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第百四十五話 ガッカリだぜ
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ハワイは丁度、日の出だった。
「な、何なんだよ。ここは?」
男達は、オレンジに染まる美しい砂浜にいた。
「まさか、本当にハワイなのか」
「気をつけろ! 人がいる。武器を持て」
「動くな、動くと撃つぞ!!」
その言葉が聞こえていないのか人影は近づいてくる。
「うわあああああああーーーーーーーー!!!!!!」
人影に生気はなかった。
ユラユラ、汚れた服を着て近づいてくる。
「ゾ、ゾンビだ!!」
「頭を撃てーー!!」
ダン
銃弾は頭を吹飛ばした。
だが、頭が無くなっても止まることはなかった。
ここのゾンビは、映画のゾンビでは無い。
本物のゾンビだ。
頭で考えて動いている訳では無い。
もともと脳みそなど機能していないのだ。
頭が無くなっても、近づいて来るゾンビを見て、正気を失う者が現れた。
「ひ、ひいいいいい!!」
その男達が悲鳴を上げて逃げ出した。
太陽が、あたりを明るくすると愕然とした。
ゾンビは一人だけでは無かったのだ。
ゾンビ達は生きた人間を見つけ、次々集って来る。
もともと、アンナメーダーマン達がバカンスをしている時に集ったゾンビ達がそのままになっている。ここはゾンビの巣状態だ。
幸い、動きは俊敏では無い。
「足を撃って、動けなくしろ!!」
「うわあ」
「ど、どうした」
「突然、カバンが出て来ました」
カバンは全員分あった。
「中を調べろ!!」
一人の男がカバンを開けた。
「しょ、食糧です」
「全員カバンと武器を持ち建物に逃げこむぞ。ここにいてはまずい、囲まれる。だが気をつけろ、けがをしたら、俺達までゾンビになる」
「は、はい」
男達はカバンと、武器を持ち海岸に並ぶ建物を目指し走り出した。
「うわあっ」
何人も、ゾンビに捕まり脱落した。
動きはのろいが、力はそれなりに有り、服でも捕まえられれば、走れなくなった。
そこを襲われる。
「ぎゃあああああぁぁぁぁ」
断末魔の声が聞こえる。
「ひいいいぃぃぃ」
その声を聞くと、全員の心が恐怖に包まれた。
「ひひひひ、鏡があればなあ。きっと俺はおもしれえ顔をしているはずだ」
リーダーが笑い出した。
男達は、ゾンビ達に感じていた恐怖の数倍恐怖を感じた。
男達は、近くの建物に入ると、扉を閉めた。
全員絶望感あふれる顔をしている。
大勢のゾンビの中を走り抜けた為、体中にけがをしているのだ。
無慈悲に攻撃をしてくるゾンビ達は手加減が無い。
リーダーはふくらはぎに、はげしい痛みを感じていた。
ズボンをまくると、そこは一口ほど噛みちぎられていた。
「全員無事か」
「……」
無傷な者など、一人もいなかったのだ。
これでは、全員ゾンビになる。そう思って無言になっていた。
「みんな! カバンを開けてみろ、薬が入っているかもしれない」
「このカバンには、紙が入っています」
全員がカバンを確認すると、いくつかのカバンに同じ紙が入っていた。
紙には、「絶望するな、ゾンビにけがをさせられても、ゾンビになることは無い」と、書かれていた。
「おおお」
安堵の声があがった。
だが、すぐに静かになった。
こんな所で、生きていくのかと絶望が広がったのだ。
祭りの朝は、静かに明けた。
「あーあ、こんなにしやあがって」
日本人は、良心的な人がほとんどだ。
海外では自動販売機があり得ないのだという。
誰も見ていなければ、盗むのが当たり前なのだそうだ。
美術館の美術品は大切に残されていた。
人々が、食べ物の奪い合いで殺し合っているのに、美術館はそのまま残してあったのだ。
だが、それを、馬鹿共が破壊したのだ。
そんな奴は日本人じゃねえぞ! まったくよう。
「兄弟、はやく戻してやりてえな」
ゴミと化した美術品を前にして、俺は処分しきれず、ずっと立ちすくんでいた。
そこにゲンが来て言ったのだ。
俺はその何気ない一言に、雷に打たれたような衝撃を憶えた。
ゲンは今、戻してやりたいと言ったのだ。
あの頃の日本に戻す。
ゲンはそんなことを考えていたのだ。
全身が震えている。
「……」
俺は何も言えなくなっていた。
感動で涙が出そうになっていた。
「どうした兄弟。黙り込んじまって。てっ、おいっ!!」
「少し、じっとしていてくれ、俺は今猛烈に感動している」
俺はゲンをハグしていた。
そうしないでは、いられなかった。
ハグしたおかげで、涙は流さずにすんだ。
「何に感動したのかは知らねえが、この先はどうするんだ。考えを聞かせてくれ」
何やら美術館の、玄関の方に人の気配が集って来た気がする。
「ミサ、地図を出してくれー」
いるかどうかは分からないが、大声で言ってみた。
「は、はいー」
ミサが嬉しそうに走って来て、いつもの場所から地図をだした。
「お、おいっ! どこから地図を出しているんだ? ふふ、ミサちゃんも大変だなあ」
「いいえ、少しでも役に立てればいいですから」
ミサは普通にいたようだ。
「柳川、お前もこっちに来い」
柳川と言ったのに、いる人全部が来た。五十人位いる。
坂本さんや、愛美ちゃんの姿まである。
て、ことはだよ。ハグは見られちゃったのかな。
お、俺は別に、女嫌いで男好きと言う事では無いからね。
「とうさんは、ホモだったの?」
ストレートだなー、おい。あずさの奴。
「ち、ちがうわーー。そんな訳あるかー。今の会話を聞いていなかったのか!」
聞いていたようだが、心には刺さってはいなかったようだ。
どうやら、猛烈に感動したのは俺だけだったようだ。
ふーーっ、ガッカリだぜ!!
「な、何なんだよ。ここは?」
男達は、オレンジに染まる美しい砂浜にいた。
「まさか、本当にハワイなのか」
「気をつけろ! 人がいる。武器を持て」
「動くな、動くと撃つぞ!!」
その言葉が聞こえていないのか人影は近づいてくる。
「うわあああああああーーーーーーーー!!!!!!」
人影に生気はなかった。
ユラユラ、汚れた服を着て近づいてくる。
「ゾ、ゾンビだ!!」
「頭を撃てーー!!」
ダン
銃弾は頭を吹飛ばした。
だが、頭が無くなっても止まることはなかった。
ここのゾンビは、映画のゾンビでは無い。
本物のゾンビだ。
頭で考えて動いている訳では無い。
もともと脳みそなど機能していないのだ。
頭が無くなっても、近づいて来るゾンビを見て、正気を失う者が現れた。
「ひ、ひいいいいい!!」
その男達が悲鳴を上げて逃げ出した。
太陽が、あたりを明るくすると愕然とした。
ゾンビは一人だけでは無かったのだ。
ゾンビ達は生きた人間を見つけ、次々集って来る。
もともと、アンナメーダーマン達がバカンスをしている時に集ったゾンビ達がそのままになっている。ここはゾンビの巣状態だ。
幸い、動きは俊敏では無い。
「足を撃って、動けなくしろ!!」
「うわあ」
「ど、どうした」
「突然、カバンが出て来ました」
カバンは全員分あった。
「中を調べろ!!」
一人の男がカバンを開けた。
「しょ、食糧です」
「全員カバンと武器を持ち建物に逃げこむぞ。ここにいてはまずい、囲まれる。だが気をつけろ、けがをしたら、俺達までゾンビになる」
「は、はい」
男達はカバンと、武器を持ち海岸に並ぶ建物を目指し走り出した。
「うわあっ」
何人も、ゾンビに捕まり脱落した。
動きはのろいが、力はそれなりに有り、服でも捕まえられれば、走れなくなった。
そこを襲われる。
「ぎゃあああああぁぁぁぁ」
断末魔の声が聞こえる。
「ひいいいぃぃぃ」
その声を聞くと、全員の心が恐怖に包まれた。
「ひひひひ、鏡があればなあ。きっと俺はおもしれえ顔をしているはずだ」
リーダーが笑い出した。
男達は、ゾンビ達に感じていた恐怖の数倍恐怖を感じた。
男達は、近くの建物に入ると、扉を閉めた。
全員絶望感あふれる顔をしている。
大勢のゾンビの中を走り抜けた為、体中にけがをしているのだ。
無慈悲に攻撃をしてくるゾンビ達は手加減が無い。
リーダーはふくらはぎに、はげしい痛みを感じていた。
ズボンをまくると、そこは一口ほど噛みちぎられていた。
「全員無事か」
「……」
無傷な者など、一人もいなかったのだ。
これでは、全員ゾンビになる。そう思って無言になっていた。
「みんな! カバンを開けてみろ、薬が入っているかもしれない」
「このカバンには、紙が入っています」
全員がカバンを確認すると、いくつかのカバンに同じ紙が入っていた。
紙には、「絶望するな、ゾンビにけがをさせられても、ゾンビになることは無い」と、書かれていた。
「おおお」
安堵の声があがった。
だが、すぐに静かになった。
こんな所で、生きていくのかと絶望が広がったのだ。
祭りの朝は、静かに明けた。
「あーあ、こんなにしやあがって」
日本人は、良心的な人がほとんどだ。
海外では自動販売機があり得ないのだという。
誰も見ていなければ、盗むのが当たり前なのだそうだ。
美術館の美術品は大切に残されていた。
人々が、食べ物の奪い合いで殺し合っているのに、美術館はそのまま残してあったのだ。
だが、それを、馬鹿共が破壊したのだ。
そんな奴は日本人じゃねえぞ! まったくよう。
「兄弟、はやく戻してやりてえな」
ゴミと化した美術品を前にして、俺は処分しきれず、ずっと立ちすくんでいた。
そこにゲンが来て言ったのだ。
俺はその何気ない一言に、雷に打たれたような衝撃を憶えた。
ゲンは今、戻してやりたいと言ったのだ。
あの頃の日本に戻す。
ゲンはそんなことを考えていたのだ。
全身が震えている。
「……」
俺は何も言えなくなっていた。
感動で涙が出そうになっていた。
「どうした兄弟。黙り込んじまって。てっ、おいっ!!」
「少し、じっとしていてくれ、俺は今猛烈に感動している」
俺はゲンをハグしていた。
そうしないでは、いられなかった。
ハグしたおかげで、涙は流さずにすんだ。
「何に感動したのかは知らねえが、この先はどうするんだ。考えを聞かせてくれ」
何やら美術館の、玄関の方に人の気配が集って来た気がする。
「ミサ、地図を出してくれー」
いるかどうかは分からないが、大声で言ってみた。
「は、はいー」
ミサが嬉しそうに走って来て、いつもの場所から地図をだした。
「お、おいっ! どこから地図を出しているんだ? ふふ、ミサちゃんも大変だなあ」
「いいえ、少しでも役に立てればいいですから」
ミサは普通にいたようだ。
「柳川、お前もこっちに来い」
柳川と言ったのに、いる人全部が来た。五十人位いる。
坂本さんや、愛美ちゃんの姿まである。
て、ことはだよ。ハグは見られちゃったのかな。
お、俺は別に、女嫌いで男好きと言う事では無いからね。
「とうさんは、ホモだったの?」
ストレートだなー、おい。あずさの奴。
「ち、ちがうわーー。そんな訳あるかー。今の会話を聞いていなかったのか!」
聞いていたようだが、心には刺さってはいなかったようだ。
どうやら、猛烈に感動したのは俺だけだったようだ。
ふーーっ、ガッカリだぜ!!
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