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激闘編
第二百七十六話 島津の鬼姫
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「ひゃあーはっはっは、あいつらはくそだな」
あの方は島津家の久美子さん。
口が悪いですね。
どうやら、柴田家の奥方様の中に混ざって、様子を探っていたみたいです。
私はまだ体は動かないのですが、やっと首だけはかろうじて動くようになりました。
どんな攻撃をうけるとこんな状態になるのでしょうか。ビックリです。
「何がニャ?」
久美子さんの言葉にアド様がくいつきました。
「うふふ、体育館の外に出たら、くす、あの方達。大殿の悪口ばかり言っていましたよ。顔が豚とか、体が豚とか、臭いが豚とか、木田家はあんな豚が偉そうにしているなんて、終っていますねとか、言いたい放題でした。ひどい奴らです。ふふふ」
本当にひどいです。
でも、それを聞いてうれしそうな久美子さんもどうかと思います。
「あら! 古賀忍軍の二名が倒れています。誰にやられたのですか?」
「アドニャ!」
アド様は鼻の穴をヒクヒクさせて、少しのけぞって自慢そうです。
「ぷっ! 古賀忍軍などと言うものですからすごいと思っていましたが、こんな幼女にやられてしまうなんて……ぷぷ!」
まったく、お客様とはいえ失礼すぎますね。
「私を笑うのはいいですが。古賀忍軍やアド様を馬鹿にするのはおやめ下さい」
うふふ、私はひどい女です。アド様からお仕置きをされるように仕向けています。
「はん、こんなちびに、どうやったら負けるんだ。負け方が想像出来ないわ」
扱いやすい人です。
「あ、馬鹿!!」
カンリ一族の人でしょうか、私達の時と同じ声が何も無いところから聞こえました。
「アドを馬鹿にする奴は許さないニャ」
でました!!
「ふふっ『許さないニャ』って、どこの異世界の獣人ですか。幼女と言っても馬鹿すぎです」
あー、馬鹿すぎなのはたぶんあなたの方だと思います。
それとも……。
島津家は武道が盛んで、相当に強いということでしょうか。
「良い度胸ニャ」
アド様の猛獣の気配です。
少しうつむいた顔に影が落ち、目だけが光り輝いています。
でも、久美子さんには伝わっていないようです。鈍感なのですねえ。
「おちびちゃん。良いことを教えてあげるわ。島津家で私は鬼姫と呼ばれていました。武芸では同世代の薩摩中の男子にも遅れを取りません。悪いことはいいません。あやまって大人しくしておいた方がいいと思いますけど」
へー、やっぱり強いんだ。
「おいおい。手加減を間違えるなよ」
柳川様と話し込んでいた大殿が、とうとう見かねて声をかけました。
「大丈夫です。幼女に本気は出しません」
久美子さん、大殿はあなたに言ったんじゃないと思いますよ。
「やれやれニャ」
アド様は、無造作に久美子さんに近づきました。
久美子さんは視線をアド様に向けました。
その瞬間、アド様は上半身を一瞬右に微かに動かし、左側に移動しました。
それだけで、久美子さんはアド様を見失ったようです。
「?!」
アド様は、死角から近づくと久美子さんの心臓の上にかるく小さな手のひらを当てました。
その瞬間、ひざからゆっくりまるで座るように崩れ落ち、パタンと仰向けに倒れました。
ああ、これと同じ事を私達はやられたのだと感じました。
久美子さんは目を開きました。
少し失神していたようです。
体はまだ動かないのでしょう。
声も出せないようです。
「ふぐうっ、ふ、不意打ちとは卑怯です!!」
どうやら、強引に口を開いたようです。精神力はたいしたものです。
でも、自分とアド様の実力差には気が付いていないようです。
アド様は、久美子さんの服の胸元をつかむと上半身を起こしました。
その時に服の胸元が大きく開いて、胸が丸見えになりました。
あ、安心して下さい。茶色の縁取りのかわいいリボンとフリフリのついた、少し少女趣味のブラジャーでなんとか大事なところまでは見えませんでした。
アド様は起こした久美子さんの背中に手のひらを合せます。
「ゲホォ! ゲホゲホ」
「もう立てるはずニャ」
「くっ! このおぉ!」
久美子さんは、振り向きざまにアド様の手を取ろうとしました。
アド様は、すぐに手を引っ込めます。
久美子さんは、眉毛をつり上げると次々手を出してアド様を捕まえようとします。
その全てが空をつかみます。
さすがに、久美子さんもアド様の実力に気が付き始めたようです。
「あっ! チュール!」
「ど、どこにゃ?」
久美子さんは自分の足下を指さしました。って、アド様! 猫じゃ無いんだからチュールは食べないでしょう。
アド様の顔が久美子さんの足に近づきます。
「こんのぉーーっ!!」
久美子さんが渾身の力で足を蹴り上げました。
もう、当たらない方がおかしい距離です。汚い!!!
それを、軽く紙一重でかわします。
「どこニャ?」
かわいい顔をして、久美子さんの顔を見つめます。
その目はキラキラ星を飛ばしています。
「だ、だめーー!!」
久美子さんがアドちゃんに抱きつきます。
アド様はそれをよけませんでした。
「か、かわいいーーー!! アドちゃんの可愛さに負けました」
「ええぇーーーっ!!!」
体育館中に皆の驚きの声が響きました。
実力で負けたくせに、アド様の可愛さに負けた事にしてしまいました。
恐い人です。
あの方は島津家の久美子さん。
口が悪いですね。
どうやら、柴田家の奥方様の中に混ざって、様子を探っていたみたいです。
私はまだ体は動かないのですが、やっと首だけはかろうじて動くようになりました。
どんな攻撃をうけるとこんな状態になるのでしょうか。ビックリです。
「何がニャ?」
久美子さんの言葉にアド様がくいつきました。
「うふふ、体育館の外に出たら、くす、あの方達。大殿の悪口ばかり言っていましたよ。顔が豚とか、体が豚とか、臭いが豚とか、木田家はあんな豚が偉そうにしているなんて、終っていますねとか、言いたい放題でした。ひどい奴らです。ふふふ」
本当にひどいです。
でも、それを聞いてうれしそうな久美子さんもどうかと思います。
「あら! 古賀忍軍の二名が倒れています。誰にやられたのですか?」
「アドニャ!」
アド様は鼻の穴をヒクヒクさせて、少しのけぞって自慢そうです。
「ぷっ! 古賀忍軍などと言うものですからすごいと思っていましたが、こんな幼女にやられてしまうなんて……ぷぷ!」
まったく、お客様とはいえ失礼すぎますね。
「私を笑うのはいいですが。古賀忍軍やアド様を馬鹿にするのはおやめ下さい」
うふふ、私はひどい女です。アド様からお仕置きをされるように仕向けています。
「はん、こんなちびに、どうやったら負けるんだ。負け方が想像出来ないわ」
扱いやすい人です。
「あ、馬鹿!!」
カンリ一族の人でしょうか、私達の時と同じ声が何も無いところから聞こえました。
「アドを馬鹿にする奴は許さないニャ」
でました!!
「ふふっ『許さないニャ』って、どこの異世界の獣人ですか。幼女と言っても馬鹿すぎです」
あー、馬鹿すぎなのはたぶんあなたの方だと思います。
それとも……。
島津家は武道が盛んで、相当に強いということでしょうか。
「良い度胸ニャ」
アド様の猛獣の気配です。
少しうつむいた顔に影が落ち、目だけが光り輝いています。
でも、久美子さんには伝わっていないようです。鈍感なのですねえ。
「おちびちゃん。良いことを教えてあげるわ。島津家で私は鬼姫と呼ばれていました。武芸では同世代の薩摩中の男子にも遅れを取りません。悪いことはいいません。あやまって大人しくしておいた方がいいと思いますけど」
へー、やっぱり強いんだ。
「おいおい。手加減を間違えるなよ」
柳川様と話し込んでいた大殿が、とうとう見かねて声をかけました。
「大丈夫です。幼女に本気は出しません」
久美子さん、大殿はあなたに言ったんじゃないと思いますよ。
「やれやれニャ」
アド様は、無造作に久美子さんに近づきました。
久美子さんは視線をアド様に向けました。
その瞬間、アド様は上半身を一瞬右に微かに動かし、左側に移動しました。
それだけで、久美子さんはアド様を見失ったようです。
「?!」
アド様は、死角から近づくと久美子さんの心臓の上にかるく小さな手のひらを当てました。
その瞬間、ひざからゆっくりまるで座るように崩れ落ち、パタンと仰向けに倒れました。
ああ、これと同じ事を私達はやられたのだと感じました。
久美子さんは目を開きました。
少し失神していたようです。
体はまだ動かないのでしょう。
声も出せないようです。
「ふぐうっ、ふ、不意打ちとは卑怯です!!」
どうやら、強引に口を開いたようです。精神力はたいしたものです。
でも、自分とアド様の実力差には気が付いていないようです。
アド様は、久美子さんの服の胸元をつかむと上半身を起こしました。
その時に服の胸元が大きく開いて、胸が丸見えになりました。
あ、安心して下さい。茶色の縁取りのかわいいリボンとフリフリのついた、少し少女趣味のブラジャーでなんとか大事なところまでは見えませんでした。
アド様は起こした久美子さんの背中に手のひらを合せます。
「ゲホォ! ゲホゲホ」
「もう立てるはずニャ」
「くっ! このおぉ!」
久美子さんは、振り向きざまにアド様の手を取ろうとしました。
アド様は、すぐに手を引っ込めます。
久美子さんは、眉毛をつり上げると次々手を出してアド様を捕まえようとします。
その全てが空をつかみます。
さすがに、久美子さんもアド様の実力に気が付き始めたようです。
「あっ! チュール!」
「ど、どこにゃ?」
久美子さんは自分の足下を指さしました。って、アド様! 猫じゃ無いんだからチュールは食べないでしょう。
アド様の顔が久美子さんの足に近づきます。
「こんのぉーーっ!!」
久美子さんが渾身の力で足を蹴り上げました。
もう、当たらない方がおかしい距離です。汚い!!!
それを、軽く紙一重でかわします。
「どこニャ?」
かわいい顔をして、久美子さんの顔を見つめます。
その目はキラキラ星を飛ばしています。
「だ、だめーー!!」
久美子さんがアドちゃんに抱きつきます。
アド様はそれをよけませんでした。
「か、かわいいーーー!! アドちゃんの可愛さに負けました」
「ええぇーーーっ!!!」
体育館中に皆の驚きの声が響きました。
実力で負けたくせに、アド様の可愛さに負けた事にしてしまいました。
恐い人です。
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