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第百七十九話 火炎の中の悲鳴
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飛び出したのはギールさんです。もちろんシュールと名付けられた直属のシュザクが横を守ります。
オウブさんとチョカイさんは、やや遅れてギールさんの部隊と左右の間隔をあけながらそれに追従します。
敵天帝の騎士団は全く動きません。
雑然と固まったままです。
隊列すらまともに組めない兵士なのでしょうか。
その割には全兵士の表情がゆるい、ニヤニヤ笑っている者までいます。
焼け跡の中に全軍が入ったタイミングで、赤いのろしが上がります。
良く見ると敵軍の後ろに高い櫓があり、そこで片手を上げる男の姿があります。
「うわっ、火だ!!」
僕は思わず声を上げてしまった。
「あら、アズサ様には火計は想定外ですか?」
「ち、ちがいますよ。いやだなー。ちょっと火力が強くて驚いただけです」
やばい、想定外でした。まさか焼け跡にもう一度火計を仕掛けるものでしょうか。
まさかと思うことをするのが計略です。
恐ろしい敵ですね。
「あの、フォルスさん。櫓の上の人達の名前はわかりますか」
「わかりますよ。左からリョウキ、ライファさん、バルゼオ、後ろに数名伝令の兵士がいます」
「バ、バルゼオ!!」
「ふふふ、アズサ様にとってはバルゼオがあの中で一番気になる方なのですね」
「えっ! フォルスさんは、違うのですか」
「私は三人とも同じぐらい気になります」
「何故ですか?」
「リョウキは、前回の戦いも指揮をとっていました。ライファさんは憶えていませんか? 私達の手から可愛い、愛するイルナちゃんを奪った聖騎士です」
僕は、三人の姿を目に焼き付けた。
言われて見れば、ライファは目が吊り上がり、憎らしい顔をしています。
「あー、でもライファさんは、イルナちゃんのお気に入りです。殺しちゃ駄目ですよ」
言われて見れば、目がキリリとした美形の騎士です。
「フォルスさんはさすがに大賢者です。何でもよく知っていますね」
「本当にすごいのは、アドさんです。私はアドさんの情報を記憶しているだけですから」
でも少し嬉しそうなフォルスさんがかわいい。
「きゃああああーーーーーーー」
すごい悲鳴が火の中から上がりました。
すでに焼け跡から駆け抜けていたギール隊の、先頭部分をのぞいて魔王軍は火の中です。
ギールさんは、僕の素早さ加護の付いたエリクサーを飲んでいます。
敵の想定より速く走っていたのでしょう、火にまかれませんでした。
「ぐわあああはっはっはーーーーーー!!!!」
敵の総大将でしょうか、顔中が髭だらけの男が爆笑しています。
「変ですねー。スザクもシュザクもオウブさんもチョカイさんもこの程度の火ではなんともないはずですが……」
「愚かな魔王軍めー!! 焼け死ねーーー!!!!! ぐわあーはっはっはー」
すでに勝ったつもりの髭面がうっとうしい。
でも、何の悲鳴でしょうか? わかりません。
オウブさんとチョカイさんは、やや遅れてギールさんの部隊と左右の間隔をあけながらそれに追従します。
敵天帝の騎士団は全く動きません。
雑然と固まったままです。
隊列すらまともに組めない兵士なのでしょうか。
その割には全兵士の表情がゆるい、ニヤニヤ笑っている者までいます。
焼け跡の中に全軍が入ったタイミングで、赤いのろしが上がります。
良く見ると敵軍の後ろに高い櫓があり、そこで片手を上げる男の姿があります。
「うわっ、火だ!!」
僕は思わず声を上げてしまった。
「あら、アズサ様には火計は想定外ですか?」
「ち、ちがいますよ。いやだなー。ちょっと火力が強くて驚いただけです」
やばい、想定外でした。まさか焼け跡にもう一度火計を仕掛けるものでしょうか。
まさかと思うことをするのが計略です。
恐ろしい敵ですね。
「あの、フォルスさん。櫓の上の人達の名前はわかりますか」
「わかりますよ。左からリョウキ、ライファさん、バルゼオ、後ろに数名伝令の兵士がいます」
「バ、バルゼオ!!」
「ふふふ、アズサ様にとってはバルゼオがあの中で一番気になる方なのですね」
「えっ! フォルスさんは、違うのですか」
「私は三人とも同じぐらい気になります」
「何故ですか?」
「リョウキは、前回の戦いも指揮をとっていました。ライファさんは憶えていませんか? 私達の手から可愛い、愛するイルナちゃんを奪った聖騎士です」
僕は、三人の姿を目に焼き付けた。
言われて見れば、ライファは目が吊り上がり、憎らしい顔をしています。
「あー、でもライファさんは、イルナちゃんのお気に入りです。殺しちゃ駄目ですよ」
言われて見れば、目がキリリとした美形の騎士です。
「フォルスさんはさすがに大賢者です。何でもよく知っていますね」
「本当にすごいのは、アドさんです。私はアドさんの情報を記憶しているだけですから」
でも少し嬉しそうなフォルスさんがかわいい。
「きゃああああーーーーーーー」
すごい悲鳴が火の中から上がりました。
すでに焼け跡から駆け抜けていたギール隊の、先頭部分をのぞいて魔王軍は火の中です。
ギールさんは、僕の素早さ加護の付いたエリクサーを飲んでいます。
敵の想定より速く走っていたのでしょう、火にまかれませんでした。
「ぐわあああはっはっはーーーーーー!!!!」
敵の総大将でしょうか、顔中が髭だらけの男が爆笑しています。
「変ですねー。スザクもシュザクもオウブさんもチョカイさんもこの程度の火ではなんともないはずですが……」
「愚かな魔王軍めー!! 焼け死ねーーー!!!!! ぐわあーはっはっはー」
すでに勝ったつもりの髭面がうっとうしい。
でも、何の悲鳴でしょうか? わかりません。
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