ツムギ ツナグ

みーな

文字の大きさ
7 / 74
リューシャ編

6話

しおりを挟む
「…白亜はくあの城に…!」


女性はそう繰り返した。それに頷くリリエ。


「どうしても、連れ戻したいんです。そのあとに、自分の身に何が起きようとも。」
「…でもそれは、友達…リューシャさんにとって嬉しいこと?」
「…!」


女性から、冷静に向けられた言葉にピクリと反応するリリエ。


「あなたは、自分に何が起こっても、リューシャさんを連れ戻したいのかも知れない。…でも、連れ戻してくれることをリューシャさんが望んでいたとしても、全種族を敵に回してまで連れ戻してほしいとは思ってないはずよ。」
「…だとしても、リューシャが望んでいなくても、私は…」


リリエの言葉に淡々と返す女性。


「…あなたにとって、リューシャさんはどんな存在?」
「それはもちろん大切な…!」
「…だったら、大切な者の意見も尊重しないの?自分が助けにいきたいからと、相手の気持ちを考えないようにしているんじゃないの?」
「…それ…は…」


女性の言葉に黙りこくってしまうリリエ。


「それに、待っていればまたきっと会える。無理に会いに行かなくても、いつか…」
「…そのいつかは絶対来ないんです。…もう、会えないんですから…」


女性の言葉に被せるようにリリエは返した。


「会えない…?」
「だってリューシャは…私なんかが会いに行こうと思っても絶対に会えない存在だったんですから…」


リリエの返しに不思議そうにする女性。


「会いに…いけない…?………!?」


一瞬、なにかを察しかけた女性だが、あり得ないというように首を振った。そして、リリエに問いかけた。


「それは、どういうこと…?」
「リューシャは、竜の姫君もしくは、皇女おうじょ様かも知れないからです…!」
「…?!」


その言葉で女性は驚いた。が、少しだけ暗そうな顔をすると、リリエに優しく言った。


「…………ごめんなさいね、よく聞いて。…私たちね…本当は、竜なの。」
「っ?!」
「それと…言ってしまうと…私はリレーニ。そしてこの子は…フニカ。」


女性、否リレーニの言葉に目を見開くリリエ。その、衝撃の結論にたどり着き、唖然とする。


「ということは…リューシャは…」


しかし、リリエの言葉の続きを言わせることなく、リレーニは言った。


「…白亜はくあの城へ行くことは間違いではない。だけど、それでリューシャさん本人が喜ぶとは限らない。」
「…でも…私は…」
「それが、お姉さんの覚悟なら、私たちは邪魔できない。でも、本当にそれでいいのかはよく考えた方が良いよ。」


リレーニとフニカの言葉に黙りこむリリエ。


″私は、またリューシャに会いたいし、連れ戻したい…けど、リューシャの意思を優先させたり、自分の後の事を考えたりしたら………でも…だけど、やっぱり私は…!!″


手をぎゅっと握りしめ、リリエは言った。


「…でもやっぱり、私はリューシャを連れ戻しに行きたいです。リューシャに嫌われてしまったとしても…」


その返事にリレーニは微笑んだ。


「ならば、私たちはもうあなたの判断を否定するようなことは言えない。…多分、ここまで言うなら人の皇女おうじょ皇子おうじには既に話を通していると思うから、ここから先は楽ね。」
「そうだね。母さん。」
「…え?お2人とも、なんの話を…?」


リレーニとフニカの話についていけていないリリエは頭にはてなマークを浮かべた。その様子を見て、リレーニは苦笑して言った。


「…私たちは、とある人物…いえ、とある者から本人が望んでいるなら、その本人を白亜はくあの城まで導いてほしいって、頼まれたの。」
「…その、本人というのが…」


リリエの恐る恐る言った言葉に頷くリレーニ。


「そう。あなたのこと。リリエさん。」
「…?あれ?リレーニ様…どうして私の名を…?」


そういって首をこてりと傾げるリリエに笑いかけ、リレーニは言った。


「そんなこと、分かっているのは当たり前よ。…私は、あの子知り合いなんだから…」
「あの子…?」


その質問に、リレーニはただずっと微笑むだけでなにも答えてはくれなかった。そこに、フニカがしびれを切らしたのか、切り込む。


「お姉さん。行くんでしょ?白亜はくあの城へ。」


その言葉に無言で力強く頷くリリエ。しかしそのあと、リリエに現実がハッキリと見えてしまった。フニカの言葉で。


「でも、白亜はくあの城は天の川のほとりにそびえてる。飛べる竜や、飛行系魔法を使えたり、近いところに住んだりしてる神と違って、人は極端にできることが少ない。…お姉さん、飛べる?」
「………」
「…お姉さん…?」
「…えっと…リリエさん?」
「わ、私…そんなこと全く考えてなかったです…!」
「ふふ、だったら…」


そう、顔を真っ青にして言うリリエにリレーニがある提案をしようとしたその時、リリエはリレーニとフニカの前に正座し、地面に頭がつくほど深々と土下座をして言った。


「リレーニ様!フニカ様!とっても失礼なお願いをするのですが、私に飛行系魔法をお教えいただけますでしょうか?!」
「え…そ、そっち?!」


リリエの頼みについ驚きを隠せずに声をあげたリレーニ。


「…え…そっち…とは…?」
「私はてっきり、城までつれていってほしいと言うものだと…」


その言葉に目を見開いてリリエは首を全力で横に振る。


「そ、そんな図々しいこと、皇女おうじょ様や姫君に頼めませんよ!」


リリエの言葉にリレーニとフニカは後ろを向いてこそこそと小声で話しはじめる。


「…母さん…私たち、まで連れてきてって、言われてたよね…?本人はすっごい自分で行く気満々だけど…」
「でも…彼女からは、絶対にまではついていくか、連れていくかして、一人で行かせないようにって言われてて…」
「あ!だったら母さん、竜には飛行系魔法は伝えられてないけど、私たちなら飛んで連れていけるって言えば?」
「…あの、遠慮という言葉を出来る限り優先させるような子が、理由なしでおとなしく私たちに乗っていってくれる…?」


そう2人でそっとリリエを見て。


「「………多分…いや、絶対行かない…」」
「…え?」


2人の話していることが小声であるため、全く分かっていないリリエはただ首を傾げるしかなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

婚約破棄の代償

nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」 ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。 エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。 国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。 悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。 その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。 そこで待っていたのは、最悪の出来事―― けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。 夫は愛人と共に好きに生きればいい。 今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。 でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。 妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。 過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――

さようなら、お別れしましょう

椿蛍
恋愛
「紹介しよう。新しい妻だ」――夫が『新しい妻』を連れてきた。  妻に新しいも古いもありますか?  愛人を通り越して、突然、夫が連れてきたのは『妻』!?  私に興味のない夫は、邪魔な私を遠ざけた。  ――つまり、別居。 夫と父に命を握られた【契約】で縛られた政略結婚。  ――あなたにお礼を言いますわ。 【契約】を無効にする方法を探し出し、夫と父から自由になってみせる! ※他サイトにも掲載しております。 ※表紙はお借りしたものです。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

処理中です...