底辺おじさん、助けた異世界転生美少女の異世界魔法と異世界アイテムそして特殊能力ゴミ処理で世界を救う

覧都

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第四十三話 遊園地

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「とうさん、楽しみだね」

 俺はあんまり楽しみじゃ無いけど、子供の楽しみの邪魔はいけない。

「ああ、楽しみだ。これなら営業中に行けば良かったな」

「はあーーっ!! 何を言っているんですか! もったいない!! 無料(ただ)だから行くんでしょ! 全く!!」

 うわーーん。
 俺はあずさを、なんて夢の無い子供に育ててしまったんだー。
 泣けてきた。

 木田産業の中庭を飛び立ち、都会の上にさしかかると、どうにも寒気がする。

「ゲンはこれのことを言っていたのか」

「どうしたのー」

「いや、何でも無い」

 こんなことを、あずさに言えば楽しんでいる心に水を差す、黙っておこうと思う。

 俺が思ったのは、この街の異様さだ。
 上空から見るとよくわかる。
 まるで農地が無いのだ。
 日本の食糧自給率が低いと言われているが、この街は自給率0パーセントだろう。
 この街の人間は、食料を必要としないのかと思えるほどだ。

 何千万の人々が飢えて、ゾンビになるわけだと、ぞっとした。
 だが、今の木田市は、このすぐ横にある。
 人が増えるのはいいけど、このままでは食糧不足がすぐにやってくる。

 ――何とかしなくては……

 ゲンはもう考えているな、きっと。
 ……農地の確保を。
 今日が最後の、束の間の休みになりそうだ。

「ねえ、とうさん」

「何?」

「この、激豚君の操縦って難しいの」

「あーーはっはっはっ、難しいわけ無いさ。だって鎧だぜ」

 とうとうこの真っ黒い、シャープでかっこいい鎧が、激豚君と言う名前で定着しそうだ。がっかりだぜ。
 だれだー、尻に激豚なんて入れた奴わーー!!

 この鎧は操縦なんて物は必要無い。
 白い奴みたいに、カタログを見ながらの操作は必要無い。
 ハッチを開けると、目の前に人型のくぼみがある。
 そこにすぽっと、はまれば後は体を動かした通りに動いてくれる。

 中では、外の様子がまるでガラス貼りのように透けて見える。
 ゴーレムが判断してそうしてくれているようだ。
 ちなみに、ゴーレムなので、外から命令すれば、誰も乗っていなくても指示通り動いてくれる。

 だから、ロボットのように操縦桿やメーター類や、スイッチなどは何も無い。
 誰でも、自由にその日から動かせるのだ。
 まさに鎧なのである。

「ふーーん、じゃあ後でやらせて下さい」

「ああ、いいよ。あずさも乗れるように命令しよう」

 当然、誰もが勝手に乗って動かせるようにはしていない。
 それぞれの鎧にマスターを設定して、それ以外の者はマスターの許可なしでは乗っても動かせない。当然のセキュリティーだ。

「ほら、あれだ」

 空を時速七百キロでぶっ飛ばせば、木田産業から遊園地まではすぐだ。

「きゃーーっ! きゃーーっ!! きゃーーっっ!!」

 うん、はしゃいでしまっている。
 可愛いもんだ。
 ……ってはしゃいでいるのは、ミサじゃねーか。

「だって、初めてなんですものーー」

 うーーん。
 年増でも可愛いなー。
 うんがぐぐ!!

 なんだかミサが、年増って言われて怒りたいのに、可愛いって言われて怒れなくて、サザエさんのようになっている。

 全鎧が駐車場に降り立ち、別に他に車が来るわけでも無いのに、隅っこに並べた。
 あずさは、持ってきた遠足セットのお弁当と、冷蔵庫とテント、机や椅子を出すと、

「行ってきまーす!!!」

 愛美ちゃんとシュラと手をつなぎ駆け出した。

「まってーー!! 私を置いて行くなー!!」

 ミサが置き去りにされて怒りながら追いかけた。



「なーゲン、どうする」

 あずさの姿がゲートをくぐって、見えなくなるまで笑顔で見送るとゲンに話しかけた。

「やっぱり、兄弟も気が付いたか」

「うむ、このままでは俺たちも、飢死の道しか残っていない」

「まさか、大都会をトラクターで耕すわけにもいくめー」

「うん、やはり、新潟かな」

「ふふふ、悪党二人で密談ですか。こわい、こわい」

 柳川が、テントの設営が終って、こっちにやってきた。
 テントと言っても、学校の運動会のあれだ。
 女性陣が、机を並べてもう酒宴を始めている。
 肴はショートケーキや、シュークリームだ。
 楽しそうにくつろいでいる女性達は皆、美人揃いだ。

「すげー、美人ばかりだな」

 あんまり直視出来ないが、全員驚くほど美人で、胸がでかくてパンツが見えそうな服を着ている。

「木田さん、あれは、化粧ですよ。だまされちゃいけねー」

「な、なんですってーーー!!!」

 滅茶苦茶切れてらっしゃいます。

「ちょっと、俺も何か取ってこようかな」

 業務用の冷蔵庫が持って来てあるが、電源も無いのにどういうことかと思ったら、中にミスリルの短刀が入っていて、氷結魔法で中を冷やしているようだ。
 中には、甘い物と飲み物と……何と、お寿司が入っている。
 なんだか、見た事も無い色の魚の身が乗っている。

「あーそれは、異世界のお寿司らしいわよ」

 何と異世界アイテム、おすしーが出て来た。
 はぁーっ、異世界感が少ない。

 お寿司とお茶を、ゲンの分と二つずつ取って、お姉さんの横を通りかかった。
 俺は二次元にしか興味が無い。
 だが、たまたま目に入るものはしょうがない。
 ちらちら見た。
 もう酔っ払っているのか、短いスカートでパカーッと足が開いている。

 見える、見えるぞー!!

「おーい、兄弟。見るんならちゃんとのぞき込んでやれー。そいつら今日は高い競争率のくじに当たって来ているんだー。兄弟の愛人になるんだとよー。ぎゃはははははーーー」

 がはっ!!
 そ、そんなことを言われたら、もう、これっぽちも見ることが出来ませんがな。



「ひゃあーーーはっはっは、馬鹿がまさかこんな所に来るとはよーー!!」

 なんだか、がらの悪い連中が十人ほどでやってきた。
 でも、がらの悪さでは、こっちが勝っているのかな。
 わかってんのかな、こいつら、誰にからんでいるのか。
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