底辺おじさん、助けた異世界転生美少女の異世界魔法と異世界アイテムそして特殊能力ゴミ処理で世界を救う

覧都

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北と南の戦い

第三百七話 無表情の笑い

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 ここだけを切り取って見ていると、悪の侵略者である三人組のロボに自衛隊が必死で抵抗しているように見えます。

「ありゃあ、F15だな。1機約百億円か。ちとやってみるか。こいつの性能の評価をしねえとな」

 ゲン様が、ジェット戦闘機に戦いを挑もうとしています。

「まさか、出来るのですか?」

 豊久様が驚いています。

「ふふふ、この激豚は、天夕改など比べものにならねえくれえすげー。どうやら特別製だ」

「なるほど、名古屋の事件のように裏切り者が出たときには、激豚君で制圧するつもりなのですね」

「いや、兄弟は裏切り者が出るとかは考えてねえ。あれはたまたま、誰でも乗れる仕様にしてあったから出来た事だ。通常は扱える人間は限定されている」

「そう言えばそうですね。俺は最初、この天夕改に乗れませんでした」

「うむ。だから心配などいらねえ」

 うふふ。ゲン様も、仲間から裏切り者が出るとは考えていないようです。

 轟音と共に低空を、ジェット戦闘機が三機来ました。

「よし、一丁やってみるか」

 激豚君が真っ黒で巨大なブレードを出しました。
 すでに、北海道国軍の攻撃はピークを通りすぎたようで、攻撃が少なくなっています。
 恐らく弾切れの所が出て来たのでしょう。

 あたりは、薄い霧ぐらいの視界になっています。
 その中に真っ黒な機動陸鎧が、巨大なブレードを右手に持ったシルエットが浮かび上がり不気味です

「な、なんだーきさまーー!! 見学とか言いながら、やる気満々じゃねえかー!」

 大臣様です。
 先に盛大に攻撃しておいて、なんという言い草でしょう。

「おいおい、それは攻撃されなければの話だ」

「ぐぬぬぬぬ。そんな子供だましのおもちゃに、戦闘機がやられるものかーー!! F15は戦場で撃墜された事はないんだーー!!」

 もはや、子供の喧嘩ですね。

「赤穂さん、そろそろ準備しておいてくれ」

 ゲン様が小声で私に言いました。

「はい」

 私の返事を聞くと、ゲン様は飛び立ちます。

「な、なにーーっ、あいつ翼も無いのに飛んだぞーー!? どうやって飛んでいるんだ。音もしねえぞ!!」

 大臣が本気で驚いています。
 さっき、ここへ来るとき飛んでいましたよね。
 もう忘れたのでしょうか?
 私は大臣様の近くへ移動します。

 体に煙の筋をまとい、ゲン様は垂直に浮かび上がりました。
 ゲン様にむかっていたジェット戦闘機の動きが一瞬ふらつきます。
 戦闘機のパイロットがビックリしたのでしょうね。

 ドゴオォォーンン

 激豚君の体に爆発が起きます。ミサイルです。
 そして、戦闘機が横をすり抜けようとします。
 ゲン様は戦闘機の横に瞬間移動のように素早く移動し、ブレードを戦闘機の方に向けました。
 何も言わず、音も立てずスッとブレードを出しました。
 何かが、切れて落ちてきます。

『うわあああああああーーーーーーーー!!!!!! なんなんだあのうごきはーーー!!!!』とでも、パイロットが言っていそうです。
 まるでテレビで見たUFOの動きですよね。
 操縦席からパイロットが脱出しました。

 爆発音と共に煙が上がります。
 百億円が壊れました。
 もったいない事です。

 独眼竜と天夕改に攻撃をしたジェット戦闘機も帯広の街の横で炎上しています。
 パイロットは脱出できたようです。

 どうやら、激豚君は戦闘機を後ろから追いかけても追いつけるほどの性能があるようです。

「くそーー、どんどん攻撃しねえかーー!!」

「大臣、弾薬がつきかけています」

「な、なにーーっ!!」

「恐らく、こちらの攻撃は、通じないものと思われます」

「ば、ばかな」

「もはや、あのロボには、核兵器くらいしか有効な攻撃は無いのではないでしょうか」

「じゃあ、核兵器だ。自衛隊の倉庫から探し出せーー!!」

 こ、この大臣正気なのでしょうか。
 まあ、軍事には関心が無いと言っていたのでこんなもんでしょうか。

「……」

 部下の人もあきれているようです。

「も、申し上げます」

「どうした?」

「各部隊より、弾薬がつきたと報告がありました」

「な、なにーーっ! くそーーっ! ならば、銃剣があるだろう。総攻撃だーー」

 とうとう、銃剣での総攻撃が始まりました。

「うわあああああああーーーーーーーー!!!!!!」

 塹壕から、次々兵士が走り出します。
 機動陸鎧に兵士が群がります。
 まるで、機動陸鎧は軍隊蟻に囲まれた昆虫のような状態になっています。

「そろそろ、いいだろう。伊達ー! 豊久ー!」

「はっ!」
「はっ!」

「木田軍、機動陸鎧の実力を見せつけてやれーーーー!!」

 もはや、充分わかっているとは思いますけど、まだ攻撃してくるのでしょうが無いですね。

「お、おおーーっ!!」

 伊達様と豊久様が気合いの入った返事を返します。

「あーーっ、ほどほどにな」

「おっ、ぉぉ……」

 二人は気の抜けた返事を返します。
 機動陸鎧は攻撃してくる兵士を、殺さない程度に慎重に攻撃します。
 ゲン様もブレードはしまい、素手で戦います。
 まるで、ファンタジー世界の無敵のトロールが群がる王国兵士に戦いを挑んでいるようです。

 そして黒い激豚君は、ゆっくり大臣目指して歩いて来ます。

「うわあああああああーーーーーーーー!!!!!! くっ、来るなーーーー!!!! くそーー!! 雑兵共ーー!! 俺を守れーー!!!! てめーらなんぞは全滅してもいい。俺を守ってしねーー!! ひいいぃぃぃーーー!!!!」

 すごい指揮官です。

「だ、大臣。勝ち目はありません。撤退のご指示を」

「うるさいんだよ。全滅するまで戦いやがれーー!! 俺さえ逃げられればいいんだよ。お前達は時間をかせぎゃあがれーーーー!!!!」

 あのー、大丈夫でしょうか、スピーカーから声が全部出ていますよ。
 わかっているのでしょうか?
 インパール作戦とかを思い出しました。
 再び白骨街道を作るつもりでしょうか。
 こんな指揮官の下で戦死したら浮かばれませんよね。

「赤穂さん、そろそろいいだろう。やってくれ」

「はい!」

 私は返事と共に、大臣様を両手でつかみ姿を現しました。

「なーーーーっ!!!! き、貴様達はーー!! 本当に汚いなーー!! 四人もいたのかよーー!!!! 悪党めーー!! 詐欺師めーーーー!!!! 地獄におちろおおおーーー!!!!!!」

 大臣が血走った目で絶叫します。
 なんだか、発狂しているみたいで恐いです。

「すげーー、かっけーー、忍者みたいで一番かっこいい」

 近くの兵士達が私の天影を見上げて言います。

「あら、いやだわ」

 なんだか、私の裸を見られているみたいで恥ずかしいです。

「お、女だ! 声まで可愛い」

「うふふ、全員撤退して下さい。総大将は、敵に捕まりましたわ」

 私は、気を良くしてまわりの兵士達に逃げるように言いました。

「くそーー!! 逃げるなーー!! 逃げる奴は死刑だーー!! 俺を助けるんだーーーー!! 俺を助けねえかーー!!!!!!」

 本当にこの大臣最低ですね。

「おーーい、赤穂さーん!! そいつ、もううるさいから殺しちゃってくれーー!!」

 ゲン様が軽い言葉で言ってきます。

「い、嫌ですよー。こんな奴殺すのー気持ち悪ーい。やるならゲン様がやって下さーい」

「ひゃあ、はっはっはっ、ちげーねーー」

 ゲン様は無表情で笑っているのでしょうね。
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