264 / 428
第二百六十四話 決戦の地
しおりを挟む
「薩摩をまだ信用したわけではないけれど、久美子さんの覚悟は見せてもらった。久美子さんを信用することにしよう」
とうさんは、久美子さんの覚悟を見て、薩摩との同盟を快諾しました。
その後、少し九州の情勢を教えてもらって、大阪城へ帰ることになりました。
「ちょっと待ってヒマリちゃん!」
私が薩摩藩邸を出ようとしたら、久美子さんに呼び止められました。
「はい、なんですか」
久美子さんは、私の耳に口を近づけると誰にも聞こえないように小さな声で言いました。
「助かったわ。あなたのおかげで、豚みたいな気持ちの悪い男の相手をしなくて済みました。感謝します。あなた程の美少女が大変ですね。あんなくそ豚に嫌々こびを売らなくちゃいけないのですから。ふふふ」
――なー、な、な、なんですってーーーー!!!! すごく感じわるーーい!!
この人、とうさんをくそ変態オタク豚野郎と言いました。
ゆっ、ゆるさん!!
あーでも、このままが良いですね。
とうさんを好きな人は一人でも少ない方がいいのですから。
「はい。でも私は、世界で一番豚好きな女の子なので、嫌々ではありません。久美子さんは豚好きにはならないで下さいね」
「まあ! 私は世界で一番豚が嫌い。安心して……フッ」
一瞬驚いた久美子さんは、顔に影を落とすと嫌な笑顔になりました。
それは、悪いことを考えている魔女のような表情でした。
私はゾクッと体が震えました。
とうさん! この人は、信用してはいけない人のような気がします。
「でも、驚いたわ。これでも私はミス鹿児島。鹿児島一の美女なのに、ここではすでに二番目だわ。ヒマリちゃんこれからもよろしくね」
に、二番目ですってーー!!
あずさちゃんの次って事ですかーー!!
どー見ても、私の目からは最下位ですけどーー!!
いけません、こんな事を考えては!!!
私はとうさんの横にふさわしい人間になる為、清く正しく生きると決めたのですから。
「まってくださーーい。魔王様ー! 私も魔王城へご一緒しまーす」
「お、おいおい。久美子さん、魔王様はやめてくれ」
――えーーっ!!
いまさらですか。まさか! 今頃気が付いたのですか。
やれやれです。
久美子さんは、ずっと魔王様って呼んでいましたよ。
「しかし、凄いお城ですね。魔王様! まるでゲームの最後に出てくる暗黒の魔王城です」
そして、久美子さんはやめる気は無いみたいです。
腕に抱きつきました。とても良い笑顔です。確かに美人です。
でも、恐ろしいです。
とうさんを嫌っているはずなのに、どう見ても好きになっている美女にしか見えません。
魔性の女です! 恐い。私は真冬のような寒さを感じました。
魔王城の中は、外からでは想像出来ないほどに明るい。
外からは窓があるようには見えませんが、中からだと大きな窓が沢山ついているように見えます。
「そうだ。こっちに来てくれ。見せたい物がある」
とうさんは、うれしそうに私達を天守閣から本丸御殿へ案内します。
本丸御殿の一階は格納庫になっていました。
天井も高くて、機動陸鎧が立って歩けるくらいの高さがあります。
「うわあー! すごい!」
全員から声が出ました。
それは、部屋の大きさに驚いただけではありません。
大勢の銀色、いいえ良く見ると角度によっては赤や青に輝く人型ゴーレムがありました。
「これは、これから始まる田植えの為に用意した。鉄とオリハルコン、ミスリルの合金製ゴーレムだ。余っている鉄を多く使用している汎用性アリス型ゴーレムだ」
「アリス?」
あずさちゃんが、すかさず聞きました。
「ああ、鉄のアイアンのアと、オリハルコンのリ、ミスリルのスを取って名付けた。名前が女性っぽいので女性型にした。六万人いる」
たぶん、ちがいますね。
形状が美し過ぎます。
最初に作って、あとから女性の名前を考えたのだと思います。
「オリハルコン、ミスリル、ゴーレム?」
久美子さんはゲームをやる人なのでしょうか。
聞き流しませんでした。
「あははは、言い間違えました。アンドロイドです。ロボットです。ははは……」
「で、ですよねえ」
久美子さんは、ふに落ちないようですが返事をしました。
オリハルコンとミスリルは聞こえなかったふりですね。
とうさんはすごいです。いつのまにかこんな物まで作っていたのですね。
でも、見方によっては悪の大魔王の戦闘員にも見えなくもありません。
とうさんのさじ加減一つで世界の未来が変わってしまいそうです。
「まあ、こんな物はたいしたことはない。来てくれ」
また、うれしそうな顔をして、案内をはじめました。
まるで、新しいおもちゃを見せびらかす男の子のようです。
二階には大きな食堂と会議用の事務施設、三階は宿泊施設と超大浴場がありました。
ここまではパスがあれば誰でも入れるようです。
四階からはVIPしか入れないようです。
四階に大浴場と宿泊施設に食堂があります。
五階は大広間と個人用のお風呂があります。
六階が、木田家重臣専用の部屋になっています。
「さて、外を見てくれ」
最上階のとうさんの部屋から外を見ると、巨大な赤い龍と青い龍がいます。
とうさんが手を上げると龍の姿から十八メートル位のロボになりました。
「な、なんですか! あれは?」
あずさちゃんの目がキラキラ輝いています。
「あれは、堀の工事用の重機だ」
とうさんはロボを重機と言いました。
「名前は? 名前はなんですか?」
「ふむ、さっき久美子さんの話を聞いて作ったから、まだ考えていない」
「はーーっ!!」
あずさちゃん以外が全員大きな口を開けて驚いています。
「じゃあ、ジグリオとバムードです。いいでしょ」
「ああ、なんか、龍戦士みたいな名前だ。それでいこう」
「うふふ」
あずさちゃんがとてもうれしそうです。
「なぜ、いまさら堀を作るのですか?」
古賀さんが質問しました。
「うむ、久美子さんの話を聞いて、新政府軍との決戦の地をここにしたいと考えたからだ。敵の部隊長は十二人それぞれ強い。そして桜木とサエコさんは化け物だ。決戦となればそれに加えハルラも出てくる。万全の有利な状況が必要だ。堀を完全にして、待ち受けたい」
「あの、ハルラとは?」
「久美子さんは、まだ知らないのか。桜木やサエコさんをはるかに超える恐ろしい男さ」
「まだ、そんな恐ろしい人がいるのですか」
久美子さんは本当に恐そうに体を震わすと、とうさんにしがみつきました。
どこまでが本気なのでしょう。
でも、とうさんの視線はうれしそうに輝いている、あずさちゃんに釘付けです。
『ちっ、ロリコンがっ!』って、口が動きました。
な、なんて人なのでしょうか。こ、こわい。
「うむ、この魔王を超える勇者だ。わかっている限りで最強の男だ」
あーあもう、自分で魔王と言っています。
しかもハルラを勇者と言っていますよ。
負けるフラグとしか思えません。
やれやれです。
とうさんは、久美子さんの覚悟を見て、薩摩との同盟を快諾しました。
その後、少し九州の情勢を教えてもらって、大阪城へ帰ることになりました。
「ちょっと待ってヒマリちゃん!」
私が薩摩藩邸を出ようとしたら、久美子さんに呼び止められました。
「はい、なんですか」
久美子さんは、私の耳に口を近づけると誰にも聞こえないように小さな声で言いました。
「助かったわ。あなたのおかげで、豚みたいな気持ちの悪い男の相手をしなくて済みました。感謝します。あなた程の美少女が大変ですね。あんなくそ豚に嫌々こびを売らなくちゃいけないのですから。ふふふ」
――なー、な、な、なんですってーーーー!!!! すごく感じわるーーい!!
この人、とうさんをくそ変態オタク豚野郎と言いました。
ゆっ、ゆるさん!!
あーでも、このままが良いですね。
とうさんを好きな人は一人でも少ない方がいいのですから。
「はい。でも私は、世界で一番豚好きな女の子なので、嫌々ではありません。久美子さんは豚好きにはならないで下さいね」
「まあ! 私は世界で一番豚が嫌い。安心して……フッ」
一瞬驚いた久美子さんは、顔に影を落とすと嫌な笑顔になりました。
それは、悪いことを考えている魔女のような表情でした。
私はゾクッと体が震えました。
とうさん! この人は、信用してはいけない人のような気がします。
「でも、驚いたわ。これでも私はミス鹿児島。鹿児島一の美女なのに、ここではすでに二番目だわ。ヒマリちゃんこれからもよろしくね」
に、二番目ですってーー!!
あずさちゃんの次って事ですかーー!!
どー見ても、私の目からは最下位ですけどーー!!
いけません、こんな事を考えては!!!
私はとうさんの横にふさわしい人間になる為、清く正しく生きると決めたのですから。
「まってくださーーい。魔王様ー! 私も魔王城へご一緒しまーす」
「お、おいおい。久美子さん、魔王様はやめてくれ」
――えーーっ!!
いまさらですか。まさか! 今頃気が付いたのですか。
やれやれです。
久美子さんは、ずっと魔王様って呼んでいましたよ。
「しかし、凄いお城ですね。魔王様! まるでゲームの最後に出てくる暗黒の魔王城です」
そして、久美子さんはやめる気は無いみたいです。
腕に抱きつきました。とても良い笑顔です。確かに美人です。
でも、恐ろしいです。
とうさんを嫌っているはずなのに、どう見ても好きになっている美女にしか見えません。
魔性の女です! 恐い。私は真冬のような寒さを感じました。
魔王城の中は、外からでは想像出来ないほどに明るい。
外からは窓があるようには見えませんが、中からだと大きな窓が沢山ついているように見えます。
「そうだ。こっちに来てくれ。見せたい物がある」
とうさんは、うれしそうに私達を天守閣から本丸御殿へ案内します。
本丸御殿の一階は格納庫になっていました。
天井も高くて、機動陸鎧が立って歩けるくらいの高さがあります。
「うわあー! すごい!」
全員から声が出ました。
それは、部屋の大きさに驚いただけではありません。
大勢の銀色、いいえ良く見ると角度によっては赤や青に輝く人型ゴーレムがありました。
「これは、これから始まる田植えの為に用意した。鉄とオリハルコン、ミスリルの合金製ゴーレムだ。余っている鉄を多く使用している汎用性アリス型ゴーレムだ」
「アリス?」
あずさちゃんが、すかさず聞きました。
「ああ、鉄のアイアンのアと、オリハルコンのリ、ミスリルのスを取って名付けた。名前が女性っぽいので女性型にした。六万人いる」
たぶん、ちがいますね。
形状が美し過ぎます。
最初に作って、あとから女性の名前を考えたのだと思います。
「オリハルコン、ミスリル、ゴーレム?」
久美子さんはゲームをやる人なのでしょうか。
聞き流しませんでした。
「あははは、言い間違えました。アンドロイドです。ロボットです。ははは……」
「で、ですよねえ」
久美子さんは、ふに落ちないようですが返事をしました。
オリハルコンとミスリルは聞こえなかったふりですね。
とうさんはすごいです。いつのまにかこんな物まで作っていたのですね。
でも、見方によっては悪の大魔王の戦闘員にも見えなくもありません。
とうさんのさじ加減一つで世界の未来が変わってしまいそうです。
「まあ、こんな物はたいしたことはない。来てくれ」
また、うれしそうな顔をして、案内をはじめました。
まるで、新しいおもちゃを見せびらかす男の子のようです。
二階には大きな食堂と会議用の事務施設、三階は宿泊施設と超大浴場がありました。
ここまではパスがあれば誰でも入れるようです。
四階からはVIPしか入れないようです。
四階に大浴場と宿泊施設に食堂があります。
五階は大広間と個人用のお風呂があります。
六階が、木田家重臣専用の部屋になっています。
「さて、外を見てくれ」
最上階のとうさんの部屋から外を見ると、巨大な赤い龍と青い龍がいます。
とうさんが手を上げると龍の姿から十八メートル位のロボになりました。
「な、なんですか! あれは?」
あずさちゃんの目がキラキラ輝いています。
「あれは、堀の工事用の重機だ」
とうさんはロボを重機と言いました。
「名前は? 名前はなんですか?」
「ふむ、さっき久美子さんの話を聞いて作ったから、まだ考えていない」
「はーーっ!!」
あずさちゃん以外が全員大きな口を開けて驚いています。
「じゃあ、ジグリオとバムードです。いいでしょ」
「ああ、なんか、龍戦士みたいな名前だ。それでいこう」
「うふふ」
あずさちゃんがとてもうれしそうです。
「なぜ、いまさら堀を作るのですか?」
古賀さんが質問しました。
「うむ、久美子さんの話を聞いて、新政府軍との決戦の地をここにしたいと考えたからだ。敵の部隊長は十二人それぞれ強い。そして桜木とサエコさんは化け物だ。決戦となればそれに加えハルラも出てくる。万全の有利な状況が必要だ。堀を完全にして、待ち受けたい」
「あの、ハルラとは?」
「久美子さんは、まだ知らないのか。桜木やサエコさんをはるかに超える恐ろしい男さ」
「まだ、そんな恐ろしい人がいるのですか」
久美子さんは本当に恐そうに体を震わすと、とうさんにしがみつきました。
どこまでが本気なのでしょう。
でも、とうさんの視線はうれしそうに輝いている、あずさちゃんに釘付けです。
『ちっ、ロリコンがっ!』って、口が動きました。
な、なんて人なのでしょうか。こ、こわい。
「うむ、この魔王を超える勇者だ。わかっている限りで最強の男だ」
あーあもう、自分で魔王と言っています。
しかもハルラを勇者と言っていますよ。
負けるフラグとしか思えません。
やれやれです。
0
あなたにおすすめの小説
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました
夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。
スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。
ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。
驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。
※カクヨムで先行配信をしています。
魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。
それは、最強の魔道具だった。
魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく!
すべては、憧れのスローライフのために!
エブリスタにも掲載しています。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる