底辺おじさん、助けた異世界転生美少女の異世界魔法と異世界アイテムそして特殊能力ゴミ処理で世界を救う

覧都

文字の大きさ
278 / 428
激闘編

第二百七十八話 金沢の様子

しおりを挟む
「大殿、紹介したい方がいます。奥村さんこちらへどうぞ」

木村さんが、体育館の扉にむかって言いました。
久美子さんと同じ位の歳の、やや地味な女性が扉を開けて入って来ました。

「奥村永子と申します」

「エイコさんですか。こちらはどのような方ですか?」

大殿が木村さんに質問すると、永子さんが木村さんの顔を見ました。
木村さんは小さくうなずきました。

「木田様!! 私達をお助け下さい!!!」

永子さんが叫びにも似た声で訴えかけます。

「むっ!? 何があったのですか?」

大殿は一瞬険しい表情になりましたが、すぐに優しい笑顔になりました。

「はい。金沢に織田家の将、滝川一益と言う男が入って来ました」

この言い方からわかるのは、滝川という男が歓迎をされていないということですね。

「ふむ」

「金沢は隕石騒ぎの後、八つの地区に別れて助け合いながら暮らしていました。奥村家は八つの地区の一つをまかされて、村長のような立場でした。滝川は金沢に来るとその村長を見つけ出し、一族郎党全てを殺して回ります。従わない村人も同じです。すでに三人の村長が殺されました。奥村家もこのままでは全員殺されてしまいます。どうか木田様、金沢の人達を滝川の毒牙から助けだして下さい。お願いします」

永子さんは、柳川様の前にひざまずくと額を床につけました。
恐ろしい、インテリ悪魔のような顔をした柳川様が驚いています。
そうですよね。
普通、人のいい豚のような顔をしたデブの人が、木田家の大殿とは思いませんよね。

「はわわ、永子さん、こっちの豚が大殿です」

おおーーいっ! 木村さーん、あんたテンパって、今大殿を豚って言いましたよー。
徳川家康にタヌキと真正面で言ったのと同じですよ。
木田家で無ければ打ち首ですよ。

「ぷっ!!」

この状態で吹き出せる人は、やっぱり久美子さんでした。

「はわわわ! し、失礼しました!!」

木村さんと永子さんの声がそろいました。

「いや、そんなことはどうでもいい。木村さん、奥村家の人は今どういう状況か教えて欲しい」

「はい、奥村家の方は県境まで移動してもらっています。大殿の許可が下りればすぐに越中に入ってもらう事が出来ます」

「さすがだ。すぐに保護してくれ」

「はっ」

「木村さん、あんたは滝川家を見てきたのか?」

「は、はい」

「聞かせてくれるか」

「あの、お聞き苦しいところがあるかもしれません」

「ふふふ、ここには子供はいない。気にせず話てくれ」

「はい。見てきたままお伝えいたします。まず、滝川は配下千五百人と供に金沢に入るとガランとした廃ビルに居を構えました」

「待ってくれ、は組は、そんなところから滝川を調べていたのか?」

「はい、織田家の調査に入ったときにマークしていました」

「ふむ、わかった。話の腰を折ってすまなかった。続けてくれ」

「はい。暗い廃墟の何も無いビルの地下室に、三人の男が連れ込まれてきました。数十人の男達が見張りをする部屋に拘束された中年の男三人は、その中央にひざまずかされます。
明かりは、部下の数人が持つ松明です。
オレンジ色の光がユラユラゆれて、全員の影もユラユラゆれる気持ちの悪い空間になっています。

『お前達、俺達にこんなことをしてただで済むと思っているのか!!』

最初、男達はまわりの男達に恫喝していました。そこに二人の男が入って来ます。
私はその二人を見て、寒気を感じました。
そう感じたのは私だけではなく、連れ込まれた男達も配下の者まで雰囲気が変わりました。

『ふ、ふ、ふ。威勢がいいじゃねえか。俺の名は滝川一益、こっちのでかいのが弟の慶次郎だ。お前達は、俺に支配される気はあるのか』

『あるわけねえだろう! ふざけるな!!』

グシャ!!

『ひっ! ひいいぃぃぃぃーーーー!!!!!』

慶次郎が、言った男の顔面を殴りました。
男の顔は慶次郎の大きな拳の分だけ陥没しつぶれました。
そして、ゆっくりうつ伏せに倒れました。
倒れた男の頭のまわりに血の水たまりが広がっていきます。

それを見て残った二人が悲鳴を上げました。

『いい世の中になったもんだなあ。こうやって人を殺しても罰せられることもねえんだからよう。先に死にたい方はどっちだ』

『待ってくれ、いうとおりにする。だから助けてくれ』

『馬鹿なのかお前は、先に死にたい奴を聞いたんだ。この時点でいうとおりにしてねえじゃねえか! 慶次郎やれ!』

助けを求めた男を慶次郎が、拳をハンマーのようにして頭の上から殴りつけました。
頭が拳の分だけへこみ、首が無くなっています。
男の体が唯一生き残っている男の方に倒れました。
頭にたまっていた血が男にかかります。

『ひいいぃぃぃぃーーーー!!! ひゅぅっひゅぅっ!!』

悲鳴を上げると、呼吸がおかしくなりました。

『慶次郎、そいつから、別の村長の居場所を聞いておけ』

滝川一益は、つまらなさそうに、部屋を出て行きました。
その後、住所を聞いて用済みになると、三人目の男も殺されました」

「なるほどねえ。恐ろしいやつだ。だが、どうしたもんかなあ。織田家には手を出さねえと約束したばかりだしなあ」

大殿は目をとじて考え込んでいるようです。

「そうだ。島津久美子さんが、永子さんの友達という事にして、友達のところへ遊びに行くというのはどうだろう。俺達はそのお供だ」

「まって下さい。島津久美子さんって、剣道の鹿児島県代表だった島津久美子さん?」

「そうですけど、あなたは……奥村永子……」

「ほら、私が優勝したインターハイで二位だった久美子さんですよね。あの邪剣の使い手久美子さん」

「邪剣?」

大殿が驚いて聞き返しています。
私はだいたい予想が出来ます。
むしろ、久美子さんらしいとさえ思います。

「はい。いつも汚い手を使うので、そう呼ばれて恐れられていました」

やっぱり。

「おいおい。まあ、知り合いなら余計に話しが早い。今から奥村家へ行こう」

大殿は走り出しそうになっています。

「大殿一人で行く気ですか?」

「はっ! しまった。まずは行く人間を決めないといけないのか! やれやれだぜ」

私は、柴田様の奥方様達の視察のお供の仕事があります。
大殿とはまたしばらくお別れになりそうな予感です。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。 それは、最強の魔道具だった。 魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく! すべては、憧れのスローライフのために! エブリスタにも掲載しています。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...