163 / 428
第百六十三話 後顧の憂い無し
しおりを挟む
とはいえ、今回は下調べだ、いきなり本気バトルする訳じゃねえ。
やる時の覚悟は出来たが、しっかり対策を立ててからしか、仕掛ける気は無い。
その時にあるかどうかは、わからないけど弱点が見つかると、ありがたいと思っている。
「なるほど、このスザクを労働力として働かせ、代わりに小学生を持つ家族を、家族ごと引っ越しさせようという事ですね」
さすがは柳川だ。
理解してくれたようだ。
「うむ、このスザクには、付与に収納魔法を持たせた。農業に従事させ収穫物も同時に収納できる。また、戦争の輸送隊もスザク一体でおしまいだ。運送も出来るし戦闘能力は人間をはるかに凌駕する。村にいれば治安も任せられるはずだ」
「さすがとしか言いようがありません。このような物をすでに作っているとは」
「うん、一応十万馬力と言いたいところだけど、百人力としておこう。これで、小学生家族を養う費用も捻出して、食糧生産の人手不足も解消出来ないだろうか?」
「十分だと思います。すごい……」
柳川がすごいを連発している。
そんなにすごいとは思わないが、子供を育てることは木田家が責任を持たなければならないと思っている。
税金を取れるだけ絞り取って、子供はお前達の責任で育てろは、無責任すぎる。子供は国が最後まで責任をもって育てなくては、少子化で国が立ちゆかなくなるのが目に見えている。そんなことは俺でも分かる。
見てないテレビ番組に料金を取るのと同じで、そんな負担を国民に押しつける物ではない。
せめて有料にするなら、テレビ番組は見た人に見た分だけ払わせてよね。
俺はずっと底辺おっさんを維持するつもりだ。
そこからしか見えない物が沢山ある。
そしてそこから見えてくる一部の金持ちに、既得権益を持たせ贅沢をさせる気は無い。
きっちり仕事をして、お金は稼いでもらいたいものだ。
「とうさんは、すごいです。こんなことまで考えているなんて、ただのオタクではありません」
あずさまで、感動しているようだ。ちと、とげがある言い方が気になるのだがまあいいか。
まわりにいる人も全員、うなずいてくれている。
いやいや、RPGやSLGなどのゲームをして異世界アニメを見ていれば、たいてい気が付くもんだよ、こんなこと。
現実世界で、その知識が使えるとは思わなかったけど。
「さあ、いったん戻ろうか」
そう言ってもあずさは、スザクの間に入り楽しんでいる。
他のメンバーもあずさについている。
俺はそのすきに柳川の耳元に近づき、柳川以外に聞こえないように話しかけた。
「もし、俺に何かあったら、ゲンとアドとあずさに後を託したい。憶えておいてくれ」
「!?」
「そんな顔をするな、これはまじなんだが、本当に死ぬ気は無い。万が一の為だ」
「本当ですよ。あー、あと、一月一日は大評定を開きますから、この日は絶対何があっても帰って来て下さい。お願いしますよ」
「……、けっ、欠席させて下さい」
「はあーっ、駄目に決まっています。本当に伝えましたからね!!!」
「俺は人付き合いが苦手なんだがなー」
「ふふふ」
いやいや、ギャグじゃねえんだけどな。
まあ、思い出したら参加することにしようか。
翌日は、普通に榎本がやって来た。
尾張大田家当主に会いに来たのだ。
「確か榎本も東も、俺が『木田とう』とは知らなかったよな」
連絡の為に、小六トリオの勉強部屋兼評定の間に来た加藤に聞いて見た。
「言われて見れば、知らないかもしれません」
「よし、加藤。二人にはその事は内緒にする。いいな」
「はぁ」
これで、大評定の楽しみが出来た。
榎本と東に、大評定の場で俺が大殿だとばらすのだ。
二人の驚く顔が見て見たい。
ニヤニヤしていると榎本が入って来た。
「殿、榎本隊やっと関ヶ原まで、治安の回復が終りましたので、その御報告です」
「ミサ!」
「はい!」
俺が手を出すと、ミサが地図を渡してくれた。
ミサの渡してくれる地図は生暖かい。
それを広げた。
ちゃんと中部の地図だ。
「ミサ、いつも的確だ。ありがとう」
「いいえ、どういたしまして」
「ふむ、こうしてみると殿とミサ殿はお似合いですなー」
「はー、どこがだよ。おれとじゃあ、ミサがかわいそうだ。お似合わねえよ!!」
俺がミサを見るとミサが赤くなっている。
見ろ、赤くなるほど怒っているじゃねえか。
「そうです!! お似合わないです!!」
俺の後ろから、全員が大声で叫んでいる。
昨日のメンバーが全員怒っている。
だよなーー。
「見ろ、榎本。全員激おこだ!! で関ヶ原は?」
「はっ」
地図に指をさしてくれた。
実際の所、ゲームで関ヶ原はあまり出てこない。
地図で確認すると、すごい場所だ。
戦国時代なら、東西の中央の蓋が出来てしまう場所だ。
美濃はここさえ守っていれば、西からの脅威はシャットアウトだ。
「榎本、ひとまず、美濃の部隊は、ここを固く守備してくれ」
「と、言いますと、これより先は行くなと……」
「うむ、この先の藪に手を突っ込み、蛇を出してもつまらん。この後は飛騨の治安回復だ。女、子供が一人で出歩けるような場所にしてくれ。大田家家中は、戸締まりすら必要が無いと言われるほどにしたい」
「はっ!」
「それは、そうと榎本、おまえ斎藤道三と名前を変える気は無いか」
「えっ」
「嫌じゃなければ、そうしてくれ。最近じゃあ、なんだか皆そうしている」
「い、嫌ではありませんが、恐れ多いというか何というか」
「じゃあ、あれだ、斎藤三だ」
「さいとうさん、いいですねー」
「よし、それにする。そして、近江の羽柴に使者を出せ、友好の使者だ。米でも持って行けば良いだろう。これで織田家にも伝わるはずだ」
「と、言われますと」
「ふふっ、その昔、斎藤道三と織田信長は同盟を結んでいた。美濃で斎藤三を名乗れば、その意味が伝わるはずだ。これで俺も、心置きなく大阪に行けるというものだ」
やる時の覚悟は出来たが、しっかり対策を立ててからしか、仕掛ける気は無い。
その時にあるかどうかは、わからないけど弱点が見つかると、ありがたいと思っている。
「なるほど、このスザクを労働力として働かせ、代わりに小学生を持つ家族を、家族ごと引っ越しさせようという事ですね」
さすがは柳川だ。
理解してくれたようだ。
「うむ、このスザクには、付与に収納魔法を持たせた。農業に従事させ収穫物も同時に収納できる。また、戦争の輸送隊もスザク一体でおしまいだ。運送も出来るし戦闘能力は人間をはるかに凌駕する。村にいれば治安も任せられるはずだ」
「さすがとしか言いようがありません。このような物をすでに作っているとは」
「うん、一応十万馬力と言いたいところだけど、百人力としておこう。これで、小学生家族を養う費用も捻出して、食糧生産の人手不足も解消出来ないだろうか?」
「十分だと思います。すごい……」
柳川がすごいを連発している。
そんなにすごいとは思わないが、子供を育てることは木田家が責任を持たなければならないと思っている。
税金を取れるだけ絞り取って、子供はお前達の責任で育てろは、無責任すぎる。子供は国が最後まで責任をもって育てなくては、少子化で国が立ちゆかなくなるのが目に見えている。そんなことは俺でも分かる。
見てないテレビ番組に料金を取るのと同じで、そんな負担を国民に押しつける物ではない。
せめて有料にするなら、テレビ番組は見た人に見た分だけ払わせてよね。
俺はずっと底辺おっさんを維持するつもりだ。
そこからしか見えない物が沢山ある。
そしてそこから見えてくる一部の金持ちに、既得権益を持たせ贅沢をさせる気は無い。
きっちり仕事をして、お金は稼いでもらいたいものだ。
「とうさんは、すごいです。こんなことまで考えているなんて、ただのオタクではありません」
あずさまで、感動しているようだ。ちと、とげがある言い方が気になるのだがまあいいか。
まわりにいる人も全員、うなずいてくれている。
いやいや、RPGやSLGなどのゲームをして異世界アニメを見ていれば、たいてい気が付くもんだよ、こんなこと。
現実世界で、その知識が使えるとは思わなかったけど。
「さあ、いったん戻ろうか」
そう言ってもあずさは、スザクの間に入り楽しんでいる。
他のメンバーもあずさについている。
俺はそのすきに柳川の耳元に近づき、柳川以外に聞こえないように話しかけた。
「もし、俺に何かあったら、ゲンとアドとあずさに後を託したい。憶えておいてくれ」
「!?」
「そんな顔をするな、これはまじなんだが、本当に死ぬ気は無い。万が一の為だ」
「本当ですよ。あー、あと、一月一日は大評定を開きますから、この日は絶対何があっても帰って来て下さい。お願いしますよ」
「……、けっ、欠席させて下さい」
「はあーっ、駄目に決まっています。本当に伝えましたからね!!!」
「俺は人付き合いが苦手なんだがなー」
「ふふふ」
いやいや、ギャグじゃねえんだけどな。
まあ、思い出したら参加することにしようか。
翌日は、普通に榎本がやって来た。
尾張大田家当主に会いに来たのだ。
「確か榎本も東も、俺が『木田とう』とは知らなかったよな」
連絡の為に、小六トリオの勉強部屋兼評定の間に来た加藤に聞いて見た。
「言われて見れば、知らないかもしれません」
「よし、加藤。二人にはその事は内緒にする。いいな」
「はぁ」
これで、大評定の楽しみが出来た。
榎本と東に、大評定の場で俺が大殿だとばらすのだ。
二人の驚く顔が見て見たい。
ニヤニヤしていると榎本が入って来た。
「殿、榎本隊やっと関ヶ原まで、治安の回復が終りましたので、その御報告です」
「ミサ!」
「はい!」
俺が手を出すと、ミサが地図を渡してくれた。
ミサの渡してくれる地図は生暖かい。
それを広げた。
ちゃんと中部の地図だ。
「ミサ、いつも的確だ。ありがとう」
「いいえ、どういたしまして」
「ふむ、こうしてみると殿とミサ殿はお似合いですなー」
「はー、どこがだよ。おれとじゃあ、ミサがかわいそうだ。お似合わねえよ!!」
俺がミサを見るとミサが赤くなっている。
見ろ、赤くなるほど怒っているじゃねえか。
「そうです!! お似合わないです!!」
俺の後ろから、全員が大声で叫んでいる。
昨日のメンバーが全員怒っている。
だよなーー。
「見ろ、榎本。全員激おこだ!! で関ヶ原は?」
「はっ」
地図に指をさしてくれた。
実際の所、ゲームで関ヶ原はあまり出てこない。
地図で確認すると、すごい場所だ。
戦国時代なら、東西の中央の蓋が出来てしまう場所だ。
美濃はここさえ守っていれば、西からの脅威はシャットアウトだ。
「榎本、ひとまず、美濃の部隊は、ここを固く守備してくれ」
「と、言いますと、これより先は行くなと……」
「うむ、この先の藪に手を突っ込み、蛇を出してもつまらん。この後は飛騨の治安回復だ。女、子供が一人で出歩けるような場所にしてくれ。大田家家中は、戸締まりすら必要が無いと言われるほどにしたい」
「はっ!」
「それは、そうと榎本、おまえ斎藤道三と名前を変える気は無いか」
「えっ」
「嫌じゃなければ、そうしてくれ。最近じゃあ、なんだか皆そうしている」
「い、嫌ではありませんが、恐れ多いというか何というか」
「じゃあ、あれだ、斎藤三だ」
「さいとうさん、いいですねー」
「よし、それにする。そして、近江の羽柴に使者を出せ、友好の使者だ。米でも持って行けば良いだろう。これで織田家にも伝わるはずだ」
「と、言われますと」
「ふふっ、その昔、斎藤道三と織田信長は同盟を結んでいた。美濃で斎藤三を名乗れば、その意味が伝わるはずだ。これで俺も、心置きなく大阪に行けるというものだ」
0
あなたにおすすめの小説
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました
夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。
スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。
ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。
驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。
※カクヨムで先行配信をしています。
魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。
それは、最強の魔道具だった。
魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく!
すべては、憧れのスローライフのために!
エブリスタにも掲載しています。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる