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リューシャ編
4話
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レイナとディスアから頼み事をされた同日、リリエは1度家へ帰ったものの、ルクトの家を訪ねていた。
「皇女様と皇子様が直々に竜の皇女様を探してくれと頼まれた?!」
家に声が響いた。
「うん。小さな手がかりでも良いから、2人なら見つけられる気がするって。」
リリエの膝の上ですやすやと眠るリューシャの頭を話しながら撫でるリリエ。
「しかし、なんでリレーニ様はいなくなったんだろうな?あくまでも1種族の皇女様だろ?」
「うーん、でもレイナ様によれば、リレーニ様は自分のすべきことを理由もなく放棄するなんて今まで全くなかったし、まずそんなことしないって感じだったけど…」
そう小さく首をかしげていると、ルクトは言った。
「だったら、皇女である自分がいなくなってしまったら、種族間の関係がどう変わっていくか考えて、怖れることはなかったんだろうか…?」
「下手をすれば、神竜大戦以上の争いが始まるなんてことも想像できたはずだけどね…」
そのリリエの言葉に頷きながらルクトは言う。
「そうなれば、いくらかつて神竜大戦を治めたセ…王妃様でも手に負えなくなるだろうな…」
ルクトの言葉を聞いて、リリエは俯いて呟くように言った。
「…そんなこと、絶対にさせたくない…」
そう言ったリリエの肩に手を置くルクト。
「そうだな。それは僕も同意だ。だったら僕にも手伝えることがあれば言ってくれ。力になれるように頑張るから。僕も。」
ルクトの言葉にリリエは顔を上げ、ニコッと笑うと嬉しそうに返した。
「うん!ありがとう、ルクト」
「どういたしまして」
そして、その日から密かに竜の皇女リレーニの捜索が始まった。ただ、ルクトにも軽く注意されたのだが、リリエとリューシャでは行ける場所が限られてしまうし遠くに行きすぎると危険なために近くの森を探すことになった。
そして、日々に何かしらの変化もなく、リレーニも今だ全く見つからない、普通の毎日を過ごしていたリリエとリューシャ。リレーニの捜索を始めてから数十日がたったある日、その変わらない毎日は突如として崩れ去って行った。
「リューシャ。ルクトのとこへ行きましょ?なにか手がかりが見つかってないか聞きに行きたいし。」
そうリューシャに声をかけたのだが、リューシャは床に丸まったまま、動こうとしない。
「リューシャ?どうしたの?リューシャ…?」
ゆっくりとリューシャに近付いていく。すると、リューシャの声が聞こえてくる。
「…きゅるっ…きゅるぁっ…」
小さく、聞こえないぐらいの声で鳴いているため、近くによらなければ声が聞こえなかった。が、リリエはすぐに分かった。リューシャがなぜか苦しんでいると。
「リューシャ、どうしたの?!」
慌ててリューシャを抱き上げ、聞くが返ってくるのは苦しげに息をする声のみ。
「リューシャ!ねぇ、何かあったの!?リューシャっ!」
「…きゅ、きゅあ…」
苦しげにはあはあと息をするリューシャを見て、再びあの不安を感じ、しっかりとリューシャを抱くと家を飛び出した。
「…ルクト…!」
しかし、ルクトの家に行こうと家から出て走りだしたその瞬間、世界中の時が止まった。
「っ?!」
自分やリューシャは動けるし、他に人はいないのになぜ時が止まったことが理解できたのか、リリエにも全く分からなかったがそんな気がして、とても強烈な嫌な予感を感じて、リリエはリューシャを強く抱いた。すると、辺りに霧が漂いはじめる。
″な、なに…なにが起ころうとしてるの…?″
そう思ったそのとき、霧の奥から何者かがゆっくりとこちらへ歩いてきた。
″…誰…?″
目を凝らして霧の奥を見つめるが、人影の顔はいまだによく見えない。しばらくしてその人影の顔がぼんやりとだが、見えた。
「…っ?!!」
その人物の顔に見覚えのあったリリエはとてつもなく驚いた。その歩いてきた人物は、あの日リリエとリューシャに視線を向けた竜の使いだったから。
「あなた…なんでこんなところに…?」
少し後ずさりながら、リリエは聞く。しかし、その質問には答えず使いはなおも近づいてくる。
「…っ!あなたは何者?!答えて!」
「…私はスヴール。種族と種族とを結ぶ姫を助けにきた。」
「姫…?」
そう首をかしげたそのとき、腕にしっかりと抱いていたリューシャがいつのまにかスヴールの伸ばした手へと移動しており、それを確認すると、スヴールはなにも言わずもと来た道を帰り始める。
「っ!?リューシャっ?!待って!リューシャをどこへ連れていく気?!返して!!」
リリエの返しての言葉に少しだけ反応するスヴール。
「…返せ、だと…?それはこちらの台詞だ人よ。姫をさらっておいてよく、そうも我が物顔でいられるな…」
「…!?」
スヴールは振り向きざまにリリエを睨み付けるように見た。その目にあの違和感を強く感じたが、リリエはどこかその違和感に矛盾を覚えた。スヴールはそのままリューシャを持って、霧の奥深くへ消えていった。
「…リューシャをさらっているのはあなたでしょうに…!」
リリエは感じた違和感の矛盾をなかったことにしてそう呟いた瞬間、リリエを中心として突風が巻き起こり、霧を全て吹き飛ばした。
「…リューシャ…絶対、連れ戻すから…!」
そう言い、リリエはスヴールが消えていった方向を強く睨んだ。
「皇女様と皇子様が直々に竜の皇女様を探してくれと頼まれた?!」
家に声が響いた。
「うん。小さな手がかりでも良いから、2人なら見つけられる気がするって。」
リリエの膝の上ですやすやと眠るリューシャの頭を話しながら撫でるリリエ。
「しかし、なんでリレーニ様はいなくなったんだろうな?あくまでも1種族の皇女様だろ?」
「うーん、でもレイナ様によれば、リレーニ様は自分のすべきことを理由もなく放棄するなんて今まで全くなかったし、まずそんなことしないって感じだったけど…」
そう小さく首をかしげていると、ルクトは言った。
「だったら、皇女である自分がいなくなってしまったら、種族間の関係がどう変わっていくか考えて、怖れることはなかったんだろうか…?」
「下手をすれば、神竜大戦以上の争いが始まるなんてことも想像できたはずだけどね…」
そのリリエの言葉に頷きながらルクトは言う。
「そうなれば、いくらかつて神竜大戦を治めたセ…王妃様でも手に負えなくなるだろうな…」
ルクトの言葉を聞いて、リリエは俯いて呟くように言った。
「…そんなこと、絶対にさせたくない…」
そう言ったリリエの肩に手を置くルクト。
「そうだな。それは僕も同意だ。だったら僕にも手伝えることがあれば言ってくれ。力になれるように頑張るから。僕も。」
ルクトの言葉にリリエは顔を上げ、ニコッと笑うと嬉しそうに返した。
「うん!ありがとう、ルクト」
「どういたしまして」
そして、その日から密かに竜の皇女リレーニの捜索が始まった。ただ、ルクトにも軽く注意されたのだが、リリエとリューシャでは行ける場所が限られてしまうし遠くに行きすぎると危険なために近くの森を探すことになった。
そして、日々に何かしらの変化もなく、リレーニも今だ全く見つからない、普通の毎日を過ごしていたリリエとリューシャ。リレーニの捜索を始めてから数十日がたったある日、その変わらない毎日は突如として崩れ去って行った。
「リューシャ。ルクトのとこへ行きましょ?なにか手がかりが見つかってないか聞きに行きたいし。」
そうリューシャに声をかけたのだが、リューシャは床に丸まったまま、動こうとしない。
「リューシャ?どうしたの?リューシャ…?」
ゆっくりとリューシャに近付いていく。すると、リューシャの声が聞こえてくる。
「…きゅるっ…きゅるぁっ…」
小さく、聞こえないぐらいの声で鳴いているため、近くによらなければ声が聞こえなかった。が、リリエはすぐに分かった。リューシャがなぜか苦しんでいると。
「リューシャ、どうしたの?!」
慌ててリューシャを抱き上げ、聞くが返ってくるのは苦しげに息をする声のみ。
「リューシャ!ねぇ、何かあったの!?リューシャっ!」
「…きゅ、きゅあ…」
苦しげにはあはあと息をするリューシャを見て、再びあの不安を感じ、しっかりとリューシャを抱くと家を飛び出した。
「…ルクト…!」
しかし、ルクトの家に行こうと家から出て走りだしたその瞬間、世界中の時が止まった。
「っ?!」
自分やリューシャは動けるし、他に人はいないのになぜ時が止まったことが理解できたのか、リリエにも全く分からなかったがそんな気がして、とても強烈な嫌な予感を感じて、リリエはリューシャを強く抱いた。すると、辺りに霧が漂いはじめる。
″な、なに…なにが起ころうとしてるの…?″
そう思ったそのとき、霧の奥から何者かがゆっくりとこちらへ歩いてきた。
″…誰…?″
目を凝らして霧の奥を見つめるが、人影の顔はいまだによく見えない。しばらくしてその人影の顔がぼんやりとだが、見えた。
「…っ?!!」
その人物の顔に見覚えのあったリリエはとてつもなく驚いた。その歩いてきた人物は、あの日リリエとリューシャに視線を向けた竜の使いだったから。
「あなた…なんでこんなところに…?」
少し後ずさりながら、リリエは聞く。しかし、その質問には答えず使いはなおも近づいてくる。
「…っ!あなたは何者?!答えて!」
「…私はスヴール。種族と種族とを結ぶ姫を助けにきた。」
「姫…?」
そう首をかしげたそのとき、腕にしっかりと抱いていたリューシャがいつのまにかスヴールの伸ばした手へと移動しており、それを確認すると、スヴールはなにも言わずもと来た道を帰り始める。
「っ!?リューシャっ?!待って!リューシャをどこへ連れていく気?!返して!!」
リリエの返しての言葉に少しだけ反応するスヴール。
「…返せ、だと…?それはこちらの台詞だ人よ。姫をさらっておいてよく、そうも我が物顔でいられるな…」
「…!?」
スヴールは振り向きざまにリリエを睨み付けるように見た。その目にあの違和感を強く感じたが、リリエはどこかその違和感に矛盾を覚えた。スヴールはそのままリューシャを持って、霧の奥深くへ消えていった。
「…リューシャをさらっているのはあなたでしょうに…!」
リリエは感じた違和感の矛盾をなかったことにしてそう呟いた瞬間、リリエを中心として突風が巻き起こり、霧を全て吹き飛ばした。
「…リューシャ…絶対、連れ戻すから…!」
そう言い、リリエはスヴールが消えていった方向を強く睨んだ。
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