底辺おじさん、助けた異世界転生美少女の異世界魔法と異世界アイテムそして特殊能力ゴミ処理で世界を救う

覧都

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第四十四話 木田の殿様

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「……」

 俺たちは、せっかくの楽しい気分に、水を差され沈黙した。

「ひひひ、恐がっちゃってまあ。ひひひ。遊園地で、楽しむなんざあ、いいご身分だぜ! 食いもんと女を置いてとっとと失せなー!!」

 食いもんぐらいなら、置いて行くけど、女は駄目でしょう。
 俺は、ゲン一家の方々の顔を見た。

 ――ひゃああーーっ

 さ、寒い。怖すぎて最早寒い。
 柳川まで何て恐ろしい顔をしているんだ。
 美しいお姉さんまで、滅茶苦茶恐い顔をしている。
 このお姉さん達も言ってみればゲン一家だ。
 足を閉じてサービスタイムも終了だ。
 ……わざとだったんだ。女ってこえーー。

「お、お前達、食いもんは分けてやる。悪いことは言わねえから、それを持って帰りなさい」

 俺は、恐る恐る言った。

「馬鹿が、そのデブのおっさんはびびっているが、他の奴らはまだ俺たちの恐さがわかってねえらしいな!」

 俺は、びびっているけど、どちらかと言うとこちらの方々にであって、お前達では無いよ。

「びびっていますよ。こっちは怖がるとこんな顔になるのです」

「けっ、これを聞いてもそんな顔が出来るか! 耳の穴、良ーくかっぽじって聞きゃあがれ!!!」

「はっ、はぁー」

「俺たちは、関東最強の愚連隊ゲン一家の中に知り合いがいるんだぞ。ふふふ、つぶした組の数は数知れず、恨まれすぎて一家の総長ゲンさんには懸賞金百億円がかかっているほどだ」

 はーっ!!
 初めて聞く驚愕の真実。
 だから、殺し屋が来るわけね。
 ふーーーっ!
 さっきからため息しか出ねえ。

「……」

 ゲン一家の皆さんは、冷ややかな目で沈黙です。
 でも、さっきまでの殺気は消えています。
 柳川は少し笑いをこらえています。
 だからか、恐い顔はキープ出来ています。

「それだけじゃねえ。木田城の殿様、木田とうさんと知り合いの奴を知っているんだぞ」

 だぞって。
 まじかーー。俺って殿様いわれとるぞーー。
 な、なんじゃそりゃーー。

「と、殿様はやめてー! お館様の方がいいかな」

「殿様ーー!! もう我慢が出来ねー!」

 そう言うと、ゲン一家が襲いかかった。
 殿様はやめてって言ったよね。

「ま、まさか……」

 悪党共が何かに気が付いたみたいです。

「ぎゃーーはっはっはっは」

 ゲン一家の皆さんは、笑いが我慢出来なかったようです。
 ゲンはやはり、すごい! 一瞬で五人を倒した。
 他の四人はまだ戦っているが、優勢だ。
 ようやく倒した。

「よう、大将! おめーはうちの殿様が相手になってくれるってよ!」

 ゲンが敵のリーダーをにらみ付けて言った。
 うわーっ。なんて嫌な心遣いだー。
 悪党のリーダーをわざわざ俺に残してくれたようだ。

「あーーはっはっはっ、あんたがまさかの殿様だったとはな!」

 この状況でも、リーダーは余裕だ。
 体も二メートル弱、筋肉も多い。
 無精髭で、髪はボサボサ。ゴリラにしかみえない。
 だが、そうとう、強そうだ。

「あんた、殿様については何か他に知っていることは?」

「いいのか、言ってしまって」

「ああ、教えてくれ」

「ふふふ、いいだろう。デブでお宅、ロリコン、童貞、彼女も無しだ」

 ぎゃーーーっ、合っている。
 合っているけども、誰がそんな噂をながすんだーー。
 恐る恐るまわりを見ると、ゲン一家の皆さんと坂本さんまで爆笑している。

「い、言いたい事はそれだけかーー!!!」

 もうやけくそだ。

「言いたい事はって、お前が言えっていったんじゃねえか。……まあこれを見ろ」

 ポケットから太いスパナを出した。
 そして、それを両手で持つとグイっと曲げて、俺の足下に投げた。

 ガラン、ガラン

 それをおれは、ゆっくり拾い上げた。
 結構重い。

「ふふふ、さすがだな、こんな物を軽々と曲げるとは、人間業じゃねえ」

「わかるか、俺は、隕石騒ぎの時に、力に目覚めたのさ」

 こいつも超能力者なのか?
 特殊な状況下で力に目覚めたということか。

「その力を、悪事に使うとは、情けない奴め。そういう力は人様を助ける為に使うもんだ」

 俺は、ゴリラの投げたスパナを元に戻した。
 そして両端を持って、グルグルねじった。
 そして、二つにねじ切ってやった。

「?!」

「どうだ」

 驚くゴリラに、スパナの切り口を見せてやった。

「そ、それがどうしたーー」

 いやいや、先にお前がやったんだろー。
 ゴリラが殴りかかってきた。
 俺は避けるまでも無いと、全部受けてやった。
 ポコポコと当たるが痛くもかゆくも無い。
 ゴリラのパンチは弱いわけでは無いはずだ。

「くそーーーーー!!!!」

 俺がじっとしているのをいいことに、思い切り振りかぶった。
 渾身の一撃というところか。
 俺は、体の中のアダマンタイトを移動して、パンチの先に合わせて顔を少しだけ出してやった。

 ミシッ!!

「ギュフュキュフェーー!!!!」

 おおよそ聞いた事のない悲鳴を上げしゃがみ込んだ。
 見ると手の甲が、見る見る膨らんでいく。
 骨でも折れたのだろう。
 とても痛そうだ。だが仕方がない。
 他人を骨が折れるほどの力でぶったたいたのだから。

「ふんっ、自業自得だ。そこで反省していろ!!」

「きゃーーー!! かっこいい!! アンナメーダーマン!!! 顔以外わーーー!!!」

 お姉さん達と坂本さんから黄色い歓声が上がった。
 おーーい、顔以外って何だよ。
 ガッカリだぜ。

「とうさーーん!!」

 嬉しそうに手を振りながら、大きな声を出してあずさが帰ってきた。
 何やら黒い物を蹴りながら走ってくる。そんなに走ると転ぶからゆっくりでいいよ!!
 何を蹴っているんだろう、かなりでかいボールかな。
 何だろう??
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