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学園生活編
第二百二十六話 初彼女
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「まずは皆さん、よく生き抜いて下さいました。ありがとうございます。大殿に変わって御礼申し上げます」
古賀さんはゆっくり目を閉じると、深々とお辞儀をしました。
そのゆっくりの動作のおかげで、生徒達は自分の人生を振り返り、思い出す時間が出来たようです。
「ぐすっ」
「ずーー!!」
「くすん、くすん」
多くの生徒がすすり泣いています。
ノブ君は涙ぐんでいます。
ライちゃんは怒りの表情です。
そうですよね。
この崩壊した世界で生き抜く事はとても大変だったはずです。
そこを生き抜いたのだから、もっとも大事な生き抜く事はしっかり学んできたはずです。
「私が校長になるにあたって、大殿から言われたのは一つです。それは、子供達を日本人にしてほしいです」
「こ、古賀!! 古賀ってもしかして大殿の三柱!!」
「そうだ! 大殿の三柱だ!!」
生徒が何かに気が付いたようです。
「あの、三柱ってなんですか?」
私は隣の席の美代ちゃんに聞きました。
「あんた馬鹿なの? そんな事も知らないなんて! ミサ様、古賀様、坂本様の女性三人は木田の三柱と呼ばれているのよ」
美代ちゃんは育ちがいいので、お嬢様キャラです。
清楚で、高慢ちきで高飛車ですね。
でも優しいみたいです。
「そ、そうですか。ありがとうございます」
すごーい、知りませんでした。
これだけでも学校に来たかいがありました。うん、とても勉強になります。どの教科書にも書いてありませんでしたからね。
ミサさんは、ただのおっぱいおばさんだと思っていました。
「嘘だろ、古賀忍軍の首領だろ。こんなに美人で若いのかよ。どう見ても十九歳位じゃ無いかよー」
いえいえ、それは言い過ぎです。
二十歳は越えているように見えますよ。
この声が古賀さんに聞こえたのか。
古賀さんの顔が少しにやけています。
「みなちゃーーん、ちずかにちなちゃーーい」
少しザワついた教室ですが、すぐに静かになりました。
古賀さんは少し残念そうな表情になっています。
「私は困りました。それって何を皆さんに教えればいいのでしょうか?」
再び古賀さんは全員を見ていきます。
みんなはこの間に、日本人について考えているようです。
「悪を嫌い、礼節を重んじ、誠実に、そして贅沢を嫌い何より日本人を大切にする。うふふ、そうですね。大殿のような人になってもらうのが一番良いと思いました」
「……」
生徒達は古賀さんを見つめます。
「この苦境を、心正しく、優しく、時に勇敢に生き抜く。日本人には出来ると思います。なぜなら、ずっとそうやって生きてきたのですから。歴史がそれを証明しています。私は皆さんが立派な日本人になれるように手助けをしたいと思います。そしてそれが大殿の考えだと思っています」
「……」
生徒は古賀さんを黙って見つめます。
「でも、皆さんは子供です。難しい事はいいです。子供は間違いをするものです。学校ではハメを外して暴れて遊んで下さい。そして叱られて、そこから学んで下さい。うふふ、アメリちゃんを困らせたらたいした物です。じゃあね」
「えーーっ!!!!」
教室中から響き渡りました。
古賀さんはそう言い残すとスタスタ教室を後にしました。
幼児のアメリ先生の口は、あごが外れたように開いています。
それは幼児のしていい表情ではありませんね。
でも、お気持ちお察しします。
だって最後に、ここのハメを外しきって生きてきた人達に、暴れなさいと言ったのですから。
でも、逆効果があったのか、教室は静かです。
ひゃっはあー!! となって暴れる人はいないようです。
「では、みなちゃんに自己ちょうかいをしてもらいましゅ」
このあと、クラス全員の自己紹介が始まりました。
私の番になり、起立して名前と趣味を言いました。
「あ、あんた……!?」
そしたら隣の席で美代ちゃんが驚いています。
「ど、どうしたのですか?」
「滅茶苦茶、ちょーー美形じゃ無いのー!!」
だーーっ!! しまったー!!
美代ちゃんの両目の瞳孔がピンクのハートになっています。
下からのぞき込まれて顔がばれてしまいました。
でも、あずさとは、ばれていないみたいです。
「あの、何でもしますから。このことは内緒にして下さい!」
私は両手を合せて拝んでしまいました。
「言ったわね! いいわ内緒にしてあげる。二人だけの秘密。ふふふ」
美代ちゃんの顔が、悪だくみをしている悪代官のような顔になりました。
嫌な予感しかしません。
そして、美代ちゃんの番になりました。
「私は本多美代です。北伊勢の桑名城、本多家の娘です。彼氏は隣の天神飛鳥君です。手を出さないように、以上です」
ぎゃーーーっ!!!!
と、飛んでも無い事を言い出しました。
厄介ごとの予感しかしません。
「か、彼氏って……」
「あら、何でもするって言ったでしょ」
「い、言いましたけれども、それとこれとは」
「いいじゃない。私、かわいいでしょ。おっぱいもほら」
「た、たしかに」
な、なにこの自信。おっぱいは言うほど無いですよ。私よりはあるけど……
はーーっ、彼氏より前に彼女が出来ました。まあ、彼氏なら絶対作りませんけどね。
やれやれです。
「では、みなちゃん、きよちゅけて帰ってくだちゃい」
自己紹介が終わると解散になりました。
「おい、美代!! おまえどういうつもりだ!!!!」
うわあっ! いきなり美代ちゃんが、がらの悪い連中にからまれています。
どうするんだよー! これー!
見えないふりをして、コソコソ帰る事にしました。
古賀さんはゆっくり目を閉じると、深々とお辞儀をしました。
そのゆっくりの動作のおかげで、生徒達は自分の人生を振り返り、思い出す時間が出来たようです。
「ぐすっ」
「ずーー!!」
「くすん、くすん」
多くの生徒がすすり泣いています。
ノブ君は涙ぐんでいます。
ライちゃんは怒りの表情です。
そうですよね。
この崩壊した世界で生き抜く事はとても大変だったはずです。
そこを生き抜いたのだから、もっとも大事な生き抜く事はしっかり学んできたはずです。
「私が校長になるにあたって、大殿から言われたのは一つです。それは、子供達を日本人にしてほしいです」
「こ、古賀!! 古賀ってもしかして大殿の三柱!!」
「そうだ! 大殿の三柱だ!!」
生徒が何かに気が付いたようです。
「あの、三柱ってなんですか?」
私は隣の席の美代ちゃんに聞きました。
「あんた馬鹿なの? そんな事も知らないなんて! ミサ様、古賀様、坂本様の女性三人は木田の三柱と呼ばれているのよ」
美代ちゃんは育ちがいいので、お嬢様キャラです。
清楚で、高慢ちきで高飛車ですね。
でも優しいみたいです。
「そ、そうですか。ありがとうございます」
すごーい、知りませんでした。
これだけでも学校に来たかいがありました。うん、とても勉強になります。どの教科書にも書いてありませんでしたからね。
ミサさんは、ただのおっぱいおばさんだと思っていました。
「嘘だろ、古賀忍軍の首領だろ。こんなに美人で若いのかよ。どう見ても十九歳位じゃ無いかよー」
いえいえ、それは言い過ぎです。
二十歳は越えているように見えますよ。
この声が古賀さんに聞こえたのか。
古賀さんの顔が少しにやけています。
「みなちゃーーん、ちずかにちなちゃーーい」
少しザワついた教室ですが、すぐに静かになりました。
古賀さんは少し残念そうな表情になっています。
「私は困りました。それって何を皆さんに教えればいいのでしょうか?」
再び古賀さんは全員を見ていきます。
みんなはこの間に、日本人について考えているようです。
「悪を嫌い、礼節を重んじ、誠実に、そして贅沢を嫌い何より日本人を大切にする。うふふ、そうですね。大殿のような人になってもらうのが一番良いと思いました」
「……」
生徒達は古賀さんを見つめます。
「この苦境を、心正しく、優しく、時に勇敢に生き抜く。日本人には出来ると思います。なぜなら、ずっとそうやって生きてきたのですから。歴史がそれを証明しています。私は皆さんが立派な日本人になれるように手助けをしたいと思います。そしてそれが大殿の考えだと思っています」
「……」
生徒は古賀さんを黙って見つめます。
「でも、皆さんは子供です。難しい事はいいです。子供は間違いをするものです。学校ではハメを外して暴れて遊んで下さい。そして叱られて、そこから学んで下さい。うふふ、アメリちゃんを困らせたらたいした物です。じゃあね」
「えーーっ!!!!」
教室中から響き渡りました。
古賀さんはそう言い残すとスタスタ教室を後にしました。
幼児のアメリ先生の口は、あごが外れたように開いています。
それは幼児のしていい表情ではありませんね。
でも、お気持ちお察しします。
だって最後に、ここのハメを外しきって生きてきた人達に、暴れなさいと言ったのですから。
でも、逆効果があったのか、教室は静かです。
ひゃっはあー!! となって暴れる人はいないようです。
「では、みなちゃんに自己ちょうかいをしてもらいましゅ」
このあと、クラス全員の自己紹介が始まりました。
私の番になり、起立して名前と趣味を言いました。
「あ、あんた……!?」
そしたら隣の席で美代ちゃんが驚いています。
「ど、どうしたのですか?」
「滅茶苦茶、ちょーー美形じゃ無いのー!!」
だーーっ!! しまったー!!
美代ちゃんの両目の瞳孔がピンクのハートになっています。
下からのぞき込まれて顔がばれてしまいました。
でも、あずさとは、ばれていないみたいです。
「あの、何でもしますから。このことは内緒にして下さい!」
私は両手を合せて拝んでしまいました。
「言ったわね! いいわ内緒にしてあげる。二人だけの秘密。ふふふ」
美代ちゃんの顔が、悪だくみをしている悪代官のような顔になりました。
嫌な予感しかしません。
そして、美代ちゃんの番になりました。
「私は本多美代です。北伊勢の桑名城、本多家の娘です。彼氏は隣の天神飛鳥君です。手を出さないように、以上です」
ぎゃーーーっ!!!!
と、飛んでも無い事を言い出しました。
厄介ごとの予感しかしません。
「か、彼氏って……」
「あら、何でもするって言ったでしょ」
「い、言いましたけれども、それとこれとは」
「いいじゃない。私、かわいいでしょ。おっぱいもほら」
「た、たしかに」
な、なにこの自信。おっぱいは言うほど無いですよ。私よりはあるけど……
はーーっ、彼氏より前に彼女が出来ました。まあ、彼氏なら絶対作りませんけどね。
やれやれです。
「では、みなちゃん、きよちゅけて帰ってくだちゃい」
自己紹介が終わると解散になりました。
「おい、美代!! おまえどういうつもりだ!!!!」
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