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第百七十六話 胸騒ぎ
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魔王都の前に巨大な池が出来上がっている。
本当はこのまま海まで進む運河の開始地点です。
運河はここから西に直進し、海とつながる予定です。
そのため、池の南北に造船所が五棟ずつ並んでいる。
最初に出来た二棟の造船所ではすでに、闘艦が八割ほど完成している。
運河の造成と、造船所の建築、船の建造などの工事には、スザクが大活躍してくれている。
大勢の人が働いているので池のまわりには街が出来上がり、大勢の人の新たな暮らしが始まっている。
「賑やかじゃのう、まるで祭りのようじゃ」
爺さんがにぎわう街を見て感心している。
横でフランちゃんが笑いながらうなずいている。
「こちらです!」
フォリスさんがはやく船を見せたくて、造船所に急かします。
「うおおおおーー」
爺さんが声を上げた。
「うふっ」
フォリスさんがうれしさのあまり思わず声を出した。
「す、すごいもんじゃのう。立派な船じゃ」
「爺さん、この船なら、水上戦では無敵じゃ無いかな?」
「ふふふ、アスラ殿、戦とはそんなに単純なものではない。魔王国には操船出来るものがいない素人ばかりじゃ。敵がどこか知らぬが、油断をしてはいかんのう」
「敵は、バルビロ領です。決戦の地は大河ライノの川幅が狭くなっている場所を想定しています」
「なにっ! バルビロ領じゃと。ふーーむ……」
爺さんは腕を組み考え込んだ。
「どうされました?」
フォリスさんが僕の代わりに聞いてくれた。
「領主バルビロ様には弟がいる。名をバルゼオという。そやつは粗暴で手に負えん悪童じゃった。だが操船においては並ぶ者のいないほどの天才じゃった。わしの元で操船を学んだ者の中では一番、いや奴はわしより上かもしれぬ」
「そ、そんなにすごい人がいるのですか」
「な、何を喜んでおるのじゃ! アスラ殿! これは悪い知らせじゃぞ」
どうやら僕は目をキラキラさせて喜んでしまったようです。
「どの位で戦えるようになるでしょうか」
「ふむ、同じ戦力なら勝つのは無理じゃな。だが船の性能も上、人数も上なら半年くらいかのう。まあ、この国に隠れた人材がおれば別じゃが……」
「結構かかるのですね」
「いやいや、これでも随分短めにいっておるのじゃぞ」
「し、失礼します」
造船所の扉を静かに開けて、おもおもしい口調で声をかけてくれたのは、七大将軍の一人、リコさんだった。
「アスラ様、魔王城に至急戻って下さい」
「リコさん、何があったのですか」
僕はリコさんのただならぬ雰囲気に、胸騒ぎを感じていた。
「……」
リコさんは無言で首をふった。
ここでは話せない内容という事だろう。
「爺さん、僕は急用が出来ましたので少し席を外しますが、のんびり魔王都を楽しんで下さい。では、フォリスさん後はお願いします」
僕は二人をフォリスさんに任せ魔王城に向った。
本当はこのまま海まで進む運河の開始地点です。
運河はここから西に直進し、海とつながる予定です。
そのため、池の南北に造船所が五棟ずつ並んでいる。
最初に出来た二棟の造船所ではすでに、闘艦が八割ほど完成している。
運河の造成と、造船所の建築、船の建造などの工事には、スザクが大活躍してくれている。
大勢の人が働いているので池のまわりには街が出来上がり、大勢の人の新たな暮らしが始まっている。
「賑やかじゃのう、まるで祭りのようじゃ」
爺さんがにぎわう街を見て感心している。
横でフランちゃんが笑いながらうなずいている。
「こちらです!」
フォリスさんがはやく船を見せたくて、造船所に急かします。
「うおおおおーー」
爺さんが声を上げた。
「うふっ」
フォリスさんがうれしさのあまり思わず声を出した。
「す、すごいもんじゃのう。立派な船じゃ」
「爺さん、この船なら、水上戦では無敵じゃ無いかな?」
「ふふふ、アスラ殿、戦とはそんなに単純なものではない。魔王国には操船出来るものがいない素人ばかりじゃ。敵がどこか知らぬが、油断をしてはいかんのう」
「敵は、バルビロ領です。決戦の地は大河ライノの川幅が狭くなっている場所を想定しています」
「なにっ! バルビロ領じゃと。ふーーむ……」
爺さんは腕を組み考え込んだ。
「どうされました?」
フォリスさんが僕の代わりに聞いてくれた。
「領主バルビロ様には弟がいる。名をバルゼオという。そやつは粗暴で手に負えん悪童じゃった。だが操船においては並ぶ者のいないほどの天才じゃった。わしの元で操船を学んだ者の中では一番、いや奴はわしより上かもしれぬ」
「そ、そんなにすごい人がいるのですか」
「な、何を喜んでおるのじゃ! アスラ殿! これは悪い知らせじゃぞ」
どうやら僕は目をキラキラさせて喜んでしまったようです。
「どの位で戦えるようになるでしょうか」
「ふむ、同じ戦力なら勝つのは無理じゃな。だが船の性能も上、人数も上なら半年くらいかのう。まあ、この国に隠れた人材がおれば別じゃが……」
「結構かかるのですね」
「いやいや、これでも随分短めにいっておるのじゃぞ」
「し、失礼します」
造船所の扉を静かに開けて、おもおもしい口調で声をかけてくれたのは、七大将軍の一人、リコさんだった。
「アスラ様、魔王城に至急戻って下さい」
「リコさん、何があったのですか」
僕はリコさんのただならぬ雰囲気に、胸騒ぎを感じていた。
「……」
リコさんは無言で首をふった。
ここでは話せない内容という事だろう。
「爺さん、僕は急用が出来ましたので少し席を外しますが、のんびり魔王都を楽しんで下さい。では、フォリスさん後はお願いします」
僕は二人をフォリスさんに任せ魔王城に向った。
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