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第434章『帰還』
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第434章『帰還』
『カネコ司令、少し、良いかな?』
暗い水面へと視線を落とす金子、その彼の名を誰かが呼ぶ。金子がそれに振り返れば、そこには身長百八十程の体格の良い黒い肌の男性が一人、ワシントン海兵隊の戦闘服を身に着け、穏やかな笑みをその顔に湛えて立っていた。
『テイラー総司令、失礼しました』
自分を呼んだ人物が誰であるかを認識した金子がそちらへと向き直り正対して挙手敬礼をすれば、相手――、制圧艦隊総司令、ロバート・D・テイラー海兵隊中将は更に目を細め、
『構わない、楽にしてくれ』
そう言って金子の横に立ち、ゆっくりと踵を返して柵に身体を預ける、慌ただしくホーネットの準備に動き回る整備兵達へと視線を向ける。金子はどうしたものかと思いつつも彼に倣いホーネットの方へと身体と視線を向ければ、暫くの無言の後、テイラーは静かに、ゆっくりと話し出した。
『……タカコ・シミズの事を覚えているか?』
海軍の総務の下っ端の彼女の事を、海兵隊の将軍が何故知っているのか、何故ここで彼女の名前が出て来るのか。そんな疑問は金子が纏う空気にも現れていたのだろう、ふ、と、テイラーは笑みを深くし、低く穏やかな声音で話を続ける。
『彼女は海軍の人間ではない、陸軍の人間だ』
『陸軍の……?しかし、我々のところに出入りしていた時の彼女は、海軍の制服を着て、本人も総務の下っ端だと』
『……彼女を見て、どう思った?何の警戒心も抱かなかったんじゃないのか?』
金子の問い掛けを無視したテイラーの言葉、それに一瞬だけ眉根を寄せた金子が、まさか、と僅かに双眸を見開けば、それを横目にテイラーは小さく笑い、視線を前へと戻した。
取り立てて美人でもなく、かと言って不細工なわけでもなく、極々平凡で地味な面貌。体格も平均的で、他者の意識を惹きつける要素は何処にも無い。強いて言えば毛先が臀部迄届く程の長い黒髪が、大和人である金子達にとっては、母国に残して来た妻や恋人や家族を懐かしく思わせる程度のもの。
『彼女は海軍の下っ端ではない……階級は陸軍大佐、君よりも上だよ、カネコ』
別れ際に彼女が見せた挙手敬礼、そうだ、あれは肘を真横に開いた陸軍式のものだった。違和感を感じなかったわけではないが、総務の下っ端ではそこ迄行き届いておらずとも不思議ではないと、殆ど意識にも留める事無く綺麗さっぱり忘れ去っていた。
彼女が自分達へと近付いて来た理由は、世話をし言葉を教える事ではなく、逆に自分達から言葉を学ぶ為だったのだ。金子はそこに漸く思い至り、そして、先程から断片的に浮かび上がるタカコに関しての事柄が急速に結び付いて行くのを感じながら、全身を総毛立たせ眼球が零れ落ちそうになる程に双眸を見開いた。
大和人と何等違いの無い、そして至って平凡で地味な外見。彼女を見ても誰も警戒心を抱く事は無く、大和のどんな市井にでもすんなりと入り込める。金子達との関わりによって大和人並みに流暢な大和語を操る様にもなった。そんな人間がもし、兵士として斥候として非常に有能であったとしたら、どうなるのか。
金子の様子を見ていてもテイラーは無言のまま、それは恐らくは無言の肯定なのだろう。誰にも警戒心を抱かせない外見が内包した、兵士として斥候としての高い技能と才能、そんなものが目的を持って大和国内に潜入したとしたら、沿岸警備隊も陸軍も海兵隊も、何処にも、そして誰にも、察知は出来ないに違い無い。
大和を護るべき自分達沿岸警備隊が、大和に害を為すかも知れない存在を、そうとは知らずとも育て上げてしまったのだ。自分達が犯した本当の、そして最悪の失態に金子はここに来て漸く思い至り、きつく拳を握り締め歯噛みする。
『……そう自分を責める必要は無い。彼女は優秀過ぎるが故に制御の難しい、自立自走式の対人地雷の様なものだ。優秀なだけであればまだ良いんだが、性格的にも随分と扱い難くてね、筋の通らない事であればそれが統合参謀本部からの命令だろうが絶対に首を縦には振らない、そんな性格なんだよ。その彼女が今回の任務に投入される時、総責任者に何て言ったと思う?』
その突然のテイラーの問い掛けに、金子はいつの間にか俯いていた顔を弾かれる様に上げ、問い掛けを発した本人へと視線を向けた。
『……『一方的に侵攻し統治下に置く事は些かアンフェアでしょう、それとは知られぬ様にするとしても何かこちらから課題を投げ掛け、それをクリア出来るかどうか位は見ても良いのでは?最初から一方的に決め付けて掛かるのは私の主義に反しますね』と、そう言ったそうだよ。ソファに踏ん反り返ってコーヒーを飲みながらしれっと言って退けたそうだが、その相手は統合参謀本部議長、陸軍大将だ』
大和で言えば小規模な艦隊を一つ預かるかどうか程度の地位の人間が、統幕議長に対して言い放ったのと同じ程度という事は金子にも分かる。豪胆にも限度程度が有るだろうと唖然とすれば、それはテイラーにも伝わったのだろう、
『とんだ跳ねっ返りだろう?』
そう言って、さもおかしくて堪らないといった風情で肩を揺らせて笑い出す。彼女を個人的にもよく知っているのかおかしさも一入の様子で、金子を放置したその笑いが止まったのは、数分も経ってからの事。
して、漸く笑いが収まったテイラーは、再び低く穏やかな声音で話の続きを口にした。
『とことん扱い難い気質なのは確かだが、それと同時に彼女は道義と道理を非常に重んじる、とても生真面目で実直な性格だ。一方的な侵略には反対だと、提案が受け入れられないのであれば任務は引き受けないと、そう言ったんだ。そして、議長が穏健派筆頭である事も重なり、ワシントンは最終的な結論こそ出しはしなかったものの、『将来的には対等な同盟関係の締結を見据えて』という事で大まかな方向性を決めた。議長が政府も含めてその方向での取り纏めに動いたのも、投入出来るのはこの人物しかいないと目されていた、彼女の進言が在ったからこそだよ』
では、と、金子の双眸に光が宿るのを見たテイラーはまた微笑み、
『カネコ、君達は母国を攻撃する尖兵を作ってしまったんじゃない。我が国と君達の母国との、架け橋となる存在を作ったんだ』
と、穏やかな、しかし力強さを感じさせる声音ではっきりとそう言った。
その直後、何かに気付いたのか海へと向けた双眸を細め、
『彼女は彼女の仕事を全うしようと動いている、次は、君の番だな』
そう言って指し示す方向を金子が振り返ってみれば、そこには小さな、けれども見間違え様も無い懐かしい灯りが一つ、二つ、と、水平線の向こうに現れ始めていた。
『拡声器の準備を!ヤマトのコーストガードのお出迎えだ!!何が有っても攻撃はするな、我々は彼等の敵ではない、彼等もまた我々の敵ではない!!』
甲板の方へと向かって声を放るテイラー、それを受けて更に慌ただしく動き出す兵士達。金子はその気配を何処か遠くに感じながら、込み上げる感情を抑える事も出来ず、溢れ出る涙を拭いもせずにその場へと立ち尽くしていた。
『カネコ、さぁ、君の番だ』
段々と近くなるお互いの距離、今ではもう暗闇の中とは言えど懐かしい艦艇の輪郭が朧に分かる程に近付いた。それを涙を流しながら見詰める金子の背後にテイラーが立ち、用意された拡声器のマイクを手に一歩、前に出る。金子は彼の言葉を受けて涙を拭い振り返り、一つ、大きく頷いてそれを受け取ると再び踵を返し、自分はこの為に生き延び、そして帰って来たのだと胸中で呟きつつ、声を張り上げた。
「第五次外洋遠征艦隊司令、金子大樹大和沿岸警備隊中佐です!この艦隊は敵ではありません、援護に来ました!!博多沖迄の誘導を願いたい!!」
『カネコ司令、少し、良いかな?』
暗い水面へと視線を落とす金子、その彼の名を誰かが呼ぶ。金子がそれに振り返れば、そこには身長百八十程の体格の良い黒い肌の男性が一人、ワシントン海兵隊の戦闘服を身に着け、穏やかな笑みをその顔に湛えて立っていた。
『テイラー総司令、失礼しました』
自分を呼んだ人物が誰であるかを認識した金子がそちらへと向き直り正対して挙手敬礼をすれば、相手――、制圧艦隊総司令、ロバート・D・テイラー海兵隊中将は更に目を細め、
『構わない、楽にしてくれ』
そう言って金子の横に立ち、ゆっくりと踵を返して柵に身体を預ける、慌ただしくホーネットの準備に動き回る整備兵達へと視線を向ける。金子はどうしたものかと思いつつも彼に倣いホーネットの方へと身体と視線を向ければ、暫くの無言の後、テイラーは静かに、ゆっくりと話し出した。
『……タカコ・シミズの事を覚えているか?』
海軍の総務の下っ端の彼女の事を、海兵隊の将軍が何故知っているのか、何故ここで彼女の名前が出て来るのか。そんな疑問は金子が纏う空気にも現れていたのだろう、ふ、と、テイラーは笑みを深くし、低く穏やかな声音で話を続ける。
『彼女は海軍の人間ではない、陸軍の人間だ』
『陸軍の……?しかし、我々のところに出入りしていた時の彼女は、海軍の制服を着て、本人も総務の下っ端だと』
『……彼女を見て、どう思った?何の警戒心も抱かなかったんじゃないのか?』
金子の問い掛けを無視したテイラーの言葉、それに一瞬だけ眉根を寄せた金子が、まさか、と僅かに双眸を見開けば、それを横目にテイラーは小さく笑い、視線を前へと戻した。
取り立てて美人でもなく、かと言って不細工なわけでもなく、極々平凡で地味な面貌。体格も平均的で、他者の意識を惹きつける要素は何処にも無い。強いて言えば毛先が臀部迄届く程の長い黒髪が、大和人である金子達にとっては、母国に残して来た妻や恋人や家族を懐かしく思わせる程度のもの。
『彼女は海軍の下っ端ではない……階級は陸軍大佐、君よりも上だよ、カネコ』
別れ際に彼女が見せた挙手敬礼、そうだ、あれは肘を真横に開いた陸軍式のものだった。違和感を感じなかったわけではないが、総務の下っ端ではそこ迄行き届いておらずとも不思議ではないと、殆ど意識にも留める事無く綺麗さっぱり忘れ去っていた。
彼女が自分達へと近付いて来た理由は、世話をし言葉を教える事ではなく、逆に自分達から言葉を学ぶ為だったのだ。金子はそこに漸く思い至り、そして、先程から断片的に浮かび上がるタカコに関しての事柄が急速に結び付いて行くのを感じながら、全身を総毛立たせ眼球が零れ落ちそうになる程に双眸を見開いた。
大和人と何等違いの無い、そして至って平凡で地味な外見。彼女を見ても誰も警戒心を抱く事は無く、大和のどんな市井にでもすんなりと入り込める。金子達との関わりによって大和人並みに流暢な大和語を操る様にもなった。そんな人間がもし、兵士として斥候として非常に有能であったとしたら、どうなるのか。
金子の様子を見ていてもテイラーは無言のまま、それは恐らくは無言の肯定なのだろう。誰にも警戒心を抱かせない外見が内包した、兵士として斥候としての高い技能と才能、そんなものが目的を持って大和国内に潜入したとしたら、沿岸警備隊も陸軍も海兵隊も、何処にも、そして誰にも、察知は出来ないに違い無い。
大和を護るべき自分達沿岸警備隊が、大和に害を為すかも知れない存在を、そうとは知らずとも育て上げてしまったのだ。自分達が犯した本当の、そして最悪の失態に金子はここに来て漸く思い至り、きつく拳を握り締め歯噛みする。
『……そう自分を責める必要は無い。彼女は優秀過ぎるが故に制御の難しい、自立自走式の対人地雷の様なものだ。優秀なだけであればまだ良いんだが、性格的にも随分と扱い難くてね、筋の通らない事であればそれが統合参謀本部からの命令だろうが絶対に首を縦には振らない、そんな性格なんだよ。その彼女が今回の任務に投入される時、総責任者に何て言ったと思う?』
その突然のテイラーの問い掛けに、金子はいつの間にか俯いていた顔を弾かれる様に上げ、問い掛けを発した本人へと視線を向けた。
『……『一方的に侵攻し統治下に置く事は些かアンフェアでしょう、それとは知られぬ様にするとしても何かこちらから課題を投げ掛け、それをクリア出来るかどうか位は見ても良いのでは?最初から一方的に決め付けて掛かるのは私の主義に反しますね』と、そう言ったそうだよ。ソファに踏ん反り返ってコーヒーを飲みながらしれっと言って退けたそうだが、その相手は統合参謀本部議長、陸軍大将だ』
大和で言えば小規模な艦隊を一つ預かるかどうか程度の地位の人間が、統幕議長に対して言い放ったのと同じ程度という事は金子にも分かる。豪胆にも限度程度が有るだろうと唖然とすれば、それはテイラーにも伝わったのだろう、
『とんだ跳ねっ返りだろう?』
そう言って、さもおかしくて堪らないといった風情で肩を揺らせて笑い出す。彼女を個人的にもよく知っているのかおかしさも一入の様子で、金子を放置したその笑いが止まったのは、数分も経ってからの事。
して、漸く笑いが収まったテイラーは、再び低く穏やかな声音で話の続きを口にした。
『とことん扱い難い気質なのは確かだが、それと同時に彼女は道義と道理を非常に重んじる、とても生真面目で実直な性格だ。一方的な侵略には反対だと、提案が受け入れられないのであれば任務は引き受けないと、そう言ったんだ。そして、議長が穏健派筆頭である事も重なり、ワシントンは最終的な結論こそ出しはしなかったものの、『将来的には対等な同盟関係の締結を見据えて』という事で大まかな方向性を決めた。議長が政府も含めてその方向での取り纏めに動いたのも、投入出来るのはこの人物しかいないと目されていた、彼女の進言が在ったからこそだよ』
では、と、金子の双眸に光が宿るのを見たテイラーはまた微笑み、
『カネコ、君達は母国を攻撃する尖兵を作ってしまったんじゃない。我が国と君達の母国との、架け橋となる存在を作ったんだ』
と、穏やかな、しかし力強さを感じさせる声音ではっきりとそう言った。
その直後、何かに気付いたのか海へと向けた双眸を細め、
『彼女は彼女の仕事を全うしようと動いている、次は、君の番だな』
そう言って指し示す方向を金子が振り返ってみれば、そこには小さな、けれども見間違え様も無い懐かしい灯りが一つ、二つ、と、水平線の向こうに現れ始めていた。
『拡声器の準備を!ヤマトのコーストガードのお出迎えだ!!何が有っても攻撃はするな、我々は彼等の敵ではない、彼等もまた我々の敵ではない!!』
甲板の方へと向かって声を放るテイラー、それを受けて更に慌ただしく動き出す兵士達。金子はその気配を何処か遠くに感じながら、込み上げる感情を抑える事も出来ず、溢れ出る涙を拭いもせずにその場へと立ち尽くしていた。
『カネコ、さぁ、君の番だ』
段々と近くなるお互いの距離、今ではもう暗闇の中とは言えど懐かしい艦艇の輪郭が朧に分かる程に近付いた。それを涙を流しながら見詰める金子の背後にテイラーが立ち、用意された拡声器のマイクを手に一歩、前に出る。金子は彼の言葉を受けて涙を拭い振り返り、一つ、大きく頷いてそれを受け取ると再び踵を返し、自分はこの為に生き延び、そして帰って来たのだと胸中で呟きつつ、声を張り上げた。
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