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第四十八 木田家郎党
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遊園地から帰ると皆は、疲れているのかすぐに眠った。
俺は全く眠れないので、起きて木田産業の中庭に出た。
横になっていても、浮かんでくるのは不安ばかりで、目が冴えてしまい眠れない。
俺は食糧の確保をどうしたらいいのか悩んでいた。
どんどん人口が増えているにもかかわらず、食料は消費するばかりでキャベツと玉子以外の補給は止まっている。
玉子だって、鳥の餌の補給のめどは立っていない。
いよいよ、農地拡大の時期が来たのかもしれないと考えている。
「ミサさん、おはようございます」
「ああ、坂本さん。おはようございます」
空が明るくなると二人が起きてきた。
二人とも、まだはやいのに、シャンとしている。
朝日に照らされて二人とも美しい。
とてもアラサーには見えない。
「とうさん、おはようごじゃいます」
あずさも起きてきたが、髪はボサボサ、ろれつも回っていない。
でも、三人の中では、やっぱり一番可愛い。朝日に照らされた妖精のようだ。
「な、何ですか。これは!!!」
三人が驚いている。
中庭には、四十体の鎧が朝日に照らされてキラキラ輝いている。
鎧は偵察用に作った、名付けて、機動偵察陸鎧天鋼。
名前の通り鉄で作った鎧だ。
鉄なら、この世界で容易に大量に手に入る。
鉄とクロム、ミスリル、そして炭素の合金製だ。
ミスリルをまぜないと、魔法を受け付けないので、まぜなくてはならなかった。本当は鉄だけで作りたかったのだが。
性能は、ミスリル製の鎧の二割程度。
空も飛べないが、これなら異世界の材料を節約出来るので、量産してみた。
「これは、偵察用の鎧、機動偵察陸鎧天鋼です」
「銀色で綺麗ですね」
坂本さんが、俺の横に来て天鋼を見つめている。
「鉄で出来ているからね」
「さびちゃうんじゃ無いの」
うむ、ミサ! いい質問だ。
「それは大丈夫だ。ステンレス製だからね」
鉄に10パーセント、クロムをまぜたのでさびない。
「おはようございます。木田さん」
柳川も起きてきた。
「おはよう。見てくれ偵察用の鎧だ」
「と、いうことは……」
柳川の目が輝く。
「うむ」
「世界征服ですね」
「ちがーーう! なんて恐ろしい事を言うんだ。どこの悪の組織だよ!」
「ふふっ、食後にゲン一家の幹部を集めます!!」
柳川のアメリカンジョークだったようだ。
「よろしく頼む!」
「なー、あずさ。俺は会議が終ったら、アメリカへ行こうと思う」
「えっ!! どうして?」
あずさに話しかけたのだが、ミサも坂本さんまでも驚いている。
「あー、小麦がどうなっているのか知りたくてね。放置されているなら、もらっちゃおうと思ってね。だってもったいないだろー」
「うふふ、すぐに準備してきます」
おーい、なんで三人とも声がそろっているんだよ。
「坂本さんは仕事があるのでは?」
「心配には及びません。有給休暇がたまっていますので」
最早、断れない感じになっている。
坂本さんは、朝食も食べずにリョウマに乗って行ってしまった。
俺たちは、朝食を済ますと、木田城の四階の会議室に向った。
部屋のドアの前に、いかつい男が立っていて深々と頭を下げドアを開けてくれた。
部屋の会議用の机には、ゲン一家の幹部が一堂に会している。
俺が入ったら、全員が席を立ち俺に頭を下げる。
ゲンまで下げている。
「ゲン!?」
「ふふふ、兄弟、まずは聞いてくれ。俺たちは今日より、木田家郎党となる。はれてかたぎの道を行く。ゲン一家は解散だ」
「なっ?!」
「この世界は、今や暴対法どころか警察も機能していねえ。力が全てだ。悪い奴らが暴れまくって、弱いもんが泣いている。兄弟がそれを正すつもりなら、俺たちが先頭にたつそういう事だ」
「……」
俺は、会議室の男達の顔を見た。
全員すげー顔が恐えー。がたいもいい。
そんな人間が、木田の下につくというのか。
「ゲン、俺は……」
「全員一致の総意だ」
俺は、断ろうとしたが、ゲンがそれをさえぎった。
まあ、俺はヘタレだから、すぐにクビになるだろうと考えて、それには返事をしなかった。
柳川、地図を出してくれ。
会議室の机に拡大コピーをした、地図が置かれた。
その中央に木田城が、描かれている。
「ゲン、聞いてくれ。俺は食糧不足解消の為、農地を確保したい。そのためにまず偵察部隊を出そうと思う。東に一部隊、北に一部隊、西は人口が多いので二部隊。偵察には、偵察用の鎧を作った。一部隊十体で偵察して来てほしい。鎧は四十体、中庭にすでに配置済みだ。人選はゲンに一任する」
「なら、一体は俺が率いる。ポンとダー、藤吉で残りを率いるんだ」
「わかりました」
三人がそろって返事をした。
「柳川は、留守番だ。遊撃隊として城で待機だ」
「わかりました」
「あくまで偵察です。情報収集をお願いします。俺は調査の間にアメリカへ行ってきます。報告を楽しみにしています」
ゲンと幹部達は、地図とにらめっこして、どこへどういう順序で行こうかと相談を始めた。
後は任せてしまおうと俺は部屋を後にした。
「と、とうさん、大変です!!」
「な、なにーーっ!!!」
しまった。あずさが大変だと言ったからつい驚いてしまった。
「とうさん、落ち着いて下さい。まだ何も言っていません」
「あっ、そっか、そうだよね。で、いったい何が大変なんだ」
何が大変なんだろうか、嫌な予感しかしない。
俺は全く眠れないので、起きて木田産業の中庭に出た。
横になっていても、浮かんでくるのは不安ばかりで、目が冴えてしまい眠れない。
俺は食糧の確保をどうしたらいいのか悩んでいた。
どんどん人口が増えているにもかかわらず、食料は消費するばかりでキャベツと玉子以外の補給は止まっている。
玉子だって、鳥の餌の補給のめどは立っていない。
いよいよ、農地拡大の時期が来たのかもしれないと考えている。
「ミサさん、おはようございます」
「ああ、坂本さん。おはようございます」
空が明るくなると二人が起きてきた。
二人とも、まだはやいのに、シャンとしている。
朝日に照らされて二人とも美しい。
とてもアラサーには見えない。
「とうさん、おはようごじゃいます」
あずさも起きてきたが、髪はボサボサ、ろれつも回っていない。
でも、三人の中では、やっぱり一番可愛い。朝日に照らされた妖精のようだ。
「な、何ですか。これは!!!」
三人が驚いている。
中庭には、四十体の鎧が朝日に照らされてキラキラ輝いている。
鎧は偵察用に作った、名付けて、機動偵察陸鎧天鋼。
名前の通り鉄で作った鎧だ。
鉄なら、この世界で容易に大量に手に入る。
鉄とクロム、ミスリル、そして炭素の合金製だ。
ミスリルをまぜないと、魔法を受け付けないので、まぜなくてはならなかった。本当は鉄だけで作りたかったのだが。
性能は、ミスリル製の鎧の二割程度。
空も飛べないが、これなら異世界の材料を節約出来るので、量産してみた。
「これは、偵察用の鎧、機動偵察陸鎧天鋼です」
「銀色で綺麗ですね」
坂本さんが、俺の横に来て天鋼を見つめている。
「鉄で出来ているからね」
「さびちゃうんじゃ無いの」
うむ、ミサ! いい質問だ。
「それは大丈夫だ。ステンレス製だからね」
鉄に10パーセント、クロムをまぜたのでさびない。
「おはようございます。木田さん」
柳川も起きてきた。
「おはよう。見てくれ偵察用の鎧だ」
「と、いうことは……」
柳川の目が輝く。
「うむ」
「世界征服ですね」
「ちがーーう! なんて恐ろしい事を言うんだ。どこの悪の組織だよ!」
「ふふっ、食後にゲン一家の幹部を集めます!!」
柳川のアメリカンジョークだったようだ。
「よろしく頼む!」
「なー、あずさ。俺は会議が終ったら、アメリカへ行こうと思う」
「えっ!! どうして?」
あずさに話しかけたのだが、ミサも坂本さんまでも驚いている。
「あー、小麦がどうなっているのか知りたくてね。放置されているなら、もらっちゃおうと思ってね。だってもったいないだろー」
「うふふ、すぐに準備してきます」
おーい、なんで三人とも声がそろっているんだよ。
「坂本さんは仕事があるのでは?」
「心配には及びません。有給休暇がたまっていますので」
最早、断れない感じになっている。
坂本さんは、朝食も食べずにリョウマに乗って行ってしまった。
俺たちは、朝食を済ますと、木田城の四階の会議室に向った。
部屋のドアの前に、いかつい男が立っていて深々と頭を下げドアを開けてくれた。
部屋の会議用の机には、ゲン一家の幹部が一堂に会している。
俺が入ったら、全員が席を立ち俺に頭を下げる。
ゲンまで下げている。
「ゲン!?」
「ふふふ、兄弟、まずは聞いてくれ。俺たちは今日より、木田家郎党となる。はれてかたぎの道を行く。ゲン一家は解散だ」
「なっ?!」
「この世界は、今や暴対法どころか警察も機能していねえ。力が全てだ。悪い奴らが暴れまくって、弱いもんが泣いている。兄弟がそれを正すつもりなら、俺たちが先頭にたつそういう事だ」
「……」
俺は、会議室の男達の顔を見た。
全員すげー顔が恐えー。がたいもいい。
そんな人間が、木田の下につくというのか。
「ゲン、俺は……」
「全員一致の総意だ」
俺は、断ろうとしたが、ゲンがそれをさえぎった。
まあ、俺はヘタレだから、すぐにクビになるだろうと考えて、それには返事をしなかった。
柳川、地図を出してくれ。
会議室の机に拡大コピーをした、地図が置かれた。
その中央に木田城が、描かれている。
「ゲン、聞いてくれ。俺は食糧不足解消の為、農地を確保したい。そのためにまず偵察部隊を出そうと思う。東に一部隊、北に一部隊、西は人口が多いので二部隊。偵察には、偵察用の鎧を作った。一部隊十体で偵察して来てほしい。鎧は四十体、中庭にすでに配置済みだ。人選はゲンに一任する」
「なら、一体は俺が率いる。ポンとダー、藤吉で残りを率いるんだ」
「わかりました」
三人がそろって返事をした。
「柳川は、留守番だ。遊撃隊として城で待機だ」
「わかりました」
「あくまで偵察です。情報収集をお願いします。俺は調査の間にアメリカへ行ってきます。報告を楽しみにしています」
ゲンと幹部達は、地図とにらめっこして、どこへどういう順序で行こうかと相談を始めた。
後は任せてしまおうと俺は部屋を後にした。
「と、とうさん、大変です!!」
「な、なにーーっ!!!」
しまった。あずさが大変だと言ったからつい驚いてしまった。
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何が大変なんだろうか、嫌な予感しかしない。
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