28 / 100
第228章『拘束』
しおりを挟む
第228章『拘束』
執務室で書類を片付けていた時、突然激しく叩かれた扉と入室の許可を口にする前に飛び込んで来た曹長の顔色の無さに、敦賀は動きを止めた。また曝露の発生か、敦賀はそう思い立ち上がろうとしたが、直後に相手の口から出た言葉を理解しきれずにそれをそのまま鸚鵡返しに口にする。
「……タカコが、浜口に刺された……?」
「早く!早く来て下さい!!」
活骸との戦いで『殺す』という事には慣れていても、戦闘時ではない自陣営の中での同僚同士の刃傷沙汰等今迄発生した事は無い、その所為か知らせに来た曹長の顔は青褪めるを通り越して真っ白で、敦賀はその彼の様子に只事ではないと漸く動き出して執務室を飛び出した。
「大部屋です!!自分は警務に!!」
背後から聞こえて来る言葉に階段を飛び降りる勢いで駆け下りて大部屋へと向かう。男手一つで三人の子供を育てていた浜口、今回三人全員が犠牲になった事で思い詰めて何か妙な事はしないかと警戒はしていたが、何故タカコに兇刃を、それを向けられた彼女は無事なのかと一階迄駆け下りて大部屋へと飛び込めば、そこは切羽詰った悲鳴にも似た怒号で溢れていた。
「先生まだなのかよ!!」
「連絡はしたよ!!直ぐに来るって!!」
「血が!血が止まんねぇよ!どうすりゃ良いんだよこれ!!」
「もっと強く押さえろ!」
「やってんだよ!でも止まんねぇんだよ!!」
ストーブの脇で床へと捻じ伏せられ押さえ込まれた浜口の姿が見え、緊迫しきった叫びは机の島の向こう側から聞こえて来る。無事なのか、それを確認しようと走り出し浜口の脇を擦り抜けた敦賀の視界に入って来たのは、仰向けになり真っ赤に染まった右腹部を曹長の一人に押さえられたタカコの、真っ白な顔と虚ろな双眸だった。
これよりももっと酷い状態等自分達は戦場で見慣れている筈で、バラバラに食い散らかされた仲間の死体を抱えた事も有る、怪我人にも死体にも、慣れている筈だった。けれど状況が全く違う、今は戦いを終えて平時へと戻りつつある自陣営、その中の自分達の執務室。有り得ない筈の状況で突然に突き付けられた異常な事態に、誰もが平静を失っている。敦賀もまたその一人ではあったものの、落ち着け、と、自らにも言い聞かせながらタカコの脇に立ち、
「気ぃしっかり保て馬鹿女!!」
そう怒鳴りつけながら膝を突き傷口へと置かれた曹長の手に自らのそれを重ねた。ぐ、と力を込めつつ再度怒鳴り付ければ、その敦賀の声に反応しタカコの双眸に僅かに生気と意志が蘇る、そうだ、逝くな、戻って来いとどれだけの間呼び掛けをしていたのか、不意に肩を掴まれて強く後ろへと引き倒された。
「何しやが――」
「退け、俺の仕事だ」
こんな時に何を、誰だと見てみれば手に薄い手袋を嵌めたジュリアーニ、いつも掴み所の無い笑みを浮かべていた顔に今は笑みは欠片も無く、緑色の瞳が鋭さと険しさを湛えてタカコを見下ろしている。そう言えばこいつは医者だった、大和田の到着を待つ事無く処置に入れる、助かった、そう思いながら敦賀と曹長が場所を開ければ、タカコの脇に膝を突いたジュリアーニが彼女へと語り掛ける。
「ボス、約束したでしょ、あんたを殺すのは俺だって。約束破るなんて許さないよ?あんたは今は死んじゃ駄目だよ、ね?持ち直したら俺がこの手で殺してあげる、だから、今は死なないで」
声音だけはいつもの調子のまま、内容は随分と物騒な事を言いつつ脇に置いた鞄の中から注射器と硝子の小瓶を取り出し、その中に入っていた薬液を吸い出した注射器をタカコの身体へと突き立てる。
「おい!何を――」
「黙ってろ、心臓を止めるわけにはいかないんだ、強心剤と昇圧剤だ」
針を身体から引き抜いた後は頸へと右手の指先を当て脈を取り、左手は創部へと持って行きそこを圧迫する。やがて多少の安定は見られたのかタカコの顔に幾分色味が戻り、それを確認したジュリアーニは創部を覆う様にしてタカコの腹に巻いた布をきつく縛り上げると彼女の身体を両腕に抱きかかえて立ち上がった。
「手術設備の有る病院は?」
「陸軍病院だ、しかし車で三十分は掛かるぞ、間に合うのか?」
「三十分か、無理だな……ここには設備と道具は無いのか?」
敦賀の答えに舌打ちをするジュリアーニ、無理だ、その言葉に心臓が痛くなる。
「医務室の奥が手術室になってる、設備も道具も整ってる筈だ。一人で出来るのか?」
「俺一人じゃ無理だ、ドクター・オオワダを早く寄越してくれ、それ迄は俺一人で出来る事をやっておく」
医務室の場所は分かる、そう言って歩き出すジュリアーニの腕の中でタカコが小さく唇を動かし、何か言いたい事が有るのか、そう思った敦賀が顔を寄せれば、
「……馬鹿……女って……久し振りに……聞い、た」
と、呟く様な囁く様な、そんな微かな声音で言葉を紡ぐ。
「……死に掛けてる時に言う事じゃ……ねぇ、だろうが……!」
目頭が熱くなる、鼻がツンと痛くなる、胸の痛みと込み上げるものを必死で堪えてそう言えば、それに面白くなさそうに舌打ちをしたジュリアーニが再び歩き出し、医務室の方へと消えて行った。
ついて行っても医学の知識等無い自分達に出来る事は無い、もう直ぐ警務もやって来る、高根と小此木にも連絡は行っただろうから彼等もやって来るだろう。それを待つ間浜口に話を聞こうか、どんな扱いをするかは自信が無いが、そう思いながら相変わらず押さえ込まれたままの浜口へと向き直り、力無くされるがままの状態の彼を見下ろしてみる。
途端に湧き上がる激しい怒り、一体タカコがあんな事をされる様な何をしたと言うのか、顔に蹴りの一つでもくれてやる、自分の中に渦巻く激しい感情を何とか押さえ込み一歩踏み出せば、脇に転がった血塗れのナイフが目に入った。
刃渡りは二十cm程か、刃どころか柄迄全体が血に染まり、根元迄突き刺されたのだという事が窺い知れる。これがあの小さな身体へと突き立てられたのか、それを認識した瞬間、敦賀は感情を制御していた手綱を呆気無く手放した。
言葉も無くしゃがみ込み、床へと転がった血塗れのナイフをその手に取る。同じ痛みを味わえば良い、小さく呟いたその時、
「敦賀上級曹長!」
という、自分を階級を付けて怒鳴りつける高根の声が聞こえて来て、敦賀はそれに弾かれる様にして顔を上げた。
「……真吾」
そこにいたのは高根と小此木、そして、その後ろから凄まじい形相で大部屋へと飛び込んで来たカタギリとウォーレン。押し退けて横を擦り抜けようとした二人の襟首を掴んだ高根は、
「この二人と敦賀を拘束しろ!俺が良いと言う迄営倉に叩き込んでおけ!」
室内にいた曹長達に向かってそう声を張り上げる。
「真吾!てめぇ、今どういう状況だか分かってんのか!?」
「口を慎め!立場を弁えろ!!」
突然の拘束命令に我を忘れて抗議の声を上げる敦賀、しかし高根はそれ以上の勢いで怒鳴りつけ、上下関係を強調されたそれに険を深くした敦賀を睨みつけ言葉を続けた。
「お前が今何をしようとしていたか気付いてないとでも思ってんのか馬鹿が!何で拘束するかか?お前とこの二人、俺がお前等の立場だったら浜口を殺すからだ!命令だ、この三人を即時拘束しろ!」
見透かされていた、それを理解した直後に背後に立つ数人の気配、
「……先任、すみません……行きましょう」
その曹長達の申し訳無さそうな声音に状況を把握し、敦賀は口元を歪めて歯を軋らせる。
高根の言う通りだ、今、自分は浜口を殺そうとしていた、カタギリとウォーレンもそうなのだろう。その自分達が今ここにいても更に事態を深刻にするだけ、そうさせない為にも今は拘束を受けておくのが最善だ。
特段抵抗する事も無く案内された営倉、その独房の中で、敦賀は永遠にも思える程の焦燥を味わう事になった。
執務室で書類を片付けていた時、突然激しく叩かれた扉と入室の許可を口にする前に飛び込んで来た曹長の顔色の無さに、敦賀は動きを止めた。また曝露の発生か、敦賀はそう思い立ち上がろうとしたが、直後に相手の口から出た言葉を理解しきれずにそれをそのまま鸚鵡返しに口にする。
「……タカコが、浜口に刺された……?」
「早く!早く来て下さい!!」
活骸との戦いで『殺す』という事には慣れていても、戦闘時ではない自陣営の中での同僚同士の刃傷沙汰等今迄発生した事は無い、その所為か知らせに来た曹長の顔は青褪めるを通り越して真っ白で、敦賀はその彼の様子に只事ではないと漸く動き出して執務室を飛び出した。
「大部屋です!!自分は警務に!!」
背後から聞こえて来る言葉に階段を飛び降りる勢いで駆け下りて大部屋へと向かう。男手一つで三人の子供を育てていた浜口、今回三人全員が犠牲になった事で思い詰めて何か妙な事はしないかと警戒はしていたが、何故タカコに兇刃を、それを向けられた彼女は無事なのかと一階迄駆け下りて大部屋へと飛び込めば、そこは切羽詰った悲鳴にも似た怒号で溢れていた。
「先生まだなのかよ!!」
「連絡はしたよ!!直ぐに来るって!!」
「血が!血が止まんねぇよ!どうすりゃ良いんだよこれ!!」
「もっと強く押さえろ!」
「やってんだよ!でも止まんねぇんだよ!!」
ストーブの脇で床へと捻じ伏せられ押さえ込まれた浜口の姿が見え、緊迫しきった叫びは机の島の向こう側から聞こえて来る。無事なのか、それを確認しようと走り出し浜口の脇を擦り抜けた敦賀の視界に入って来たのは、仰向けになり真っ赤に染まった右腹部を曹長の一人に押さえられたタカコの、真っ白な顔と虚ろな双眸だった。
これよりももっと酷い状態等自分達は戦場で見慣れている筈で、バラバラに食い散らかされた仲間の死体を抱えた事も有る、怪我人にも死体にも、慣れている筈だった。けれど状況が全く違う、今は戦いを終えて平時へと戻りつつある自陣営、その中の自分達の執務室。有り得ない筈の状況で突然に突き付けられた異常な事態に、誰もが平静を失っている。敦賀もまたその一人ではあったものの、落ち着け、と、自らにも言い聞かせながらタカコの脇に立ち、
「気ぃしっかり保て馬鹿女!!」
そう怒鳴りつけながら膝を突き傷口へと置かれた曹長の手に自らのそれを重ねた。ぐ、と力を込めつつ再度怒鳴り付ければ、その敦賀の声に反応しタカコの双眸に僅かに生気と意志が蘇る、そうだ、逝くな、戻って来いとどれだけの間呼び掛けをしていたのか、不意に肩を掴まれて強く後ろへと引き倒された。
「何しやが――」
「退け、俺の仕事だ」
こんな時に何を、誰だと見てみれば手に薄い手袋を嵌めたジュリアーニ、いつも掴み所の無い笑みを浮かべていた顔に今は笑みは欠片も無く、緑色の瞳が鋭さと険しさを湛えてタカコを見下ろしている。そう言えばこいつは医者だった、大和田の到着を待つ事無く処置に入れる、助かった、そう思いながら敦賀と曹長が場所を開ければ、タカコの脇に膝を突いたジュリアーニが彼女へと語り掛ける。
「ボス、約束したでしょ、あんたを殺すのは俺だって。約束破るなんて許さないよ?あんたは今は死んじゃ駄目だよ、ね?持ち直したら俺がこの手で殺してあげる、だから、今は死なないで」
声音だけはいつもの調子のまま、内容は随分と物騒な事を言いつつ脇に置いた鞄の中から注射器と硝子の小瓶を取り出し、その中に入っていた薬液を吸い出した注射器をタカコの身体へと突き立てる。
「おい!何を――」
「黙ってろ、心臓を止めるわけにはいかないんだ、強心剤と昇圧剤だ」
針を身体から引き抜いた後は頸へと右手の指先を当て脈を取り、左手は創部へと持って行きそこを圧迫する。やがて多少の安定は見られたのかタカコの顔に幾分色味が戻り、それを確認したジュリアーニは創部を覆う様にしてタカコの腹に巻いた布をきつく縛り上げると彼女の身体を両腕に抱きかかえて立ち上がった。
「手術設備の有る病院は?」
「陸軍病院だ、しかし車で三十分は掛かるぞ、間に合うのか?」
「三十分か、無理だな……ここには設備と道具は無いのか?」
敦賀の答えに舌打ちをするジュリアーニ、無理だ、その言葉に心臓が痛くなる。
「医務室の奥が手術室になってる、設備も道具も整ってる筈だ。一人で出来るのか?」
「俺一人じゃ無理だ、ドクター・オオワダを早く寄越してくれ、それ迄は俺一人で出来る事をやっておく」
医務室の場所は分かる、そう言って歩き出すジュリアーニの腕の中でタカコが小さく唇を動かし、何か言いたい事が有るのか、そう思った敦賀が顔を寄せれば、
「……馬鹿……女って……久し振りに……聞い、た」
と、呟く様な囁く様な、そんな微かな声音で言葉を紡ぐ。
「……死に掛けてる時に言う事じゃ……ねぇ、だろうが……!」
目頭が熱くなる、鼻がツンと痛くなる、胸の痛みと込み上げるものを必死で堪えてそう言えば、それに面白くなさそうに舌打ちをしたジュリアーニが再び歩き出し、医務室の方へと消えて行った。
ついて行っても医学の知識等無い自分達に出来る事は無い、もう直ぐ警務もやって来る、高根と小此木にも連絡は行っただろうから彼等もやって来るだろう。それを待つ間浜口に話を聞こうか、どんな扱いをするかは自信が無いが、そう思いながら相変わらず押さえ込まれたままの浜口へと向き直り、力無くされるがままの状態の彼を見下ろしてみる。
途端に湧き上がる激しい怒り、一体タカコがあんな事をされる様な何をしたと言うのか、顔に蹴りの一つでもくれてやる、自分の中に渦巻く激しい感情を何とか押さえ込み一歩踏み出せば、脇に転がった血塗れのナイフが目に入った。
刃渡りは二十cm程か、刃どころか柄迄全体が血に染まり、根元迄突き刺されたのだという事が窺い知れる。これがあの小さな身体へと突き立てられたのか、それを認識した瞬間、敦賀は感情を制御していた手綱を呆気無く手放した。
言葉も無くしゃがみ込み、床へと転がった血塗れのナイフをその手に取る。同じ痛みを味わえば良い、小さく呟いたその時、
「敦賀上級曹長!」
という、自分を階級を付けて怒鳴りつける高根の声が聞こえて来て、敦賀はそれに弾かれる様にして顔を上げた。
「……真吾」
そこにいたのは高根と小此木、そして、その後ろから凄まじい形相で大部屋へと飛び込んで来たカタギリとウォーレン。押し退けて横を擦り抜けようとした二人の襟首を掴んだ高根は、
「この二人と敦賀を拘束しろ!俺が良いと言う迄営倉に叩き込んでおけ!」
室内にいた曹長達に向かってそう声を張り上げる。
「真吾!てめぇ、今どういう状況だか分かってんのか!?」
「口を慎め!立場を弁えろ!!」
突然の拘束命令に我を忘れて抗議の声を上げる敦賀、しかし高根はそれ以上の勢いで怒鳴りつけ、上下関係を強調されたそれに険を深くした敦賀を睨みつけ言葉を続けた。
「お前が今何をしようとしていたか気付いてないとでも思ってんのか馬鹿が!何で拘束するかか?お前とこの二人、俺がお前等の立場だったら浜口を殺すからだ!命令だ、この三人を即時拘束しろ!」
見透かされていた、それを理解した直後に背後に立つ数人の気配、
「……先任、すみません……行きましょう」
その曹長達の申し訳無さそうな声音に状況を把握し、敦賀は口元を歪めて歯を軋らせる。
高根の言う通りだ、今、自分は浜口を殺そうとしていた、カタギリとウォーレンもそうなのだろう。その自分達が今ここにいても更に事態を深刻にするだけ、そうさせない為にも今は拘束を受けておくのが最善だ。
特段抵抗する事も無く案内された営倉、その独房の中で、敦賀は永遠にも思える程の焦燥を味わう事になった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
【状態異常耐性】を手に入れたがパーティーを追い出されたEランク冒険者、危険度SSアルラウネ(美少女)と出会う。そして幸せになる。
シトラス=ライス
ファンタジー
万年Eランクで弓使いの冒険者【クルス】には目標があった。
十数年かけてため込んだ魔力を使って課題魔法を獲得し、冒険者ランクを上げたかったのだ。
そんな大事な魔力を、心優しいクルスは仲間の危機を救うべく"状態異常耐性"として使ってしまう。
おかげで辛くも勝利を収めたが、リーダーの魔法剣士はあろうことか、命の恩人である彼を、嫉妬が原因でパーティーから追放してしまう。
夢も、魔力も、そしてパーティーで唯一慕ってくれていた“魔法使いの後輩の少女”とも引き離され、何もかもをも失ったクルス。
彼は失意を酩酊でごまかし、死を覚悟して禁断の樹海へ足を踏み入れる。そしてそこで彼を待ち受けていたのは、
「獲物、来ましたね……?」
下半身はグロテスクな植物だが、上半身は女神のように美しい危険度SSの魔物:【アルラウネ】
アルラウネとの出会いと、手にした"状態異常耐性"の力が、Eランク冒険者クルスを新しい人生へ導いて行く。
*前作DSS(*パーティーを追い出されたDランク冒険者、声を失ったSSランク魔法使い(美少女)を拾う。そして癒される)と設定を共有する作品です。単体でも十分楽しめますが、前作をご覧いただくとより一層お楽しみいただけます。
また三章より、前作キャラクターが多数登場いたします!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる