説明してくれます。
「前回、魔王軍は、十五万ほどの兵を五つに分けて攻めてきました。我軍は三十万の兵を山中に潜め、たて堀道で迎え撃ちました。人間の軍なら全滅出来るほどの備えです」
あの山の中でそんな激戦があったのかと驚きました。
「そ、それで……」
「ふふふ、魔王軍を撃退出来ましたが、指揮が恐ろしく優秀で、ほとんどダメージを与える事が出来ないまま、撤退を許しました。あの山で、我軍は死者六万人、負傷者は十二万人を超えていました。恐ろしい強さです。大聖女イルナ様がお忍びで来てくれたおかげで、負傷者は全快しましたが、負け戦のようなものです」
「そんなに、犠牲が出ていたなんて……」
「恐ろしいのは、ここからですよ」
「なにがあったのですか?」
「その後、山中には二十四万のロウロ兵を万全の備えで、潜ませていましたが、あの魔王軍は、一人の犠牲もださずに抜けてきたのです。こちらの兵士には被害は出ましたが、全員手足を折られて行動不能になっているだけでした」
「ア、アスラバキ……」
「なんですかそのアスラバキというのは?」
「あ、はい、魔王軍で敵の手足を折って、行動不能にすることをそう呼んでいます」
「詳しいのですね」
「はい、あ、いいえ、ほんの少しだけ知っているだけです」
「私は、鑑定が出来るのですよ」
「えっ」
突然の話しの切替えについて行けずに驚きました。
「あなたのレベルは99ですよね。私の領内でそんなに高いレベルを見たのは、イルナ様とあなただけでしたよ」
「あ、はい」
領主様はレベルが低い為か、二桁しか見ることが出来ないようです。
私のレベルは350を超えています。
「うふふ、一番えらそうにしている王国騎士団の一番隊隊長のレベルが70でした。兵士の平均は30強というところです。ライファさんを私が一番信頼する意味がわかりますよね」
「は、はい」
「もし、魔王に降伏したら。魔王は許してくれるでしょうか」
「えっ」
私は、驚いて聞き返しましたが、領主様は気にせず続けます。
「私は男が嫌いです。可愛い女の子が好きなのですよ」
「はっ!! イルナ様は駄目です!!!」
私は思わず言ってしまいました。
それを聞いて何故か領主様は嬉しそうに笑っています。
「くすくす、魔王は降伏した私をはずかしめるのでしょうか。領民が助かるのなら我慢出来るとは思いますが……」
領主様は本当に悲しそうな顔になりました。
領主様は恐らく精鋭の王国騎士団十五万人が、勝てるとは思っていないようです。
敵、魔王軍は整列し終りましたが、総数は六千人弱に見えます。
十五万の兵士の前に整列すると、貧相でとても勝てるようには見えません。
それでも、私も領主様と同じで、王国騎士団が勝てるようには思えませんでした。
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