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激闘編
第二百七十七話 北海道国
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「アド戦ってみてどうだった?」
大殿が質問しました。
「ふん、桃井も廣瀬もまだまだニャ。島津の鬼嫁は弱すぎて話しにならないニャ」
アド様はトコトコ大殿の所に歩いて行くと、当たり前のようにヒザの上に座りました。
と言う事は、私達の方が久美子さんより上で良いのでしょうか。
「あのーー。鬼嫁ではなく、鬼姫です。あ、あのっ、アド様は木田家では一番お強いのでしょうか?」
ですよね。誰の嫁だってなりますよね。
ふふ、あの久美子さんが少し言いにくそうにしています。
負けたのがこたえてはいるみたいです。
「アド程度は木田家では弱い方ニャ」
「ええっ!?」
久美子さんの目玉がポンッと飛び出しました。
いいえ、本気にしないで下さい。アド様は島津家に偽情報をつかませるつもりのようです。
弱い方のわけがありません。
ふーーっ! ようやく体が少し動くようになりました。
忍者装備の桃井様と私を一瞬で、しかもこれだけ長く行動不能にするアド様の実力は驚嘆に値します。
「桃井さん、廣瀬さん大丈夫ですか?」
私達が体を動かすのを見て大殿が声をかけて下さいました。
「は、はひ!」
アド様すらも従える大殿はもっと強いはずなのに、私ごときにまで優しい言葉をかけてくださいます。
桃井さんまで、うるんだ目で大殿を見つめています。
「では、少し集って下さい」
全員が大殿のまわりに集りました。
それを見ると、大殿は柳川様に視線を向けます。
「では、俺の方から少し北海道の状況を話します」
「うむ、頼む」
「北海道は食糧が自給できていたので、大勢の人が生き残っていたようです。ですが、政府が崩壊したのがわかると、一部の権力者が富の独占を考えたために、泥沼の戦闘を繰り返しています」
「せっかく生き残って。戦争で命を失うとは人間とは愚かすぎるなあ」
大殿は、目を閉じるとアド様の胸から、おなかにかけてさすっています。
子猫をめでるほのぼのとした、やさしい光景です。
「はい。現在北海道の最大勢力は札幌を拠点にする、北海道国政府です」
「北海道国政府だと!?」
「はい。日本国からの独立を宣言しました。政治家を中心に、総理大臣を独自に選出して政府を組織しました。それに抵抗して反政府軍が釧路と函館で蜂起しました」
「なるほどなあ、で?」
「はっ! 北海道国政府は、住民から物資を搾取し、奴隷のように扱っています」
「政府というのは、いつも住民の方、底辺に生きる人間の方を見ないものなのだなあ。昔見たアニメの王侯貴族は酷かったが、それが政治家と名前を変えただけのように感じるなあ」
「ふふふ、底辺を知らない者には、わからないのでしょうね」
「そうだな。そのてん俺は、底辺しか知らないから安心だな」
「大殿、木田家の方針を決めて頂きたいのですが」
「ふむ、北海道国は敵で良いだろう。日本国からの独立は認めない。蜂起した反政府軍は、底辺の人をどうしているのだろうか。大事にしている勢力に加担をしたいが、もしいなければ第三勢力として乗り込むしか無いだろうなあ」
ということは、最悪北海道の全勢力を敵にまわして戦うという事になります。
「わかりました。ゲンさんにはその様に伝えます」
「うむ。頼む」
大殿は目を閉じて天井を見上げました。
これから、大変な戦いが起きることは間違いありません。
大殿の心を思うと、私も心が重くしずんでしまいました。
大殿はしずんだ表情でアド様を撫でています。
アド様が抱きついていますので、背中からお尻にかけて上から下へ、何度も何度も撫でています。
――ちょっと、待って下さい。
アド様って三十歳じゃなかったのでしょうか。
あんのロリババアー!! かわいい顔して大殿にセクハラをしています。
横を見たら、桃井様も怒りの表情です。
「失礼します」
私達は大殿の前まで行きました。
そして、アド様の襟首と尻尾をつかみます。
「な、何をするニャ!」
アド様はそう言いながら、バレたかと言う表情でニヤリと笑いました。
このー、ロリババアー!!
確信犯です。
私達は、無言で島津久美子様の前に行くと、ペイッとひざの上に置いてやりました。
「まあ、いらっしゃい。かわいいーー!!」
久美子さんは、まだ三十歳と気付いていないみたいなので喜んでいます。
「アド様、久美子さんがいるときはここが指定席です」
私と桃井様の声がそろいました。
「チッ!」
なーー!! このロリババアー舌打ちをしやあがりました。
かわいい顔をしているだけに余計に腹が立ちます。
「大殿、失礼します」
体育館の扉から、古賀忍軍は組の木村さんが入って来ました。
「どうぞ、こちらへ」
私達は木村さんのスペースを空けました。
その言葉を聞くと、木村さんがうれしそうな顔をして、大殿の横に移動します。
「コホン!」
ミサ様がせき払いをしました。
見ると、木村さんが大殿に触りそうなくらい近づいて、手を握ろうとしています。
ミサ様のせき払いでハッと、我に返ったようです。
何を考えているのでしょうか。
そんなことをするなんて考えられません!
「どうしました。木村さん」
「は、はひ!!」
はーー、大殿に名前を呼ばれて、感動のあまり泣きそうになっています。
まったく、あなたも古賀忍軍の組頭なのだからしっかりしなさい!
そう言ってやりたい気分です。
「はーーっ、廣瀬さんといい、木村さんといい、やれやれです」
はーーっ!! 私もですかーー!!
桃井様が深いため息をつきました。
やれやれです。
大殿が質問しました。
「ふん、桃井も廣瀬もまだまだニャ。島津の鬼嫁は弱すぎて話しにならないニャ」
アド様はトコトコ大殿の所に歩いて行くと、当たり前のようにヒザの上に座りました。
と言う事は、私達の方が久美子さんより上で良いのでしょうか。
「あのーー。鬼嫁ではなく、鬼姫です。あ、あのっ、アド様は木田家では一番お強いのでしょうか?」
ですよね。誰の嫁だってなりますよね。
ふふ、あの久美子さんが少し言いにくそうにしています。
負けたのがこたえてはいるみたいです。
「アド程度は木田家では弱い方ニャ」
「ええっ!?」
久美子さんの目玉がポンッと飛び出しました。
いいえ、本気にしないで下さい。アド様は島津家に偽情報をつかませるつもりのようです。
弱い方のわけがありません。
ふーーっ! ようやく体が少し動くようになりました。
忍者装備の桃井様と私を一瞬で、しかもこれだけ長く行動不能にするアド様の実力は驚嘆に値します。
「桃井さん、廣瀬さん大丈夫ですか?」
私達が体を動かすのを見て大殿が声をかけて下さいました。
「は、はひ!」
アド様すらも従える大殿はもっと強いはずなのに、私ごときにまで優しい言葉をかけてくださいます。
桃井さんまで、うるんだ目で大殿を見つめています。
「では、少し集って下さい」
全員が大殿のまわりに集りました。
それを見ると、大殿は柳川様に視線を向けます。
「では、俺の方から少し北海道の状況を話します」
「うむ、頼む」
「北海道は食糧が自給できていたので、大勢の人が生き残っていたようです。ですが、政府が崩壊したのがわかると、一部の権力者が富の独占を考えたために、泥沼の戦闘を繰り返しています」
「せっかく生き残って。戦争で命を失うとは人間とは愚かすぎるなあ」
大殿は、目を閉じるとアド様の胸から、おなかにかけてさすっています。
子猫をめでるほのぼのとした、やさしい光景です。
「はい。現在北海道の最大勢力は札幌を拠点にする、北海道国政府です」
「北海道国政府だと!?」
「はい。日本国からの独立を宣言しました。政治家を中心に、総理大臣を独自に選出して政府を組織しました。それに抵抗して反政府軍が釧路と函館で蜂起しました」
「なるほどなあ、で?」
「はっ! 北海道国政府は、住民から物資を搾取し、奴隷のように扱っています」
「政府というのは、いつも住民の方、底辺に生きる人間の方を見ないものなのだなあ。昔見たアニメの王侯貴族は酷かったが、それが政治家と名前を変えただけのように感じるなあ」
「ふふふ、底辺を知らない者には、わからないのでしょうね」
「そうだな。そのてん俺は、底辺しか知らないから安心だな」
「大殿、木田家の方針を決めて頂きたいのですが」
「ふむ、北海道国は敵で良いだろう。日本国からの独立は認めない。蜂起した反政府軍は、底辺の人をどうしているのだろうか。大事にしている勢力に加担をしたいが、もしいなければ第三勢力として乗り込むしか無いだろうなあ」
ということは、最悪北海道の全勢力を敵にまわして戦うという事になります。
「わかりました。ゲンさんにはその様に伝えます」
「うむ。頼む」
大殿は目を閉じて天井を見上げました。
これから、大変な戦いが起きることは間違いありません。
大殿の心を思うと、私も心が重くしずんでしまいました。
大殿はしずんだ表情でアド様を撫でています。
アド様が抱きついていますので、背中からお尻にかけて上から下へ、何度も何度も撫でています。
――ちょっと、待って下さい。
アド様って三十歳じゃなかったのでしょうか。
あんのロリババアー!! かわいい顔して大殿にセクハラをしています。
横を見たら、桃井様も怒りの表情です。
「失礼します」
私達は大殿の前まで行きました。
そして、アド様の襟首と尻尾をつかみます。
「な、何をするニャ!」
アド様はそう言いながら、バレたかと言う表情でニヤリと笑いました。
このー、ロリババアー!!
確信犯です。
私達は、無言で島津久美子様の前に行くと、ペイッとひざの上に置いてやりました。
「まあ、いらっしゃい。かわいいーー!!」
久美子さんは、まだ三十歳と気付いていないみたいなので喜んでいます。
「アド様、久美子さんがいるときはここが指定席です」
私と桃井様の声がそろいました。
「チッ!」
なーー!! このロリババアー舌打ちをしやあがりました。
かわいい顔をしているだけに余計に腹が立ちます。
「大殿、失礼します」
体育館の扉から、古賀忍軍は組の木村さんが入って来ました。
「どうぞ、こちらへ」
私達は木村さんのスペースを空けました。
その言葉を聞くと、木村さんがうれしそうな顔をして、大殿の横に移動します。
「コホン!」
ミサ様がせき払いをしました。
見ると、木村さんが大殿に触りそうなくらい近づいて、手を握ろうとしています。
ミサ様のせき払いでハッと、我に返ったようです。
何を考えているのでしょうか。
そんなことをするなんて考えられません!
「どうしました。木村さん」
「は、はひ!!」
はーー、大殿に名前を呼ばれて、感動のあまり泣きそうになっています。
まったく、あなたも古賀忍軍の組頭なのだからしっかりしなさい!
そう言ってやりたい気分です。
「はーーっ、廣瀬さんといい、木村さんといい、やれやれです」
はーーっ!! 私もですかーー!!
桃井様が深いため息をつきました。
やれやれです。
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