底辺おじさん、助けた異世界転生美少女の異世界魔法と異世界アイテムそして特殊能力ゴミ処理で世界を救う

覧都

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学園生活編

第二百九十五話 一年A組

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「わわっ!」

 木田学園名古屋校の教室に入った私は、驚きのあまり思わず声が出てしまいました。
 教室には一年A組の同級生が四十人ほどいます。
 木田家から制服が配られたはずなのですが、真面目に着ているのは私を含めて数人です。
 他の人は皆、やさぐれています。
 良く言い過ぎました。本当は崩壊した世界の暴徒のような人ばかりです。全員、目が死んでいます。
 足を机の上に投げ出している人や、机をどけてもめている人がいます。

「ふーーん。あんた、あまがみ、あすかって言うのね」

 喧嘩にならないように机に名前が張ってあります。
 机には天神飛鳥という紙が貼ってあります。
 私の本名が天神あずさなので、この偽名にしました。
 服装も学生服で、男の子に変装しています。
 顔は髪の毛で半分隠して、残った髪はまとめて後ろに結んでいます。

 私はずっと小学校ではこの髪型でした。
 あだ名はガイコツでした。
 名古屋校にしたのは、そんな小学校の同級生に会いたくなかったというのが一つの理由です。
 男装しているのは、さすがに木田あずさは有名人過ぎるので、悪目立ちしないためにやっています。

「は、はい。そうです。」

「!? かっ、かわいい声ね。私は本多美代よろしく」

 し、しまったー。
 男の子の声にするのを忘れていましたーー!!

「よ、よろしく!! 声変わり前だからです」

 私は声を少し低くしました。

「へー、子供ね。私は大人よ。ふふ」

 言っている意味が良くわかりません。
 隣の席の女生徒はなんだか恐い雰囲気がします。
 座席の名前は、後ろで暴れている人達の中の席だったのでしょうか、剥がして勝手に張り直したみたいです。

「はーーい、みなちゃーーん! ちじゅかにちてくだちゃーい」

 金髪の幼児が入って来ました。

「!?」

 教室の生徒達が驚いて幼児を見ました。
 ザワザワしていた教室が静かになりました。
 幼児は教壇に昇ると、教卓の横に立ちました。
 教卓の後ろに立つと姿が見えなくなりますからね。
 かわいい青と赤のストライプに星がちりばめられた、アメリカの国旗のような子供服を着ています。

「ちぇんちぇーの名前は、アメリでしゅ。このくらちゅの担任のちぇんちぇーでしゅ。担当しゅる教科は英語でしゅ」

「ぎゃーーあぁーー!!!! はあぁーっはっはっーー!!!!」

 大爆笑が起りました。
 私のクラスの担任の先生はアメリ先生のようです。

「ちぇんちぇーってナンだよ」
「馬鹿にしているのかー! ふざけるなーー!!」

「はーーい。ちじゅかにしてくだちゃーい。納得出来ない人はついてきてくだちゃーい」

 アメリ先生は、恐ろしいガラの悪い生徒を引率して教室を出て行きました。
 様子を見ていると、体育館に移動をしているようです。
 教室には私と美代さん、他には数人の真面目そうな生徒だけです。
 ちゃんと制服を着ているよい子のようです。

 体育館の中から白い光が出ました。きっと体育館内では、全員一瞬視力を奪われたのじゃないかしら。
 あれは、ご存じウーマンフラッシュです。
 と言う事は、体育館内ではウルトラウーマンが暴れているのでしょうね。
 体のベースは銀色で赤と青の模様が入り、星がちりばめられたアメリカの国旗のようなダイナマイトボディーの、ウルトラウーマンは地球上では三分間は無敵の強さです。
 ならず者生徒はきっと更正して帰ってくるでしょう。

「はーーい。みなちゃーん! 急いでくだちゃーい! 教室で他の生徒が迷惑しまちゅから、いそぎまちょーー!!」

 先生に続く生徒達はヨロヨロしながら歩いてきます。
 まさか体罰でしょうか。
 まあ、先生を馬鹿にして逆らったのならしょうが無いですね。

「では、みなちゃーん、ちずかに待っていてくだちゃい、校長ちぇんちぇいを呼んで来ましゅ」

 先生は、教室を出て行きました。

「何があったのですか?」

 隣の席の美代さんが後ろの不良に聞いています。

「ありゃあすげーー。おっぱいが床につきそうだった」

 はーーっ、何を言っているのでしょうか。
 厨房はしょうがないですねえ。

「はあーあ、あんた何を言っているの、おばあさんじゃないんだからそんな人はいないでしょう。それにアメリ先生は幼児じゃないの」

 美代さん、いくら何でもそれはおばあさんに失礼ですよ。

「ちがうんだ、てめーは何を言っているんだ。変身したんだよ。そしたら巨乳の金髪美女になって、めちゃめちゃ強かった。ありゃあ逆らっちゃ駄目な人だ」

 隣の不良が言いました。
 こっちの方が、少し頭が良さそうです。

「あら、このクラスはまともですね。大人しく席についています」

 あっ、古賀さんです。
 そう言えば臨時で木田学園の名古屋校の校長になったと言っていました。
 私は顔を伏せてあずさだとバレないようにしました。

「すげーー綺麗な、ねーちゃんだなー。おい」

 おーーい。おじさんが一人混じっていますよー。

「ぎゃあーはははは!!!!」

 生徒が、大きな馬鹿笑いをはじめました。
 はぁーーっ、子供は恐いもの知らずです。
 古賀さんは古賀忍軍の泣く子も黙る首領様なのに。

「ちずかにちなちゃい!!!!」

「!?」

 アメリ先生が一喝すると、馬鹿笑いは一瞬で止まりました。
 よほど恐い目にあったのですね。

「あら、すごい。さすがアメリちゃん、このクラスをもう手なずけてしまったのですね」

「ちょんなことは、ありまちぇん」

 アメリ先生がほめられて、くねくねしながら赤い顔をして照れています。すごくかわいい!

「うふふ。私がこの木田学園名古屋校の臨時校長の古賀です。よろしくお願いします。さて、私があいさつをしているのは、各学年のA組だけです。この意味がわかる人はいますか」

「ひゃあはっはー! それは俺達が優秀だからだろう!」

 優秀とは程遠そうな、がらの悪い男子生徒が言いました。

「ある意味、あっていますね。例えば、天神飛鳥君は全教科満点でした。この世界で、今満点を取れるなんて異常です。各学年のA組にはそんな特別な子供達を集めています」

「!?」

 なんでそれを言っちゃうんですかー。守秘義務はないのですかー。
 おかげでクラス全員が私を見つめています。
 悪目立ちしてしまいました。
 入学試験をもっと手を抜くべきでしたー。
 試験が満点でも馬鹿丸出しです。

「このクラスで大殿に会った事がある人はいますか?」

 二人が手を上げました。
 わ、私も手を上げるべきでしょうか。

「うおおおおおおおおおーーーーーーーー!!!!!! すげーー大殿に会うなんて、すげーーーっ!!!!」

 クラス中から驚きと羨望の声が上がりました。

 ――よかったー。言わなくてー!

 また、悪目立ちするところでした。
 手を上げている子は見た事があります。
 あれはー……そうです、ライちゃんとノブ君です。ちゃんと制服を着ています。まじめですね。
 一緒にこの前、とうさんとハワイに行きました。
 でも、今の私は天神飛鳥です。木田あずさではありません。知らない振りをしないといけません。

「このように、満点を取る人や、大殿に会った事がある人、有力者の子供、そして、殺人をした事がある人などが集っています」

 へーっ。……って!!
 殺人!? さらっと最後にとんでも無い事をいいましたよ。

「へへへへへっ」

 教室から、低い笑い声が響きます。
 制服を着ていない子は全員そういう子のようです。
 私の横の本多美代さんは、どうやら有力者の子供の様です。
 そう言えばとても上品な顔をしています。

「これから、皆さんに大切なお話をしたいと思います。少し時間をください」

 古賀さんはそう言うと、教室中の生徒と一人ずつ目を合せていきました。

「……」

 全員、古賀さんの話を聞く姿勢になりました。
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