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第26章『線香』
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第26章『線香』
結局そのまま飲みながら話し続け、営舎の客室へと宿泊した黒川は翌朝営舎の周辺を一人散策していた。正直敦賀の事は揶揄う以外には意味は無くどうでも良いが、タカコについて多くを知る事が出来た良い夜だったと言って良いだろう。
高根がタカコについて掴んでいる事の全てを話したとは思っていない、彼には海兵隊総司令としての立場と思惑が有り、陸軍に属する自分とは利害が微妙に異なるのだから、その自分に対して全てを開示しないのは寧ろ当然の事だろう。それを差し引いても収穫だったと思い起こしながら歩けば、やがて辿り着いたのは大和海兵隊国立墓地。
その中へと足を踏み入れれば向かう先は一つしか無く、歩みを止めたのは一つの墓の前。
「……よう、悪かったな、暫く来られなくて。位牌と仏壇には毎日手ぇ合わせて線香も上げてるからよ、勘弁してくれ」
高根と話していた時の鋭さも老獪さも、そして敦賀を揶揄いタカコと話していた時の悪戯っぽさも明るさも今の黒川の面差しには無く、存在するのは静かな優しさと暖かさのみ。腰の高さ程の墓石をそっと撫で、その前に片膝を突いて語り掛けた。
「敦賀が女に惚れたらしいぞ、あの超絶に堅物で融通が利かなくて鍛錬と活骸斬り捨てるのが生き甲斐のあの敦賀がだ、信じられるか?ああ、西方旅団ではな――」
語り掛ける内容は昨日から自分の目で見た海兵隊での出来事や、本来の自分の職務である西方旅団内でのあれこれ。一つ一つは取り立てる程でもない些細な事を黒川は墓石を撫でながら話し続け、十五分程経ってから
「……そろそろ行くな、お前の墓参りを済ませて昨日の内に太宰府に戻る筈が長居しちまった、仕事が溜まってる……また来るよ」
そう言って立ち上がり、その途中で一旦動きを止め墓石へと一つ口付けを落とす。
「……またな」
そして、墓石に刻まれた『黒川千鶴』の文字を一撫でし、踵を返して歩き出した。
「……こんな時間に誰だ……?」
墓地の外へと向かい歩いていた黒川の鼻先に漂って来たのは線香の香り、まだ朝も早いこの時間に誰か来ているのかと気になり、香りの漂って来る方向へと歩き出す。辿り着いたのは墓地の外れ、そこで数十の墳墓を前に佇み微動だにしない小さな背中を見つけた。
墳墓全ての前には数本ずつ線香が置かれ、その香りだったのかと考えつつ、黒川は小さな背中、タカコへと視線を戻す。
事故の唯一の生き残り、高根は彼女の事をそう言っていた。ほんの短時間の中で触れ合った彼女しか知らないとは言え、指揮官の器と言って良いと感じた彼女、犠牲者は恐らくは仲間というだけではなく部下だったのだろう、その全てを失い異国に一人取り残され、何を思っているのだろうか。
慙愧、悔恨、心細さも有るだろう。それでも肩が震える事も無くただ真っ直ぐに前を見、しっかりと立つその後ろ姿は凛とした佇まいを崩す事は無く、国は違えど武人の姿は同じものかと妙な感心をしてしまう。
やがてそっと手を合わせ僅かに俯く背中、黒川は歩みを進め彼女の隣へと静かに立つ。
「俺も手ぇ合わせさせてもらって良いかな?」
「……タツさん、何でここに」
「朝の散歩序でにな、昔馴染みの墓参りだ。良いかい?」
「……有り難う」
驚いて顔を上げ、そう言って昨夜とは違い小さく笑うタカコ、穏やかな、それでも本当に嬉しそうなその面持ちを見て、今目の前に眠る彼等を本当に大切に思っていたのだという事が窺い知れた。隣に立ち手を合わせれば彼女も再び手を合わせ目を閉じ、その俯き加減の横顔を見てから黒川も目を閉じる。
「そういや敦賀ちゃんは?あいつ常にお前にくっついてるって真吾に聞いたけど?」
「ああ、約束なんだよ、この墓参りだけは私一人って。絶対に逃げないからって言って認めてもらったの」
「へぇ……そっか、あいつも融通利かせる事有るんだな、意外」
「ね、私も」
黙祷を終え営舎に戻ろうと動き出す二人、そんな中タカコが突然に僅かに身体の向きを変え、身体を屈めて墳墓の一つを軽く素早く撫でるのを黒川は見逃さなかった。他と何も変わりの無い墳墓、何故それだけを撫でたのか、先程迄の自分を省みれば答えは明らかで。
(……おいおい、真吾よ……風向きが変わって来たぞこりゃ……死んでる奴より生きてる奴の方が強いとは、俺には言えんわ)
自分の予想が当たっているのなら、高根はとんでもない計算違いをしている事になる、目論見を完全に頓挫させる要素ではないが大きな障害になる事は間違い無い。
「ん?タツさん、どうかした?」
「いや、食堂の朝飯何かなってな」
「あー、たぶん鰯の丸干の焼いたのと、おひたしと麦飯と味噌汁だよ、魚が変わるだけで基本それだもん。ここ数日鯵鯖鮭と来たから、今日は多分鰯」
「何だ、海兵隊も陸軍も変わんねぇな」
内心を誤魔化す様にして笑顔を顔に貼り付けて本部へと戻り、執務室で握り飯を食べながら書類を片付けている高根の下へと急いだ。
「……確かか、それ」
「ああ、間違い無ぇ。亭主か恋人かは分からんが、深い仲の人間が犠牲者の中にいた筈だ。何も聞いてねぇのか?」
「ああ……聞いてねぇ……クソが」
黒川の告げた内容に若干の苛立ちを顔に滲ませた高根が舌を打つ。今迄一度たりとも彼女からそんな話を聞いた事は無かった、大切な男の存在も、その男を特別に葬ってやりたいとも、何一つ。
「俺はもういい加減太宰府に戻るけどよ、この事はよくよく考えて判断しろよ、敦賀に伝えるも伝えないも含めて。判断を誤れば目論見が全部御破算になりかねんぞ」
「ああ、分かってる、知らせてくれて助かった。計算の内に入れておくよ」
「そうしろ。それじゃ俺はこれで」
そう言って今度こそ帰ろうと歩き出す黒川、それを不意に高根が呼び止める。
「今度そっちに行くからお前の家泊めろよ……千鶴ちゃんに線香上げさせてくれや」
「おう、あいつも喜ぶよ……墓の手入れ、いつも悪いな」
「なんの、俺にとっても大事な部下だからな」
「……それじゃ」
「ああ」
その遣り取りの後部屋を出て行く黒川、高根はそれを視線だけで見送った後、背凭れに身体を預けて執務室の天井を見上げてみた。
「……言えねぇよなぁ、死人よりも生きてる奴の方が有利だとか強いとか、龍興見てるとよ……」
結局そのまま飲みながら話し続け、営舎の客室へと宿泊した黒川は翌朝営舎の周辺を一人散策していた。正直敦賀の事は揶揄う以外には意味は無くどうでも良いが、タカコについて多くを知る事が出来た良い夜だったと言って良いだろう。
高根がタカコについて掴んでいる事の全てを話したとは思っていない、彼には海兵隊総司令としての立場と思惑が有り、陸軍に属する自分とは利害が微妙に異なるのだから、その自分に対して全てを開示しないのは寧ろ当然の事だろう。それを差し引いても収穫だったと思い起こしながら歩けば、やがて辿り着いたのは大和海兵隊国立墓地。
その中へと足を踏み入れれば向かう先は一つしか無く、歩みを止めたのは一つの墓の前。
「……よう、悪かったな、暫く来られなくて。位牌と仏壇には毎日手ぇ合わせて線香も上げてるからよ、勘弁してくれ」
高根と話していた時の鋭さも老獪さも、そして敦賀を揶揄いタカコと話していた時の悪戯っぽさも明るさも今の黒川の面差しには無く、存在するのは静かな優しさと暖かさのみ。腰の高さ程の墓石をそっと撫で、その前に片膝を突いて語り掛けた。
「敦賀が女に惚れたらしいぞ、あの超絶に堅物で融通が利かなくて鍛錬と活骸斬り捨てるのが生き甲斐のあの敦賀がだ、信じられるか?ああ、西方旅団ではな――」
語り掛ける内容は昨日から自分の目で見た海兵隊での出来事や、本来の自分の職務である西方旅団内でのあれこれ。一つ一つは取り立てる程でもない些細な事を黒川は墓石を撫でながら話し続け、十五分程経ってから
「……そろそろ行くな、お前の墓参りを済ませて昨日の内に太宰府に戻る筈が長居しちまった、仕事が溜まってる……また来るよ」
そう言って立ち上がり、その途中で一旦動きを止め墓石へと一つ口付けを落とす。
「……またな」
そして、墓石に刻まれた『黒川千鶴』の文字を一撫でし、踵を返して歩き出した。
「……こんな時間に誰だ……?」
墓地の外へと向かい歩いていた黒川の鼻先に漂って来たのは線香の香り、まだ朝も早いこの時間に誰か来ているのかと気になり、香りの漂って来る方向へと歩き出す。辿り着いたのは墓地の外れ、そこで数十の墳墓を前に佇み微動だにしない小さな背中を見つけた。
墳墓全ての前には数本ずつ線香が置かれ、その香りだったのかと考えつつ、黒川は小さな背中、タカコへと視線を戻す。
事故の唯一の生き残り、高根は彼女の事をそう言っていた。ほんの短時間の中で触れ合った彼女しか知らないとは言え、指揮官の器と言って良いと感じた彼女、犠牲者は恐らくは仲間というだけではなく部下だったのだろう、その全てを失い異国に一人取り残され、何を思っているのだろうか。
慙愧、悔恨、心細さも有るだろう。それでも肩が震える事も無くただ真っ直ぐに前を見、しっかりと立つその後ろ姿は凛とした佇まいを崩す事は無く、国は違えど武人の姿は同じものかと妙な感心をしてしまう。
やがてそっと手を合わせ僅かに俯く背中、黒川は歩みを進め彼女の隣へと静かに立つ。
「俺も手ぇ合わせさせてもらって良いかな?」
「……タツさん、何でここに」
「朝の散歩序でにな、昔馴染みの墓参りだ。良いかい?」
「……有り難う」
驚いて顔を上げ、そう言って昨夜とは違い小さく笑うタカコ、穏やかな、それでも本当に嬉しそうなその面持ちを見て、今目の前に眠る彼等を本当に大切に思っていたのだという事が窺い知れた。隣に立ち手を合わせれば彼女も再び手を合わせ目を閉じ、その俯き加減の横顔を見てから黒川も目を閉じる。
「そういや敦賀ちゃんは?あいつ常にお前にくっついてるって真吾に聞いたけど?」
「ああ、約束なんだよ、この墓参りだけは私一人って。絶対に逃げないからって言って認めてもらったの」
「へぇ……そっか、あいつも融通利かせる事有るんだな、意外」
「ね、私も」
黙祷を終え営舎に戻ろうと動き出す二人、そんな中タカコが突然に僅かに身体の向きを変え、身体を屈めて墳墓の一つを軽く素早く撫でるのを黒川は見逃さなかった。他と何も変わりの無い墳墓、何故それだけを撫でたのか、先程迄の自分を省みれば答えは明らかで。
(……おいおい、真吾よ……風向きが変わって来たぞこりゃ……死んでる奴より生きてる奴の方が強いとは、俺には言えんわ)
自分の予想が当たっているのなら、高根はとんでもない計算違いをしている事になる、目論見を完全に頓挫させる要素ではないが大きな障害になる事は間違い無い。
「ん?タツさん、どうかした?」
「いや、食堂の朝飯何かなってな」
「あー、たぶん鰯の丸干の焼いたのと、おひたしと麦飯と味噌汁だよ、魚が変わるだけで基本それだもん。ここ数日鯵鯖鮭と来たから、今日は多分鰯」
「何だ、海兵隊も陸軍も変わんねぇな」
内心を誤魔化す様にして笑顔を顔に貼り付けて本部へと戻り、執務室で握り飯を食べながら書類を片付けている高根の下へと急いだ。
「……確かか、それ」
「ああ、間違い無ぇ。亭主か恋人かは分からんが、深い仲の人間が犠牲者の中にいた筈だ。何も聞いてねぇのか?」
「ああ……聞いてねぇ……クソが」
黒川の告げた内容に若干の苛立ちを顔に滲ませた高根が舌を打つ。今迄一度たりとも彼女からそんな話を聞いた事は無かった、大切な男の存在も、その男を特別に葬ってやりたいとも、何一つ。
「俺はもういい加減太宰府に戻るけどよ、この事はよくよく考えて判断しろよ、敦賀に伝えるも伝えないも含めて。判断を誤れば目論見が全部御破算になりかねんぞ」
「ああ、分かってる、知らせてくれて助かった。計算の内に入れておくよ」
「そうしろ。それじゃ俺はこれで」
そう言って今度こそ帰ろうと歩き出す黒川、それを不意に高根が呼び止める。
「今度そっちに行くからお前の家泊めろよ……千鶴ちゃんに線香上げさせてくれや」
「おう、あいつも喜ぶよ……墓の手入れ、いつも悪いな」
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「……それじゃ」
「ああ」
その遣り取りの後部屋を出て行く黒川、高根はそれを視線だけで見送った後、背凭れに身体を預けて執務室の天井を見上げてみた。
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