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第百八十七話 一夜艦隊
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「うわあああーーー!! なんなんだ、なんなんだあれわーーー!!!!」
陣の後ろから太陽が少し顔を出すと、物見台の兵士から悲鳴が聞こえます。
いったい何が起こったというのでしょうか。
ほどなくして、伝令が来ました。
「ライファ様! 物見台の上に来て下さいと、リョウキ様とバルゼオ様がお呼びです」
私は、リョウキ様のはからいで特別に、専用の建物を用意してもらい、前戦で快適に生活しています。
当然、身のまわりの世話は女性兵士だけです。
男性兵士に乱暴狼藉を働く者はいません。
とても紳士的です。天帝の騎士団とは大違いです。
まあ、まわりを固めているのは、領兵の中でもエリートのライファ隊ですから、これ程安心出来る事はありません。
「あの、どうなされました?」
物見台の上で、深刻な顔をしている二人に恐る恐る声をかけた。
二人は視線を対岸に向けたまま、指をさしました。
視線を、指のさす方向にうつします。
「うわあ、す、すごい!!!」
昨日までは、立派な桟橋が百五十本有るだけでした。
それが今は、その桟橋の両側に巨大な船が三百隻停泊しています。
朝日に照らされた艦隊が、オレンジ色に輝き、影はどこまでも黒くとても美しい。不謹慎にも美しいと感じてしまいました。
「たった、一夜で艦隊が出現しました……」
リョウキ様が元気なく、ボソボソとつぶやきました。
「いったいどうやって……」
バルゼオさんも同じようにつぶやきます。
「まずいですねえ。まだ数ヶ月はかかると思っていたのですが、これは少し厄介です」
「あの、差しつかえなければ、わかりやすく教えて下さい」
「ああ、これは失礼しました。ライファさんに隠すことは、何も有りません。説明いたします」
リョウキ様は、私に絶大な信頼を寄せてくれています。
それは先日の、魔王の赤い軍団を見た時からです。
赤い軍団は五千ほどで、リョウキ様は最初笑っていました。
「はははは、いくら魔王軍の赤い軍団がすごいと言っても、火計も用意して、雑兵とはいえ天帝の騎士団、六万人です。勝負は見えています」
程なくして、魔王軍に突撃がかかり、走り出しました。
「い、いかん、なんちゅう速さだ。馬よりも速いのではないか。か、火計を急がせろ!!!」
赤いのろしが上がりました。
「んっふふふ、火計の跡にもう一度、火計とは思っていないでしょう。燃え尽きなさい」
ですが炎にまかれた魔王軍に悲鳴はあがりません。
それどころか、赤い鎧が真っ黒になっているものの、何事も無いように煙の中から出て来ます。
その姿は、真っ黒の恐怖の軍団のようでした。
まさに、魔王の直属兵団という感じです。
「な、何だと! あの炎はヌルから作った特別製だぞ! 信じられん、それを何事も無いように……撤退しましょう。これ以上はここも危ない」
私達が逃げ出して間もなく、魔王軍から「敵将討ち取ったりーーー」の声が聞こえました。
「危ないところでした。ライファさんの助言が無ければ、領兵をどれだけ失っていたことか。このリョウキ、心より感謝いたします」
この一件でリョウキさんから、本当の意味での信頼を得られたように感じます。
「では、説明いたします」
陣の後ろから太陽が少し顔を出すと、物見台の兵士から悲鳴が聞こえます。
いったい何が起こったというのでしょうか。
ほどなくして、伝令が来ました。
「ライファ様! 物見台の上に来て下さいと、リョウキ様とバルゼオ様がお呼びです」
私は、リョウキ様のはからいで特別に、専用の建物を用意してもらい、前戦で快適に生活しています。
当然、身のまわりの世話は女性兵士だけです。
男性兵士に乱暴狼藉を働く者はいません。
とても紳士的です。天帝の騎士団とは大違いです。
まあ、まわりを固めているのは、領兵の中でもエリートのライファ隊ですから、これ程安心出来る事はありません。
「あの、どうなされました?」
物見台の上で、深刻な顔をしている二人に恐る恐る声をかけた。
二人は視線を対岸に向けたまま、指をさしました。
視線を、指のさす方向にうつします。
「うわあ、す、すごい!!!」
昨日までは、立派な桟橋が百五十本有るだけでした。
それが今は、その桟橋の両側に巨大な船が三百隻停泊しています。
朝日に照らされた艦隊が、オレンジ色に輝き、影はどこまでも黒くとても美しい。不謹慎にも美しいと感じてしまいました。
「たった、一夜で艦隊が出現しました……」
リョウキ様が元気なく、ボソボソとつぶやきました。
「いったいどうやって……」
バルゼオさんも同じようにつぶやきます。
「まずいですねえ。まだ数ヶ月はかかると思っていたのですが、これは少し厄介です」
「あの、差しつかえなければ、わかりやすく教えて下さい」
「ああ、これは失礼しました。ライファさんに隠すことは、何も有りません。説明いたします」
リョウキ様は、私に絶大な信頼を寄せてくれています。
それは先日の、魔王の赤い軍団を見た時からです。
赤い軍団は五千ほどで、リョウキ様は最初笑っていました。
「はははは、いくら魔王軍の赤い軍団がすごいと言っても、火計も用意して、雑兵とはいえ天帝の騎士団、六万人です。勝負は見えています」
程なくして、魔王軍に突撃がかかり、走り出しました。
「い、いかん、なんちゅう速さだ。馬よりも速いのではないか。か、火計を急がせろ!!!」
赤いのろしが上がりました。
「んっふふふ、火計の跡にもう一度、火計とは思っていないでしょう。燃え尽きなさい」
ですが炎にまかれた魔王軍に悲鳴はあがりません。
それどころか、赤い鎧が真っ黒になっているものの、何事も無いように煙の中から出て来ます。
その姿は、真っ黒の恐怖の軍団のようでした。
まさに、魔王の直属兵団という感じです。
「な、何だと! あの炎はヌルから作った特別製だぞ! 信じられん、それを何事も無いように……撤退しましょう。これ以上はここも危ない」
私達が逃げ出して間もなく、魔王軍から「敵将討ち取ったりーーー」の声が聞こえました。
「危ないところでした。ライファさんの助言が無ければ、領兵をどれだけ失っていたことか。このリョウキ、心より感謝いたします」
この一件でリョウキさんから、本当の意味での信頼を得られたように感じます。
「では、説明いたします」
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