魔王

覧都

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第百三十四話 砦の様子

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翌朝、アドは帰ってこなかった。
朝食の点呼では、ツヅルさんがアドの変わりをしてくれた。
朝食は玉子かけご飯に味噌汁、お漬物でした。
食事には何も文句がありません。美味しいです。
すでにお昼ご飯が楽しみです。

「ジュウドウ、砦の様子はどうですか」

どうせ暇なので、敵の様子を細かく調べ尽くそうと思います。

「はい、ここに書いてもよろしいですか」

ジュウドウは、牢の床に落書きをはじめた。

「賊の砦は、断崖絶壁の山に横穴を開け、住みかにしています」

ジュウドウは、言いながら崖をへの字で示した。
そして、崖を覆うように線を描いた。

「このように木製ですが、頑丈な塀が作られています」

ジュウドウは続いて南側に、塀に垂直に線を入れた。

「これが、門です。そして、物見櫓が三つ作られています」

門を囲むように三つの○を描き入れた。

「八つの頭のドラゴンはどこにいるのですか」

フォリスさんが、目をキラキラさせて質問した。

「ドラゴンは、砦の一番奥にある崖の裂け目に潜んで居ます。ですがちゃんと体も八つあります」

「な、なんですってー、頭が八つに体が八つのドラゴン、まるで化け物ですね」

うーーん、フォリスさんがどんなドラゴンをイメージしているのかわかりませんが、普通のドラゴンが八匹いるだけと思うのですが、違うのでしょうか。

「賊の数はわかりますか」

僕は質問した。

「はっ、約一万人です。詳細が必要でしたら実数もお答え出来ますが」

「いえ、それで十分です」

「す、すごい! 牢にいて、何故そんなことまでわかるのですか」

ツヅルさんが驚いている。

「はーーはっはっは。この子達はそういう子じゃ。いちいち疑問に思ってもしょうがないことじゃ」

ショート爺さんが笑っている。
何故かジュウベイさんとツヅルさんが納得している。

「この街の兵力はどうなっていますか?」

「はっ、正規兵三千、傭兵二千というところです」

「そのうち二千の傭兵は賊と言うことですね」

「はい、その通りです」

「これなら、十分勝てそうですね」

「えーーっ!!」

僕が言ったとたん、ジュウベイさんとツヅルさんが声を出して驚いています。
ショート爺さんが二人の肩を叩いてニコニコしている。

「じゃあ、死刑の日までのんびりして、死刑の前に逃げ出して、賊退治をしましょうか」

僕は、ここのご飯が気に入ったので食べられる分は食べておこうと思っています。
それに数日たてばアドが練習を終って、強くなって帰ってくるはずです。
ここは、のんびりするのが正解でしょう。
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