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第百七十七話 罰
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城では、メイドさんが手際よく僕に魔王の服を着せてくれます。
その間にリコさんから、状況を教えてもらいました。
バルビロ領で魔王軍は大敗、七万人以上の兵を失ったと聞きました。
それを聞いたとたん僕は恐怖の大魔王になってしまったようです。
リコさんの体がビクンと反応し顔が恐怖におびえています。
メイドさんも同じようにおびえているように感じます。
魔王城に幾つかある玉座の間ですが、今回は床に地図が貼り付けてある軍議用の部屋に案内されました。
床の地図には中央に大河が描かれていて、ここが決戦の場として船の模型まで置いてあります。
「ふふふ、魔王城はどの部屋も暗いですね」
「……」
暗い部屋の中央に、三人の人影があります。
三人は沈黙します。
手を後ろ手に縛り、体を縄でグルグル巻きにしています。
ゆっくり歩き三人の横を通る時、三人はチラリと横目で僕の姿を見ました。
いつもなら、僕の体から出ているであろう、怒りのオーラを感じて何かの反応をするのですが、今日は何の反応もありません。
恐らく想定の範囲ということでしょう。
すでに死を決意した三人には、恐いものは何も無いのかもしれません。
「ふふふ、僕は敵を侮っていました。決戦の地まで戦いは仕掛けてくるとは思いませんでした」
三人は暗い表情で頭を下げたまま、微動だにしません。
「凄いものです、この状況で戦いを挑み、魔王軍を追い返すのですから。皆さんは何か言うことはありますか?」
「……」
オウブさんもチョカイさんもギールさんも何も答えません。
「一言ぐらい助命の言葉を聞きたかったです」
僕は玉座には行かず、三人の前に一つずつ剣を置きました。
「この剣はドワーフ王から贈呈された剣です。アダマンタイト製の剣に魔王の攻撃力強化の付与を付けた剣です。何でも良く切れる剣です。オウブさんはこの剣で頭を切って下さい。そしてチョカイさんは首を、ギールさんは心臓を一突きして下さい。シュザクさん、三人の縄をほどいて下さい」
部屋の隅に控えている三人のシュザクに、それぞれのあるじの縄をほどくように指示しました。
三人のシュザクは綺麗な服を着ています。大切にされていることが分かります。
シュザクには表情がありません、でも、だからこそ全身から悲しみがあふれ出しているように感じました。
縄が解かれた三人はゆっくり剣を鞘から抜きます。
真っ直ぐな剣の刃が、僕の強力な付与のせいか、黒い霧をまといユラユラ揺れて見えます。
「さあ、皆さん一思いにやって下さい。痛くしないで下さいよ。七万人以上も兵士の命を失った愚かな魔王に罰を与えて下さい」
「なっ!!!」
「何を驚いているのですか。オウブさん、僕の頭を縦にかち割って下さい。そしてチョカイさんは首を、ギールさんはここ心臓です」
僕は心臓の上に手を置き、目を閉じました。
その間にリコさんから、状況を教えてもらいました。
バルビロ領で魔王軍は大敗、七万人以上の兵を失ったと聞きました。
それを聞いたとたん僕は恐怖の大魔王になってしまったようです。
リコさんの体がビクンと反応し顔が恐怖におびえています。
メイドさんも同じようにおびえているように感じます。
魔王城に幾つかある玉座の間ですが、今回は床に地図が貼り付けてある軍議用の部屋に案内されました。
床の地図には中央に大河が描かれていて、ここが決戦の場として船の模型まで置いてあります。
「ふふふ、魔王城はどの部屋も暗いですね」
「……」
暗い部屋の中央に、三人の人影があります。
三人は沈黙します。
手を後ろ手に縛り、体を縄でグルグル巻きにしています。
ゆっくり歩き三人の横を通る時、三人はチラリと横目で僕の姿を見ました。
いつもなら、僕の体から出ているであろう、怒りのオーラを感じて何かの反応をするのですが、今日は何の反応もありません。
恐らく想定の範囲ということでしょう。
すでに死を決意した三人には、恐いものは何も無いのかもしれません。
「ふふふ、僕は敵を侮っていました。決戦の地まで戦いは仕掛けてくるとは思いませんでした」
三人は暗い表情で頭を下げたまま、微動だにしません。
「凄いものです、この状況で戦いを挑み、魔王軍を追い返すのですから。皆さんは何か言うことはありますか?」
「……」
オウブさんもチョカイさんもギールさんも何も答えません。
「一言ぐらい助命の言葉を聞きたかったです」
僕は玉座には行かず、三人の前に一つずつ剣を置きました。
「この剣はドワーフ王から贈呈された剣です。アダマンタイト製の剣に魔王の攻撃力強化の付与を付けた剣です。何でも良く切れる剣です。オウブさんはこの剣で頭を切って下さい。そしてチョカイさんは首を、ギールさんは心臓を一突きして下さい。シュザクさん、三人の縄をほどいて下さい」
部屋の隅に控えている三人のシュザクに、それぞれのあるじの縄をほどくように指示しました。
三人のシュザクは綺麗な服を着ています。大切にされていることが分かります。
シュザクには表情がありません、でも、だからこそ全身から悲しみがあふれ出しているように感じました。
縄が解かれた三人はゆっくり剣を鞘から抜きます。
真っ直ぐな剣の刃が、僕の強力な付与のせいか、黒い霧をまといユラユラ揺れて見えます。
「さあ、皆さん一思いにやって下さい。痛くしないで下さいよ。七万人以上も兵士の命を失った愚かな魔王に罰を与えて下さい」
「なっ!!!」
「何を驚いているのですか。オウブさん、僕の頭を縦にかち割って下さい。そしてチョカイさんは首を、ギールさんはここ心臓です」
僕は心臓の上に手を置き、目を閉じました。
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